科学技術のアネクドート

「バキン」の日がわりカレー――カレーまみれのアネクドート(120)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



行列に並んでも食べたいカレーとはどのようなカレーでしょうか。そこには客に「また来たい」と思わせる味わいがあるにちがいありません。

福岡・長浜には「バキン」という行列ができる店があります。店は看板に「カレー スパイス料理のバキン」と掲げています。そして「うまい からい せまい」と書かれた木板も。

昼の部は11時30分の開店ながら、11時すぎにはすでに数人が店の前で並んでいます。シャッターはまだ閉まっていても、香辛料の効いたカレーの香りはその行列まで漂ってきます。

このお店の献立は日がわりのカレーただ1品のみ。量は、大、中、小から選べます。その献立は「オクラチキンのカレー」や「なすとチキンカレー」など鶏肉を基本とするカレーが中心。

写真にあるカレーが供された日の献立板には「豚バラ」と出ていましたが、肉はまちがいなく鶏肉です。そこに、ミニトマトと青唐辛子が加わっています。実際は「ミニトマトとチキンカレー」でしょうか。

カレーソースはライスすぐ染みこむような、しゃばしゃばとしたもの。豊富な種類の香辛料が効いています。辛さは食べられないくらいではないものの、つねにからだに熱が保たれ、途中からじわじわ汗が出てきます。スプーンが皿が当たる涼しげな音があちこちの席から聞こえてきます。

カレーの添えものはキャベツを細かく切ったサラダと、ミルクがかかったコーヒー風味のゼリー。また、店の食卓には福神漬けとらっきょうが入った器が置かれています。

食べログなどでの見た目よし、食器の奏でる音よし、カレーの風味よし、添えものや着けものもよし、総じてよし、ということで福岡での評判になっているのでしょう。献立は日に1品で「今日はなにだろう」という楽しみも加わるのかもしれません。

果たして、バキンの店の前には行列ができるのでした。

バキンの食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40034639/
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「辛口Lab.」のA(アディクト)カレー――カレーまみれのアネクドート(119)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



大阪には「辛口料理ハチ」という店のカレーを源流とする系譜があるといいます。同店はかつて天神橋2丁目にあり、店名にもあるように「辛口」を売りにしていましたが、2012年4月に閉店。切りもりしていた「おばちゃん」の体調不良によるとされます。その後、同店ファンが「辛口料理スズメバチ」という店を開いたものの、2017年5月に倒産するなどしています。

しかし「ハチ」のミームは根づよいもののよう。2015年12月には、新大阪駅の東側、東中島の地に「辛口Lab.」が開店しました。やはり「辛口」の2文字が店名につけられています。空中店舗のチェーン店がやたらと多い新大阪界隈ながら、同店は路面店。かつ個人営業の雰囲気が漂います。

基本となるカレーの献立は2種類。「大辛」の「A(アディクト)カレー」と、「中辛」の「B(ベスト)カレー」。注文すると、鍋にソースをつくりおきしているため、ほどなくして出てきます。これらに「ジャガ」「なす」「トンカツ」などの具をのせることもできます。また、食卓に置かれている添えものは、たまねぎの漬物とにんじんの漬物。

Aカレーの「アディクト(addict)」とは、「病みつきな人」といった意味。「衝撃的な辛さと旨さが病みつき」といった意味が込められているようです。

ライスの頂からカレーソースがまんべんなくかかっています。目に見える具材は角切りの牛肉。店の看板には「じっくり柔らかく炊いた味噌仕立て」とあります。

カレーソースの味は、たしかに辛口です。その辛さは、ソースと舌が触れた瞬間だけほんのり甘さがあり、その後は直接的な辛さが舌を刺しつづける、といったもの。2口目以降もこの感覚がくりかえされます。何種類かの香辛料を使っているのでしょう、チェーン店やカレー商品にはない、手づくりの風味がします。

同店も「辛口料理ハチ」を強く意識しているにちがいありません。

「辛口Lab.」の食べログサイトはこちらです。
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270301/27089740/

参考資料
かれおた curry maniacx 2017年5月3日付「『辛口Lab. 新大阪』〜スズメバチの系譜?? 東中島に隠れし激辛カレー店☆〜」
http://kareota.com/archives/16649
不景気.com 2017年6月8日付「大阪のカレー店『辛口料理ハチ』に破産決定、負債3億円」
https://www.fukeiki.com/2017/06/karakuchi-hachi.html
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「バルミューダ」のバルミューダ・ザ・カレー――カレーまみれのアネクドート(118)

これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



「家電量販店の白物家電コーナーにカレーが売っている」といったら驚きでしょうか。実際、炊飯器の売り場には、「バルミューダ・ザ・カレー」というカレーソースが売られています。

バルミューダは、おもに家庭用電器製品を開発・製造する新興企業。トースター、電気ケトル、オーブンレンジなどを販売するなか、電気炊飯器「バルミューダ・ザ・ゴハン」が人気を集めています。炊く米をあえて踊らせず、蒸気で炊きあげる方法で「土鍋よりおいしいごはん」を実現しようとしました。

この電気炊飯器と組みあわせるとよいカレーを念頭に、バルミューダはカレーソースも販売しているというわけです。

とはいえ、カレーをつくるのにふさわしいのはカレー屋。同社は、東京・湯島などに店を構えるカレー料理専門店「デリー」の協力を得て、この「バルミューダ・ザ・カレー」を誕生させました。家庭用電気製品を手がける企業のカレーが電気炊飯器のすぐ横で売られているわけです。

1箱で2皿分。カレーソースのみで、肉や目に見える野菜などは入っていません。この点は、デリーが持ちかえり用に売っている各種カレーソースとおなじです。「バルミューダ・ザ・カレー」については、「山ほどの玉ねぎを炒め抜くところ」から始め、繊細に重ねたフレーバーなどを「特別な製法で損ねることなくそのままパッケージに封入」しています(バルミューダサイトより)。

「つくりかた」として提案しているのが、鳥もも肉とじゃがいものみを具材としたカレー。塩、こしょう、カレー粉を振った鳥もも肉を炒め、ゆでたじゃがいも一口大に切り、これらをカレーソースに入れて火にかけるという簡単なもの。

味は、デリーのカレーをよく食べている人であれば、なじみあるもの。デリーの「辛さ5」のカシミールカレーよりも辛さは穏やかで、「辛さ3」のインドカレーなみでしょうか。ソースの質も粘り気はまったくない「シャバシャバ系」。これもデリーのカレーおなじみです。

バルミューダがカレーソースを売るようになったのには、「もっと直接的な体験をお客さまに提案したい」という思いがあったようです。デリーに「ダメ元」で連絡したところ、デリーの社長から了解の返事があり、実現したということです。

電気炊飯器を売るだけでなく、それで炊くご飯をどう食べるかまで提案し、その材料まで世に出すというのは、企業の消費者に対する新たな姿勢といえましょう。そうした開発の経緯もふくめて食べると、カレーの味もよりいっそう深いものになるかもしれません。

バルミューダによる「バルミューダ・ザ・カレー」のサイトはこちらです。
https://www.balmuda.com/jp/curry/

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「マディナカレーレストラン」のターリー――カレーまみれのアネクドート(117)


群馬県の伊勢崎市には、パキスタン人をはじめとするイスラム教信者が集い礼拝するモスクがあります。そのモスクから、ひとつ隔てた通りにパキスタン料理の店「マディナカレーレストラン」があります。

伊勢崎駅の北側。商店がぽつんぽつんとあるぐらいの通り。そこに見えてくる、裸電球で照らされた「オリジナルインドパキスタンカレー」の看板。

「O・P・E・N」の看板が下がる扉を開けると、そこには“パキスタン”があります。手前から奥のほうにいくつも置かれている長いすに座っているのは、(おそらく)みなパキスタンの人びと。いちばん奥には壁かけテレビがあり、(おそらく)パキスタンのテレビ番組が映しだされています。

もちろん店員もパキスタンの人。しかし、ここでの“異国人”である日本人の客を笑顔で迎えてくれます。

店のつくりとおなじく、献立表も手づくり感あふれるもの。ワードプロセッサで印字された料理名の行間に、手書きで加筆されています。

多くの客が頼むであろうセットメニューが「ターリー(下記カレー3品ただし野菜入りは1種類のみ)+ チキン1本 ナンお替り自由」。カレー3種類を選べるからです。チキン、ホウレン草、ひよこ豆、チキンマサラ、マトン、カリフラワー、キーマ、ハリーム(牛肉と豆をペースト状にしたもの)、ジャガイモ、グリーンピース、オクラ、ダルカレー(豆のカレー)というさまざまな種類のカレーがあり、さらに1種類として「チキンとホウレン草」のような組みあわせもあるため、あわせて15種類にもなります。

「ターリー」は、南アジア地方における定食。大皿にいろいろな具材がまとめられるのが特徴です。

写真にあるカレーはマトン(左)、ダル(手前)、そしてチキン(左)。そして奥には2枚のナン。ナンというと、いびつで長ほそいかたちのものを想像しがちですが、この店のはまん丸。しかも、もちもちのピザ生地のように厚みがあります。しかも皿に2枚ものっています。しかも「お替り自由」。加えてキャベツの上に盛られた大きなチキンと発酵乳もあります。

カレーはそれぞれ、マトン、ダル、チキンという主役の具を活かすようにつくられた味。そうしたねらいを店の人が考えているのか、それとも「マトンカレーといったらこう」といったようにつくりかたが染みついているのかはわかりません。それぞれのカレーソースは、さほど辛くありません。「カレーといえば辛さを極めるもの」といった日本の考えかたとはやはりちがいます。カレーにまみれたマトンやチキンの肉は、スプーンとフォークでかんたんに骨から離せます。

ひっきりなしに扉が開いて、(おそらく)パキスタンの人がやってきて、長椅子に座っていた(おそらく)パキスタン人の客と挨拶や握手をし、また、べつの(おそらく)パキスタン人の客が店を出ていきます。

そうした「パキスタン空間」にいる日本の人は、所在なくなるかというとそんなことはありません。自分たちのコミュニティを保ちながらも日本人客を重んじるといったパキスタンの客や店員の心もち、そしてなにより料理としての完成度の高さが、所在なさをとり払います。

店のなかはパキスタンでありながら、日本の客にとっても居心地がなんともよい。不思議な空間です。

マディナカレーレストランの食べログ情報はこちら。
https://tabelog.com/gunma/A1002/A100202/10007688/
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「とんきち」のジャンボ! カツカレー――カレーまみれのアネクドート(116)


カツカレーの“主従関係”にはさまざまなものがあります。

要素としてあるのは、カレーソース、カツ、ライス、それにカツ以外の具材といったところ。「カツカレー」といってもカレーですので、たいていの場合、カレーソースが“主”となり、カツをふくむほかの要素は“従”になるもの。カツもあくまで、具材のなかでは目玉となる存在といった位置づけになりがちなものです。

しかし、店によっては、明らかにカツが“主”となるところもあるもの。東京・府中市本宿町にある「とんきち」のジャンボ! カツカレーもそのひとつといえましょう。

店は、ひれかつやロースかつなどのカツを定食で出すとんかつ屋。甲州街道ぞいに建つ趣ある店で、開店は1974年といいますから45年ほどの歴史があります。

献立を見ると、ほかにもチキンカツ、カキフライ、クリームコロッケなどの揚げものの定食が充実しています。その献立表を裏がえすとあるのが「とんきちカレー 大人気!」の見だしのもとにある、カツカレーなどのカレー料理の献立。「カツカレー」の類は「ジャンボ! カツカレー」「ジャンボ大盛り! カツカレー」「カツカレー」「納豆カツカレー」「チーズカツカレー」「メンチカツカレー」。やはりカツカレー類が充実しているようです。

写真の「ジャンボ! カツカレー」は、直径40センチメートルにもなろうかという大きさの白皿に盛られたカツカレーライス。野菜サラダと味噌汁がついてきます。

カレーソースがかかったライスの上に乗るカツはじつに堂々としています。カツ定食などにも使われるであろうカツがそのままカツカレーに使われているのでしょうか。巷のチェーン店にあるような、チキンカレーや野菜カレーなどの顔ぶれのひとつとしてあるカツカレーとは、カツが明らかにちがいます。

カレーソースはややさらさらしていて、味はさほど辛くなく、主張は強くありません。ライスによく染みこんでいます。白ソースがかかっている点は特徴的ですが、こちらも隠し味といった程度。カツよりもさきに、まずカレーソースとライスだけを食べた人は「ソースとライスはあくまで脇役といったところだろうか」と感じるかもしれません。

その感じかたは、カツを食べたときに「やっぱりそうだったのか」となります。厚みのあるカツは、衣ごとスプーンでかんたんにちぎれるほど柔らかい。肉の味はさっぱりとしていますが、それがほどよい味のソースとよくなじみます。肉の白い部分にソースをかけて食べると、ソースとカツの相性のよさがさらに感じられるでしょう。まさに「カツカレー」。

堂々たるカツを主役とすれば、皿の大きさや、ソースやライスの量の多さは、カツの大きさとの均衡をとるためといえそうです。この店が扱うカツを中心に据えると、必然的に「ジャンボ! カツカレー」ができてしまうのではないでしょうか。

「カツをカレーで食べたい」と望んでいる人にとってはうってつけの店です。

「とんきち」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/tokyo/A1326/A132602/13099105/
| - | 18:15 | comments(0) | trackbacks(0)
「カレー」「立体視」「法則」「書評」のアネクドートも



2019年の「科学技術のアネクドート」もよろしくお願いします。

「アネクドート」とは「逸話」や「一口噺」を意味するロシア語。本当のアネクドートは、政治体制などに対する鋭い風刺が利いたものを指すといいます。このブログがそうした調子のものであるかどうかはなんともいえませんが……。

新年あらためて、このブログのシリーズ記事について紹介します。

「カレーまみれのアネクドート」。カレーにまつわる記事を集めたもので、おもにカレーを出すお店のカレーひと品の紹介です。これまでの全114記事は、こちらでご覧いただけます。

「立体視への挑戦」。人は、自分がその場で目にした立体の光景を、いかに平面で再現しようとしてきたのか。これを主題に、古代から現代へという流れで、その歴史を一歩ずつ紐といています。これまでの全6回は、こちらでご覧いただけます。

「法則古今東西」。自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。これまでの全28記事は、こちらでご覧いただけます。

「書評」。科学・技術の分野にかかわる本を中心に、内容はどんなものか、どんな人が読むとよさそうかなどを伝えていきます。これまでの182冊の本について書評は、こちらでご覧いただけます。

単発記事、シリーズ記事、ともどもどうぞよろしくお願いします。

| - | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0)
「カレーうどん香川」の手揉みカレーうどん大辛――カレーまみれのアネクドート(115)



「カレーまみれのアネクドート」では、どちらかというと昔からその街に根づいているようなカレー店を伝えるものが多くありました。

しかし、街ではいまなお「カレーの店」は新しく開いているものです。その店の行く末がどうなっていくのかはまだだれもわかりません。しかし、その店の歴史の初期に客として立ちあうとうのは、どこか誇らしいものでもあります。

千葉県市川市南八幡には、(2018年)9月3日(月)カレーうどん専門店「香川」が開店しました。JR本八幡駅の南口から徒歩3分、街のなかではネオン街といえる通りにあります。もともと医院だった建てものの1階に構えています。

カレーうどんの種類は「手揉みカレーうどん」と「えび天カレーうどん」。それぞれ辛さを普通、中辛、大辛から選べます。冒頭の写真は「手揉み」の大辛。ほかに、上肉カスうどん、肉おでん各種、ごはんなどの品ぞろえです。

カレーライスでなくカレーうどんの店。店主らの「賭けるもの」を感じさせます。ふつう、食べもの屋におけるカレーうどんの位置づけというと、肉うどんや天ぷらうどんなどのさまざまな種類があるなかのひとつとなっているか、定食屋の品のひとつとなっているか。いっぽう、この店では、カレーうどんを前面に出しています。

そのため、食べたら印象に残るようなカレーうどんをめざしたのでしょう。うどんにはめずらしく、ちぢれ麺となっていて、カレー汁とよくからまります。

「大辛」まであるカレーの辛さも特徴的です。「大辛」は、脳を直接的に刺激するような辛さ。そば屋やうどん屋にある、小麦粉でまったり白くしたようなカレー汁とは異なります。具の肉、ねぎ、糸唐辛子は上品です。

開店した時点での営業時間は18時から翌朝5時まで。地元に住む人、働きおえた人、飲みおえた人たちの「夜の胃袋」を、どれだけ満たすことになるでしょうか。

カレーうどん香川の食べログ情報はこちらです。まだ、あまり情報がありませんが。
https://tabelog.com/chiba/A1202/A120202/12045088/

| - | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0)
「ラッフルズカリー」のマトンカリー――カレーまみれのアネクドート(114)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



ひとえに「インドカレー」といっても、作る人のインドカレー観も、食べる人のインドカレー観もさまざま。よって多種多様なインドカレーが存在します。これがカレーの奥深さにもなるのでしょう。

ツイッターで「日本人向けに食べ易くしたインドカレーです」と自己紹介している店があります。東京・台東にある「ラッフルズカリー」というカレー専門店です。

JR御徒町駅から春日通りを徒歩3分。地下鉄の仲御徒町駅や、新御徒町駅はもっと近く、便利なところにあります。近くには「サカエヤ」「ラホール」「CoCo壱番屋」といったカレー店もあり、結構な競争区のもよう。

かわいいゾウさんの描かれた橙色の看板が目印。店のなかは、カウンターの長い食卓に椅子が並ぶのみ。奥の暖簾や瓶詰めされた香辛料などからはインドらしさを感じます。しかし、大滝詠一の『A LONG VACATION』のアルバムが飾られていたり、TBSラジオが流れていたりと、「日本の店」の要素も多め。店員は日本人だし、おそらく大半の客も日本人でしょう。

献立から、正規のカレーだけでも「チキンカリー」「野菜たっぷりカリー」「キーマカリー」「マトンカリー」「クリームチキンカリー」が常備されているのがわかります。さらに、「チキン」と「野菜たっぷり」を半分ずつにした「野菜チキンカリー」などの、「野菜たっぷり」とのくみあわせも選べます。

多くのカレーが揃うなか、献立に唐辛子の印がもっとも多くついているのが「マトンカリー」。「たっぷりのスパイスでじっくりマトンをにこみました」とあります。

ライスの皿とカレーの器はべつべつ。ステンレス製のカトリでなく、白い陶器を使うあたりも「日本の店」感を高めます。日本の店なのだから当然ですが。

カレーソースのなかに見える具はマトンの肉み。野菜などはソースと化しているよう。肉はフォークでかんたんにほぐすことができます。口に入れれば、カレーにまみれながらもたしかなマトンの味がします。

カレーソースのほうは献立の説明どおり、香辛料がたっぷりと使われているもよう。クミンなどの基本的な香辛料が均衡よく使われているもよう。とりわけ辛くはないものの、香辛料や野菜などで調和のとれた味が、舌や鼻に実直に伝わってきます。

「日本人の店の人が、日本人の客のためにつくるインドカレー」を地でいくようなカレー屋とカレーです。

「ラッフルズカリー」の食べログ情報はこちら。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13033116/

参考資料
ヤバイカレー屋さん twitter
https://twitter.com/raffles_curry06
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「CoCo壱番屋」のスパイスカレー THEチキベジ――カレーまみれのアネクドート(113)


「期間限定」のものには飛びつくほうでしょうか。

「いまの時期しか得ることができない」といったことから「いま買っておかないと」という心理がはたらき、つねに売られているものよりも、手が出てしまうという人もいることでしょう。

カレーの世界にももちろん、「期間限定」はあります。

店を全国展開する「CoCo壱番屋」は、2018年の夏から秋にかけ「スパイスカレー THEチキベジ」を出しています。8月末までの限定とのこと。

CoCo壱番屋の通常のカレーといえば、ポークカレーあるいはビーフカレーといった素朴なソースを基本に、お好みで「チキンカツ」「ソーセージ」「ハンバーグ」などの単品からなる具材を選んで注文するもの。

いっぽう、「スパイスカレー THEチキベジ」はというと見た目も賑やか、さまざまな具材が入っています。同店の主要原料についての情報によると、鶏肉、オクラ、なす、ミニトマト、グリーンアスパラガス、豚肉、トマト、玉ねぎといった具材名が並んでいます。くわえて、同店が「にんにくとスパイスが効いた夏のカレー」と紹介しているように、いくつかの種類の香辛料もまぶされています。

つまり、CoCo壱番屋のカレーとしては、異彩を放っているといえましょう。期間限定感が高まります。

カレーソースは心なしか、通常のカレーのソースより辛めでしょうか。しかし、店内には寒気を感じるほどの冷房が効いていて、席によってはカレーソースにも冷風が当たるので熱さはなくなっていき、辛い感じは中和されていきます。ライスとも、さまざまな夏野菜の具材ともよい相性。

「期間限定」で食べてみて辛さと具の豊富さを味わい、再び、三たびと、ついCoCo壱番屋に入ってしまう人もいるのではないでしょうか。

CoCo壱番屋の「スパイスカレー THEチキベジ」の情報はこちらです。
https://www.ichibanya.co.jp/menu/detail.html?id=492

参考資料
CoCo壱番屋「ココイチ 原産地情報」
https://www.ichibanya.co.jp/menu/pdf/origin.pdf​
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「カレープラント」の鯛と夏野菜のグリーンカレー――カレーまみれのアネクドート(113)


京都の小路には、小さな飲食店も見かけ、たいていは小洒落た雰囲気を醸しています。さかのぼれば平安京として街がなりたった時代から、小路にも店は建っていたのでしょう。その規模感はさして変わらず、いまも小さな路に小さな店がこじんまりと佇んでいます。

カレー店もまたこじんまりと小洒落たもの。西は西洞院通、東は新町通、北は錦小路、南は四条通に挟まれた、名もないような小路には、「カレープラント」という店があります。薄灰色の壁に緑色の軒という、洋風の構えですが、京都の小路にはなぜか合っています。

個人経営の店ではめずらしく、1階のカウンター席に加えて、2階にはテーブル席があるもよう。階上からも皿にスプーンがあたる音が聞こえてきます。

献立のうち、「京鴨カレー」と「淡路産猪豚カレー」は常時の品。いっぽう、写真の「鯛と夏野菜のグリーンカレー」は限定メニューとなっています。

カウンター席のすぐ奥、調理が見える厨房では、皿に麦飯がよそわれたあと、具となるパプリカなどの夏野菜や鯛の身などが、容器からていねいに入れられていきます。合わせて、薄緑色のカレーソースも盛られます。

ほかに、キャベツのピクルス、ひき肉、そしてポテトチップスも盛られ、さらに別皿では清涼感あるキャベツの漬けものも。

おそらくは、タイカレーはライスとカレーソース、それに具をスプーンでかき混ぜて食べるのが、それぞれの味が渾然一体となってよいのでしょう。鯛の身はさほど大きくはないものの、それでも料理の名に入っているだけあって、存在感があります。

情報によると、カレープラントは、2018年4月に開店したばかり。四条通の界隈では、じょじょに個性的なカレー店が増えていっています。

「カレープラント」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26030642/

参考資料
京都速報「4/30オープン CURRY PLANT(カレープラント)」
http://kyo-soku.com/2018/05/01/curry-plant/
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「バークレー」のハンバーグカレー――カレーまみれのアネクドート(112)


福岡市の繁華街「中洲川端」は、その名のとおり、川のなかの洲である中洲を臨む川端にあります。

中洲から対岸の川端を臨むと、赤い軒に「ハンバーグカレーの店 バークレー」の白い文字が。博多大橋を渡って右手、アーケード街「川端通商店街」の奥まったところに「バークレー」はあります。

店の外には「噂のハンカレー」「旨味が凝縮」といった文字が並ぶ看板が。「ハンカレー」がハンバーグカレー、つまり中心の具材をハンバーグにしたカレーライスであることが、看板の写真からわかり、期待をそそります。

そして店内は、カウンター席にテーブル席、雑誌や新聞も置いてある、これぞ喫茶店といった風。多くの客が、やはりハンバーグカレーを注文するもよう。

実際のハンバーグカレーは、カレーライスのライスの上に、さらに縦方向に丈のあるハンバーグが乗せられ、そこにカレーソースがかけられたもの。もし、ハンバーグ単品として注文して、供されることを考えると、やや小ぶりなハンバーグです。しかし、カレーライスの添えものとしてのハンバーグとなると、小さくもなく大きくもなく、調和がとれています。

味のほうは、ハンバーグもカレーソースも、どちらも強く主張するものでなく、こちらも調和がとれています。店は、カレーライスの添えものとしてのハンバーグとはどういうものであるべきかをきちんと考えた末に、このやや小さめながら存在感のあるハンバーグをつくっているのではないでようか。

カレーソースのなかに目に留まる具材はなし。カレーソースの味もさほど辛くはあらず。ハンバーグ、カレーソース、ライス……それぞれの要素が調和のとれたカレーライスです。

バークレーの食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40001017/
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「とんかつ楽天」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(111)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」



週7日のうち、曜日限定で献立にのぼる料理があります。「毎日つくるのはたいへん」「限定品として価値を出したい」「材料の仕入れの都合で」など、曜日限定の理由はさまざまあることでしょう。

茨城県水戸市には、曜日限定で「カツカレー」を供するとんかつ屋があります。

水戸駅界隈は、新しいホテルやファミリーレストランなどが並んで整然とした南口と、神社や坂道があって昔ながらの風情を残す北口とで、街の風景がだいぶ異なります。

北口にあたる宮町にある「とんかつ楽天」は、水戸東照宮へとのぼっていく参道のふもと、「宮下銀座商店街」の一角にあります。店内はカウンター席、座敷席、さらに2階にも席がって広め。

楽天の「カツカレー」は火曜と金曜のランチ限定品です。金曜の昼どき、ひなびた雰囲気で人どおりもすくない商店街にくらべて、店内には大勢の客がいます。そしてたいていの客が注文するのは「カツカレー」。曜日限定のカレーが、地元の客たちに定着しているのでしょう。

カレー店のカツカレーのカツといえば、「主」のカレーに対する「従」としての位置づけとなる場合が多いもの。しかし、この店はとんかつの店だけあって、カツカレーのカツは大きく存在感を示しています。

ではいっぽうのカレーソースのほうはというと、こちらも店の気合いが伝わるような味です。カツを主役に引きたてるためのソースではありません。多く使われる香辛料が効いており、カツなしのカレーライスとしてもじゅうぶん味わえるような本格的なソースです。

つまり、この店のカツカレーでは、カツもカレーも「主」の存在となっています。このふたつの「主」に、量多めのライス、千キャベツ、さらに冷奴、お新香、味噌汁といった「従」の材料が揃って、「カツカレー」となっているわけです。

カツカレーを火曜と金曜のみ限定で出しているのは、従来カレー店ではない店が本格的な味のカレーを供するうえで必要または最善の頻度なのかもしれません。客側にとっても、カツもカレーも「主」の、心踊るカツカレーに出合える頻度は、週2回ぐらいがちょうどよいのかもしれません。

「楽天」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/ibaraki/A0801/A080101/8006471/
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「スープカリーシャカ」のチキン野菜カリー――カレーまみれのアネクドート(110)

これまでの「カレーまみれのアネクドート」



スープカレーは、多様な日本のカレーの脇をがっちりかためる存在ではないでしょうか。中心の存在とまではいかぬまでも、「こんなカレーも」というカレーにはしっかり入ってきます。

スープカレーといえば、発祥の地は札幌市内の喫茶店「アジャンタ」とされます。札幌のスープカレーについては、このブログでは2012年に「ガラク」の「やわらかチキンレッグと野菜スープカレー」をとりあげたことがあります。

カレーソースはいわば液体ですが、よりさらっとしたスープ状のカレーに価値を見いだす人がいるからこそ、スープカレーは札幌以外の地にも広がっていったのでしょう。

たとえば、仙台市には「スープカリーシャカ」というスープカレーに特化したカレー店があります。本店の場所は、木町通の通り沿い。階段をのぼった2階に広めの店があります。

店の案内によると「シャカ」とは、手の小指と親指だけを立てるハワイのあいさつのしかたとのこと。「気軽に」や「大丈夫」の意味があるといいます。店のつくりも、洗練されているというよりは、おおらかで“シャカ”的な印象をあたえます。

スープカリーの選びかたは3段階。まず、基本のスープを「トマト」「あっさり」「ココナッツ」「さらさら」から選びます。写真は店の「おすすめ」であるトマトスープ。つぎに「野菜」を主軸として多種類ある献立からカレーを選びます。最後に、1から40までの辛さを選びます。

店ではじめて食べる人は、スープカレー全体の量の多さにすこし驚くのではないでしょうか。ラーメン鉢ほどの大きさの黒い器に、ブロッコリー、れんこん、ピーマン、かぼちゃ、なす、アスパラガス、とうもろこし、水菜などの野菜とゆで卵、そして野菜の影に隠れるように骨付き鶏腿肉が入れられています。

トマトのスープは、店の情報によると、トマトを基本に、玉ねぎ、カレー粉、コリアンダー、クミンなど香辛料が入ったもの。具材やスープに見える黒いつぶつぶがクミンでしょう。味は、トマトの酸味や甘味と、カレーの辛さが均衡したようなもの。

具が大きいゆえ、食べているときは「かぼちゃと向きあう時間」「れんこんと向きあう時間」「鶏肉と向きあう時間」といった具合に、カレーにまみえた具材それぞれと向きあうことができます。具材が多いので、ライスは脇役といったところ。

日本でのスープカレーが誕生してからもうすぐ50年だそう。札幌から始まったスープカレーの文化は、仙台をふくめ各地に広まっています。

スープカリーシャカのホームページはこちらです。
https://soupcurry-shaka.jimdo.com
本店の食べログ情報はこちら。
https://tabelog.com/miyagi/A0401/A040101/4014010/

参考資料
ウィキペディア「スープカレー」
https://ja.wikipedia.org/wiki/スープカレー

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「トリッピン・スパイス」の羊牛豚ミックスキーマカレー――カレーまみれのアネクドート(109)



名古屋市は人口230万の大都市。味噌を基本とした各種「名古屋めし」が浸透しているからといって、カレー店が栄えていないはずがありません。カレーうどんは「名古屋めし」の部類に入るとされますが、カレーとライスの組みあわせについては、やはり「カレー」としての認識が強いのではないでしょうか。

東区泉、名古屋高速道路のジャンクションを背に、ビルの半地下に降りていくと、「トリッピン・スパイス」というカレー店があります。2016年10月に開店したという、まだ新しい店。

情報によると、店主は世界50か国を旅したとのこと。さまざまな旅先の地で、カレーの研究を重ねたのでしょう。インドカレーのみならず、タイ、ベトナム、シンガポール、日本などを想起させる各種カレーをつくる能力をもっていることが、カレーのメニューからうかがえます。

香辛料を効かせたカレーを出す個人経営店は、たいてい店主が海外でカレーの研究をして、その成果を発揮するもの。ただし、そのカレーは、インドならインドといった具合に国がかぎられるもの。一国のカレーに集中して研究をすれば、そうなるのも必然的です。

そうした点で、「トリッピン・スパイス」のように、個人経営の一店でさまざまな国を想起できるカレーを選んで食べられるというのは、なかなか貴重な存在ではないでしょうか。

写真は、「羊牛豚ミックスキーマカレー」。ウコンで染めたライスの上に、羊、牛、豚の合ひき肉を和えたであろうカレーソースが乗っかっています。そのソースのなかには、香辛料の粒も。そして頂には緑の葉ものが。ライスのまわりには、唐辛子粉がほんのり。蓮根揚げと漬物も添えられています。

客がすくない時間帯とはいえ、注文してから出てくるまでわずか数分。この日のカレーの種類は、この羊牛豚ミックスキーマカレーをふくめ6種類。カレーの種類は日によって変わっていくといいます。

これだけの凝ったカレーを1日に複数種類、お客のために揃えられるとは……。きっと毎日が楽しいことでしょう……。

「トリッピン・スパイス」の公式フェイスブックはこちらのようです。
https://www.facebook.com/Trippin-Spice-539361992916110/
食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/aichi/A2301/A230104/23061892/

参考資料
ちょい飲みしながらKenKenPa!2016年10月26日付「Trippin Spice:世界50カ国を旅したオーナーのこだわりカレー」
http://kenshinsakae.blog.fc2.com/blog-entry-116.html

| - | 22:58 | comments(0) | trackbacks(0)
「旦過スパイスカレーARATA」のドライキーマカレー――カレーまみれのアネクドート(108)


わりと大きな街には、表通りから横へと入る小路、つまり「横丁」があるものです。人がすれちがえるくらいの道幅ですから、グーグル車は入れません。

横丁といえば、バー、スナック・バー、寿司屋あたりが店の定番でしょうか。しかし、街によっては「カレー」を求める者が横丁に入っていくこともあります。

北九州市・魚町には「新旦(たんが)過飲食街」という横丁があります。紫川支流の川岸に店々のならぶ商店街「旦過市場」のすぐとなりにある小さな路地。市場の通りとちがって横丁に屋根はないものの、道が狭いため見あげる青空も狭い。「旦過」には、この街では市内にある宗玄寺のための宿の名に由来するとも、宿泊した旅人たちが旦つまり早朝に立ったことに由来するともいいます。

横丁の入口からかなり奥のほう、「旦過スパイスカレーARATA」が佇んでいます。ぱっと見でカレー店と見えないのは、横丁にカレー店というめずらしさがあるからでしょうか。

店内には、カウンターの6席のみ。木のいす、木の卓、木の床です。木製のギターも壁にかかっています。

つねに供しているカレーは、「ドライキーマカレー」「チキンカレー」「ブラックチキンカレー」の3種。客が品を頼むと、のれんの奥のほうから具材を炒める音が聞こえ、すぐのちに香ばしい香りがやってきます。

香辛料の揃えに自負があるのでしょう。卓には「スパイスの効果」と書かれた香辛料の一覧が。カルダモン、コリアンダー、しょうが、唐辛子、シナモン、フェンネル、クミン、ターメリック、胡椒、にんにく、クローブと連なっています。

「キーマカレー」は、ライスが隠れるくらいに、ひき肉とひよこ豆を和えたカレー、コリアンダー、パプリカ、漬けもの、それに卵が盛られています。

ひき肉ひとかたまりと、ひよこ豆ひとつがちょうどおなじくらいの大きさで、ふたつが合わさってキーマカレーとなっています。カレーの風味は、香辛料をふんだんに使っているとわかるほど豊か。

ティファニーの皿に盛られたすべての食材を混ぜてから食べる人もいれば、ライスと具材をひとさじずつ均衡よくすくって食べる人もいるもよう。

店は2017年に開業したのだそう。小倉の新たな名店に名のりをあげそうです。

「旦過スパイスカレーARATA」のフェイスブックページはこちら。
https://www.facebook.com/tangaspicecurryarata/
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「ジャンボカレー」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(107)


街のなかったところに新たに「ニュータウン」として街がつくられたのが1970年代ごろ。それから40年や50年が経とうとしています。そのくらいの歳月が経つと、ニュータウンには一斉に街の歴史が始まったからこその雰囲気が出てくるものかもしれません。

ニュータウンが開かれたころに開業したカレー店も、いま新たに築こうとしてもなかなか実現できないような店の雰囲気が出るものです。

豊中市・新千里東町の商業施設「せんちゅうパル」に入っている「ジャンボカレー」もまさに、歳月の経ったニュータウンのカレー店としての店構えを感じさせます。

この店は、北大阪急行の千里中央駅のプラットホームが見おろせる通路にならぶ飲食店のひとつ。「せんちゅうパル」とよばれる創業施設の地下1階にあります。駅もこの商業施設も大阪万博が開かれた1970年に開業しました。そして「ジャンボカレー」も駅や商業施設の開業当初から営業していたといいますから、ニュータウンの歴史を築いてきた一要素といえそうです。

店の前には「ようこそジャンボカレーへ」の看板が。「辛口カレー」「ハンバーグカレー」「デラックスカレー」などとカレーの写真が縦よっつ、横よっつ並んでいます。そんななかで「カツカレー」は、最上段の左から二番目という好位置に。定番のカレーのひとつなのでしょう。

店にはカウンター席のみ。わりと高い位置で腰かけるいすがあり、机は銅色が鈍く光るもの。店は「スタンドカレー」の類のひとつといってもよいでしょうか。

カツカレーは、ライス、カレーソース、そして衣を含めて1センチメートルほどの厚さのカツで構成されています。カレーソースには具がなく、素朴な見た目。ポリ容器のなかに入った福神漬も、店の雰囲気に溶けこんでいます。

カレーの味は、とても辛いわけでも、甘すぎるわけでもなく、だれもが受けいれることのできる穏やかなもの。

店がまえも、カレーの中身も、「1970年代に開業したニュータウンの商業施設のカレー店」と言われたとき、裏ぎるような要素がほとんどありません。

千里中央駅は北大阪急行の終点駅でした。しかし、2020年度には、さらに線路が北に伸び、この駅は途中駅となる予定。「終着駅があるニュータウン」という街の位置づけも変わっていくなかで、ニュータウンのカレー店はこれからどのように歩んでいくでしょうか。

「ジャンボカレー」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/osaka/A2706/A270601/27005241/

参考資料
Lament「豊中千里中央 ジャンボカレー」
http://lament.blog.jp/archives/24580716.html
ウィキペディア「千里中央駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/千里中央駅
| - | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0)
「カレーハウスリオ」の半スパカレーセット――カレーまみれのアネクドート(106)


カレーライスを献立の主として供している店、つまりカレー店では、カレーライスを単品で出すことを基本とし、そこに鶏肉、牛肉、豚肉などの肉の種類を選んだり、カツ、コロッケ、野菜などの盛りつけを好みにより選んだりするというのが基本です。

しかし、なかにはカレーライスに加えてもう一品、主食にもなりうる食べものを添えて、セットとして出す店もあります。中華料理店でいえば、拉麺と炒飯のくみあわせのようなものです。

では、カレーと合う“もう一品”とはどのようなものでしょう。そば屋では、カレーライスとそばのくみあわせは定番ですが、カレー店ではカレーとになにがくみあわせとしてふさわしいのでしょうか。

その答えのひとつが、横浜・南幸の相鉄ジョイナスに構えるカレー店「カレーハウスリオジョイナス店」にあります。

カレーハウスリオは1960年に創業した店。横浜の、気軽に食べられるカレーの店として人びとに親しまれています。

この店の看板的な品のひとつとなっているのが、「半スパカレーセット」です。白い器の広いほうにはカレーライスが、そしてやや狭いほうにはスパゲティのナポリタンが盛られ、さらにサラダとスープもつきます。

店が「カレーとスパゲティーナポリタンのコラボレーションが魅力で、
ボリューム満点のメニュー」と謳っているように、カレーライスに加えてスパゲティとなると、相当な分量。しかし、お腹をすかせたサラリーマンや、学生らしき若い人たちが、この品を注文します。

同店は、「ナポリタン」や「カレーミートソース」といった、スパゲティの料理を単品でも出しています。「半スパカレーセット」が献立に載るのは、必然といえるのかもしれません。

しかし、カレーライスとスパゲティナポリタンのくみあわせには妙(たえ)があります。カレーライスは、明治時代に日本に入ってきて、日本で独自に進化を遂げたもの。いっぽうの、スパゲティナポリタンも、日本で独自に発明された、西洋料理の姿をした日本料理。しかも、発祥地は横浜とされています。

カレーライスもスパゲティナポリタンもじゅうぶん単品でも味わえる食べもの。しかし、このふたつが合わさっても、たがいの個性や特徴を消さないから不思議であり、妙でもあります。

カレーハウスリオジョイナス店の献立情報はこちら。
http://www.curry-rio.co.jp/publics/index/26/
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「セイロンカリー」のバナナの葉に包んだスペシャルアンブラ――カレーまみれのアネクドート(105)


スリランカはインド半島の南東、ラッカディブ海に浮かぶ島国。将来インド半島とくっついてしまうかもしれませんが、いまは海を隔てていて独自の文化があります。スリランカのカレーもインドのカレーとは異なります。

スリランカのカレーは、小麦でなく米を主食としたもの。具には肉や魚をよく使います。そして、ココナッツミルクもよく使います。

そんな、スリランカのカレーを日本で“きちんと”食べられる店が大阪にあります。大阪市・南船場の「セイロンカリー」です。セイロンとは、スリランカの昔のよび名。この店はもともと同市内の泉尾にありましたが、2016年に南船場に移転しました。

この店の献立表の最初にあるのが「アンブラ」。「たくさんの副菜とパパダムとカリーを混ぜて食べる」とあります。「パパダム」とは、南アジアで食べられている薄いクラッカーのこと。そして「副菜」としては「マッルン」(炒めもの)、「ポルサンボーラ」(ココナツのふりかけ)、「モージュ」(和えもの)、「アラバドゥマ」(じゃがいもの辛炒め)、「パリップ」(レンズ豆カレー)などの名が連なっています。

さて、この「アンブラ」を特別な料理にした「バナナの葉に包んだスペシャルアンブラ」が、土曜と日曜に「本日のスペシャル」でたまにお目見えすることがあります。冒頭の写真は「スペシャル」のほうのアンブラ。

皿に載ったバナナの葉を開けると、なかからさまざまな副菜が。青バナナや、スリランカの茄子「ノーコール」などの、より現地に近い食材が使われているとのことです。卵やライスもバナナの葉に包まれています。また、賽の目切りの胡瓜やパイナップルなどが入った白い舟形の皿も。

さらに、別皿で一種類のカレーも出されます。写真はマトン(羊肉)のカレー。とろっとしていません。スリランカでは「カレー」とは「煮込み」を指すという話もあります。

献立表の「アンブラ」の説明にあるとおり、これらをすべて混ぜていきます。マトンカレーも上からすべてかけて、スプーンで混ぜ混ぜ。卵は、半熟よりもややかためです。

副菜や具材どうしの境界線はもはやなくなりました。それを口に入れると、それぞれに異なる味の具が調和し、“ただひとつの味”となります。さほど辛くはありません。パイナップルの酸味が味全体のなかでは際だちますが、これも“ただひとつの味”の要素となっています。

スリランカのカレーとの初めての接点を、この店で果たしたという人は、「スリランカのカレーとは、かくも完成度の高い味のものなのか」という印象をもつことになりそうです。

「セイロンカリー」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270106/27072653/

「スペシャルアンブラ」が「本日のスペシャル」として出される日にちについては、同店のツイッターでご確認ください。
https://twitter.com/ceyloncurry2013
| - | 22:15 | comments(0) | trackbacks(0)
2018年、鋭くないアネクドートも多々……



2018年も三が日を過ぎ、街が人がいつもどおり動きはじめてきました。2018年の「科学技術のアネクドート」もよろしくお願いします。

このブログのよび名にある「アネクドート」とは「逸話」や「一口噺」を意味するロシア語。本当のアネクドートは、政治体制などに対する鋭い風刺が利いたものを指すといいますが、このブログのアネクドートが鋭くなるのはまれです。

新年あらためて、このブログの連載記事について紹介しますと……。

「カレーまみれのアネクドート」。カレーにまつわる記事を集めたもので、おもにカレーを出すお店のカレーひと品の紹介です。2017年10月に100回を超えました。また、ライスにかかるカレーを「カレールゥ」でなく「カレーソース」と表現することの宣言(ほぼ誤用の訂正)もありました。

「立体視への挑戦」。人は、自分がその場で目にした立体の光景を、いかに平面で再現しようとしてきたのか。これを主題に、古代から現代へという流れで、その歴史を一歩ずつ紐といています。しばらく記事の更新がありませんが、没になったわけではありません。

「法則古今東西」。自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。記事の頻度は低めですが、膝を打つような法則を伝えています。

「sci-tech世界地図」。世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。こちらも頻度は低めです。

「書評」。科学・技術の分野にかかわる本を中心に、内容はどんなものか、どんな人が読むとよさそうかなどを伝えていきます。昔の本も、新しい本も。

単発記事が多いなかで、これらの連載記事がちょびちょびと掲載されることになります。

| - | 15:54 | comments(0) | trackbacks(0)
「金谷ホテル クラフトラウンジ」の100年カレー――カレーまみれのアネクドート(104)


カレーが日本にどう入ってきたのか。明治時代に英国から伝わったとされるが、だれがどのように携わったのか。こうした謎が謎のままである以上、カレーの源流を探訪したい人にとっては、昔から供されているカレー、もしくは復刻されたカレーというものが気になるものでしょう。

「百年ライスカレー」と銘うつ、復刻カレーがあります。栃木県日光市に構える「日光金谷ホテル」のレストラン「クラフトラウンジ」が供しているライスカレーです。

日光金谷ホテルは、1873(明治6)年、日光東照宮の楽師だった金谷善一郎が自宅の一部を外国人の宿泊施設とし、「金谷カッテージ・イン」として開業したことに端を発します。1893(明治26)年には、大谷川にかかる神橋の近くに「金谷ホテル」を開業しました。いまの日光金谷ホテルがある場所です。

金谷ホテルの説明では、「百年ライスカレー」は、2003年にホテルの蔵から大正時代のカレーのレシピが発見されたことを受けて再現したもの。

また、べつの取材記事では、善一郎のひ孫にあたる井上槙子氏が蔵から料理のつくりかた集の写真があります。そこには「chiken Curry 金谷特製カレー」の文字が。この写真だけでも、鶏肉が具材とされていたこと、また「特製」とあることからライスカレーは広く食べられてはいたことなどがうかがえます。

「百年ライスカレー」は、銀色のソースポットにソースが入り、平たい皿にアーモンドスライスを載せたライスが上品な量で盛られ、福神漬とらっきょうが小皿に入って出てきます。ライスの量にくらべて、鶏肉の分量は多め。また、カレーソースの辛さは抑えめです。

井上氏は「幼い頃の記憶と照らし合わせながら何度も試食して、復刻することができた」と、取材記事で述べています。

大正時代となれば、カレーが日本に入ってきて、すくなくとも40年が経過したころ。そのころのライスカレーの味に思いを馳せ、いまのカレーライスとのちがいを探しながら食べることが、「百年ライスカレー」のふさわしい食べかたといえるかもしれません。

「百年ライスカレー」を食べられる日光金谷ホテルのクラフトラウンジの紹介ページはこちら。
http://www.kanayahotel.co.jp/nkh/restaurant/maple/

参考資料
金谷ホテル「歴史」
https://www.kanayahotel.co.jp/appeal/history/
NIKKEI STYLE 2017年2月24日付「百年洋食を味わい、時間旅行に浸る 日光金谷ホテル」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO12614840X00C17A2000000?channel=DF140920160963
| - | 19:39 | comments(0) | trackbacks(0)
「日比谷松本楼」のハイカラビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(103)


東京・日比谷公園はほぼ黄金比の長方形をした都会の森。秋には銀杏や紅葉などがつける黄や赤の葉が映えます。

園内にはいくつかのレストランや売店などの飲食ができる施設があります。なかでも伝統があり、「日比谷公園のレストランといえば」とすぐ思いうかぶのが、和風仏蘭西料理店「日比谷松本楼」でしょう。

松本楼の開業は1903(明治36)年。日本発の洋式公園として開園した日比谷公園と時をおなじくして開業となりました。以降、明治期の文芸活動の拠点になるとともに、美術家たちも松本楼に集ったといいます。

松本楼の名物料理のひとつがカレーライスです。カツカレーやシーフードカレー、また野菜カレーなどが献立にあるなかで、「ハイカラビーフカレー」がもっとも基本的なカレーライス料理といえそうです。

このカレーライスは、松本楼の話題としてよくのぼる「10円カレー」とおなじもの。「10円カレー」とは、1973(昭和48年)から1年のうち9月25日
にかぎって10円で供しているカレーライスのこと。2年前の1971(昭和46)年4月、人びとが沖縄の本土復帰を訴えた「沖縄デー」のとき同店が放火を受け焼失しました。

そして、再開業となった1973年9月25日、全国からの励ましに応えて、同店は「10円カレー」を始めたといいます。以降、毎年9月25日には限定で「10円カレー」を供しています。その売上は、交通遺児育英会や日本ユニセフ協会などに寄付されているため、この年に一度の行事は「10円カレーチャリティー」ともよばれています。

9月25日に出される「10円カレー」は、松本楼がそれ以前より出していた「ハイカラビーフカレー」です。10円とはいかずとも、9月25日以外の日でも「10円カレー」とおなじカレーを食べることができるわけです。

その味は上品なもの。さほど辛くないカレーソースのなかに牛肉のかけらが5個ほどあります。ライスの量はややすくなめのほう。漬けものは赤くない福神漬。

秋の季節、紅葉を見ながら都会の真中でカレーを食べることができます。

日比谷松本楼のレストランのサイトはこちらです。
http://matsumotoro.co.jp/restaurant/restaurant.html

参考資料
松本楼「日比谷松本楼の歴史」
http://matsumotoro.co.jp/history/history.html
ユニセフ「パートナー 日比谷 松本楼 10円カレーチャリティ」
https://www.unicef.or.jp/partner/ex1/partner_ex2.html
ウィキペディア「松本楼」
https://ja.wikipedia.org/wiki/松本楼
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「カラクサカレー」の黒カレーライス――カレーまみれのアネクドート(102)


碁盤の目のように小路が走る京都の街では、歩いているとカレーの香りが漂ってくることがあります。道幅が狭く、かつ建てものがすき間なく並んでいるところでは、カレーの匂い成分も散らばりにくいのでしょうか……。

四条通りから南に下ったところ、東西に走る綾小路通りを歩いていると、やはりカレーの香りが漂ってくるところがあります。そこは神明町。「カラクサカレー」の前です。

店を入ると奥にとても長いかまえです。細長の食卓に越高のいすが7脚。食卓の向かいには細長の厨房。店主と弟子の店員2人が、精魂込めるようにカレーをつくっては出しています。

この店のカレーはおもに「黒」と「赤」に分かれます。黒は、煮込んだ牛肉が入っているカレー。赤は、わりと大きめの鶏肉が入っているカレーです。

写真は「黒 カレーライス」。まず基本として明るい色のカレーソースがよそわれ、その上から黒いソースがかかっています。そして、その内側に黒いカレーソースのなかに牛肉が。さらに、ふた筋の白いソースがかかっていて、品の高さを漂わせています。

店の献立表によると、基本にある明るい色のカレーソースは「香りのルー」から、また内側の黒い、あるいは赤いソースのほうは「旨味のルー」からのものということです。「ハーフ・アンド・ハーフ」といった献立はカレー店でも見かけますが、「外側と内側」でソースを供しているカレーはめずらしいのではないでしょうか。

外側のカレーも内側のカレーも、飛びぬけて辛いわけではなく、やはり品のよさのようなものが漂います。それは京都にいるからでしょうか。

なお、外側のソースの内側に、「黒」と「赤」を隣どうしで入れた「赤黒ハーフ&ハーフ」という献立もあります。京都を旅している人にとっては「黒」も「赤」も一度に食べてしまいたい。そんな人たちのことを慮っているのでしょうか。

「カラクサカレー」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26025396/
| - | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0)
「アジャンタ」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(101)


日本のカレーは、明治時代に英国からやってきたものとされています。ですので、「元禄何年開業」とか「創業から250年」とかいった老舗はあるはずがありません。

それでも歴史をもったカレー店のカレーは、それなりの風格のようなものを醸しているものです。長きにわたり日本におけるカレー史のなかで生きぬいてきたという実績が風格を感じさせるのかもしれません。

東京・二番町にあるインドカレー店「アジャンタ」のカレーも、そうした風格を感じさせるカレーです。

店のサイトによると、アジャンタの創業は1957(昭和32)年。東京・阿佐ヶ谷で「カレーと珈琲の店 アジャンタ」として始まったといいます。その後、1961(昭和36)年、創業者ジャヤ・ムールティ氏の「より本格的なインド料理のお店を開きたい」という夢から東京・九段北に店を移し「純インド料理店」を始めます。いまの麹町に店を移したのは1985(昭和60)年のこと。

ジャヤ氏は創業前のある日、鶏を1羽、手に入れたそうです。そこで、妻のスジャータ婦人(旧名は淳子さん)や来日していた兄夫婦に、故郷インドでのチキンカレーをふるまいました。鶏肉の旨みがスパイスと絡み合う味に、スジャータ婦人は衝撃を受け、そのできごとからアジャンタのチキンカレーが生まれたといいます。

いま、アジャンタでふるまわれているチキンカレーも大きな鶏肉ふたつが柔らかく煮込まれていて、香辛料をふんだんに使ったカレーソースとよく絡みあっています。そして、このカレーを中心に、ライス、コールスロー、さらには玉ねぎの酢漬け、マンゴーチャツネと、食卓にのっているすべての食べものが一体となり、アジャンタの味を表現しています。

ジャヤ氏が家族にふるまったチキンカレーとはどのようなものだったのでしょう。想像は膨らみますが、いま供されているチキンカレーにその成分が残っているのはたしかなことなのでしょう。

「アジャンタ」のホームページはこちらです。
http://www.ajanta.com

参考資料
アジャンタ「アジャンタについて」
http://www.ajanta.com/history/
| - | 19:55 | comments(0) | trackbacks(0)
「カレーショップ山小屋駅前店」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(100)


最近は、新築であっても、あえて古風なつくりの雰囲気を醸しだすように建てられている飲食店もよく見かけるものです。しかし、やはり歳月を重ねることにより、年季というものはほんとうに入るもの。そして、それは店だけでなく、その店で出される食べものにも当てはまるものかもしれません。

長野市の長野駅善光寺口から、善光寺へと向かう中央通りを3分ほど歩き、通りからすこし脇道に入った先に「山小屋駅前店」はあります。

店名の「山小屋」よろしく、店の構えは山の途中にある小屋のよう。木の天井は低めで、まるで山小屋の食堂。カウンター席とテーブル席があります。

この店の名物は「納豆カレー」。店内には「元祖」と掲げられています。この店が納豆カレーの源流に当たるのかもしれません。

いっぽう上の写真はチキンカレー。紹介するカレーが納豆カレーでなくチキンカレーなのは、「その店でカレーを初めて食べるときは、まずチキンカレーを試すべし」という格言に影響を受けてかどうか……。

また、カレーソースは「普通の辛さ」の「中辛カレー」と「スペシャルスパイス」とある「辛口カレー」があります。写真のは「辛口」のほう。

カレーソースに入った鶏肉は、1個でスプーン半分くらいの大きさ。そしてソースは、口に入れてしばらく経つと、甘さから辛さがじわじわ現れてくる型のもの。さまざまな香辛料を配合してつくっているのでしょう、手づくり感もあります。この点は、本当の山小屋で食べるカレーライスとくらべるまでもなく、本格的。

大盛りでなくても、とくにソースの量が多く、ライスに対して意識的にソースの量を多く食べると、ソースとライスの配分が保たれます。

店を紹介するサイトによると、創業は1961(昭和36)年とのこと。店構えの年季も、カレーの味の深みも、55年以上の歳月を過ぎてのものといえるのではないでしょうか。

「カレーまみれのアネクドート」は今回で100回目。まだまだずっと続きます。

「カレーショップ山小屋駅前店」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/nagano/A2001/A200101/20002371/

参考資料
Delicious × Komachi「カレーショップ 山小屋 駅前店」
https://www.deli-koma.com/dk/shop/?clid=1003171
| - | 21:16 | comments(0) | trackbacks(0)
液状のカレーを指すときは今後「ルゥ」でなく「カレーソース」に

このブログで不定期ながらかなりの頻度で掲載している、カレーについての記事「カレーまみれのアネクドート」は、(2017年)8月12日の回で第99回となり、第100回まであと1記事となりました。

各回、各店で出されるカレーの味や外見などを伝えるものですが、99回も記事をつづけてきたところで、各記事内における“ある表現”の使いかたが、適切かどうか微妙であるということが発覚しました。

「ルゥ」についてです。

これまで「カレーまみれのアネクドート」では、ライスにかける液状のカレーに「ルゥ」という表現を使ってきました。「ルゥはぽてっとしており、ライスや具とよく絡みあいます」「少量のライスを囲むようにルゥがよそわれ、そのルゥに信州十四豚が」といった具合です。

しかし、「ルゥ」が指すものは、本来的には「液状のカレー」ではなく、その材料となる固形や粉末の「カレーのもと」とのことです。最近、カレーについての記事をつくる過程で、編集の担当者から原稿内の「ルゥ」に指摘があり、NHK放送文化研究所の「カレーの『ルー』?」という記事の引用がありました。

このNHK放送文化研究所の記事には、つぎのような説明があります。

「カレーの『ルー』というのは、固形や粉末の『カレーのもと』のことを指すことばです。(中略)日本式のカレーを作る場合、戦前は各家庭で小麦粉を炒めてそこにカレー粉を加えていました。この手間を省くために、最初からカレー粉と『ルー』を合わせた商品が開発されたのです。これが、カレーの『ルー』です」


本来の意味でのカレーの「ルゥ」の例
写真作者:Kotaro Kokubo

さらに、「ルー」(roux)ということばは、もともと「小麦粉とバターを加熱しながらまざあわせたもの」という意味のフランス語であるとも説明されています。

しかし、近年では「ルー」をカレーのもとと考える人のほか、ご飯にかかっている部分と考える人も増えているようです。「カレーまみれのアネクドート」での「ルゥ」の使いかたとおなじように。

同研究所が2009年に実施したアンケートでは、20歳代から40歳代までの回答者の過半数が、「ルー」の指すものとして「どちらも正しい」と答えたそうです。また10歳代については「カレーのもと」こそ「ルー」だと考える人と、「ご飯にかかっている部分」こそ「ルー」だと考える人の割合がおなじだったということです。

「ルー」や「ルゥ」を、ご飯にかける液状のカレーと認識ている人が増えているとしても、もともとのことばとしては液状のカレーを指すものではありません。そのため「カレーまみれのアネクドート」でも、今後は「カレーのもと」を指すときのみ「ルゥ」を使い、「液状のカレー」を指すときはべつの表現を使うことが適切といえます。

では、どうよべばよいのでしょうか。

「カレー」ということばは、日本では、それだけで「カレーライス」や「カレー料理」といった意味をもつものです。「カレー」ということばを使うとなると、それがカレーライスを指すのか、ご飯などにかける液状のカレーを指すのかが不明瞭となります。

「カレー汁」というのも、日本のカレーとしての趣きはあるものの、「ルゥ」をもとにつくるカレーのとろとろとした感じがあまりありません。カレーライスにかかっている液状のカレーとはべつのものを想起させてしまいそうです。

そこで、カレーのとろとろ感が伝わることや、実際に多くの用例があることから、今後は「カレーソース」または「ソース」といったことばで表現することとします。


カレーソースのかかったライス、すなわちカレーライス

参考資料
NHK放送文化研究所 最近気になる放送用語「カレーの『ルー』?」
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/151.html

| - | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0)
「ジョナサン」のカレー南蛮 糖質0麺――カレーまみれのアネクドート(99)


ファミリーレストランの献立として用意されているカレーは、数ある料理のなかのひとつとなるため、店側にとっても客側にとっても“脇役”の位置づけになりがちです。

しかし、主役にならないような料理にも手を抜かず、ファミリーレストランの料理としての味のよさを追求するかどうかが、安定した人気や評判につながるのではないでしょうか。

全国におよそ300店舗あるファミリーレストラン「ジョナサン」では、カレーライスのみならず、カレー南蛮も常時の献立として出しています。すくなくとも2002年にはすでに出されていた料理で、ジョナサンでの定番のひとつといるでしょう。

献立には「和風だしのきいた特製つゆに、きのこと豚肉をたっぷりと」と。だしには「和」を感じさせながら、カレーの辛さもじわじわと強く感じられます。また、献立の説明どおり、きのこと豚肉には食べでがあります。「南蛮」とは、肉や野菜などを加えて煮た料理。この料理はさながら「カレー南蛮」の面目躍如といったところでしょうか。

2017年には、このカレー南蛮を、うどんのかわりに「糖質0麺」で食べられるようになりました。5月には「糖質0麺」に微量な糖質が含まれていることが発覚し、ジョナサンは一時、販売を中止していましたが、改善したのか8月にはすでに復活しています。単品での熱量は539キロカロリー。


糖質0麺

「糖質0麺」は、うどんの麺とちがって細いため、カレーラーメンを食べるようなものになります。この麺は、食感については若干つるつる感が強いものの、風味については糖質が抑えられているといわれなければ気づかないくらい通常の麺とかわりません。

ただし、糖質が抑えられているからといって、麺の量がとりわけ多いわけではありません。理論的には「0」にいくつを掛け算しても「0」。より量の多い麺を期待する人も多いのではないでしょうか。

ちなみに、この「カレー南蛮」を、通常のうどん麺に加え、ごはんと漬物つきの「うどん膳」として頼むと、熱量は1183キロカロリー。ジョナサンの献立では、ビーフシチューオムライスの1287キロカロリーに次ぐ、高熱量となります。

ジョナサンのメニュー情報はこちらです。
http://www.skylark.co.jp/jonathan/menu/index.html
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「カリーすなっくベンガル」のトマト・チキン・カリー(辛口)――カレーまみれのアネクドート(98)



「ご当地カレー」のなかでもっとも知名度が高いのは、神奈川県横須賀市の「海軍カレー」といいます。これは、カレー総合研究所が2014年に実施した調査によるもの。

「海軍カレー」は、明治期、大日本帝国海軍で採用されたものといわれています。それからおよそ1世紀後の1999年、横須賀市は「カレーの街」をみずから謳い、「海軍カレー」の知名度が高まったと説明されています。

横須賀で海軍カレーの知名度が上がるよりも28年前の1971年、市内で創業したカレー専門店があります。横須賀中央駅から徒歩2分ほどのところ、若松町にある「カリーすなっくベンガル」です。

店のサイトによると、創業当時、カレー専門店は「横須賀のみならず珍しかった」とのこと。カレーを想起させるインドの地名から「ベンガル」、また、客に気軽に食べてほしいという思いから「すなっく」を店名につけたといいます。

46年も店がつづいているのは、地元の人びとが絶えまなく店を訪れるからでしょう。7月の土曜の昼時、店のカウンター席はすべて客で埋まっています。

カレー専門店だけあって、献立は、ドライ・カリー、ジャーマンエッグポーク・カリー、カボチャ&シメジ・カリー、エビ&ホタテ・カリーなどとじつに多彩です。

写真のトマト・チキン・カリーは、店の入口の看板にも掲げてある品。トマトは、かなりルゥに溶けこんでいるよう。鶏肉は、スプーンの器をひとまわり小さくしたくらいの大きさです。

特徴は、ルゥとインゲンでしょうか。ルゥはぽてっとしており、ライスや具とよく絡みあいます。辛口ではあるものの、辛すぎて一休みするほどではありません。また、インゲンは数センチメートルのものが数本ごろごろと入っています。

手づくり感のある品が、地元の人びとに定着しているのでしょう。「海軍カレー」の店が複数あるなか、歴史ある「ベンガル」は、孤高の存在となっているようです。

「カリーすなっくベンガル」のホームページはこちらです。
http://bengal-yokosuka.com/index.html

参考資料
なりたい! しりたい! 海上自衛隊「海軍カレー」
http://www.nskaijyo.com/enjoy/carry.html
カレー総合研究所「ご当地カレー論」
http://www.currysoken.jp/info/index.html#link07

| - | 14:12 | comments(0) | trackbacks(0)
「くらすわ」の信州十四豚カレー――カレーまみれのアネクドート(97)


カレーには、どんな趣きの店でも、「当店のカレー」として供することのできる順応力があります。インドカレー店のカレーは、金属の小皿に盛られてインドカレーっぽさを出しますし、蕎麦屋のカレーは小麦粉が多めに使われていて蕎麦屋のカレー然としています。

上品さを漂わせるレストランにも、趣きに合ったカレーが献立のひとつとして用意されているもの。

長野県諏訪市湖岸通りにある商業施設「くらすわ」にあるレストランで、11時から14時までの昼の献立として出される「信州十四豚カレー」も、上品なカレーの典型といえそうです。

この商業施設は、「養命酒」をつくる養命酒製造が運営するもの。ホームページによると「信州における本当に美味しいもの、からだにいいもの、生活に潤いを提供するものを積極的に商品化」することを施設全体の通念としています。

カレーの名にある「信州十四豚」は、同社がプロデュースした長野県産の豚。これで「シンシュウジューシーポーク」とよぶそう。ストレスを極力排除した環境で、抗生物質をできるだけ使わず育てたといいます。

昼の時間帯は、独自のソースや「野菜のしゃぶしゃぶ」なども用意されたサラダバーとともに。このサラダバーの存在もレストランの品を高めます。

肝心の「信州十四豚カレー」はというと、少量のライスを囲むようにルゥがよそわれ、そのルゥに信州十四豚が。ルゥには白いソースが線状にかけられています。

豚肉の量は、これも「上品」といえるほどの微量。むしろ、視線が行きがちなのは、ライスの上に載った野菜たち。野沢菜漬けの緑色、にんじんの酢漬けの紅色、そして柴漬けの紫色が、白いライスの上で目立ちます。

当然ながらカレーの味のほうも強すぎることはなく、ほどよい辛さでまとめられています。ルーのなかの豚肉は、自然に食べていくなかで自然にスプーンに掬われて口のなかへ……。

瀟洒な建てものに入るレストランには、香辛料をふんだんに使った激辛のカレーや、具だくさんのどか盛りカレーはにあいません。「信州十四豚のカレー」は、まさに品格を漂わせるレストランが供するにふさわしいカレーなのでした。

「くらすわ」のランチメニューに「信州十四豚カレー」や「信州十四豚」の紹介があります。こちらです。
http://www.clasuwa.jp/restaurant/lunch/
| - | 12:11 | comments(0) | trackbacks(0)
「デニーズ」のハンバーグカレードリア――カレーまみれのアネクドート(96)


デニーズは、子どももお年寄りもいるファミリー向けとは一線を画すカレーの料理を出しています。「カレーまみれのアネクドート」でも「インド風デリチキンカレー」と「マッサマンカレー」を紹介してきました。

そうしたなか、デニーズが2007年11月に登場させ10年目を迎えたカレー料理が、「ハンバーグカレードリア」です。情報によると、これまで1100万食以上を売ったとのこと。1日で3000食以上、1店舗では10食以上が出ていたことになります。

2017年3月には、「ハンバーグカレードリア」に「新・合挽きハンバーグ」を使いはじめたとのこと。このハンバーグは、豪州産ブラックアンガス牛と国産豚の合挽きで、デニーズによると「配合比率を新たに見直すことで、肉本来の美味しさを最大限に引き出す独自比率が実現」したとのこと。

そのハンバーグは、皿底にある白いライスと、上に乗っているチーズに挟まれています。そして、ふんだんにカレールゥがかけられています。ライスはおろか、ハンバーグもかなりの部分、隠れています。

一般的に、ハンバーグカレードリアのハンバーグカレーとのちがいは、チーズを入れてオーブンレンジなどで加熱するかどうか。この料理行程を踏むことで、はじめからハンバーグとライスとカレーが一体化します。

デニーズのハンバーグカレードリアも、たしかにハンバーグの部分を食べていながら、チーズやカレールゥ、そしてライスまでもが必然的にからまり、渾然一体となった味を楽しめます。

カレールゥはさほど辛くはないので、大人向けに対象を絞った期間限定のカレー料理などよりも、より多くの世代に向いたカレー料理といえましょう。しかし、分量は、ハンバーグ自体が大きいため、全体としては多め。この点では、大人向けといえるかもしれません。

デニーズのサイトにある「ハンバーグカレードリア」の紹介はこちらです。
http://www.dennys.jp/menu/hamburg/hamburgcurry-doria/

ちなみにランチの「昼デニセット」で「ハンバーグカレードリア」とサラダのセットを注文したある客は、「ライスはついていないのですか」と店員に聞き、店員から「ハンバーグの下にかなりのライスが入っていますが。ドリアですので」と言われ、顔を赤くしたそうです。

参考資料
都道府県別統計とランキングで見る県民性「デニーズ店舗数 2015年第一位 東京都」
http://todo-ran.com/t/kiji/11365
セブン&アイ・フードシステムズ 2017年2月28日発表「デニーズの新・合挽きハンバーグ登場」
http://www.7andi-fs.co.jp/7fs/pdf/170228-2.pdf
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「スパイスチャンバー」のキーマカレー(辛)――カレーまみれのアネクドート(95)


「キーマ」はヒンディー語で「細かいもの」の意味だそうです。ひき肉をそぼろのように炒って細かい具にし、ルゥの水気を飛ばしたカレーが「キーマカレー」です。

キーマカレーというと、関東近辺では「カフェハイチ」や「パク森」のように、食べてからじわじわと辛さが伝わってくるカレーが多いかもしれません。それらは、全体の味としては「まぁまぁ辛い」といったところになるでしょうか。

いっぽう京都には「(辛)」を標榜するキーマカレーがあります。四条烏丸の南西、白楽天町にある「スパイスチャンバー」のキーマカレーです。

雑居ビルの1階。間口は狭く奥ゆきは深いかまえ。そして、店の前には、黒い背景に黄色で、縦に「カレー」と書かれた看板が置かれています。「カレー」の書体は、払いや跳ねがとがっていて刺激的な印象です。

べつの小さな黒板には「キーマカレー(辛)」の文字。もともとこの店には、キーマカレーのほか「三代目チキンカレー」という品もあるようです。チキンカレーよりキーマカレーのほうが辛いので「キーマカレー(辛)」と強調していたものの、いまチキンカレーのほうは出していないため、「キーマカレー(辛)」のみが黒板に書かれているといった経緯のようです。

店内は、7席のカウンター席と厨房が向かいあうかたち。厨房側の壁には30種類以上の香辛料を入れた容器が並んでいます。そして、外の室町通に面するところにはキーマカレーのルゥが入った寸胴、そしてふたつの焜炉にフライパンがひとつずつ。注文を受けてから、あらためて寸胴に入ったルゥをフライパンで炒めて、水分を飛ばしたり味を仕上げているようです。

キーマカレーの味は「(辛)」とあるように、カレー店で出されるキーマカレーとしては相当に辛いほう。食べた瞬間の辛さと、食べたあとにじわじわくる辛さと、両方が混在しています。添えものでかならず出されるニンジンとキャベツの酢漬けが、舌で感じる辛さをいくぶん和らげます。

ひき肉以外の具で特徴的なのは、梅干しがひとつ添えられていること。この梅干しをどのタイミングで食べるかは客によりけりのようです。ほかに細切りにした緑のピーマンと赤のパプリカが彩りを増やします。

カレーや添えものが来るまえに出される水の容器は大きめ。これも客が辛いキーマカレーを食べるうえでの店側の心くばりといえそうです。

「スパイスチャンバー」のホームページはこちら。
http://spicechamber.com
「スパイスチャンバー」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26015938/
| - | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0)
「MON」のモンカレー辛口――カレーまみれのアネクドート(94)


千葉の房総半島を走るJR線のダイヤグラムは、都心のにくらべて疎です。そのため終点・始発の駅では、つぎの電車が出るまで、30分や40分は待ちぼうけとなります。

そのくらいの時間の過ごしかたといえば、駅前ロータリーを散歩するくらいなもの。あるいは、昼時では喫茶店でカレーかなにか食べて暇をつぶすくらいなものです。

どの電車に乗ってもかならず降りることになる館山駅の東口には、「モン」という高い天井の喫茶店があります。地方都市の喫茶店としては大きめ。創業は1977年といいますから、40年も駅の乗りかえ客などを待ちうけてきたのでしょう。

力を入れているのが、カレーライスです。生たまご入り、目玉焼き入り、ハンバーグ入り、カツ入りなどがあるなかで、もっとも基本的なのは「モンカレー」。中からと辛口が選べます。

辛口のほうのルゥの褐色度は、中辛のより1段、いえ2段階ほど高くなっています。具は小さな肉片が入っているくらい。乗りかえのあいだの腹ごしらえであれば、このくらいでもよいのでしょう。

ルゥの味は、辛口だけあって、かなり辛めです。欧風カレーのルゥに近いものの、香辛料の風味とコクがともに高く、「甘くて辛い」と「直接的に辛い」の中間どころといった味わいです。

コーヒーとの相性も合っています。カレーの合間に熱いコーヒーを飲むと、コーヒーの香ばしさが引きたちます。そして、熱いコーヒを飲んでから再びカレーを食べると、ルゥの辛さが引きたちます。

都会よりも店の運営費は安いのでしょうが、人もすくないため集客はきっとたいへんでしょう。しかし、「モンカレー」は初めて駅前で時間をつぶす人の心をつかみます。そして、二度目に駅前で時間をつぶす人にその存在を思い出させます。40年もつづく店には、売りとなる料理がきっとあるのでしょう。

MONの食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/chiba/A1207/A120704/12013355/
| - | 23:37 | comments(0) | trackbacks(0)
「サヴォイ」のビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(93)


神戸市中央区の、JR三宮駅と元町駅にかけての線路のまわりには、こじんまりとした店が寄せあつまっています。東海道線の高架下にある「神戸三宮高架商店街」の店々もそうですが、並行する県道21号線の南側にある「さんセンタープラザ」の店々もしかりです。

3棟が連なるこのプラザは、1970年から1980年にかけて建てられたもの。低い天井や、段差のある通路などには「昭和」が感じられます。

そして、地下1階を中心にところ狭し並ぶ飲食店。なかでも、カレーを出す店の多いこと多いこと。プラザのホームページを見ると、およそ150の飲食店があるなかでカレー店あるいはインド料理店はすくなくとも10軒以上。徒歩圏内にカレーを出す店が10軒もある街は、そうはありますまい。

ひときわ狭い店が、センタープラザ東館地下1階にある「サヴォイ」。カウンター席のみで、小さくて座位置の高い椅子が間隔なく置かれています。大きな荷物を持って入ると、置き場所は足元のみ。椅子を後にずらさねばならず、あとから入ってくる客に椅子脚を蹴られることに……。

食べる環境としては厳しいものの、客がひっきりなしに入ってきます。創業は1988年といいますから、もうすぐ開業30年。神戸市民に支持されているのでしょう。

カレーの献立は「ビーフカレー」のみ。あとは「玉子」と「ビール」があるだけ。カレーにはキャベツの千切りがついてきます。また食卓のうえには、福神漬、らっきょう、ピクルス、にんじんといった定番の添えものも。

ライスは鬱金の黄色で染まっています。そのうえに牛肉の筋が入ったルゥがたっぷり注がれています。ルゥの見た目は辛そうですが、汗が吹き出すほど辛いというわけでもありません。

ライスはややかため。しかし、ルゥとかき混ぜて食べるとすると、かためのほうがちょうどよいともいえます。

普通盛りでも大盛りでも650円。狭い店でカレーの献立はひとつだけといった究極的なやりかたで保っているのでしょう。

「サヴォイ」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280101/28000095/

ちなみに、この店のホームページもきわめて簡素なもの。1ページしかありません。けれども価格以外の必要な情報はすべて入っています。
http://www.jazz-voice.biz/savoy/savoy_1.html
| - | 21:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「100時間カレー」のスペシャルAカレー――カレーまみれのアネクドート(92)


前回の「カレーまみれのアネクドート」にもあるように、「ちょっと贅沢なカレーを出すチェーン店」が現れています。ただたんに安くて早いだけでは、飽食の時代に生きる人びとを満たさないのでしょう。

東京やその周辺にある「100時間カレー」もまた、贅沢カレーチェーン店の類に入ります。2010年設立のアークスという会社が展開しています。東京・小山台の武蔵小山店を皮切りに、2017年1月末の時点で12店、出しています。

献立に数ある料理のうち「スペシャルAカレー」は、エッグ、こだわり野菜、チキンカツの具材3種が乗ったカレー。ランチの時間帯では「3つトッピングカレー」でこの三つを選ぶと「スペシャルカレー」とおなじになります。

見た目のとおり、この具はそれぞれライスの上で目立っています。3種類で、ルゥのなかに浸っているものはありません。トッピングとはまさにこのこと。

カレー抜きにして考えると、卵、チキンカツ、油であげた野菜それぞれが、ひとつの料理としてなりたちうるもの。言うならば、自己主張の強い具材ばかりが、ライスのうえで出合ってしまっているわけです。

これらの“立っている”具材を束ねている存在がルゥです。ゆで卵とルゥ……。ルゥの辛さを卵が中和して、相性よし。チキンカツとルゥ……。カレーがソースの役割を果たして、相性よし。野菜とルゥ……。甘さと辛さが渾然一体となって、相性よし。

どんな具にも相性のよいルゥ。どのようにつくられているのでしょう。会社のサイトには「100時間カレーができるまで」が堂々と書かれています。それは、かいつまむとつぎのようなもの。

香味野菜と果物を飴色になるまでひたすら炒める。

別の寸胴で大量の牛を香草やセロリといっしょにじっくり煮込む。

煮込んだ牛のだしを最初の寸胴に加えてさらに煮込む。

煮込み終わったカレーを数日かけて冷温熟成する。

この説明には、リンゴ、バナナ、マンゴーなどを煮込むといった具合に、具体的に書かれています。ここまで手の内を明かすということは、「まねしようともむずかしいでしょ」という自信のあらわれかもしれません。

利己的ともいえる個性的な具材に対して、ルゥの果たす役割は大きい。それを実感できるカレーです。

100時間カレーを展開する「アークス」のサイトはこちらです。
http://arcs-co.jp/shop/index.html
| - | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0)
「上等カレー神田小川町店」のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(91)



カレー世界のムーブメントがあるとすれば、「ちょっと贅沢なカレーを出すチェーン店が現れている」といったことになるでしょうか。「贅沢」といっても銀色のソースポットにカレー入れて出すといったことではありません。カレーの中身に力が入れられているといったことです。

「上等カレー」はそうした店のひとつ。得正という会社が運営しています。得正は、大阪市に本社のある会社ですが、近年、東京や愛知など、関西圏以外にも「上等カレー」を出しています。

写真は、東京にある神田小川町店の「カレーライス」。らっきょうは別売です。

券売機の献立には、トンカツやエビフライやエビなどを乗せるものもありますが、「カレーライス」はライスとルゥのみ。ライスが断崖絶壁のように盛られ、そのうえにルゥが8割ほどの面積でかけられています。

乗せものがないカレーライスは味が勝負。このカレーのルゥの味は「甘さ」から入ってから「辛さ」に変わり、つぎにルゥを口に入れるときにはまた「甘さ」に戻るといったもの。味の伝わりかたという点では、おなじく関西圏を中心に出店している「インデアンカレー」を思いおこさせます。

正得は、ホームページでも「初め甘いが後追う辛さ」「ただただ辛いだけのカレーではなく、また変に甘ったるいカレーでもない、『辛さ』と『甘さ』という、一見相反する味を見事に調和させることによって、初めて奥の深い、余韻の残るカレールーが仕上がったのです」と誇らしげに自社のカレーを紹介しています。

ちなみに、神田小川町店は、2015年におこなわれた「第5回 神田カレーグランプリ」の決定戦で、投票総数2万3165票のうち、3093票を獲得してグランプリとなりました。予選通過20店のうちの1位です。

「カレーライス」で680円。しかし、甘辛いカレーを食べてみる価値あり。店名の「上等」に偽りなし。

「上等カレー」のホームページはこちらです。
http://www.tokumasa.net/original11.html

参考資料
神田カレー街活性化委員会 2015年11月4日発表「第5回 神田カレーグランプリ2015 グランプリは『上等カレー神田小川町店』に決定」
http://kanda-curry.com/wp/wp-content/uploads/2013/05/KCG15press_3_151104.pdf

| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
2017年、カレーにまみれつつ、立体視も書評も


きょうのこの記事は、このブログを新たにお読みいただく方に、このブログでどんな記事を掲載しているかを整理して紹介するものです。

ちなみにブログの名前にある「アネクドート」は、ロシア語で「逸話」や「一口話」などの意味をもつことば。ただし、本場のアネクドートほど風刺が効いているわけではありません。

「カレーまみれのアネクドート」。科学技術のことはお構いなしに、全国各地のカレーの味を伝えています。2016年は15回を重ねて、90回となりました。2016年の年初、「1か月に2回ほどの頻度で『カレーまみれ』を重ねれば2016年内の『100回達成』も不可能ではありません」などと意気込んでいましたが、達成はなりませんでした。

「立体視への挑戦」。人は、自分がその場で目にした立体の光景を、いかに平面で再現しようとしてきたのか。これを主題に、古代から現代へという流れで、その歴史を一歩ずつ紐といています。古代ギリシャのエウクレイデス(紀元前450-紀元前380)の時代まで来ています。

「法則古今東西」。自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。こちらは頻度は低めながら、本などで紹介されている、膝を打つような法則を伝えいます。

「sci-tech世界地図」。世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。こちらも頻度は低め。

「書評」。科学技術にかかわる分野は広いため本も多岐にわたります。

これらの不定期的な連載のほか、単発記事も書いていきます。2017年もよろしくお願いします。
| - | 21:38 | comments(0) | trackbacks(0)
「モジャカレー新大阪本店」のネギビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(90)


刻み長ねぎというと、そばやうどんなど、日本にゆかりの深い主食級の食べものにかける薬味という印象が強くあります。緑がかった色を目で、ほんのりつんとした香りを鼻で、また甘みと苦みのほどよくまざった味を舌で感じ、素のそばやうどんにアクセントを加えます。

もっぱら刻み長ねぎは、和食感の強い食べものの薬味として使われます。では、カレーのうえにかけたら、それも手でひとつかみするくらいの量をかけたら、刻み長ねぎとカレーはどうなるでしょう。

JR新大阪駅の建てものの1階「味の小路」には、「モジャカレー新大阪本店」があります。「当店人気No.1!!」とモジャカレーのホームページで謳っているのは、「ネギビーフカレー」。

プレーンなカレーライスの頂上に、刻み長ネギと牛ばら肉がほぼ等量で乗っかっています。また、卓上の容器に入っている福神漬、それにらっきょうも無料では10個まで乗せることができます。

刻み長ねぎは、もっぱら青い部分のほうが使われています。白い部分より控えめながらも、一般的に青い部分にも風味はあるもの。ただし、このネギビーフカレーの場合、もうひとつ、カレールゥという風味の強い食材があります。強い風味どうしの同舟、いったいどうなるか……。

刻み長ねぎとカレールゥのうち、風味がより前面に出るのはカレールゥのほうです。ホームページによると、ルゥは「フルーツ、野菜、そして本場のスパイス20種類を独自の配合でブレンド」したもの。大盛りの刻み長ネギは強い印象をあたえますが、手間のかけ具合という点ではルゥも特筆に値します。果物、野菜、香辛料の多くを混ぜてよく煮こんだからこそのルゥなのでしょう。

刻み長ネギは青々としたやしゃきしゃきの歯ざわりで印象をあたえるものの、風味では自己主張することなくルゥに主役の座を譲っています。ルゥにまじわれば、刻み長ねぎもカレーの具材のひとつに。しかし、その存在感は牛ばら肉とおなじかそれ以上といえるでしょう。

モジャカレーの店主は、大阪生まれのバングラデシュ人「ビッラルさん」。日本人が好むカレーの味を研究しつづけているとのこと。日本人は、刻み長ねぎといえば和風の食べものの薬味であると、つい結びつけてしまうもの。それをカレーの食材にするという発想は、日本人のあいだでそうかんたんに起きるものではありません。

「モジャカレー」のホームページはこちらです。
http://mojacurry.jp
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「エフィッシュ」のオクラと豆のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(89)


飲みものだけでなく食べものもそれなりに揃えているカフェにとって、「カレー」を献立から外すということは相当に大きなことではないでしょうか。とはいえ、カフェはカレー店ではないので、それほど種類を充実させなくてもよいのかもしれません。

そんなカフェでカレーを一品、出すとすれば、どのようなカレーになるのでしょう。

鶏肉のカレーや豚肉のカレーといった、日本での王道的カレーを出すカフェもあるでしょう。しかし、それはどちらかというと「喫茶店」とよぶにふさわしいお店かもしれません。

いっぽう、小洒落た印象を醸すカフェには、ちょっと趣向を凝らしたカレーがにあっています。

京都の木屋町通り五条下る西橋詰町にある「エフィッシュ」は、ものの話によると、アップルコンピュータの製品意匠家だった人物が所有するカフェ。店の印として看板などに使っている“黒猫が魚のことを思う”意匠などもふふっとほくそ笑ませます。

献立表の食べもの欄には「ベーコンとトマトとレタスサンド」「ベジタリアンタコライス」「香草風味のローストチキン」などが並びます。そしてカレーも一品。そのカレーとは「オクラと豆のカレーライス」。

受け皿と皿が一体化したような不思議な意匠の丸皿のなかに、ライスもまた丸く盛られ、そのまわりにカレールゥがたっぷりとかけられています。

見た目を印象づけるのは、桃色に染められた添えもの。キャベツのようです。白と黄からなる一皿の世界に、ひときわ目立っています。

しかし、このカレーでの主役はやはり名前にある「オクラ」と「豆」ではないでしょうか。このカレーが「チキンのカレーライス」あるいは「ビーフのカレーライス」としたら、カフェの雰囲気との均衡や調和は、あるいは崩れていたかもしれません。

なお、オクラも豆も、どちらも量たっぷりにルゥのなかに入っています。そして歯ざわりもしっかりしています。

店の窓から見えるのは鴨川と五条大橋。そして、店のなかには販売もしている食器や料理器具などの数々。そして客はくつろぎたい京都の人たち。小洒落た印象のカフェに「オクラと豆のカレーライス」は食器も味も。ともににあっています。

「エフィッシュ」のホームページはこちらです。やはり小洒落ています。
http://www.shinproducts.com/efish/index.php

参考資料
Gigazine 2015年2月23日付「元Appleデザイナーがオーナーの京都のカフェ『efish』に行ってみました」
http://gigazine.net/news/20150223-ex-apple-designer-cafe-efish/
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「辨慶東山店」のすじカレーうどん――カレーまみれのアネクドート(88)


京都の食べもの屋には、地元の人びとだけでなく、国内外の観光客も入ってきます。つまり、“一見さん”が多いわけで、その分、それぞれの店の評判の振れ幅も広くなりそうです。

そんな京都の食べもの屋のなかで、深夜にもかかわらず、客がひっきりなしに入ってくるうどん屋があります。東山区東橋詰町の「辨慶東山店」です。五条通(国道1号線)の鴨川にかかる大橋を渡って東山五条の交差点へと向かう道すがらにあります。

辨慶はうどん屋。540円のかけうどんから、1030円のタージンスペシャルまで、さまざまなうどんの品書きが壁に掲げられています。

カレーがらみのうどんが4種類ほどあるなかで、「すじカレーうどん」への注文は絶えないようです。

「すじ」とは、関西では牛肉の筋が集まっているところの肉のこと。この肉を使ったうどんは、カレーがらみ以外にもあります。それは献立に「ソッパ(すじ肉)」とあるもの。「ソッパ」は、京都地方で「すじ肉」に対して使われているご当地用語のようです。「反っ歯」と書いて「出っ歯」の意味もあります。

ソッパのうどんに、カレーの汁をかけたのが「すじカレーうどん」。麺は、うどん屋によくある麺よりも細め。そして、うどん屋のカレーうどんの他聞にもれず、麺は完全にうどんの汁のなかに隠れています。

箸で、カレーの汁の下に埋もれたうどんをすくって、汁の面から上に出して食べるわけですが、汁は相当にとろみがあり、箸で麺をすくい上げるのにも腕力が必要です。

そうして食べるうどんは、とろみの強いカレーと絡みあって、「うどんとカレー汁を食べている」という感覚になります。

そして、うどんとカレー汁を箸でかき混ぜると、見えてくるのは「すじ」。味付け汁で煮込んで、すじ全体にそれが染みこんでいるからでしょう。完全にカレーとうどんの組みあわせの味からは独立した「すじ」の味があります。カレーうどんを食べているなかで、味のまったくちがう「すじ」を食べるというのも、おつなものかもしれません。

辨慶の「すじカレーうどん」は、このように「すじ」と「カレーうどん」からなる一品。このふたつの風味は大きく異なるものの、ひとつの器に入った一品としての完成度は高いものです。

辨慶東山店の食べログ情報はこちらでどうぞ。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26000803/
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「キッチン南海 神保町店」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(87)


東京・神保町の老舗洋食店「キッチン南海 神保町店」のカレーライスについては、この「カレーまみれのアネクドート」の第22回でとりあげました。ルゥがソースの色のように黒光りしているのが、キッチン南海のカレーライスの特徴です。

キッチン南海の献立には、おもに、しょうが焼きと揚げもののくみあわせを基本とした洋食系の料理と、カレーを基本とした料理とがあります。

カレー系の料理には、もっとも基本的といえるカレーライスよりも注文数が多いのではないかと考えられる料理があります。カツカレーです。「食べログ」にも、「カツカレー(1番人気)」とあります。店員が書きこんだのではないでしょうが。

カツには7割から9割ほどの面積であらかじめルゥがかかっています。残りのルゥのかかっていないカツの部分をそのまま食べてさくさく感を味わうか、残りの部分もルゥに浸して食べるかは客によりけり。半分ぐらいはそのままさくさく食べて、もう半分ぐらいはルゥに浸して食べるという客もいることでしょう。

カレーライスは、皿のうえにライスとルゥがよそわれる単純なものですが、カツカレーのほうはそれにトンカツが加わるのはもちろんのこと、カツの脇に千切りのキャベツもそえられています。

このカツカレーの主役はカツまたはルゥでしょうが、千切りのキャベツはこれらの主役たちのあいだをとりもつ脇役としての存在意義をもっています。カツ、ルゥ、そしてライスとともにキャベツをまぜこぜにして食べると、キャベツの作用によってどこか“やわらかみ”が増していきます。

カレーライスよりもよく注文されるカツカレー。値段がカレーライス500円にくらべてカツカレー650円とお得感があることもさりながら、それぞれの具材の“和”を愛でて、ふたたびカツカレーを食べたくなる客も多いのではないでしょうか。

キッチン南海神保町店の食べログ情報はこちらでどうぞ。
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13000612/
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19世紀はじめ、ロンドンでインド人企業家がカレー店を開業――カレーまみれのアネクドート(86)
きのう(2016年)9月21日(水)付のこのブログの記事は「『ヘイスティングズが香辛料と米を持ちかえった』英国では言われず」というものでした。日本でいわれている、インドから英国へのカレー伝来の説には疑問点がいくつかあるといったものです。

S&Bのサイト「カレーの世界史」には、「このカレーと米を組み合わせたライスカレーはイギリス王室で大変な評判となり上流階級の人々へ広まり、次いで産業革命で頭角をあらわしてきた資本家階級など、生活に余裕のある人々へと広がっていきました」とあります。

これについても英国で発信されている情報をたどってみても、カレーと米の組みあわせの料理が王室で評判となったことや、その後、上流階級や資本階級に広がっていったことを示す記述にはなかなか出合えません。

その後、英国の企業クロス・アンド・ブラックウェルが世界で初めてカレー粉を商品化したというのが、日本でいわれている、英国でのカレー産業の歩みです。クロス・アンド・ブラックウェルは、1706年創業のウェスト・アンド・ワイアットを前身とする企業。1830年に従業員だったエドモンド・クロスとトーマス・ブラックウェルが経営権を買いとってクロス・アンド・ブラックウェルの社名にしました。

1950年から2002年まで、クロス・アンド・ブラックウェルを買収して、ブランド化していたネスレのサイトには、「かつて植民地であったインドからインド料理の秘密をカレー粉に凝縮して初めてヨーロッパに広げたのがクロス&ブラックウェル社でした」という記述が残っています。ちなみに、いまクロス・アンド・ブラックウェルは米国企業のJ・M・スマッカー傘下にあります。

しかし、きのうの記事で紹介した、ロンドンで出稿されたとする商用カレー粉の広告は1780年代のものとされています。ですので、「初めてヨーロッパに広げたのがクロス&ブラックウェル社」というのであれば、それはクロス・アンド・ブラックウェルの前身のウェスト・アンド・ワイアット時代でなければなりません。

いっぽう、英国放送協会のニュースサイトでは、ジャーナリストのローレン・ポッツさんが「18世紀後半に英国がベンガルを支配してから初めてインド料理が流行となり、1809年までにロンドン初のカレー屋も開店した」と述べています。

この「ロンドン初のカレー屋」とは、べつの英国放送協会ニュース記事によると、インドからの移民企業家ディーン・マホメッド(1759-1851)が開店したものとされます。英国では、すでにコーヒーハウスでもカレーが出されていました。しかし、マホメッドが出したカレーは、辛さが効いていたようで、1809年の新聞には「これまで英国でつくられてきたカレーとは一線を画す」と宣伝されたそうです。


ディーン・マホメッドの肖像

カレーという料理がどのように英国に入ってきたのかを追ってきました。日本と英国での情報内容のちがいがあり、一筋縄ではありません。

ちなみに、日本の「カレーライス」については、ウィキペディアには「インド料理を元にイギリスで生まれ、日本で発展した料理である」と説明されています。

英国カレー小史の記事は、これでいったん終了です。

参考資料
S&B「カレーの世界史」
http://www.sbcurry.com/dictionary/world/
ネスレプロフェッショナル「Crosse & Blackwell®」
https://www.nestleprofessional.com/japan/jp/BrandsAndProducts/Brands/Crosse_and_Blackwell/Pages/default.aspx
BBC NEWS 2015年1月17日付 “Dripping, apples and milk: Making curry the Victorian way”
http://www.bbc.com/news/uk-england-humber-30718727
BBC NEWS 2009年11月26日付 “How Britain got the hots for curry”
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8370054.stm
ウィキペディア「カレーライス」
https://ja.wikipedia.org/wiki/カレーライス
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「ヘイスティングズが香辛料と米を持ちかえった」英国では言われず――カレーまみれのアネクドート(85)

きのう(2016年)9月20日(火)付のこのブログの記事は「18世紀半ば『インド流』カレーのレシピが英国に」というものでした。

英国のカレー史については、その後、1772年ごろ「ウォーレン・ヘイスティングズが、インドから英国へ、カレーの原料となる香辛料と米を持ちかえった」という説明がよくされています。たとえば、S&Bの「カレーの世界史」や、ハウス食品の「カレーの世界史18世紀」などのサイトでは、そのような記述が見られます。

ウォーレン・ヘースティングズ(1732-1818)は、英国チャーチル出身の英国人です。1773年に英国がインドを植民地化してから初のインド初代総督となりました。総督になるまえは、東インド会社に入社したあとは、ムルシダーバード地区理事官、カルカッタ管区参事会参事、マドラス管区参事会参事、そしてベンガル知事をつとめるなどしてきました。


ウォーレン・ヘイスティングズ

ところが不思議なことに、ヘイスティングズがカレーの原料となる香辛料を1772年に英国に持ちかえったという英語圏での記述は、まったくといってよいほどありません。

インターネットで、["Warren Hastings" "curry"]と検索しても、目ぼしいサイトは、日本のS&Bのサイトの英語版や、日本人向けの英語の学習教材ぐらい。それらには「ヘイスティングズが英国にカレーを持ちかえった」という内容の記述が見られます。しかし、英国発の情報としてヘイスティングズとカレーをめぐる記述は見あたりません。

もうひとつ、ヘイスティングズが香辛料と米を英国に持ちかえったという説で疑問点となるのが、彼の英国への帰国時期です。

英国のカレーの歴史をめぐる日本での俗説では、ヘイスティングズは1772年に香辛料や米を英国に持ちかえったとされています。しかし、この年、ヘイスティングズは英国に帰っているのでしょうか。彼のさまざまな略歴には、1764年に英国からインドへ行き、そして、1786年にインドから英国に戻るという記録はあるものの、その途中の1772年に英国に一時帰国したという記述は見られません。

当時、インドから英国までの船旅はたいそうなものでしたでしょうから、1772年にベンガル知事をつとめたあと一時帰国をせず、そのままインド総督に就くのが、自然な流れではないでしょうか。

英国の料理著述家のローラ・ケリーさんは、彼女のサイトの「カレー粉の原点」(The Origins of Curry Powder)という記事で、1780年代にロンドンで出稿されたとする商用カレー粉の広告を示しています。そして、広告のなかでは、つぎのような記述があります。

「カレー粉とよばれる非常に貴重なこの食材は、かの有名なソランダーによって東インドから持ちこまれたものであり……」

ソランダーとは、スウェーデン出身の植物学者ダニエル・ソランダー(1733-1782)のことと考えられます。彼は1760年から英国に住みはじめ、1768年から1771年にかけて、英国の探検家ジェームズ・クック(1728-1779)率いる太平洋航海に参加するなどしています。

しかし、ソランダーが参加した航海では、船はインドに寄港していないため、広告の「かの有名なソランダーによって東インドから持ちこまれた」という記述には捏造の可能性があります。

どうして、日本では、ヘイスティングズが香辛料と米を英国に持ちかえったという記述がなされるのか。どうして、英国にはそうした記述が見られないのか。英国にカレーの材料を持ちかえったのはだれなのか。

謎は深まるばかりですが、「小史」をさきに進めます。

参考資料
S&B「カレーの世界史」
http://www.sbcurry.com/dictionary/world/
ハウス食品「カレーの歴史18世紀」
https://housefoods.jp/data/curryhouse/know/world/w_history02.html
New World Encyclopedia “Warren Hastings”
http://www.newworldencyclopedia.org/entry/Warren_Hastings#cite_ref-lyall29_4-0
Sir Charles Lawson “The Private Life of WARREN HASTINGS”
https://archive.org/details/privatelifeofwar00laws
The Silk Road Gourmet 2013年9月30日付 “The Origins of Curry Powder”
http://www.silkroadgourmet.com/curry-powder/

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18世紀半ば「インド流」カレーのレシピが英国に――カレーまみれのアネクドート(84)

このブログの連載「カレーまみれのアネクドート」では、おもに日本国内の店などで食べられるカレーの味を伝えています。このたびは趣をかえて、カレーの歴史を見てみます。

日本のカレーが、インドからでなく、インドとの深いかかわりがあった英国から伝わってきたというのはよく知られる話です。日本人とカレーのかかわりからすれば、インドから英国にその料理が伝わったことが大切になるわけです。では、どのように、インドから英国に伝わったのでしょうか。

18世紀、インドはイスラム帝国のムガル帝国の時代にありました。とはいえ、1600年には英国の特権会社だった東インド会社がすでに成立しており、18世紀には東インド会社が、フランスの勢力とも争いつつ、インドの植民地化を進めていました。

そうしたなかで、1747年、英国の料理著述家ハナ・グラッセ(1708-1770)が、『料理法の技術、平易で簡単に』(The Art of Cookery, Made Plain and Easy)という本を出し、そのなかで「インド流、カレーのつくりかた」というレシピを紹介しています。これが、英国で出版された料理書として初めて、インドのカレーが紹介された事例とされています。

1758年版の、カレーのつくりかたがインターネット上にあるので見てみます。


“The Art of Cookery, Made Plain and Easy”1758年版の“To make a Currey the Indian Way.”

「2つの小さな鶏肉を用意し、皮をはぎ、切って、フリカッセのため、きれいに洗い、約1クォート(1.136リットル)の水で、煮ること約5分間。煮汁をこし、鶏肉をきれいな皿に置いておく」

「大たまねぎ3個を切って小さくし、バター2オンス(約57グラム)で炒める。そして、鶏肉とともに茶色くなるまで炒め、ターメリック4分の1オンス(約7グラム)、大さじ1杯のしょうがとつぶしたこしょう、お好みで塩を少々、加える」

「これらすべてを、鶏肉に火を入れつつ煮る。煮汁をかけながら、30分ほど煮込み、クリーム4分の1パイント(約0.14リットル)、そしてレモン2個の絞り汁を加え、加熱する」

「しょうが、こしょう、ターメリックは砕けたものにすべし、とてもよい」

フリカッセとは、鶏肉などを煮込んだフランス料理のことを指します。ここでは「煮込むため」といった意味でしょう。

鶏肉やたまねぎといった食材、それにターメリックやこしょうといった調味料を使い、煮ていくといった調理法は、いまにも通じる一般的なカレーのつくりかたといえそうです。

このようにして「インド流」のカレーが英国で紹介されることになりました。

おなじ18世紀には、その後、香辛料と米がインドから英国へともちこまれ、「カレーライス」がつくられるようになります。つづく。

参考資料
S&Bカレー「カレーの世界史」
http://www.sbcurry.com/dictionary/world/
wikipedia“The Art of Cookery made Plain and Easy”
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Art_of_Cookery_made_Plain_and_Easy
wikipedia“Hannah Glasse”
https://en.wikipedia.org/wiki/Hannah_Glasse

| - | 19:42 | comments(0) | trackbacks(0)
「バンタイ」のゲンキョワンガイ――カレーまみれのアネクドート(83)


タイ料理のカレーというと、ココナッツミルクが多く使われ、甘さと辛さが一体化している印象をもつ人は多いでしょう。そして、汁の色は青唐辛子による緑色。

東京・歌舞伎町にあるタイ料理店「バンタイ」で出される鶏肉入りグリーンカレーも、まさにそうしたタイカレーの印象カレーを地で行くようなカレーといえます。

店は歌舞伎町一番街の入口から入ってすぐの建てものの3階にあります。昼時は、店の評判を「食べログ」などで聞きつけてか、女性客が多め。一人客もかなりいます。店の名前「バンタイ」は「タイの家」という意味です。

接客する店員はタイ人たち。タイ語も飛びかいます。床は木目調で、いすや食卓も木製で彫りをあしらった本格的なもの。創業は1985年といいます。

緑色のカレーの名前は「ゲンキョワンガイ」。「ゲン」は汁気のあるカレーのことで、「キョ」は「緑」の意味。また「ワン」は「甘い」を意味します。さらに「ガイ」は「鶏」。合わせて「鶏の甘い緑の汁カレー」となります。

ランチでは、これにライス、サラダ、香草が入ったスープ、ココナッツミルクに入ったタピオカがついてきます。

汁は、スプーンですくって食べるごとに、はじめはココナッツミルクの甘さが、そしてその後、唐辛子などの香辛料の辛さが波状にやってきます。しかし、サラダやスープなどを食べると口のなかの辛さは一旦、取りのぞかれ、ふたたび「甘い」「辛い」を味わうことに。

当然ながらタイでのカレー「ゲーン」の味は、タイでの主食である米との関係性のなかでできあがっていったのでしょう。この店でも、料金を追加すればライスにタイ米を選ぶことができます。汁や鶏肉のうまみと、タイ米の香ばしさがよく合っています。

カレーの具は、ほかになす、パプリカ、ピーマンなど。どの具も一口では食べられないくらいの大きさです。

日本におけるタイ料理の王道を行くような、緑色のカレーといえましょう。タイ国料理バンタイのホームページはこちらです。
http://ban-thai.jp
| - | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0)
「くら寿司」のシャリカレーうどん――カレーまみれのアネクドート(82)


回転寿司屋はもはや寿司だけを食べるところではありません。もちろん、回転寿司屋から寿司をとってしまえば、「言っていることとやっていることがちがう事態」に陥りますから、回転寿司屋の献立に寿司は必要です。

しかし、寿司はひとつずつが小皿の上に乗せられてくるので、“小粒”。すると、商品としての強い印象をあたえやすいのはどちらかというと寿司以外の副菜のほうということになります。回転寿司屋に寿司は欠かせないものの、むしろ副菜のほうが回転寿司屋の名物になっていく現象が起きうるわけです。

「くら寿司」の「シャリカレー」と名のつく副菜の類はその典型例でしょう。2015年7月に、酢のきいたご飯であるシャリにカレーをかけた「シャリカレー」を発表しました。

これがよく売れたのでしょう。くら寿司の副菜の献立には、「シャリカレー」の応用版ともいえる商品がつぎつぎとあらわれています。

「シャリカレーうどん」はそのひとつ。うどんに「シャリカレー」のルゥがかけられ、さらにちくわ天、たまご天、ねぎ、そしてシャリを揚げた「揚げシャリ」が乗せられています。

くら寿司は、前々から寿司以外の副菜としてうどんを提供していました。そして副菜の顔ぶれに「シャリカレー」のカレーが加われば、当然「うどんとシャリカレーのルゥの組みあわせ」があらたな副菜として考えられます。

くら寿司は、おそらくうどんもシャリカレーのルゥも手を抜いていないでしょうから、うどんとカレールゥだけの組みあわせでも商品として客からある程度の評価を得たことでしょう。

しかし、そこに「ちく天」と「たまご天」、さらには「揚げシャリ」を加えました。「ちく天」は前々からの副菜のひとつ。「たまご天」はおそらくこの商品で初登場した具材です。

「揚げシャリ」については、この商品のなかにふくませていないと、「『シャリカレーうどん』なのに『シャリ』がどこにもないじゃないか」と客からいわれかねないという心配もあったのでしょうか。

うどんや具材の量からすると、ルゥはたっぷりかかっています。うどんや具材にルゥをからめてたべるにも、からめられるルゥの量には限界があります。

そこで、ルゥだけが残された皿に、「特製茶碗蒸しなど」を食べるためにも使う小さな鉄さじを入れて、ルゥをすくって食べて、「シャリカレーうどん」を食べおえることになります。

最後にルゥだけが残されることにも、くら寿司の“企て”があるのかもしれません。「26種類のスパイス」と「13種類以上の野菜と果物」を使い、「100種類以上の試作により完成した」カレーといいます。その自信作であるルゥを最後に単独でも食べてもらい、客に印象をあたえたいというねらいがあるのではないでしょうか。たんなる推測ですが。

くら寿司の「しゃりカレーうどん」の紹介はこちらです。
http://www.kura-corpo.co.jp/fair/2016_curry_udon.html
| - | 18:45 | comments(0) | trackbacks(0)
「コーヒーハウス蘭」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(81)


ターミナル駅の周辺にはスターバックスやドトールコーヒーなどのカフェがあります。いっぽう、乗降客がそれなりにいる地方都市の駅前には個人経営の喫茶店があります。

店を開いてから長いこと経っている個人経営の喫茶店には、長くつづくそれなりの理由があるのでしょう。

兵庫県高砂市の山陽電鉄荒井駅の駅前にあるのは「コーヒーハウス蘭」。駅を出ると、中華料理屋、居酒屋、居酒屋、カラオケハウスが道沿いにあります。カラオケハウスのとなりに「コーヒーハウス蘭」はあります。

店の入口の看板には「SINCE1972」の文字が。じつに44年も店がつづいていることになります。

平日昼間の店のなかは、午後の仕事に向けて準備をしていると思わしき人の姿が見られます。荒井駅の近くにあるのは三菱重工業の高砂工場。商用などで工場を訪れる人のなかには「まだ約束の時間までちょっとある」といってこの喫茶店に入る人も多いことでしょう。中華料理屋や居酒屋では長居はなかなかできません。

定番のメニューがあることも、こうした喫茶店が長くつづく理由なのでしょう。奇をてらわず、あって当然のメニューが店の前の看板に掲げられている。これが初訪客に「ここでいいか」と思わせ、再訪客に「またここにするか」と思わせる、いわば安心感をあたえるのかもしれません。

喫茶店の定番メニューといえばカレーライスは欠かせません。他聞にもれず「コーヒーハウス蘭」にもカレーのメニューがあります。ランチのメニューで鶏唐揚げ定食や焼きそばなどとともに掲げられているのはカツカレーです。

カツは薄めながらからっと揚げてあり、6等分に切られています。肉は固くなく、スプーンで切ることもできるくらい。カレールゥは甘すぎずも辛すぎずもありません。福神漬も添えられています。

ひとことで言うと、特徴的なカツカレーではまったくありません。

どこにでもあるような駅前の、どこにでもあるような喫茶店の、どこにでもあるようなカツカレーを「コーヒーハウス蘭」では食べることができます。

おそらくこの店の歴史のなかで、カツカレーが評判になり客足が増えるといったことはなかったことでしょう。それでも、メニューのなかにカレーがあたりまえのようにある。このことは、44年間も店がつづいていることに寄与していることにちがいなさそうです。
| - | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0)
「トレド」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(80)


東京・神楽坂はかつての花街の面影を残します。けれども、学生街でもあります。坂とお堀のあいだに屹立するように、東京理科大学神楽坂キャンパスの建てものがいくつもあり、学生たちも坂や横丁を歩いています。

そんな東京理科大生が昔から使いつづけてきた定食屋のひとつが、トレド。1972年から神楽坂でカレーなどの料理を出しつづけてきました。

店が謳うのは、「継ぎ足しカレー」。ルゥを創業以来ずっと継ぎたしてきたといいます。しかしながら、2009年に東京理科大学の周囲の再開発があり、いったん店は閉店。ルゥの継ぎたしもそのときに途だえたということです。

しかし、2011年、東京理科大学が神楽坂に面した地に「PORTA神楽坂」という施設を建てたのを機に、その1階に「トレド」は復活しました。そして、新たな店でも「継ぎ足しカレー」が復活しました。

カレーの献立のひとつが「カツカレー」。さくさくのカツがライスのうえに乗せられて出されます。そして、やはり洋食屋、継ぎたしのルゥはグレービーボートに入れられて出されます。

ライスの量やカツの厚さはあまりありませんが、継ぎたしのルゥをかけると、ライスにもカツにもほどよくなじみ、これで三位一体の成立となります。ルゥの味はさほど辛くはありません。

店では話好きなマスターが、家で飼っている犬の話を、カウンターの店員としています。そして店の外の坂を、せわしなく学生や背広姿の会社員たちが歩いていきます。

「トレド」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13127692/dtlrvwlst/
| - | 23:34 | comments(0) | trackbacks(0)
「松屋」のごろごろチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(79)


たとえカレー専門チェーン店でなくても、飲食チェーン店には「カレー」が料理のひとつになっているものです。そして、これはそのチェーン店の情熱の傾け具合によりけりですが、非カレー専門チェーン店であっても、ぬかりない味や具で客に勝負をしているカレーはあるものです。

たとえば、国内におよそ1000店舗ある「松屋」。従来からの料理としては「オリジナルカレー」や「オリジナルカレギュウ」などを供しています。

これらに加えて松屋は(2016年)4月12日(火)、「ごろごろチキンカレー」を発売しました。松屋からの発表にはありませんが、これまでの松屋の事例からすると、おそらく期間限定での発売と考えられます。

名が体を表すカレーです。底まで深い皿のなかに、一口で食べるのはすこしたいへんな大きさの鶏肉が10個ほど転がっています。また、ルゥに溶けこんでいるのとはべつに、切った玉ねぎも具材として見られます。

おそらく、ルゥそのものは「オリジナルカレー」のと変わらないものでしょう。しかし、やはり鶏肉の量が半端でないため、「ごろごろチキンカレー」の印象は大きくちがってきます。それは、ご飯との組みあわせでもいえること。

従来の「オリジナルカレー」では、一皿に盛られたご飯とルゥを合わせて、「ご飯をルゥで食べる」という感覚でした。いっぽう「ごろごろチキンカレー」のほうは「ご飯をルゥにまみれた鶏肉で食べる」という感覚がもっぱらとなります。このちがいが「ごろごろチキンカレーを食べている感」を高めます。

もちろん、カレー専門店とちがって、鶏肉にルゥの風味が染みきるまで煮こんでいるわけではありますまい。それでも、もともと「オリジナル」で使われていたルゥと新たに加わった鶏肉の組みあわせは相性よしです。

えてして、巷での期間限定の料理は、特徴になるはずの具材をメニューの名につけておきながら、お飾りくらいしか盛られていないということはあるもの。いっぽう、「ごろごろチキンカレー」は、その名にふさわしいカレーとなっています。「どのくらいチキンをごろごろさせれば客が満足するか」といった検討を、開発段階で重ねたのでしょう。

松屋のカレーのメニュー一覧はこちらです。
http://www.matsuyafoods.co.jp/menu/curry/index.html

参考資料
松屋フーズ2016年4月6日「『ごろごろチキンカレー』新発売のお知らせ!」
http://www.matsuyafoods.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/04/160406_gorogoro.pdf
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「ジャポネ」のポークカレー――カレーまみれのアネクドート(78)


東京・有楽町駅のまわりには、昔ながらの飲食店が多くあります。このブログでは前に、駅の西側の有楽町ビル地下にある「マーブル」の「インドカレー」を紹介しました。

駅の東側には、東京高速道路という有料道路の下に「銀座インズ」という商店街があります。その一角にあるのが「ジャポネ」。創業1965(昭和30年)という老舗の飲食店です。

ジャポネは、スパゲティ屋として知られています。店名とおなじ名のスパゲティ「ジャポネ」や、トマトやエビも入った「ジャリコ」といった、独特のしょうゆ味のスパゲティなどがあります。横並びの長いカウンター席があり、順番待ちをする背広姿の人などが多く並んでいます。カウンター席の向こうの厨房では店員がいそいそとフライパンでスパゲティと具をからめています。

スパゲティ屋ではありますが、脇を固めるかのように「カレーライス」の献立もあります。といっても、種類は「ポークカレー」のみ。ただし、スパゲティとおなじく、「レギュラー(並)」「ジャンボ(大盛)」「横綱」といった量を選ぶことができます。

スパゲティが小判型の皿に盛られるのとちがって「ポークカレー」は丸型の皿に盛られてきます。ルゥのなかに見られる具は豚肉のみ。しかし、ルゥに玉ねぎなどの野菜が溶けこんでいそうです。ルゥは水気があまりない、ぽとぽととしたもの。辛さは、さほどありません。昔ながらの欧風カレーです。

10人の客のうち、おそらく9人くらいはスパゲティを注文することでしょう。しかし、ごく少数派の注文するカレーライスも手抜かりがありません。

ジャポネの食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002503/
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「うどん錦」のカレーうどん――カレーまみれのアネクドート(77)


名古屋には「なごやめし」があります。名古屋の独創的な食文化がもたらした数々の料理が、なごやめし。味噌かつ、手羽先、天むす、ひつまぶし、きしめん、あんかけスパゲティ、喫茶店のモーニングサービスと、あげれば切りがありません。

そんななごやめしのひとつと考えられている料理に、カレーうどんがあります。

カレーうどんの発祥地といえば東京とされます。その歴史が語られるとき、早稲田の三朝庵や、目黒の朝松庵などの店の名はよく出てくるもの。

そんな東京を差しおいて、カレーうどんがなごやめしのひとつとされるのには、やはり理由があるようです。

名古屋のカレーうどんがなごやめしのひとつである理由を教えてくれる店のひとつが、中区錦の繁華街にある「うどん錦」です。

店に入るとすぐ、店員から「カレーうどんですか」と聞かれます。壁の品書きには、「うどん」「月見うどん」「きつねうどん」「肉うどん」などの献立も書いてあるにもかかわらず。この店では、カレーうどんを食べるのが標準で、そのほかのうどんを食べるのは例外的であることが「カレーうどんですか」からうかがえます。

L字の木製のカウンターに置かれたのは、カレーうどん。東京などほかの地域でのカレーうどんの支配色は褐色ですが、この店のは色としてはより薄らいだ鬱金色をしています。しかし、カレー汁の表面が液体のはずなのに凹凸がかっている点や、顔を出した揚げの下半分がまるで見えないことなどから、カレー汁の濃厚さがうかがえます。

カレー汁にほぼ隠れている麺を箸ですくいだすと、麺の表面がカレー汁に覆われています。それをそのまま口に入れると、麺のこしとカレー汁のぽたぽた感とが同時に口のなかに広がっていきます。麺とカレーが絡まったまま分かれないことが、この店のカレーうどんの肝なのではないでしょうか。

各種情報によると、カレー汁は、むろあじからとった出汁に野菜を入れて濾したものを基本としているのではないかとのこと。鬱金色をしているからには、カレー粉には鬱金をふんだんに使っているのでしょう。また、濃厚にするために小麦粉も使われているようです。

量が決して多くありません。具も揚げとねぎぐらいで簡素です。しかし、1杯のうどんとして完成されています。

東京のカレーうどんに慣れしたしんできた人にとって、やはり明らかに「うどん錦」のカレーうどんは異なるもの。なごやめしのひとつにカレーうどんが入っている理由を、見て食べて理解することができます。

うどん錦の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/aichi/A2301/A230103/23000374/
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「ルノアール新小岩店」の鶏唐揚げカレーセット――カレーまみれのアネクドート(76)


東京やその周辺で暮らす人にとっての「喫茶室」といえば「喫茶室ルノアール」。喫茶店なのでもちろんコーヒーもありますが、昆布茶や黒蜜宇治抹茶ミルクといった和風の飲みものもあります。

外まわりの会社員がたばこを吸って休憩していたり、コンサート帰りの主婦たちがよかったわねと振りかっていたり、もの書きと編集者がゆるく打ちあわせをしていたりと、「喫茶室」特有の雰囲気が漂います。

そんな銀座ルノアールのなかでも、異彩を放つのが新小岩駅北口にある、「ルノアール新小岩店」。

雑居ビルを2階までのぼるとガラスばりの扉の向こうに昭和時代を彷彿とさせる椅子と小さな机が。座席では客が新聞を広げたり、イヤホンでラジオを聞いたりと、思い思いにくつろいでいます。

そんなルノアール新小岩店にあるのが「ライスセット」。ご飯とおかずと飲みものが組みになった献立です。ほかのルノアールでの食べものといえば、トーストやサンドイッチやケーキなどの軽食が主。そんななかでライスセットはやはり異彩を放っています。

ライスセットの献立のひとつが「鶏唐揚げカレーセット」。鶏唐揚げだけが具になったカレーライス、それに野菜と飲みものがつきます。

ライスセットにはほかに「カレーセット」や「鳥唐揚げセット」があり、これらは920円。いっぽう、カレーセットと鳥唐揚げセットを合わせた鶏唐揚げカレーセットは970円。わずか50円の増額で両方を味わえるという、なんともいえぬ料金設定です。

味のほうはといえば、ルゥはおそらくレトルト。具のほうは鶏唐揚げが7個と半分に割ったゆで卵で、満腹感をねらっています。「喫茶室」のライスセットとして、カレーの献立がないとならない。そんな使命感さえ覚えさせます。

都内のルノアールではコーヒー1杯600円ほど。いっぽう「ライスセット」は、飲みものもついて満腹になる食べものも合わせて970円。さらにコーヒーの追加は100円。数あるルノアールのなかでも希少価値ありの店です。

ルノアール新小岩店の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131204/13087019/
| - | 23:56 | comments(0) | trackbacks(0)
「ティーヌン飯田橋ラムラ店」の鶏肉と茄子のグリーンカレー――カレーまみれのアネクドート(75)

東京近辺でタイ料理を気軽に食べようとするとき、「ティーヌン」があります。店は「タイ人シェフが腕を振るう本格的タイ料理専門店」と自己紹介していますが、「本格的」というよりは「お気軽」といった雰囲気があります。

トムヤムラーメンや焼きビーフンなどの麺類などのメニューが代表的ですが、もちろんタイカレーもあります。

昼の献立にある「鶏肉と茄子のグリーンカレー」もそのひとつ。タイ語では「ゲーン・キョウ・ワーン・ガイ」であると献立表に書かれてあります。

それほど辛くはないスープが出されてから、グリーンカレーと、おわん型に盛られたごはんが出されます。ごはんは、日本での店だからでしょう、タイ米でなく日本米です。

グリーンカレーのなかには、鶏肉、茄子、筍、ピーマン、パプリカなどの具材が入っています。ルゥには、ココナッツミルクたっぷり。透明な油分と緑色のルゥが混ざりあっています。

食べかたは人それぞれ。スプーンでルゥや具材をよそってごはんにかけて混ぜて食べる人もいれば、ルゥや具材を口に入れたあとごはんを口に入れる人もいます。

食卓も椅子もタイの屋台をイメージして簡易。平日の昼どきは、カレーなどの昼食をかっこんだ客がささっと食べて、仕事へと戻っていきます。

「ティーヌン飯田橋ラムラ店」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13019074/
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2016年、「立体視」の連載を開始予定


このブログの名前の一部となっている「アネクドート」とは、ロシア語の「小話」のことです。「科学技術のアネクドート」では、2016年も日々、科学技術を中心にさまざまな分野の「小話」を伝えていきます。

大量の情報が世に氾濫する時代です。大手の報道機関による記事や、インターネット掲示板などで書かれているさまざまな話題をかいくぐるような、独自の話題あるいは視点での記事を「科学技術のアネクドート」で伝えていくことを目指します。

単発の記事のほか、頻度はまちまちですが連載もつづきます。

「カレーまみれのアネクドート」。科学技術の枠組みを超えて、というよりもほぼ無視して、全国各地のカレーを求めてその味を伝えていきます。2015年は15回も更新して、74回までになりました。1か月に2回ほどの頻度で「カレーまみれ」を重ねれば2016年内の「100回達成」も不可能ではありません。が、回数よりも、各店の“一皿入魂”を受けとめる心こそが大切です。

「法則古今東西」。自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。2015年はわずか1回の更新に終わってしまいました。

「sci-tech世界地図」。世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。こちらも2015年はわずか1回の更新でした。orz。

「書評」。これはそのままです。科学技術にかかわる分野は広いため本も多岐にわたります。2015年の更新は4回でした。

これらの連載に加えて、2016年には新たな連載をはじめます。新連載の主題は「立体視」。人間は、二次元の平面の世界のなかで、表現手法や技術を駆使して、あたかも三次元の立体を見せるような営みを古来してきました。そうした「立体視」の技術を、関連本、技術的情報、催しもの、そして史実などから伝えていく予定です。

2016年もよろしくお願いします。
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「マーブル」のインドカレー――カレーまみれのアネクドート(74)


日本の飲食店で供されるカレーライスには、インドカレー、欧風カレー、蕎麦屋のライスカレーなど、さまざまな形態があります。これらのカレーと同列に並べてよいかどうかは議論はあるかもしれませんが、昼休みの短い会社員にとって便利なのは「スタンド・カレー」でしょう。

スタンド・カレー。より正式めいたよびかたは「スタンド・スツール・カレー」(Stand Stool Curry)となります。「スツール」とは、背もたれのない腰かけのこと。きちんとした定義はありませんが、立っているぐらいの姿勢で腰をひょいとかけて座るような店で供されるカレーを概して「スタンド・カレー」とよぶようです。

スタンド・カレーの店といえば、客の回転が早く、値段の割には量も多いといったことが要。東京・有楽町の有楽町ビル地下1階には、まさに典型的なスタンド・カレーの店「マーブル」があります。

昼どきには、あたりの会社につとめているであろう手ぶらの会社員が並びます。店に入ると、古風な褐色のカウンター席。机と厨房を隔てる壁に献立表が貼られてあり、「インドカレー」「ラムカレー」「ビーフカレー」「チキンカレー」「ハヤシライス」などとあります。店員がてきぱきと客から注文をとっていきます。

「インドカレー」は、丸い皿にライスがよそわれ、その上にせんキャベツとルゥが盛られています。ルゥは、かなりとろとろで中くらいの大きさの豚肉のかけらが散見されます。

「インドカレー」というと、さらさらとしたルゥが銀色の小皿に入って、ナンやバスマティ米などとともに食べるものという印象をもつ人は多いでしょうが。しかしながら、マーブルの「インドカレー」は、見事なまでにそうしたインドカレーのイデアとは相通じません。

店の創業は1966(昭和41)年といいます。有楽町ビルが竣工した当初から店はあったといいます。ひょっとすると、当時はまだ日本人にインドカレーのイデアのようなものができあがっていなかったのかもしれません。そうした時代においては「これがインドカレー」と名のれば、それが通りやすいもの。

しかし、マーブルの「インドカレー」について「インドカレーっぽくないなぁ」などとやいのやいの言う客はおそらくはいないでしょう。多くの客にとって、スタンド・カレーとは、味よし、量よしのカレーをさっと早く食べられれば、それで満足できるものだからです。

来年2016年で50周年。「マーブル」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13038090/

参考資料
サンゼロミニッツ「日比谷 カレーの店 マーブル@有楽町ビル」
http://30min.jp/item/14141140
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「ディラン」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(73)


東京の中心部、神田駿河台から神田神保町にかけてはカレー店の集中する“日本のカレーのメッカ”といえる地です。ボンディ、エチオピア、共栄堂などのむかしからの名店が日々、人びとにカレーを供しています。

いっぽうで、新しい店のなかにも、評判になるカレーを供するところがあります。

本郷通りと明大通りのあいだ、ゆるやかな坂の途中の通りぞい、大学や公共施設が立ちならぶ街の一角には、2003年に創業したカレー店「ディラン」があります。

店は雑居ビルの急な階段の2階。建物を見あげると、カレーという食べものの強烈さとは逆行するように、細い字で「ディラン」と記された看板があります。2階への階段は急で、昼どきともなると手すりにつかまりながら座るばんを待っている客が客が行列をつくります。

店内は、奥の一角にテーブル席があるほかは、すべてカウンター席。カウンターに接するように厨房があります。店主はカレー料理の好きそうな背の高い男性。真剣にカレーをつくっています。

「本日のランチ」と書かれたカレーの献立表には、「チキンカレー」と、その日に用意したカレー2種。「ハーフ&ハーフ」もあります。

いちばん上に書かれてあるのは「チキンカレー」。客が頼むと、店主は大鍋に煮こまれているチキンカレーを、さらに小鍋に移して、火をかけて温め、ライスによそいます。

ルゥはあっさりめ。しかし、多様なスパイスがルゥのなかに入っていることが舌をつうじてわかります。具のほうは、ごろごろとした鶏肉。なかには骨つきのものもあります。そして、半分溶けかかった玉ねぎも見られます。アクセントはパクチー。独特な風味で、好き嫌い分かれるところですが、カレーの風味に似あった味になっています。

メーカーやチェーン店が供するカレーは、とろみがあって、どこか“できあがった”感があります。いっぽう、ディランのカレーは手づくり感があり、それとともによく考えられていることを感じさせます。

どこのカレー店にもないようカレーの味が追いもとめられています。その風味が再訪客や口コミによる評判をよんでいるのでしょう。

ディランの食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13158580
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「川島酒造」の酒蔵秘伝大吟醸酒粕カレー――カレーまみれのアネクドート(72)


レトルトカレーは、お土産品としてとても“有能”な商品といえます。カレーそのものが万人の好きな食べものであるほか、レトルト食品であるため保存がきき、また費用もさほど高くつかないといった利点があります。そのため、いまや47都道府県で「ご当地レトルトカレー」の見られないところはありません。

滋賀県の琵琶湖の西岸に位置する高島市には、「酒蔵秘伝大吟醸酒粕カレー」というご当地レトルトカレーがあります。高島市新旭町旭にある川島酒造という酒蔵が売っているレトルトカレーです。

レトルトカレーの箱の裏側には、つぎのような説明が書かれています。

「近江の湖西路は、比良連峰を遥かにのぞむ風光明媚な土地柄。清酒松の花はこの恵まれた自然の中で創業以来150年余りたえず飲む人の健康を考え、本物の味を求めて酒造り一筋に歩んでいる蔵元です。又地域文化の守り手でありたいと願っております。そのような蔵元が丹精込めて作った『酒造秘伝 大吟醸 酒粕カレー』をぜひご賞味ください」

ほとんどが、酒粕カレーの説明でなく、この酒蔵についての自己紹介になっていますが……。orz。

川島酒造の創業は1865(慶応元)年。白米を50%以下まで精米してつくる大吟醸「松の花」を売りにしています。琵琶湖に注ぎこむ清らかな水と、地元の「山田錦」や「玉栄」などの米でつくります。

酒粕は、酒の製造工程のなかで、発酵後のもろみを漉して絞りとった残りかすのこと。この酒粕を大胆にもカレールゥのなかに混ぜこんだのが、「酒粕カレー」です。

「酒粕カレー」の実際の風味はどうでしょう。まず、スプーンでカレーを口に入れるよりすぐ前の段階で、酒粕の香りが鼻へと届きます。そして、口の中にカレーを入れても若干の酒粕の味を感じられます。

しかし、基本はカレーですので、その後は、玉ねぎやチキンエキス、ビーフエキスなどの入った通常のカレールゥの風味が届いてきます。さながら酒粕の風味は、”隠れているかいないかというくらいの隠し味”といったところ。

酒粕を入れることが、カレーの味の質を高めることにつながるかどうかは議論の分かれるところかもしれません。たとえば、いつも食べるすべてのカレーを酒粕入りにしたら、人はカレーをもっと食べるようになるか、食べなくなるか。後者かもしれません。

しかし、そのことと、ご当地カレーとして特徴があることとはべつの話です。おみやげとして、買った人が人に渡して「酒粕が入っているんだ」と話題になり、もらった人がつくって「酒粕が入っているな」と感じることができれば、ご当地カレーとしての存在感は十分にあるものといえましょう。

「酒蔵秘伝大吟醸酒粕カレー」は、川島酒造店頭のほか、ぐるなび食市場などで買うことができます。ぐるなび食市場のページはこちらです。
http://shop.gnavi.co.jp/matsu87/f-001/
川島酒造のホームページはこちらです(「酒粕カレー」の話は見当たりませんが)。
http://www.matsu87.jp
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「カフェ アリエッティ」の彩り野菜とチキンカツのグリーンカレー――カレーまみれのアネクドート(71)


京都・茶屋町の国立博物館から東へ緩やかに登る七条通を進んでいくと、東山七条にたどりつきます。京都駅からのバスは、ここで折れて東大路へ。左へ折れると祇園方面へ、右へ折れると東福寺方面へ向かいます。

東大路は京都の東端の道路と思われがち。でも、さらにこの東山七条から東へと進んでいく坂道があります。京都女子大学、さらには豊臣秀吉の墓である豊国廟へと向かう道です。

この坂道の途中には、通学路だからでしょうか、街のはずれにしてはいくつもの飲食店が並んでいます。その並びに構えているひとつの店が「カフェ  アリエッティ」。若い夫婦できりもりしている地元のカフェです。

「カフェ アリエッティ」にはふわふわのパンケーキなどのスイーツを目当てに来る客が多いようです。しかし、ここで出されるカレーにやみつきになる一部の人もいるといいます。

献立表にあるカレーは、ランチメニューの「彩り野菜とチキンカツのグリーンカレー」と「ドライカレーと野菜のワンプレートランチ」。どちらも毎日12食限定。

一般的に、スイーツの品揃えが多いカフェでのカレーの位置づけとは通常「いちおうありますよ」程度のもの。しかし、この店では、店の献立としては脇役であってよいはずのカレーにも手抜かりがありません。

「彩り野菜とチキンカツのグリーンカレー」は、ルゥの緑色とも白ともいえるような色からすると、見た目はまったく辛さを想像させません。

しかし、その実はというと「この色のルゥで、これほどの辛さが出せるのか」と膝をたたくほどの辛さがあります。ココナッツミルクの甘さから入りつつ、すぐに旨みの多い辛さがやってきます。

献立表にも「辛いです! でもおいしいよ」と手書きで加えられた一言が。その一言を書いたと思われる若い女将さんに聞くと、「これでも、すこしマイルドにしたんですよ!」とのこと。

カレーの名にある「彩り」を加えているのが具の数々。揚げものとして、チキンカツ、れんこん、なすがあります。さらにパプリカとブロッコリーも添えられて、これらがライスやルゥの色と対照的です。

パンケーキ、フレンチトースト、スコーン、サンドイッチと、出す食べものに妥協を許さない店。カレーもその例外ではありません。

「カフェ アリエッティ」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260304/26023351/dtlmenu/photo/
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「エリックサウス」のランチミールス――カレーまみれのアネクドート(70)


あらためて。国語辞典で「カレー」と引くと、こんなふうに記されています。

「淡黄色粉末の、非常に辛みのある香辛料。クミンカルダモンシナモン生姜(しようが)コエンドロ黒胡椒唐辛子フェヌグリークターメリックなど30〜40種の香辛料を配合して作る。インドが主産地で、熱帯諸国で盛んに用いる。カレー粉」(スーパー大辞林)

厳密には、インドには「カレー」とよばれる料理はありませんが、カレーという料理をかしこまって説明するとこうなるわけですね。

国語辞典には「インドが主産地」と、さらっと記されています。しかし、インドという国は広大です。地域によって、カレーの特徴もちがいます。

チェンナイ(マドラス)やバンガロールなどの都市をふくむ南インドでは、「ミールス」とよばれる料理が食べられています。ミールスは、「一日のうちの主となる食事」のような意味のことばで、日本ではざっくり「カレー定食」のようにいわれています。英語で「食事」を意味する“meal”の複数形が語源という説もありますが、発音は「ミールス」。通常の英語の文法では「ズ」とにごるところ、にごりません。

ミールスを食べられる東京の店としてよく知られているのが、八重洲地下街に構える「エリックサウス」です。カウンター席ばかりですが、出てくる料理はさすがミールス。本格的です。

昼どきのミールスの料理としてもっとも基本的なものが「ランチミールス」。豆のひきわりと野菜にサンバルマサラという香辛料を加えて煮こんだ「サンバル」とよばれる煮汁、トマトやタマリンドなどを黒胡椒やニンニクで味付けして煮こんだ「ラッサム」とよばれる煮汁、そして「本日の菜食カレー」と、お好みのカレー1種が「ターリー」という金属の小皿に入れられます。

写真の左奥の白い煮汁は、この日の「本日の菜食カレー」。茹でてすりつぶしたにんじんをヨーグルトで和えた「キャロットモール」とよばれる風変わりなカレーです。

ターリーを載せた大きな金属丸皿には、ほかにサラダまたはヨーグルトが入ったターリー、それに黄色いターメリックライスと白くて粒が細長いバスマティライスが盛られ、その上に煎餅状のババドが乗せられます。

日本でよく見られるインドカレー店で出される料理とは一線を画します。そのおもなちがいは、ナンがないことと、煮汁が濃厚なルゥでなく、さらさらしたスープであること。そもそも、4皿のターリーに入った汁物のうち、「カレー」といえるのは2皿のみです。

それぞれの煮汁を、ターメリックライスやバスマティライスにかけます。すると、すっと煮汁がライスの奥へと染みこんでいくので、これをかきまぜて食べます。バスマティライスには、もともと香ばしさがあって、これに煮汁の辛さが加わって独特の味に。

カレー食がこれだけ日本で普及しているなかで、「ミールス」という料理やことばは、それほど知られていません。そこには、これを「カレー」とよんでよいのかという人びとのためらいもあるのでしょうか。「カレーを一部ふくむ南インドの定食」というほうが適切なのかもしれません。

エリックサウスのホームページはこちらです。
http://www.erickcurry.jp
食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13130363/
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「マンドルーラ」のプリンスカレー――カレーまみれのアネクドート(69)


津市は三重県の県庁所在地。県庁は津駅から徒歩10分ほどの広明町にあります。県庁のとなりには、県庁所在地なので三重県議会議事堂があります。議事堂らしく、全体的に立方体のかたちをした厳格な建てものです。

その県議会議事堂を正面から入った左奥にひっそりあるのが、議事堂喫茶室の「マンドルーラ」という店。マンドルーラ(mandorla)はイタリア語で、「最後の審判」のときイェス・キリストの体のまわりをとり巻いたアーモンド形の大きな後輪のこと、とのこと。絵画などの肖像の背後に、聖なるものの象徴として描かれます。

なぜ、この喫茶室の名が「マンドルーラ」なのかは謎の残るところですが、この喫茶室が「プリンスカレー」という名物的カレーが出されているのは明らかな事実です。

店前の看板や、店内の壁には「プリンスカレー」の説明が。

「昭和59年、ときの皇太子殿下(現天皇皇后両陛下)ご来県の御時。一年間の試行錯誤の後に完成した、特製カレーライスを献上しました。妃殿下からお褒めの言葉をいただいたそのカレーが、20数年の時を経てマンドルーラで復活いたしました」

宮内庁の情報によると、1984年10月3日から8日にかけて、当時の皇太子と美智子さまは三重県と京都府を訪問しています。

京都を巡ったあと、三重県では神宮(伊勢神宮)にご参拝されました。その折に、県内浜島町で開かれた「第4回全国豊かな海づくり大会」にも出席されています。その大会で皇太子と美智子さまにカレーが出されたのです。

このカレーをつくるのに携わっていたのが「ふじや本店」社長の柳川昌彌さん。「ふじや本店」は四日市市の葬儀会社ですが、「マンドルーラ」の運営もしています。柳川さんは、『女性自身』の記事で「お見送りした際、美智子さまから『おいしかったですよ』とのお言葉をいただいたことは、一生の思い出になっています」とのコメントを書かれています。

美智子さまから「おいしかったですよ」とお褒めのことばがあったことは、よほど思い出深かったのでしょう。「マンドルーラ」で復活したわけです。

カレーは上品な、白い陶製のカレーポットに出されます。いわゆる欧風カレーですが、「マンドルーラ」によると、肉、野菜、ライスとともに県産の素材が使われています。肉は松坂肉や地鶏、米はコシヒカリ、野菜も地元産。

ルゥのなかの具はほぼ肉のかけらだけですが、野菜が溶けこんでいてルゥは濃厚です。

味はというと、多くの人はひとくち食べて「甘いカレー」を想像するのではないでしょうか。「皇太子と美智子さまがお召しあがりになるカレーだから、辛すぎてお気に召されないのも問題だから、甘めの味にしたのだろう」となどと勝手に想像する人もいるかもしれません。

しかし、わりと量のあるカレーを食べ進めていくと、いつのまに「けっこうしっかりした辛さ」を覚えることに。食べるごとに、すこしずつの辛さが積みかさなっていき、しっかりした辛さになるのでしょう。「一年間の試行錯誤」というのも納得できる味です。

なお、美智子さまから「おいしかったですよ」と言われたカレーを再現したこのカレーの名は、「プリンスカレー」。「プリンセスカレー」ではありません。このあたりの名づけにも、おそらくは試行錯誤があっての結果なのでしょう。

津駅からはすこし歩きますが、県議会にほかの用はなくても、食べる価値ありのカレーです。
「マンドルーラ」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/mie/A2401/A240101/24009298/

参考資料
マンドルーラ
http://www.efujiya.co.jp/company/kissa.html
宮内庁「京都府ご訪問時のお泊まり所について(皇太子同妃両殿下時代)」
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/taio/pdf/kyoto-otomarijo.pdf
『女性自身』2015年8月31日付「欧風からタイカレーまで…天皇ご一家御用達カレー10」
http://jisin.jp/serial/社会スポーツ/imperial/12807
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「ゆうばーる」の無添加豚150カレー――カレーまみれのアネクドート(68)

写真は大盛り

カレーというものは、ルゥ、具材、ライスの三つの要素の均衡がとれて、ひとつの「カレー」になるもの。ライスの量は店によりけりですが、たいてい具材よりもルゥのほうが体積的には多くなるものです。

しかし、なかには具材を重視して、量を多くしているカレーもあります。そうした店は、おそらく具材に自信があるのでしょう。

東京・上原にある「ゆうばーる」という洋食屋で昼時に食べることのできる「無添加豚150カレー」は、まさにそんな具材重視のカレーといえましょう。

楕円形の皿にライスが盛られます。その上にルゥと具材が乗ります。スープ状のルゥもかなりの量で、ライスが隠れるくらいひたひたにかけられています。

しかし、眼を見はるのは、ライスのとルゥの上に乗っている豚肉です。店の情報によると、この豚肉は「すね肉」。豚の足のつけ根あたりの肉です。

このすね肉を、とてもよく煮こんでいるのでしょう。供されたすね肉を、スプーンでかんたんに割くことができます。肉のほどけ具合は、東京・東銀座の「ナイルレストラン」のムルギーカレーのそれを思いおこさせます。

ほかの野菜の具はルゥのなかに溶けこんでいます。見た目での具らしい具はこの豚のすね肉のみ。カレーの名のとおり、豚のすね肉は150グラム入っています。

しかし、この豚のすね肉が、“牽引力”となり、つぎつぎと食が進んでいきます。スープ状のルゥは引きたて役といったところ。

「ゆうばーる」は、夜は、豚のすね肉を、まるごと「スモークアイスバイン」という料理で出しているもよう。肉料理に自信がある店だからこその、肉々しい昼のカレーといったところでしょうか。

「ゆうばーる」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13004600/
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「インデアン」のインデアンセット――カレーまみれのアネクドート(67)


千葉県の銚子市は、かつて県内第二の街として栄えていたといいます。地方都市ならではの風情ですが、街の目抜き通りの広さは、大きく栄えていたことを物語るかのよう。それでいて、ほぼ四方が海に囲まれているため、こじんまりとした雰囲気もあります。

そんな銚子にも、知る人ぞ知るカレーがあります。

銚子駅の北口を出てすぐ、ロータリーに沿って西へと進んでいくと緑色の入口屋根の下に、「支那そば カレー 甘み インデアン」というのれんが垂れています。

この店は「インデアン」。中に入ると、カウンターに椅子が並び、さらに奥にテーブルが置かれ、ゆったりとした店構えです。

店の名前がついている「インデアンセット」は、「インデアンカレー」というカレーと、支那そばまたはワンタンスープ、さらに生野菜がついたセット。壁の献立表には「当店おすすめの一品です」と書かれています。

そして出てくるのが、写真のセット。やはり特徴的なのは、黒いルーのインデアンカレーです。この色からくる予想にもれず、コクがあります。辛さはそれほど強くありません。

インデアンカレーの具材は豚肉のみ。インデアンセットでは、ごろごろとした大きな肉がふたつほど入っています。

しかし、銚子のカレーでなぜ「インデアン」。この店のもとたどっていくと、東京・西蒲田にある「インディアン」という店に行きつくようです。西蒲田のこの店は、支那そばとカレーの両方を主商品にしている店。そして、カレーもかなり黒みを帯びています。

この「インディアン」の流れを受けついだ店のひとつが、銚子の「インデアン」とされています。支那そばとカレーの組みあわせや、黒みを帯びたカレーなどからして、そうなのでしょう。

東京の街を発祥とするカレーが、千葉県の最果ての街である銚子までたどり着いたわけです。「ここに陸終わり、海始まる」といった風情を自然と醸し出している、銚子の「インデアン」のカレーです。

「インデアン」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/chiba/A1205/A120501/12005372/
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「蒙古タンメン中本」のインド定食――カレーまみれのアネクドート(66)


辛い食べものの流行は去ったとか、落ちついたとかいわれているのでしょうか。しかし、定番となっている辛い食べものは、たとえ流行が去ったとしても人気あるもの。

東京とその周辺にチェーン展開する「蒙古タンメン中本」も、いまや辛いラーメンを味わえる定番の店となりました。「北極ラーメン」は店の名物です。

しかし、「中本」で食べられる辛いものは、麺料理だけではありません。各店には、その店限定の献立があって、東京・西新宿にある新宿店ではカレーライスを食べることもできます。

写真のカレーライスは、「インド定食」とよばれるセットもの。「中本」には「定食」とよばれる、唐辛子のきいた豆腐の餡かけと小ライスのセットがどの店にもありますが、新宿店ではその餡かけをカレールゥにした「インド定食」が献立にあります。

位置づけとしては、「ラーメン屋のカレー」ということにはなります。とはいえ、そこは「辛旨」にこだわる「中本」。このカレーも完成度の高い料理といえます。

辛さは、店の指標でいえば10段階中の2となっています。しかし、2点とはいえ、食べていくと香辛料のきいたたしかな辛さが口に広がっていきます。ほかのカレー専門店にくらべて引けをとらない辛さです。

ルゥに目立った具は入っていません。しかし、スパイスとともに具材が煮込まれて溶けこんでいることがわかります。とにかく濃厚なルゥです。

たいていの客にとって「定食もの」は、さらに辛さの段階の高い麺料理の“前座“として食べるもの。「インド定食」も、ウォーミングアップとしては適しているといえなくもありません。

しかし、かなりの辛さ。辛さの感覚が積みかさなるものと捉えると、主の麺を食べる前から、辛さを積んだ状況といえなくもありません。

新宿店の案内もあります。「蒙古タンメン中本」の店舗情報はこちらです。
http://www.moukotanmen-nakamoto.com/n_shop
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「国立国会図書館食堂」のメガ盛りカレー――カレーまみれのアネクドート(65)


大きな図書館や市役所などの公共施設には食堂があります。そんな公共性の香り高き食堂には、かならずといってよいほどカレーライスが献立のひとつにあります。そしてたいてい「カレーライス」というより「ライスカレー」のよびかたのほうがふさわしいような、日本式のカレーが出てきます。

量についても、グルメを気どって少なすぎることも、また、食堂の名物にしようとして多すぎることもなく、ちょうど中庸といったところが多いようです。つまり、公共施設の食堂におけるカレーライスは無難な傾向があるわけです。

しかし、公共施設の食堂のカレーには例外的なものもなくはありません。その一つといえるのが、東京・永田町にある国立国会図書館の6階の食堂で食べることのできる「メガ盛りカレー」です。

このブログの「カレーまみれのアネクドート」で、2007年11月に「国会図書館のカレーライス」として、おなじ場所で出されていたカレーライスを紹介しました。このときは「『食堂のライスカレー』を地で行くようなカレー」と評していました。

いっぽう、今回の「メガ盛りカレー」。具材や味については、それほど特異的なものではありません。が、なんといっても品名にあるように、分量がとても多いのです。

13インチのノート型コンピュータほどもあろうかいうような四角い皿に、ライスがどかんと盛られています。その脇にはルゥがたっぷりとよそわれています。ほとんど、たまねぎなどの野菜はルゥのなかに煮こまれていて形がわかりません。肉も豚でしょうか、わずかながら目で口で感じる程度です。

どうやら、国会図書館では、何年かに一度、食堂を運営する会社が変わるようです。そのため、カレーの献立も変わっているようです。もちろん、「メガ盛り」のほかに、普通のカレーもあります。

それにしても、国立国会図書館という、国会議員の利用もふくめて公共性のとても高い施設のなかで、これほどの個性的な、いいかえれば“B級”的なカレーが供されているとは。本などの資料を閲覧する場所に、「カレーを食べる」という目的で訪れるという人もすでにいるのかもしれません。

国立国会図書館食堂の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13116042/
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神楽坂「翁庵」のカレー南ばん――カレーまみれのアネクドート(64)


東京・神楽坂は、戦前いろまちだったところ。地名にもなっている神楽坂は、JR飯田橋駅の神楽坂口からを出て、お堀と外堀通りを過ぎたところから始まります。

神楽坂下から坂をのぼってすぐのところに「翁庵」という蕎麦屋があります。この店の創業は1884(明治17)年。じつは創業から130年位上の老舗。テーブル席とともに、広く空間をとっているのが座敷席。昼間の時間帯、背広を着た会社員風情の人や界隈を散歩中とおぼしきご年配夫婦などでにぎわいます。

そば屋の他聞に漏れず、この店の献立にも「カレー南ばん」があります。丼鉢のなかには、カレー汁がたっぷり。すこしだけそばが顔を覗かせています。そして、厚みのある鶏肉、それにカレー南蛮に欠かせない長ねぎが何本も。

「南蛮」は、室町時代から江戸時代シャムやジャワなどの南方地方を指したことばでした。これらの地域を経てポルトガル人やスペイン人などが渡来したため、ポルトガルやスペインのことも「南蛮」とよぶようになりました。

そばの世界では「南蛮」は「ねぎ」のことを指します。これは、江戸時代に渡来した南蛮出身の人たちが、健康をたもつためにさかんにねぎを食べていたことに由来するとされます。本来は「南蛮そば」で「ねぎそば」を指すことになるはずですが、「そば」は略されたのでしょう。うどんとそばを区別するために「南蛮そば」という場合もありますが。

カレー南蛮については、19世紀終盤の明治30年ごろ、東京でそばとカレー粉の両方を扱う店で売られだしたのが始まりとされています。神楽坂の翁庵も創業年からすると、古くからカレー南ばんは献立のひとつに入っていたとしても不思議ではありません。

これもそば屋の他聞に漏れず、長ねぎが入っているのが当然のカレー南ばんに、薬味として刻みねぎが添えられます。おなじねぎでも、カレー南ばんの主役のひとつになるものもあれば、脇役のひとつになるものも。

やや細めのそばに、とろりとしたカレー汁が相まみえ、そこに肉のうまみと長ねぎの甘み、それに薬味の刻みねぎのほろ苦さが加わります。これぞ定番のカレー南ばんといったところ。

「翁庵」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13040894/

参考資料
All Aboutグルメ「東京の100年店ランチ 翁庵(そば/神楽坂/創業1884年)」
http://allabout.co.jp/gm/gc/440112/
杉本商店「カレー南蛮の歴史」
http://sugimoto-shop.com/history.html
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「ダルビッシュ」のチキンカレーとダルカレー――カレーまみれのアネクドート(63)


東京・笹塚は、新宿と八王子を結ぶ京王電鉄の駅があることから新宿区と思われがち。でも、笹塚があるのは渋谷区です。そんな渋谷区にある笹塚駅の真上の雑居ビル内に、インドカレー店「ダルビッシュ」があります。

インドカレー店さまざまあれど、ここは(おそらく)インド人の店員さんが調理をし、給仕をする、“純”なインドカレー店です。

店の前にある券売機でメニューを選びます。カレーの種類は、チキン(鶏肉)、マトン(羊肉)、ダル(豆)、ホウレンソウ、ベジタブル(野菜)、キーマ(挽き肉)などと、インドカレーの定番の味がひととおり揃っています。

標準のメニューはカレー単品にナンやライス。でも、カレー2種類を選べるメニューもあります。日本のインドカレーのなかでの定番中の定番「チキン」と「ダル」の組みあわせでは、チキンカレーの辛さと、ダルカレーの豆の甘さとがそれぞれ特徴的。インドカレーの店としては、とても標準的な味といえましょう。

味とはべつに、この店全体として捉えたときの大きな特徴もあります。それは、客の目のまえで調理が繰りひろげられる、席と厨房の近さです。

店の構えは雑居ビルのアーケードに面して細長。奥行きのない横並びのカウンターと並行して厨房も奥行きなく横に広がります。

とくに目と鼻の先で、インドカレーの調理を見ることができるのは、カウンター席の左手。ナンや鶏肉を焼く竈、タンドリーが、客の目線から50センチとないところにあります。さらに近い距離で、(おそらく)インド人のシェフがナンの具材を手でこねます。

その横には、フライパンが三つほど。客の注文を受けて、手際よくフライパンに具やルゥが入れられていき、強火であたためられていきます。

狭い見せながら、竈を置く本格志向のインドカレー店。「ダルビッシュ」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131807/13037949/
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「コロンビアエイト」のホウレン草キーマ――カレーまみれのアネクドート(62)


大阪のカレーといえば、1910(明治43)年創業の「自由軒」や、1947(昭和22)年創業の「インデアンカレー」などのように、伝統的なものがあります。

いっぽうで、ちかごろ開業したカレー店にもまた急速に口コミなどで評価をあげているところがあります。中央区道修町、地下鉄堺筋線の北浜駅の徒歩圏内にある「コロンビアエイト」も、食べた人から食べていない人へと口づてで評判の広がっているカレー店です。

建てものの2階を入ると、アパートのワンルームほどの空間にカウンター席が10席ほど。面と向かった厨房空間でマスターがカレーを盛りつけています。

ひき肉を基本とするキーマカレーが主軸です。そこに練ったほうれん草を入れた「ホウレン草キーマ」というカレーもあります。「こちらはお時間をかなりいただきます」とのこと。よく煮込むことが必要のようです。

マスターは、炊飯ジャーのなかからサフランライスを茶碗によそい、白くて円い皿の真ん中にとんと置きます。そして、フライパンで煮込んでいたホウレン草入りのキーマカレーを上からていねいにかけていきます。細かく切られたいんげんやレーズンもライスのまわりを囲むように置かれていきます。

さらに粉状の香辛料をかけ、白い玉ねぎなどをていねいに乗せます。そして皿のまわりを布巾で拭いてきれいにして客に出します。「食中にごいっしょにどうぞ」と、甘くないグレープフルーツも付いていきます。

カレーの味は、見た目とおなじく、スパイスの風味が直接的に舌に感じるもの。あとからじわじわ辛くなるといったものでなく、あくまで実直に香辛料の風味が伝わってきます。かといって、食べられないほどの辛さがあるわけではありません。献立にはべつに「花火」とよばれる辛口のキーマカレーがあります。

「ホウレン草キーマ」だけでなく、ほかのカレーも時間をかけてていねいにつくられます。一皿ごとに“逸品”を完成させるといったマスターの思いがあるのでしょう。オフィス街、正午も過ぎると、店の部屋のそとには行列ができます。

「コロンビアエイト」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270102/27015618
北浜本店のほか、堺筋本町店と阿波座店もあります。
| - | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0)
「クローブ」の丸ごと玉ねぎを使ったスパイシーカレー――カレーまみれのアネクドート(61)


東京・新宿三丁目は、神保町ほどではないものの、なかなかのカレー激戦地です。

新宿通り沿いには、日本におけるインドカレー発祥の店「新宿中村屋」があります。その道の向かい側には、食べ放題の献立もある「サラムート」。ほかにも、「印度屋」「グランドダージリン」といったカレー屋があり、また、ロールキャベツで有名な「アカシア」にもしっかりカレーの料理はあります。

新宿通り沿い、紀伊國屋書店新宿本店のビルの地下には、地下鉄の丸ノ内線の駅などに通じる地下商店街があります。この通路では、カツカレーなどを出す「モンスナック」がもっぱら有名ですが、カレー店はそれだけではありません。

2011年11月、「クローブ」というカレー専門店が開店しました。せまい地下街のせまい店。席はカウンター席がほとんどです。

この店は、香辛料で勝負をする店とみえます。店長が、せまい厨房で、注文ごとに鍋に火を入れ、ていねいにカレーを作りこんでいます。

多くの客が注文するのが、「丸ごと玉ねぎを使ったスパイシーカレー」。値段もいちばん安く、これが定番のようです。

細かくした玉ねぎを炒めつづけて、香辛料の豊富なルゥと渾然一体化させているのでしょう。玉ねぎの跡形はありません。

カレーには、さまざまな辛さの質があります。甘さを感じさせておきながら、あとからじわじわと辛さが増してくるよう味もあります。

では「スパイシーカレー」の辛さはというと、直接的。舌がルゥと触れあった直後から、香辛料の刺激的な味が訪れます。ルゥに溶けこんだ玉ねぎが、その辛さを中和させているのかもしれません。スープのように緩めのぽたぽたしたルゥです。

献立表にはほかに、「ラム肉仕立てのオニオンカレー」「ホクホクひよこ豆のキーマ」「いろどり野菜を食べるカレー」。カレー専門店だからあたりまえですが、カレーで勝負をしていることを感じさせる献立です。

伝統的なカレー、食べ放題のカレー、大衆的なカレーとさまざまな特徴を売りにする新宿三丁目のカレー店。そのなかで、クローブは味へのこだわりと料理のていねいさで勝負しているようです。

クローブの食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13135095/

ちなみに、クローブが開店する前、ここに「ニューながい」という店がありましたが、この店もカレースタンドでした。カレー店のあとはまたカレー店というわけです。
| - | 23:53 | comments(0) | trackbacks(0)
「デニーズ」のマッサマンカレー――カレーまみれのアネクドート(60)


2015年初の「カレーまみれ」です。

ファミリーレストランの料理というと、むかしは老若男女がだれでも食べることのできる、それなりの味でした。しかし、人びとの嗜好をマスで捉えて献立を考えるのは時代錯誤になったのでしょう。最近では、ファミリーレストランでも特徴的なカレーが出されています。

デニーズの「マッサマンカレー」もそのひとつ。

「マッサマン」は、2011年以降のカレー料理の潮流を眺めるうえで、欠かせない鍵のことばとなっています。

このカレーは、タイカレーの一種。「マッサマン」の語源には諸説あるようですが、タイに住むイスラム教徒が食べていたカレーであることから、イスラム教徒を意味する「ムスリムマン」が「マッサマン」に変化した、という説があります。現地では、「カレー汁」を意味する「ゲーン」ということばを冠して、「ゲーン・マッサマン」ともよばれています。

イスラム教の戒律では、豚肉食は禁忌。そのため、マッサマンカレーには、豚肉以外の肉が使われます。デニーズのマッサマンカレーでは鶏肉が使われています。

味は、タイカレーの特徴であるココナッツミルクが多く使われています。したがって、甘い舌ざわりではじまるものの、あとからじわじわと辛さが追いかけてきます。肉やなすやじゃがいもなどの具材よりも、やはりこのルゥに大きな味の特徴があります。

デニーズでは、「最もこだわったポイントは“現地の味に近づけること”」としています。たとえば、ルゥに含まれるタマリンドという植物の果実を現地工場で加工し、ソースにして日本に輸入しているとのこと。

さすがに、ライスにタイ米を使うといったことまではしていませんが、特徴あるカレーを感じさせるしあがりとなっています。

マッサマンカレーは、無印良品のカレー、日清食品のカップヌードル、いなばのカレー缶などでも商品化されています。2011年以降、急にマッサマンカレーが出まわるようになったのには、米国の情報媒体CNN(Cable News Network)Goが2011年7月、「世界最良50の料理」で、このマッサマンカレーを第1位としたことがおおいに関係しているようです。

デニーズでは2014年5月、マッサマンカレーを期間限定で献立に出しました。期間が終わったあとも、復刻を願う客の要望が多く、2015年にあらためて献立に入れたとのことです。

デニーズによる「マッサマンカレー」の紹介はこちらです。
http://www.dennys.jp/menu/rice/massamancurry/

参考資料
ウィキペディア「マッサマン」
http://ja.wikipedia.org/wiki/マッサマン
@DIME 2014年10月29日付「阿部純子のトレンド探検隊 プロに学ぶ『マッサマンカレー』のおいしい作り方」
http://dime.jp/genre/163504/3/
CNN 2011年7月21日付 “World's 50 best foods”
http://travel.cnn.com/explorations/eat/worlds-50-most-delicious-foods-067535
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2015年、科学の話もカレーの話も


「アネクドート」とは、ロシア語の「小話」のこと。「科学技術のアネクドート」では、2015年も日々「小話」を伝えていきます。

2015年、これといって科学や技術にかかわる大きな出来事が予定されているわけではありません。その分、だれも注目していないような話が、注目の的になる可能性もあります。このブログでは2015年も、多くの人が注目しているわけではない話題を積極的に提供していきます。

しかしながら、多くの人が注目する話題でも、そうでない話題でも、とりあげた話題にほころびが出て、のちに社会から批判を浴びるということもあります。話題を選ぶほうも、慎重でなければなりません。

つぎのような連載もつづきます。

全国各地のカレーを求めてその味を伝える小話「カレーまみれのアネクドート」は、2014年に7回、更新して、59回になりました。しかし、全国にはおよそ5400軒のカレー店があるともいいます。まだ、カバー率は100分の1強にすぎません。2015年も、一軒一軒確実に、一皿ごとに展開される香辛料とライスの“辛い調和の妙”を伝えてきます。

世の中に存在する「法則」にも目を向けていきます。「法則古今東西」では、自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。2014年は2回、更新して、計23回となりました。その法則が導き出されるようになるまでの逸話などを伝えていきます。

「sci-tech世界地図」という連載では、世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。

ほかにも本の書評、1話分で収めるのはもったいない短期連載、世間で問題になっていないようなことばの問題、科学や技術とは関係ない多くの話題なども伝えてきます。

2015年もよろしくお願いします。
| - | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0)
「カフェ百番や」の金沢カレー――カレーまみれのアネクドート(59)


カレー食文化が日本で深化したことを示すものに「ご当地カレー」があります。ある地域でだれかが始めたカレーの食べかたが地元で定着し、おなじような献立のカレーを出す店がいくつもあらわれ、カレーに地名が冠されるといった現象が全国各地で見られます。

石川県金沢市でよく食べられているご当地カレーは、「金沢カレー」あるいは「ブラックカレー」とよばれています。よび名のとおり、ルウの黒さがなによりの特徴です。

JR金沢駅にあるショッピングモール「金沢百番街」の「カフェ百番や」でも、一番のおすすめとしているのが写真の「金沢カレー」です。

カレーの黒さは、何種類もの香辛料で何日も煮込んだ結果のよう。はじめて食べる人は、辛さよりもコクのほうを、カレーの味として受けとめることでしょう。旨み、甘み、苦みが渾然一体となっています。

店員は「キャベツを混ぜてお食べくださいね」と言います。千キャベツが乗っているのも金沢カレーの特徴で、当店は「ごはんと濃厚なカレールーとのバランスを保つ為では」と見ています。

金沢カレーの特徴のひとつになっている先割れスプーンで、ルゥとライス、さらに千キャベツを混ぜます。しかし、ルゥのとろみとライスの粘り気が強く、なかなか混ざりません。カレー全体が、ねっとりとしています。

金沢カレーの特徴はほかにもあります。器はシルバー楕円皿。ルゥを全体にかけて、白いライスが見えないように盛りつける、など。

この店の店員が聞くところでは、金沢駅前の食堂ではたらいていたシェフたちが、自分の店をもちはじめたとき、修行先で学んだカレーを出しはじめたのが、「金沢カレー」の原点ではないかとのこと。

金沢カレーは有名チェーン店の東京での営業などにより金沢以外でも浸透中です。2014年3月の北陸新幹線開業後は、全国から金沢にやってきた人たちが、「金沢カレー」の存在を知ることになるでしょう。

駅についたらすぐに食べられる金沢カレーは「カフェ百番や」の金沢カレー。お店のホームページはこちらです。
http://www.100banya.com/cafe.html
「カフェ百番や」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/ishikawa/A1701/A170101/17008157/
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「ソーマ」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(58)


大阪・梅田の中心街から淀川のほうに向かって歩いて20分ほど。阪急電車の梅田からは一駅。中津界隈に残る下町風情の街の一角に、「SOMA(ソーマ)」というインドカレー屋があります。

平日の昼食どきを過ぎても、店の外まで人が並ぶほど。香辛料の香り漂う店のなかは、古い建屋を改装して、本、レコード、そしてスパイスなどを並べています。板張りの床は昔からのままなのでしょう。店員や客が歩くたびにわずかにきしみます。

献立のいちばん上に記されている「お肉のカレー」のチキンカレーは、野菜と鶏のすじ肉を盛ったカレーライス。丸い平皿の中央に、雑穀米のご飯が盛られ、そのまわりにはぽてっとせずあっさりめのルゥ。香辛料のつぶつぶがルゥのなかに漂っています。

そして、皿の脇に、わんさかと乗せられている鶏のすじ肉。「お肉のカレー」では、メニューによって豚バラ、ラムキーマ、牛スジ、ビーフなど各種の肉が乗るもよう。

店員さんが「混ぜて食べてください」と言います。

スプーンで、ご飯、野菜、鶏肉をルゥとかき混ぜて渾然一体化させます。味は、香辛料がばちっと効いて、口のなかがひりひりとしながらも、ふしぎとほぼ辛くありません。ルゥの香ばしさと、ナス、カボチャ、鶏肉などの具材の味が辛さに消されずに生きています。

正午にお店は始まり、13時ごろになるとすでに売りきれのメニューも出はじめるようです。梅田からちょっと足を運べば出合えるかもしれない、希少なカレーです。

ソーマの「食べログ」情報はこちら。
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27065233/
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「インデアンカレー」のインデアンカレー――カレーまみれのアネクドート(57)


大阪で長いこと店舗を展開してきたカレー店が、東京に進出しています。

「インデアンカレー」は1947年、大阪・南波の法善寺横町西で創業しました。それから、大阪に一号店を合わせて7店、兵庫県芦屋に1店を出しました。

そして2005年、東京・丸の内に、関東で初出店となる「丸の内店」を出しました。大阪で「インデアンカレー」を食べて過ごしたあと東京にやってきたカレー好きにとって、丸の内店の開店は朗報だったことでしょう。

「インデアンカレー」のカレーライスは1種類のみ。店の名前にもなっている「インデアンカレー」です。ほかには、カレールゥをかけたスパゲティやハヤシライスなどがあります。

見た目はシンプルなカレーライス。ぽてぽてっとしたルゥに、牛肉のかけらがいくつか入っています。そのルゥが、ライスにまんべんなくかけられて出てきます。

多くの人がこのカレーの特徴に挙げるのがルゥの味です。スプーンですくったルーを口に入れた瞬間、舌は甘さを感じます。ところが一瞬ののち、間髪を入れずに辛さが舌をふくむ口全体を包みこむのです。その後、辛さで充満した口のなかでは、ルゥと熱いご飯が入ってくるごとにじわじわ辛さが増していきます。

しかし、不思議と「辛くて食べられない」という限界には達しません。食べているあいだは、ほのかな種火がいつまでも口のなかで消えないような感覚になります。そして、添えもののピクルスや水を口に入れると、また不思議と最初の甘さがすこしだけよみがえります。

「インデアンカレー」の店主はこう表現します。

「一口食べると、懐かしい甘さが舌の上に拡がり、ホッとした途端に辛さの玉が弾ける、、、お客さまから『口ん中が火事や!』と言われながらもご愛顧いただいてきましたのが、私共のインデアンカレーです」

「カレーは沢山のスパイスに野菜とフルーツ、選び抜いた肉を使って、調理しております」

甘さのあと一瞬遅れてやってくる辛さがどのようにつくられるかについては多くを語っていません。店のキャラクターのインデアンも寡黙そうな顔つきをしていますが、味の秘密を知っていそうな顔でもあります。



大阪での味を東京でも味わうことができます。

「インデアンカレー丸の内店」の店舗情報はこちらです。
http://www.indiancurry.jp/shop/marunouchi.html
| - | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0)
「ゴーゴーカレー」のチキンカツカレー――カレーまみれのアネクドート(56)


チェーン店でありながら個性的なカレー店として勝負しているのが、ゴーゴーシステムが展開している「ゴーゴーカレー」です。「金沢カレーブームの火付け役!!」と触れこんでいるように、石川県を中心に店を増やしてきました。ただし、第1号店は東京の新宿にあります。

店に入るとテレビ番組の映像のような体裁で、ゴーゴーカレーを紹介する映像が流れています。

しかし、ほかのカレーチェーン店との差別化はそれだけにとどまりません。カレーのメニューそのものも個性的です。「プレーンカレー」などといわれる基本的なメニューもあります。それは店の名とおなじ「ゴーゴーカレー」。ライスとルゥに加え、キャベツが盛られています。しかし、同店が売りにしているのは「カツカレー」です。

カツには、ポークとチキンがあります。写真はチキンカツ。大きめの皿の半分ほどを占めるほどの大きさのカツが、ステンレスの皿のご飯とルゥの盛られた上に乗せられています。そしてそのカツのうえにはさらに、濃厚なルゥとおなじような色あいのソースもかかっています。

カツの肉は、とんかつ専門店などのカツにくらべると厚くはありません。しかし、衣の香ばしさがそれを補います。カレールゥが主役と考えれば、薄めの肉とそれを包む衣は脇役つまり具の一部。けっしてカツが主役にならないぎりぎりの線が、このカツの厚さに現れています。

スプーンでカツをひとかけらに分けます。さらにそのスプーンでルゥとライスもすくいます。この組みあわせで頬ばりつつ、あとからキャベツを口に入れます。どの具材も突出して自己主張せず、全体として味の調和がなされています。結局のところ、個性的な具材が多くありながら、均衡が保たれているわけです。

店構え、チェーン店のネーミング、媒体への露出などが目立ちますが、それらもカレーの味があってこそ。「55の工程を5時間かけてじっくり煮込んだ特製オリジナル・ルー」を売りにしています。

「ゴーゴーカレー」のホームページはこちらです。
http://www.gogocurry.com/index.html
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「カレーショップC&C」のポークカレー――カレーまみれのアネクドート(55)


関東地方、それも東京都西部の京王線沿線あたりを生活圏とする人びとになじみ深いカレーチェーン店に、「カレーショップC&C」があります。黄色と橙色の看板に、鋭敏な書体の「C&C」のロゴマークが客を店内へと誘います。

C&Cを運営するのは、京王グループのレストラン京王という企業。じつは、コーヒーチェーン店でよく知られる「ドトールコーヒー」や「エクセルシオールカフェ」のフランチャイズ店を運営したりもしています。

どのカレーチェーン店にも、「基本となるカレーライス」というものがあるもの。いわば、トッピングを加えるまえのカレーです。

しかし、基本となるカレーといっても、献立名には肉の具材を冠されています。チキンカレー、ポークカレー、ビーフカレーといった具合に。基本となるカレーの種類もチェーン店により異なってきます。

基本となるカレーは、たいてい献立表のなかで最初に客の目に止まるところにあるもの。そして、それが基本となるので、かならずといってよいほどカレーの種類のなかではもっとも安い値段設定になっているもの。

C&Cで、この基本となるカレーが「ポークカレー」です。

丸くて白いさらに、ちょうどライスが半分、ルゥが半分、入っています。辛さはマイルド、中辛、辛口の3種類から選べます。辛口は、多くの人が食べられることを考えてか、個性的な個人店での辛口にくらべると辛くはありません。しかし、それでも香辛料のしっかりした味があります。28種類の香辛料が使われているとのこと。

出されたポークカレー。豚肉はどこにあるのかといえば、外見ではなかなかその存在を見ることができません。しかし、チェーン店の基本となるカレーで、肉がごろごろと入っていないとしても、「それはそれ」と割り切ってもよいのかもしれません。トッピングカレーの基本となるものだからです。

C&Cの店舗によっては、「ビーフカレー」を出している店もあります。しかし、「ビーフカレー」の前には「欧風仕立て」とか「贅沢」といった言葉が冠されており、基本のカレーのポークよりも値段ははります。

チキン、ポーク、ビーフ。どれを基本のカレーにするか。チェーン店の戦略は、まずここが分岐点になるといってよいでしょう。

「カレーショップC&C」のホームページはこちらです。
http://www.curry-cc.jp
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「ガンジー」のAランチ――カレーまみれのアネクドート(54)


一口に「カレーの店」といっても、そこで出される料理の中身は大きくちがいます。チェーン店が出すような日本的なカレーもあれば、カレールゥが器に入れられた欧風カレーもあります。

インドの人たちが営んでいる店は、やはり本場インドのカレー。日本人の口に合うように変えている場合もありますが、香辛料を効かせたルゥが丸い銀色の器に入って出されてきます。そしてナンや、チャイなどが添えられます。

東京・西新宿の新宿ワシントンホテル地下街にあるのは、まさにインド式のカレーを地で行く「ガンジー」というお店。インド人の男性と女性がお店を切りもりしています。店のたたずまいはといえば、木のテーブルや赤い床などに古めかしさも漂います。

「ガンジー創業当初から続く定番のセットメニュー」と献立表に書かれてあるのが「Aランチ」。白い大きな皿で出されるのは、ほかの「ガンジーランチ」や「スペシャルランチ」などと変わりません。

しかし、いまのインド料理店のカレーにはめずらしく、ルゥがライスの上にそのままよそわれています。ルゥとライスをかきまわして混ぜることもできますが、ルゥはナンに付ける食材にもなるため、かきまわして食べない客も。辛さはそれほどはありません。

皿のなかでとりわけ存在感を示しているのが、鶏肉のタンドリーチキンや羊肉のシシカバブといった、串焼き肉です。インドカレーのセットでは、タンドリーチキンが1個ついているくらいのものがありがち。しかし、この店では、タンドリーチキンとシシカバブがあわせて5個も出されます。厨房には焼き釜もあるようで、味はインドカレーの店の串焼き肉に対していだく印象を裏ぎりません。

ホテルの地下街にありながら、まわりは都庁もそびえるオフィス街。昼食の時間帯では、ルゥの飛びはねに気をつけながら、サラリーマンたちがカレーランチをほおばっています。

西新宿にある「ガンジー」の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13035807/
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「野菜を食べるカレー キャンプエキスプレス池袋店」の一日分の野菜カレー――カレーまみれのアネクドート(53)


「駅のなかでカレーを食べる」といえば、立ちぐいそば屋のセットメニューとして出されるカレーライスを食べる、あるいは、カレースタンドですぐに出してくれるカレーライスを食べる、といったあたりでしょうか。

しかし、個性的な店がまえやメニューで勝負しているカレー店の関連店が、駅のなかに店を出すといったことも起こりはじめています。

東京のJR池袋駅の南口改札から、改札内に入ったすぐのところにあるのが「野菜を食べるカレー キャンプエクスプレス池袋店」です。

カレーで「キャンプ」といえば、東京・千駄ヶ谷にある「野菜を食べるカレー キャンプ」を思いうかべるカレー好きは多いでしょう。このブログでもかつて記事になりました。最寄りの代々木駅から歩いて5分ほど。店のなかにスプーンがシャベルのかたちをしていたり、水の入った器がピクニック用の水筒だったりと、キャンプの飯盒炊爨でつくるカレーの雰囲気をかもしています。

この千駄ヶ谷の「キャンプ」の協力を受け、日本レストランエンタプライズが駅のなかに出しているのが「キャンプエキスプレス」です。JR池袋駅のほか、JR品川駅、JR海浜幕張駅、西武線の所沢駅、東急線の武蔵小杉駅のなかにも店を開いています。

「キャンプエキスプレス」で出されるカレーのメニューはというと、まず「一日分の野菜カレー」。これは千駄ヶ谷の「キャンプ」でも“太鼓判”になっているカレーとおなじ名です。ただし、「キャンプエキスプレス」のほうが若干、野菜などの具の量はすくなめかもしれません。

ほかにも、「キャンプエキスプレス」のカレーの名は、千駄ヶ谷の「キャンプ」にあるメニューにある名と重なります。「キャンプ」自体がひんぱんにカレーのメニューをかえていますので、現時点で「キャンプエキスプレス」と「キャンプ」で、重なっているメニューとそうでないメニューがありますが。

本家の「キャンプ」のカレーとくらべてしまう人は、「駅のなかでのカレーは『キャンプ』とまったくおなじとはいえないかも」などと、微妙なちがいを感じてしまうかもしれません。いっぽう、従来の駅のなかで食べてきたカレーライスにくらべる人は、「こんなカレーがエキナカで食べられる時代になったか」などと、大きなちがいを感じることでしょう。

ちなみに、メニューを頼んでからカレーが出てくるまでの時間は、「キャンプエキスプレス」のほうが早めの傾向があるようです。

日本レストランエンタプライズによる「キャンプエキスプレス」のホームページはこちらです。
http://www.nre.co.jp/shop/brand/camp/
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2014年も科学の話から非科学のはなしまで


「アネクドート」とは、「小話」という意味のことばです。「科学技術のアネクドート」では、2014年も、科学技術やそのほかの分野のアネクドートを伝えていきます。

2014年は、日本のエネルギー関連で大きな動きがあるかもしれません。洋上風力発電の実用に向けた試験が日本近海で2013年よりようやく本格化しました。また、電力買い取りなどの再生可能エネルギーの普及への支援制度も、これまでの太陽光中心から風力にも力を入れる向きが見られはじめました。原子力発電の再稼働の問題をふくめ、エネルギーの話題はひきつづき関心をよぶことでしょう。当ブログでは、大きな組織では伝えられないような、「こんな見方もある」といった小話を伝えてつづけていきます。

つぎのような連載もつづきます。

カレー道の探求「カレーまみれのアネクドート」は、回を重ねること52回となりました。しかし、日本全国の“カレー多様性”にくらべると、この数はまだ序二段にもなりません。撮影のためのスマートホンをルゥに入れないようにしながら、2014年も、一皿ごとに展開される香辛料とライスの“辛い調和の妙”を伝えてきます。

世の中に存在する「法則」にも目を向けていきます。「法則古今東西」では、自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていきます。これまで21回を重ねてきました。その法則が導き出されるようになるまでの逸話などを伝えていきます。

「sci-tech世界地図」という連載では、世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。

ほかにも、話題になっている本やなっていない本の書評、1話分で収まりきれないときの短期シリーズ、世間で問題になっていないようなことばの問題、科学や技術とは関係ない多くの話題なども伝えてきます。2014年もよろしくお願いします。
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「カレーレストランシバ」のムルギランチ――カレーまみれのアネクドート(52)


千葉市のJR稲毛駅の南口から歩いて3分のところに、カレーマニアたちにかなり知られている店があります。「カレーレストラン シバ」です。カレーの本場インドで供されるカレーを中心にしながら、ひじきや牡蠣などの日本の食材を使った料理も出しています。

昼の献立のひとつのあるのが、「ムルギランチ」。

ムルギランチというと、東京・東銀座に店を構える「ナイルレストラン」の「ムルギーランチ」を思いうかべる人もいることでしょう。あるいは、おなじく東京・渋谷にある、その名も「ムルギー」というカレー屋を思いうかべる人もいるかもしれません。

「ムルギ」あるいは「ムルギー」はヒンディ語で「鶏」の意味。そのため、「ムルギランチ」は「鶏の昼定食」ということになります。しかし、シバの「ムルギランチ」は、たんに牛肉や豚肉でなく鶏肉を入れたカレーということではありません。

銀色の楕円のさらに盛られているのは、グリンピースの入ったサフランのフライドライス。これに、よく煮込まれた骨つきの鶏肉が大きく横たわっています。もちろんカレールゥもしっかりとあります。

上述のナイルレストランの「ムルギーランチ」が形式の基本にあることが考えられます。しかし、ナイルレストランの「ムルギーランチ」にはなく、シバの「ムルギランチ」のみにある特徴的な点もあります。

まず、野菜の具がそのまま大きく皿に乗っている点。一口大のトマト、にんじん、ピーマン、なすなどが乗っています。鶏肉とおなじぐらいのインパクトがあります。

また、フライドライスにも、多くのグリンピースのほか、肉や野菜なども具材も入っています。サフランライスとグリンピース1個というナイルレストランの「ムルギーランチ」とは一線を画しています。

出されたままの状態で、ルゥ、鶏肉、野菜、そしてフライドライスそれぞれの個を保ちつつ食べすすめていくもよし。フォークとスプーンで、これらの具をよくかきまぜて、渾然一体と化したカレーを食べるもよし。シバの定番の人気料理のひとつになっているようです。

「カレーレストラン シバ」のホームページはこちら。
http://curry0shiba.wordpress.com
「カレーレストラン シバ」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/chiba/A1201/A120104/12000017/
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「三品食堂」のカツカレー――カレーまみれのアネクドート(51)


早稲田大学のまわりの学生街といえば、大隈講堂前から都電早稲田駅へと抜ける通りが学生たちの定番で、通称で「ママキムチ・ストリート」などとよばれています。

しかし、この通りとはキャンパスを隔てて反対側にある、西早稲田交差点から教育学部の西門にかけての通りも学生街の風情を残しています。

その、西門の目と鼻の先にあるのが、三品食堂。「B級グルメ」ということばが世に出はじめるまえからB級グルメを貫きつづけてきた、学生街の食堂です。

早稲田大学のスクールカラーとおなじ臙脂色ののれんをくぐると、置かれてあるのは木の細長いテーブルと、簡易なつくりの丸椅子。基本の献立が、牛めし、カレーライス、カツライスしかないことから「三品」という屋号がついたといわれるこの店では、大きな食卓など必要ないかもしれません。

“三品”の一品であるカレーライスには、「大」「中」などの量のほかに、単なるカレーライスか、カツの入ったカツカレーにするかを選べます。

白い皿にライスがそそっとよそわれ、ライスの上にそこそこの厚さのカツがちょんと乗せられ、そしてカレールゥがとろとろっとかけられています。

カツ以外の具は、ふつうの大きさの豚肉がいくつか。ルゥはカレー粉に小麦粉をたっぷり入れたようなぽてぽてしたもの。ルゥはまるで辛くありません。激辛の味が隆盛の時代に泰然としています。

客は銀色のスプーンの側面でカツをちぎりちぎりしながら食べていきます。福神漬けもふつうにあります。

非の打ちどころがないくらい、奇をてらわないカレーライスです。いや、ライスカレーというよびかたのほうが、ふさわしいかもしれません。

創業昭和40年。早稲田大学の校舎はつぎつぎと建てかわっても、三品食堂のたたずまいはしばらく変わりそうにはありません。

三品食堂の食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13000050/
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「もうやんカレー246」のポークカレー――カレーまみれのアネクドート(50)
2009年12月12日付けの「カレーまみれのアネクドート」では、東京都内に6店をもつ「もうやんかれー」のビーフカレー(和牛カレー)を紹介しました。野菜などの具材はほぼルウに溶けこみ、ごろごろとした牛のほほ肉だけが転がっています。
もうやんカレーで、牛肉のカレーと双璧をなすと一部でいわれているのが、ポークカレーです。写真は、渋谷の青山通り沿いにある「もうやんカレー246(渋谷店)」のポークカレー。
ポークカレーもおなじく、ルウのなかに野菜のかけらは見られません。長い時間をかけて煮込んでいるのでしょう。ルウにはほかに、黒いつぶつぶが見えます。香辛料でしょう。
なによりも、ルウのなかで存在感を示しているのが、豚バラ肉の角煮です。
大きさは、明治サイコロキャラメルの立方体の箱をふたまわり大きくしたくらいのもの。角煮の筋にそってスプーンなどで縦に割ると、ほろほろほろと肉が崩れていきます。
そして豚肉の味は、それ単体ではすこし甘め。豚肉は豚肉で下ごしらえをしているのでしょう。
その肉の甘さは、煮込まれたルウのしっかりした辛さのなかで、味の均衡がとれるようにしたもののようです。ルウの辛さと肉の甘さ。このふたつの組みあわせで、世ではめずらしい「1+1=2を超える」という等式が成立しています。
このルウと豚肉のくみあわせが、さらに白米のうまさともあいまって、味の相乗効果をもたらします。
カレーの具としての肉の定番といえば、鶏。また、牛は牛でべつにカレーの高級感などをひきだします。しかし、豚もカレーの具からは外すことはできない。そのようなことを客に感じさせる、ポークカレーです。
「もうやんカレー」のホームページはこちらです。
おかげさまで「カレーまみれのアネクドート」は今回で50回目を迎えました。過去の記事は、このブログの「Search this site.」の欄に「カレーまみれ」などと入れていただくとお読みいただけます。
| - | 23:29 | comments(0) | trackbacks(0)
「松屋」のスパイシーチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(49)


牛丼チェーン店の松屋のカレーメニューが豊富になっています。

従来、松屋は「オリジナルカレー」とよばれているカレーを出していました。多くの客層がいるためか味は中庸。しかし、牛丼屋らしく、牛飯に乗せる牛肉をおもな具材にした「カレギュウ」といったメニューもあります。

いっぽう、新しく加わったのは、「スパイシーカレー」とよばれるカレーのメニュー。「オリジナル」とくらべたときの特徴は、基本的な具材がルゥに溶けこんでいること。そして、すこし辛いこと。

これのプレーンなスパイシーカレーに、鶏肉などの具材がごろごろと入ったものが、写真の「スパイシーチキンカレー」です。

手前に転がっているのが、鶏肉ふたつ。スプーンでかんたんにわれるほどにやわらかく煮込まれてあります。すこし辛いルゥと鶏肉のうま味が相まって相乗効果を出します。

もうひとつ、このカレーでは脇役ながら、3つほどルゥに転がっているのが蓮根です。鶏肉にくらべると小さいものの、それでも一口で食べられるかといった大きさがあります。

プレーンなルゥに、ごろごろとした肉、そして蓮根。ごろごをとした肉のおともに蓮根を加えるという発想に、松屋のメニュー開発の熱心さをうかがうことができます。

オリジナルカレーとスパイシーカレーとも、プレーン、カレギュウ、チキンカレー、そしてごろごろした豚肉の入ったポークカレーがあります。

松屋のカレーのメニューはこちらです。
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「一刀斎」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(48)


甲府市の中心街、丸の内。木でできた急な階段をのぼっていったところに「一刀斎」というカレー屋があります。

ドアを開けると、漂ってくるカレーの香り。柄のついた茶色い椅子、それにレンガ風の壁。店内には昭和の雰囲気が残されています。

手前のカウンター席では、サラリーマン風情の客が雑誌を読みながらカレーを食べています。奥の広い厨房ではマスターがカレーづくり。

カレーの献立はいたってシンプルで、チキンカレーとオムカレーのみ。大盛りや特盛りも選べます。

チキンカレーのルーの色は、すこし緑がかったような黄色。この色は一見、甘そうに見えます。しかし、実際は、辛さが口のなかに直接的に伝わってくる、ストレート系の辛さ。ルゥのなかに、香辛料のつぶつぶを見ることができます。約15種類の香辛料を使っているそうです。

また、鶏肉は、それほど自己主張することもなく、4つほどのかけらがルゥのなかにつかっています。

チキンカレーは500円。オムカレーは680円。手ごろな価格で、甲府のサラリーマンたちの腹をいつも満たしてくれるカレー専門店です。

「一刀斎」の食べログ情報はこちらです。
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「スパイスカレー カマル」のバターチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(47)


京都の三条通は、四条通や五条通とくらべて狭い道幅。この通りには、京都のなかでもしゃれた飲食店や服屋が建ちならんでいます。烏丸三条の交差点から東に一ブロック進んだところに「スパイスカレー カマル」というカレー専門店があります。

店は奥に細い、長屋のようなつくり。手前にはカウンター席が、奥にはテーブル席があります。厨房は奥のほうにありますが、ディナーの仕込みでしょうか、入口ちかくでも鍋でカレーを煮込んでいて、香りを漂わせます。

店が定番としているのが、「バターチキンカレー」。白い皿に、半分はライス、半分はルゥがよそわれて出てきます。テーブルに、福神漬けのかわりに置かれているのは、緑、白、ピンクなどのとりどりの色に染まった刻み漬けもの。これをライスの上に乗せます。

ルゥには、上品なデミグラスシチューのように、白いソースがすこしかかっています。そして、バターの風味が自己主張しすぎない程度にきいていて、まろやかさを醸しだしています。また、ルゥには香辛料とバターのほか、トマトも使われているようです。穏やかな味で辛くはありません。

ルゥに浸っている具は鶏肉のみと素朴。鶏肉は手ごろな大きさ、手ごろなやわらかさで、バターの風味が効いたルゥとの相性もよし。

店の名前にある「カマル」(Kamal)は、ヒンディー語で「蓮」のこと。蓮はインドの国花でもあります。うるわしい店の名前。三条の街に似合うこじんまりとした店のたたずまい。そして奇をてらわないカレー。これらの要素のバランスがとれて、カレー専門店らしさをつくっています。

ちなみに、激辛のビーフカレーなどもあります。

「スパイスカレー カマル」のホームページはこちら。
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「スープカリー・スパイススマイル」のチキン野菜のスープカレー――カレーまみれのアネクドート(46)


東京・本郷は坂の街。東京ドームから本郷三丁目方面に上っていく壱岐坂のとちゅうに、こじんまりとしたスープカレーの店があります。店の名は「スープカリー・スパイススマイル」。細長い店内のなかに、白いチェアとテーブルが置かれ、昼の時間の客は相席しながら、スープカレーを注文しています。

メニューに並んでいるのは「野菜」の文字。野菜の種類が多く、また分量は、たとえばにんじんは一口では入らないといった具合に大きめです。

客は、スープの種類としてスタンダードのほかトマトと豆乳を、辛さの度合としてふつうから超激辛までを、ライスの量として小中大を選ぶことができます。ライスはターメリック(鬱金)という香辛料で黄色く色づけされたもの。この香辛料によってまろやかな風味がただよいます。

「チキン野菜のスープカレー」では、具材の主役はやはり鶏肉。スポーンとフォークで、簡単に骨から鶏肉をひきはなすことができます。噛んだ感触はもちろんやわらか。肉のなかに香辛料の風味がしみこんでいます。

スープのほうは、まるでオニオンスープを濃くしたようなの半透明な色をしています。まさに“ルゥ”ではなく“スープ”。香辛料の種類は「10種類以上」とのことで、それぞれの味の均衡がとれていて、全体でしっかりとした辛さをつくり出しています。

種類の多い野菜のなかでは、ブロッコリーに特筆すべき味がついています。食べた瞬間、嫌みのない香ばしさが口のなかで広がっていきます。また、串にささった椎茸があるのも特徴的。

坂を上り下りしていたら、素通りしてしまうほどの小さな入口と小さな店内。しかし、出されるスープカレーは“しっかりもの”。スープカレーが好きの店主が、練りに練ったものであることを感じさせます。

スープカリー・スパイススマイルのホームページはこちらです。
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「ピッコロ」のチキンカレーレギュラー――カレーまみれのアネクドート(45)


大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」中央の通路沿いに「ピッコロ」という店があります。通路を人びとがせわしなく西へ東へ往来するなかで、この店にはべつの時間が流れているような雰囲気があります。

「ピッコロ」は、1980年代、梅田に開店したカレー専門店。「梅田界隈の草分け的専門店」と自負しています。

「⌈ 」の形をしたカウンター。そのカウンターに沿って茶色いシートの椅子が並んでいます。椅子に囲まれた小さな厨房では、店員がいそいそと鍋の中のルゥをかきまわしたり、ライスの盛られたカレーに盛りつけたりしています。

注文後、やがてチキンカレーが出されます。白い楕円形の皿のうえに、丘のようにこんもりしたライスとルゥ。その丘の頂や斜面には、一口では口に入らないくらいの鳥肉が置かれています。

「ピッコロ」のカレーの特徴は、ルゥのこくでしょう。

褐色のルゥの色からくる想像にたがわず、その味は深みがあります。ルゥを口に入れると、ほんのわずかに香辛料のつぶつぶを舌で感じられるか感じられないか。強烈に辛いわけではありませんが、こく味のなかから、じわじわとした辛さが口のなかを伝わってきます。

ルゥには「数10種類」の香辛料が入っているといいます。香辛料にそれほどの種類があるかはわかりませんが、ルゥに深みがあるのは、多様な香辛料が渾然一体となっているからでしょう。チャツネや生クリームで味も整えているといいます。

歴史のある店には、ほかの新規店ではまねのできない、店の雰囲気や料理の風味があるもの。「ピッコロ』は、人びとがもつ「古めかしい名店」の想像を裏ぎることのないカレーを出しつづけています。

「ピッコロ」のホームページはこちら。
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「彩座」のごろ馬カレー――カレーまみれのアネクドート(44)


熊本県北部の山鹿市は温泉と灯籠の街。かつて、傷負いの鹿がこの地の温泉に入って体を癒したという伝説もあります。

街の中心にある公共温泉「さくら湯」から歩いて1分のところにあるのが、「彩座(いろどりざ)」という郷土料理屋。ここで観光客たちが食する名物料理のひとつに「ごろ馬カレー」があります。

熊本の名産のひとつが馬肉。武将の加藤清正(1562-1611)が朝鮮出兵のとき、やむにやまれず馬を食したことがきっかけで、その後、加藤清正の領地だった肥後国(いまの熊本県)に広まっていったともいわれています。

「ごろ馬カレー」は、丸い白皿に盛られたライスとルゥと福神漬け、それに半熟の温泉卵がついた料理。

名前からすると、馬肉が入っているのがこのカレーのもっとも特徴的なところと考えられます。ルゥのなかには2センチ大の馬肉がいくつか埋まっています。日本のカレーで使われる鶏、豚、牛の肉のうちでは、もっとも牛に近いでしょうか。歯応えがすこしあります。

しかし、「ごろ馬カレー」の特徴をなすものは、馬肉だけではありません。

ルゥは、しっかりと煮込んだ欧風。ルゥには馬肉のほか野菜は見られませんが、溶けこんでいるのでしょう。ルゥを食べると、甘さのなかから辛さがじわりと顕われてきます。

さらに、半熟の温泉卵も大きな特徴のひとつ。カレーをもってくる店員は「温泉卵をかけて食べるとおいしさが増します」と客に説明します。半熟温泉卵はカレーのルゥにくらべればはるかに控えめな味。しかしこの控えめな味が基本となって、そこにルゥの辛さが加わることで、「ライスとルゥ」の組み合わせとはまたちがった旨みがでてきます。

肉としての馬肉はもちろん、半熟温泉卵をも受け入れて、味を深めさせる。包容力のあるカレーです。

「ごろ馬カレー」を出す「彩座」の食べログ情報はこちら。
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2013年もリチウムイオン電池からカレーまで


きょう(2013年)1月4日から仕事はじめの人もいることでしょう。街では、正月の雰囲気と仕事はじめの雰囲気が入り混じっています。

「科学技術のアネクドート」では、2013年もさまざまな“アネクドート”つまり“小話”を記事にして伝えていきます。

2013年は、昨年末の衆議院選挙により発足した新政権が、本格的に政策を打ちだしていくはずの年。科学技術やエネルギー・環境の政策でも、前政権から大きく変わっていくことが考えられます。マスメディアが世論を形成しようとするなかで、当ブログでは、大きな組織では伝えられないような、「こんな見方もある」といった小話を伝えてつづけていきます。

つぎのような連載もひきつづき、ご愛読よろしくお願いします。

カレー道の探求「カレーまみれのアネクドート」は、回を重ねること43回となりました。しかし、日本全国の“カレー多様性”にくらべると、この数はまだ序の口にもなりません。撮影のためのスマートホンをルゥに入れないようにしながら、2013年も、一皿ごとに展開される香辛料とライスの“辛い調和の妙”を伝えてきます。

2012年は、リチウムイオン電池の材料メーカーの動向を追ってきました。主要四部材のうち「正極材」「負極材」「電解液・電解質」を製造するメーカーを紹介してきました。2013年は、主要部材のうち残る「セパレータ」を製造するメーカーの動向も追っていきます。

世の中に存在する「法則」にも目を向けていきます。「法則古今東西」は、自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつずつとりあげていく記事。これまで19回を重ねてきました。その法則が導き出されるようになるまでの逸話などを伝えていきます。

「sci-tech世界地図」というシリーズ連載では、世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。

科学技術をテーマとする話も、科学技術をテーマとしない話もふくめ、2013年も当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
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「オーベルジーヌ」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(43)


「宅配の料理」というと、レストランで給仕される料理よりも味がいくぶん落ちる印象を抱く人はいるでしょう。

しかし、世の中には例外はあるもの。東京・四谷に本店を構える欧風カレーの店「オーベルジーヌ」のカレーは、人びとの先入観をよい意味で裏ぎります。

「オーベルジーヌ」は「宅配専門欧風カレー」。以前は店内営業でカレーを給仕していたようですが、いまは宅配と持ち帰りのみとなっています。

宅配の献立は、ビーフ、ポーク、チキン、チーズ、海老、野菜などとオーソドックス。辛さは、お子様口、甘口、中辛、辛口と4段階。こちらもオーソドックスです。

宅配でチキンを頼むと、届けられるのは、大小ふたつの白いポリ容器に入った食材。大きいほうのふたを開けると、チーズの乗ったライスとじゃがいもが。小さいほうのふたは透明になっていて、カレーのルゥが見えます。こちらも開けると、純粋にスパイシーな香りが鼻に届いてきます。

ルゥの中で目立つのは鶏肉です。おとなの男性が一口で食べられるか食べられないかといったぐらいのごろごろさ加減があります。これを割るスプーンが、おなじく届けられたプラスチックのスプーンであるのは宅配ゆえしかたありますまい。

多くの人が抱くであろう感動的体験は、その後にやってきます。食べはじめは、どことなく甘い味覚ではじまりながら、その後、じわりじわりとした辛さが舌を上回っていき、奥深きスパイシーな味が口のなかを支配するようになります。

甘さから始まり、辛さが後からじわりじわりとやってくるのは、甘さが味覚であるのに対して、辛さが痛覚である証し。この感覚のちがいが醸しだす風味を、見事なまでにオーベルジーヌのカレーは実現させています。

「宅配のカレーでよくぞこの味まで出したものだ」。多くの人を唸らせるカレーです。

「欧風カレー オーベルジーヌ」のホームページはこちらです。宅配、持ち帰りのほか、通信販売もしています。四谷本店のほか、都内に三田店、銀座店もあります。
| - | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0)
「スパイスロード」の一番星カレー――カレーまみれのアネクドート(42)


福岡の中心街、天神から西鉄に乗って2駅。西鉄平尾駅で降りて百年橋通りを東へ500メートル。マンションの一角を左に曲がります。

この道順は、インドカレーの店として呼び声の高い「スパイスロード」を来訪するためのもの。店に看板はありません。でもスパイスの香りで「ここか」とわかります。

店のドアに貼られているのは、「うまさ優先 今月いっぱい八百円 一番星カレー」の貼り紙。店のなかに入ると、目に飛び込むのがピンク色の壁。そして、厨房で座って客待ちをしているマスター。

「きょうは800円のカレーだけですけれど、いいですか」とマスターは客がくるたびに確認します。ほかのメニューはなし。マスターが研究開発したカレー1品を、客は食します。ただし、ライスは白いふつうのライスのほか、“黄金のライス”、さらに“ハーフ・アンド・ハーフ”まで選べます。漬物もらっきょうとパパイヤ漬けを選べます。

1品のみだからかマスターの手際はよく、「きょうは800円のカレーだけですけれど、いいですか」から3分ほどで一番星カレーが出されます。

店の内装は歓楽街のパブのごとし。いっぽうで、出されるカレーは上品そのもの。タージマハルを連想させるような白くて丸い皿のくぼみにはカレールゥ。鶏のもも肉が行儀よくみっつ並んでいます。その奥には、白と黄金でわけられたライスの小山。頂には、らっきょうがふたつ、自己主張することなく乗せられています。

ルゥの味は、食べはじめから辛さが口を襲うようなことはなく、何種類ものスパイスがあとになって効いてくる“じわじわ系”です。味のバランスは、マスターが研究を重ねた末のものなのでしょう。べつの時期には「インド修行カレー」なるメニューも出されていました。

店の雰囲気を味わい、マスター入魂のカレーを味わう。昼の短い時間、数坪の狭い店はもはや別世界。二重の味わいを経験した客は店を出て、いつもの福岡の街へと戻っていきます。

「スパイスロード」の食べログ情報はこちら。
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「野菜を食べるカレーcamp」の一日分の野菜カレー――カレーまみれのアネクドート(41)


カレーは、その個性的な味から、しばしば主役の座をうばうもの。カレーの辛さゆえに、カレーまみれになる食材の味を“上書き”してしまうことがあります。

しかし、カレーを主役でなく、具材のひきたて役に位置づけているカレー屋もあります。

たとえば、東京・千駄ヶ谷にある「野菜を食べるカレーcamp(キャンプ)」。代々木駅から商店街を歩くこと5分、ビルの半地下にあるカレー屋です。

店名にもあるように、「野菜を食べる」ということが店のコンセプト。店へと降りていく階段や、入口の脇にも、ところ狭しとトマトやたまねぎやにんじんなどの野菜がごろごろ置かれています。

「camp不動の一番人気」と献立にも書かれてあるのが、「1日分の野菜カレー」。「1日分」というのは、国が推奨する1日分の野菜摂取量とおなじ350グラムの野菜が使われているから。まさに、店のコンセプトを具で表したメニューといえます。

木製のテーブルに、飯盒炊爨の容器に入ったスプーンと、金属器の水、さらに遠足で使うケトルに入ったおかわりの水が置かれ、待つこと数分。「1日分の野菜カレー」の登場となります。

具である野菜を主役に、カレーを野菜の引き立て役にするというのは、そうかんたんなことではありません。たいてい、野菜にくらべてカレーの味がとても強いからです。

しかし、キャンプはこの難題に挑んでいます。

カレールゥの味は辛さ抑えめ。客は、ルゥを通常より辛くすることを選べはします。しかし、通常の辛さがもっとも野菜の味をひきだすようになっています。

さらに、野菜の量も、ルゥを圧倒させています。トマト、たまねぎ、なす、ピーマン、小松菜、ジャガイモ、れんこん、パプリカ、にんじんなどなど、小さなフライパンの器のなかに、野菜がてんこもり。

野菜が盛られているなかに、カレーがかけられているという構図です。

ごろごろとした野菜は、どれもほかのカレー屋の具にくらべて大きめに切られています。一口目はれんこん、二口目はたまねぎ、三口目はピーマンといったように、一口につき1種類の野菜を楽しむことができます。

ここまで野菜が主、カレーが従であれば、「カレーなしで野菜だけを食べさせればよいではないか」と考える人も出てくるでしょう。しかし、ルゥにはルゥで、引き立て役という重責を担わされているのです。それzれの野菜をばらばらに存在させず、つなぎあわせるのがカレーの役割です。

24席の小さな店のなかで、「キャンプ」感を味わえるかどうかはべつとしても、「野菜をおいしく食べる」ということにはどの客も満足することでしょう。

野菜を食べるカレーcampの食べログ情報はこちら。
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「琉球珈琲館」の古酒仕込み・極上あぐーカレー――カレーまみれのアネクドート(40)


那覇の繁華街といえば、県庁前と牧志をむすぶ国際通り。戦後の焼け野原からの復興を象徴する意味で「奇跡の1マイル」ともよばれています。

この国際通りのちょうどまんなかあたり、みやげもの屋やバーが建ち並ぶなかに、「琉球珈琲館」という喫茶店があります。

たてものの2階へと階段をのぼっていくと、店のなかにはアンティークショップのような雰囲気。お土産用の琉球陶器や泡盛の酒瓶、それに本などが棚に飾られています。窓の外には、国際通りを行き来するタクシーや観光客の姿が見えます。

この琉球珈琲店で食べられるカレーは、「ラフテーカレー」。メニューには「古酒仕込み・極上あぐーカレー」と書かれています。

ラフテーとは沖縄の郷土料理のひとつで、三枚肉を使った豚の角煮。琉球王朝の宮廷料理だったとされます。琉球地方には、肉食の習慣が古くからありました。

おなじく沖縄では名産の鬱金(ターメリック)に染まったライスがこんもりとよそわれています。さらに、ガーリックトーストとローリエ、クリームソース、それにルゥやトーストに散らされた葉の葉が、皿をにぎやかにさせています。

カレーの名にも付いている「あぐー」というのは、豚の品種。琉球の在来豚「アグー」の血を半分以上ついでいる豚が「あぐー」。5粒がごろごろとルゥのなかにひたっています。

スパイスは、これまた琉球名物である古酒(クース)で練り込み熟成させたもの。このスパイスを使ったルゥの味は控えめで、さほど辛くはありません。そのぶん、古酒で仕込んだという「あぐー」に染み込む豚の味がにじみ出てきます。

琉球のカレーを感じられるカレーです。「琉球珈琲館」の食べログ情報はこちら。
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「ガラク」のやわらかチキンレッグと野菜スープカレー――カレーまみれのアネクドート(39)


「札幌とカレー」といえば「スープカレー」を連想する人も多いでしょう。ルゥに小麦粉や油などでとろみをつけることなく、さらさらとしたスープ状のルゥと具材をおわんのなかによそいます。

1970年代に札幌で誕生したというのが定説。何度か全国的なブームも起きました。ブームが起きれば、スープカレーを出す店の数も増えるもの。小麦粉や油を抜いただけの、形式的なスープカレーなども出てくれば、「店で出すスープカレー全体」としての質は落ちてしまうことになります。

しかし、本場の札幌には「さすが本場」と客をうならせるようなスープカレー専門店もあります。

札幌の歓楽街すすきのの交差点から北に1ブロック、東に2ブロック行ったところにあるのが、札幌スープカリー専門店「ガラク」(GARAKU)。店は2階だてのたてものの2階。スキー場のロッジにあるような幅のせまい木の階段をのぼって店に入ります。

扉をあけた瞬間ただよってくるのは、香辛料を焦がしたような香ばしい空気。カントリー調で統一された店内の雰囲気とあいまって、はじめて訪れた客に期待を抱かせます。

上の写真にあるのは、「やわらかチキンレッグと野菜」。黒い陶器の皿には、熱のこもったカレースープ。それに、にんじん、じゃがいも、れんこん、キャベツ、パプリカ、ブロッコリーなどの野菜。さらに骨つきの鶏肉がまるごと入っています。

スープのなかにまぎれているのは黒い粒々。店内にただようスパイスをこがしたものなのか、たまねぎや香草を炒めたものなのか、味にコクが出ています。

しかし、ガラクのスープカレーの味の驚きは、その先に待っています。なかでも舌と鼻に大きな衝撃をあたえるのは、鶏肉とブロッコリー。具材としてただスープのなかに入っているのではありません。どちらも“味の二段構え”があります。

まず鶏肉。手間暇をかけて、香草で味付けをしているのでしょう。辛いカレースープとはまたべつの香ばしい風味が口のなかに広がっていきます。

さらにブロッコリー。カレーのなかのブロッコリーといえば、脇役であることがほとんど。このスープカレーでも見た目は脇役です。

しかし、客はこのブロッコリーを口に入れたとたん、ただの脇役ではないことに気づきます。なかには、ブロッコリーを食べた瞬間「あっ!」と思わず感嘆の声が口からもれでてしまう客もいるほど。

ブロッコリーは素揚げされているようです。もし、味に「こんがり」という表現が使えるならば、まさにこのブロッコリーのしあがりは「こんがり味」。カレースープの辛さがしばし脇にやられてしまうほどの強烈な風味です。

しかし、それだからといってカレーの味のなかでこのブロッコリーの味が浮いてしまうわけではありません。

ガラクの店員たちは、スープカレーという食べものに対して、研究に研究を重ねてきたのでしょう。店にただよう香ばしい空気で沸きおこる期待をけっして裏切りません。「さすが本場」と客を驚かせるスープカレーです。

ガラクのホームページはこちら。
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2012年のアネクドートも、科学からカレーまで


「アネクドート」とは、「小話」や「逸話」のこと。「科学技術のアネクドート」では2012年も、世の中のアネクドートを記事にして伝えていきます。

東日本大震災というとても大きなできごとがあった翌年にあたる2012年。ことしはどのようなことがおきるでしょうか。大規模な組織からは伝えられないような、「こんな側面もある」といった記事を伝えていきます。もちろん、ニュース性のまったくないような、重箱のすみをつつく内容の話も積極的に伝えていきます。

一話ごとの記事とともに、つぎのような連載も2011年までにひきつづき、つづけていきます。

カレーへの探究「カレーまみれのアネクドート」は、2011年までで38回をむかえました。これまでには、カレーを撮るために手にしていたiPhoneをすべらせて、カレールゥのなかに入れてしまうことも多々。2012年も、全国のさまざまなカレーに直面し、香辛料とライスが醸しだす“味の調和の妙”を伝えていきます。

世の中の法則にも目を向けています。「法則古今東西」は、自然科学、社会科学、そのほかの分野をふくめ、「法則」とよばれているものをひとつの記事でひとつとりあげ、その法則が導き出されるようになるまでの逸話などを伝えていきます。2011年までで18回を重ねました。

「sci-tech世界地図」というシリーズ連載では、世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介しています。

また、書評では、科学技術関連の本を中心に、その本の読みときかたを含め、新旧国内外をとわず、本を評していく予定です。

2012年も、当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
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「マッチポイント逗子店」のチキンエッグカレーライス――カレーまみれのアネクドート(38)

三浦半島の相模湾に面した逗子市は、小高い山や崖の多い街。狭い道に車と人がしげく通っています。そんな逗子の街の一角にあるのが「マッチポイント」という店。海のほうへと向かいバスがひっきりなしに通る道路に面したバーです。

入口のとびらの小ささにくらべて、店のなかはカウンター席のほか、テーブル席もいくつかあって広め。カウンター奥にはバーらしく酒瓶がいくつも置かれ、逗子の海に落ちていく夕日に反射して輝いています。

ビール、ワイン、カクテル、フードと、豊富な献立。なかでもカレーライスの種類は豊富です。ランチタイムには、エッグ、トマト、チキン、きのこ、ナス挽肉、ポークなどのカレーが献立表にならびます。

15時以降のバータイムには、チキンエッグカレーライスも。黒い大皿に盛られて出てくるのは、カレールゥ、ルゥに乗った骨付き鶏肉と半熟卵、それに量感のあるライス、ライスの横にそえられたサラダ。

カレーライスを構成するすべての具材がしっかりと存在しています。それでいて「自分が主役」と自己主張しすぎることはありません。ルゥはマイルド。鶏肉は味付け控えめ。卵には粉チーズがかかっていますが、むしろ卵はルゥとの相性がよし。どんな酒にも合いそうな、バーのカレーです。

店内に流れる音楽はスローテンポのレゲェ。ゆったりと逗子の日暮れ前の時間は流れていきます。

「マッチポイント逗子店」の食べログ情報はこちら。
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「新川デリー」のカシミールカレー――カレーまみれのアネクドート(37)


東京・中央区の永代通りを日本橋から東に進んでいくと、地下鉄茅場町駅と門前仲町駅のあいだに、新川という埋立地の小島があります。さらに進むと青い光でライトアップされた永代橋。でも、橋は渡らずに道を南へ折れて徒歩5分。「新川デリー」が街なかのビル1階にたたずんでいます。

東京のカレー屋で「デリー」といえば、ルウの茶色さと辛さで有名な「カシミールカレー」を出す、湯島や銀座の「デリー」がよく知られています。

新川にある「新川デリー」は、銀座デリーの元店長だった浅野秀夫さんが独立して開いたお店。名前に「デリー」とあるように、“のれんわけ”をした店で、皿にも湯島や銀座のデリーのロゴマークが入っています。

新川デリーの献立表にも、「カシミールカレー」「コルマカレー」「インドカレー」と、湯島や銀座のデリーとおなじ料理名が見られます。すると、湯島や銀座のデリーをよく訪れる客は、新川デリーの味とくらべてしまうもの。

たとえば、辛さ五つ星の「カシミールカレー」。ルウとライスがべつべつに出されてくるのは湯島のデリーといっしょです。

いっぽう、わずかながらのちがいもあります。新川デリーでは、びんのなかに入ったチーズが添えものとして出されます。湯島や銀座にも出されるピクルスと味付けたまねぎはいっしょ。

カレーの具のほうは、新川デリーのほうがじゃがいもがすこし小ぶりのようではありますが、大きな鶏肉が三つ入っているのはかわりありません。

残るはルウの味。新川デリーのほうが湯島のデリーより若干、辛さが抑えられています。また、バターが多く使われているのでしょう。“丸まった味”を出しています。「辛くて食べるのがたいへん」といったまでではありません。

ただし、新川デリーには、辛さ五つ星の「カシミールカレー」の上をゆく、辛さ五つ星のさらに3倍の「ストロングカシミールカレー」や、辛さ五つ星に「?」が加わった「ハバネロカシミールカレー」も、限定メニューとして食べることができます。辛さの極みは、これら限定カレーに譲ったとも考えられます。

新川デリーのカレーの味こそ、「デリー」のカレーの本来の味と評する人もいるくらい。デリー初期の味は、東京の小島の店で受け継がれているわけです。

新川デリーのホームページはこちら。
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「たいめいけん」のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(36)


東京・日本橋には、橋を中心に、三越、高島屋、太樓總本鋪、山本山などの、古くから続いている店が多くあります。

洋食屋の「たいめいけん」も、そのひとつ。1931(昭和6)年、料理人の茂出木心護が中央区新川の地に「泰明軒」という洋食屋を開いたあと、1948(昭和23)年、日本橋に店を移し名も「たいめいけん」と改めました。

以降、ビジネス街ではたらく人びとの胃袋を満たしつづけてきました。昼11時45分にもなると、店の前では行列ができ始めます。そして、客で満たされた店のなかでは、ウェイトレスがせっせかと注文をとったり、料理を運んだりしています。

ここは洋食屋。もちろん、メニューの中には、「カレーライス」があります。各50円という破格の値段のコールスローやボルシチとともにカレーライスを頼む人も多いもよう。

ウェイトレスに注文をしてから5分。出されるカレーライスは、「カレーライス」というよりむしろ「ライスカレー」とよぶにふさわしいような、古風なカレーです。

肉は、東日本でよく使われてきたポーク。そしてルゥは、小麦粉が多く使われたもので、“とろとろ”というより“ぽとぽと”としています。そして、カレー専門店などで食べるカレーに比べると、辛くもありません。

たいめいけんのカレーライスは、インドカレーとは遠く離れ、英国カレーとも一線を画す、まさしく「日本のカレー」といえます。

たいめいけんのホームページはこちら。
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「インドカレー カーマ」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(35)


カレーの印象を決める大切な要素に「粘度」があります。小麦粉、それにたまねぎや肉などの具材が溶けこんだ粘り気のあるルゥであるか、香辛料と水分だけでスープのようにさらさらとした粘り気のないルゥであるか、その度合が粘度です。

本場インドのカレーでは、北へ行くほど粘度が増してポタポタといった感触になり、南へ行くほどサラサラとした感触になります。

日本のカレー激戦地帯である東京・神保町でも、カレールゥの粘度はさまざま。なかでも、「インドカレー カーマ」のチキンカレーは、一、二を争うくらいのルゥのサラサラ度です。

白い皿にご飯が盛られます。そこにスープのようななかば透明のルゥが掛けられます。「盛られる」というより「掛けられる」という表現のほうが合っているでしょう。そして、一口で食べられるか食べられないかの大きさのじゃがいもや鶏肉がよそわれます。これにピクルスと干しぶどうのハチミツ漬けが添えられます。

はじめからご飯がルゥに浸っているので、かき混ぜる必要もありません。スプーンでご飯をすくうと、スプーンひたひたにルゥが入ります。まずは、これを口に。そして、ときどきじゃがいもやチキンなどの具も口に。たまに休憩でピクルスや干しぶどう。こうして、なかば胃にかきこむような気分で、カレーをサラサラと食べていくことになります。

辛さは、ピリリとするくらいの強さはありますが、辛くて辛くて食べられないほどではありません。このあたりのバランスは、店主の試行錯誤のうえで導き出された“黄金比”なのでしょう。

神保町界隈のカレーの粘度はポタポタからサラサラまで幅広いもの。そのなかでもカーマのチキンカレーは、サラサラを支える重要な役割をになっています。

「インドカレー カーマ」の食べログ情報はこちら。
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「エムシー・カフェ 丸の内オアゾ」のビーフカレーライス――カレーまみれのアネクドート(34)


欧風カレーを出している洋食屋や喫茶店のなかには、ハヤシライスを献立に並べているところがあります。

「ご飯にソースをかける」というかたちが似ていることから、カレーライスとハヤシライスは比べる対象になりがち。そして、たいていの店では、カレーが主役を貼るのに対して、ハヤシライスは脇を固める役に回ります。

そんななか、書籍や高級舶来品の店として丸善のカフェでは“逆転現象”が起きています。東京・日本橋の旧本店や、丸の内の新本店のカフェでは、献立表の最初に写真とともに紹介されているのが「早矢仕(はやし)ライス」。

「早矢仕」とは、丸善の創業者である早矢仕有的(はやしゆうてき、1837-1901)の名字。ハヤシライスは、この早矢仕が丸善ではたらく丁稚にふるまった料理だったという説があります。丸善としては、“ハヤシライス発祥の地”を全面的にアピールしようとしているわけです。

そのため、マルゼンカフェにおいては、カレーライスは珍しくも、ハヤシライスの脇を固める役まわり。献立表には「早矢仕とカレーの2色ソースライス」や「早矢仕とカレーの2色オムライス」といった、調和的あるいは呉越同舟的な食べものもあります。

とりわけハヤシライスをおすすめしているカフェで給仕されるカレーライスはどのようなものでしょうか。丸の内本店4階のマルゼンカフェ入口のショーケースには「オリジナルビーフカレーライス」のサンプルが置かれていません。献立表に載っているのみです。

しかし、ハヤシライスを押し出す店だからといって、カレーライスにもぬかりなし。皿に楕円形に盛られたライス。ライスの上には、小さく刻まれたパセリ。そして、上品にかかるカレーのルゥ。

野菜はルゥに煮込まれていて、ほとんど姿が見えません。そのぶん、自己主張しているのが牛肉。丸い皿、丸く入れられたルゥのなかに、四角いかたちで5つほど入っています。

味は、カレー粉の辛さよりもソースの上品さが上回ります。ご飯の量とソースの量の比率もちょうどよいくらい。そして牛肉はかなり固めで、しっかりした歯ごたえがあります。

「主役はハヤシライス」と、“運命づけられた店”で、カレーライスはしっかりとその存在意義を保っているのでした。

「M&C Cafe 丸の内オアゾ」の食べログ情報はこちら。
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「サイゼリヤ」の野菜のカレードリア――カレーまみれのアネクドート(33)

焼きカレーが2000年代に入り一時期ブームになりました。ライスの上にカレーをのせ、さらにその上にチーズをまぶして焼いた料理です。

北九州の門司港が発祥の地とされており、門司港周辺の多くの喫茶店などでは、焼きカレーが献立として出されています。しかし、ふつうのカレーライスにくらべると、全国で焼きカレーを出している店はさほど多くありません。

そうしたなか、「これって、焼きカレーではないか」と噂がたっている店の献立があります。

サイゼリヤの「野菜のカレードリア」です。

サイゼリヤは、ファミリーレストランの全国チェーン店。徹底した効率化などで値段を抑えているわりには、おいしいという評判が多く聞かれます。

店の献立のなかには、「野菜のカレードリア」があります。サイゼリヤの代表的な献立のひとつが299円の「ミラノ風ドリア」ですが、その脇を固めるように、399円の「野菜のカレードリア」があります。

皿の中央の6割がたはチーズの焦げ目で覆われています。そのまわりは焦げていないチーズ。スプーンやフォークでこの表面を割ると、なかからターメリックで色付けされたライスが現れます。

焼かれてさくさくしたチーズと、水分を抑えめにしてあるライス、さらに自己主張をしすぎないカレーの風味が相まって、カレードリアの味をつくります。

「ドリア」とは、バターライスや具の入ったピラフにホワイトソース・チーズをかけてオーブンで焼いた料理のこと。このチーズの部分にカレー味をつけて、野菜を多めに乗せたのが、「野菜のカレードリア」。

いっぽう、「焼きカレー」は、米飯のうえにカレーソースとチーズなどをのせオーブンで焼いたものが一般的です。

つまり、「野菜のカレードリア」と「焼きカレー」はほぼいっしょということができます。

焼きカレーがブームになっても、サイゼリヤは「野菜のカレードリア」を「焼きカレー」とは名のりません。伝統的な焼きカレーに対する敬意の表れでしょうか。

ちなみに、2011年6月4日(土)現在、サイゼリヤのホームページのメニューに「野菜のカレードリア」は載っていませんが、各店では献立として出しています。いちおう、サイゼリヤのホームページはこちら。
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「シネ・マッド・カフェ」のチキンと茄子のココナッツグリーンカレー――カレーまみれのアネクドート(32)


東京・押上は、634メートルの東京スカイツリーをほぼ真下から見あげる街。川をわたる橋の歩道では、観光客がみなカメラを空のほうへ向けています。

スカイツリーのふもと、業平橋駅から徒歩1分のところに、真新しい「シネ・マッド・カフェ」というカフェがあります。2011年3月に開店したばかり。

外の光をとりいれた開放的な店内。白壁には映画のポスターがところせましと掲げられています。本棚には、映画にまつわる本などがいろいろ。「映画館のロビーのような小さな喫茶店」を目指しているとのこと。

メニューは、コーヒーやアルコールなど飲みものが中心ですが、食べものではカレーが充実しています。「オリジナルカレー」としてメニューにあるのは、ヨーロピアンカレーのチキンとビーフ、それに海老と茄子のココナッツカレー。

お昼の時間帯にはランチメニューもあり、カレーを中心とした2種類ほどのセットを選べます。写真にあるのは、ある日、セットの一つとして出されていた「チキンと茄子のココナッツグリーンカレー」。

汁は、「カレールゥ」というよりは「カレースープ」といった表現がにあうほど透明感があります。その汁の中に鶏肉と茄子がごろごろ。具はたくさん入っています。

ご飯は日本の米。カレースープをすくうスプーンで具とスープをご飯の上に乗せると、具はご飯の上に、スープはご飯の下に。

スープの味は、だれもが食べられるようにしているためか辛くはありません。その分、鶏肉や茄子などの具のほうを味わうことができます。

カレーが出てくる前には、温かいグリーンピースのポタージュ。カレーを食べた後には、ジャムが乗ったチーズケーキとソフトドリンクが出されました。

「映画を語らうカフェ。でも、飲みものや食べものには手を抜かない」。そんなお店主の志がただよう店とカレーです。

シネマッドカフェのホームページはこちら。店のホームページによると、ランチメニューは一週間ごとに内容が変わります。
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「八木カレー」のオリジナルベースインドカレー激辛――カレーまみれのアネクドート(31)

熊本の中心街から路面電車で10分。蔚山町という電停でおりて5分歩くと、古城町という街に「八木カレー」があります。

熊本城の高台のふもとの街の一角、白塗りの壁の2階建てのたてものの1階がお店です。おもてから見ると、カウンター数席の小さな店内に見えます。でも、入ってみると奥行きがありテーブル席があるとわかります。

“激辛カレー”で知られる店。品書きの黒板が壁に掲げられてあります。オリジナルベースとココナッツベース、インドカレーとエッグカレーとマトンカレーなど、そして、マイルドと中辛と辛口と激辛の各種からカレーを選びます。

オリジナルベースのインドカレーの激辛が、奥の厨房で主人によってつくられ出てきます。大海に浮かぶ孤島のように、ライスがこんもりと盛られ、ルゥにひたされています。

見た目がまっ赤というわけではありません。しかし、茶色いルゥには、辛さのもとになる香辛料のちいさなつぶつぶが多く入っています。ライスも鬱金で黄色くしただけでなく、カレー粉をまぶしてカレーピラフのようにしているようです。

激辛カレーのワンスプーン目。

ほんの3秒も経たぬうちに、実直なまでの辛さが舌から脳に伝わります。

辛さには「じわじわと来る」とか「辛うまい」といった表現がよく使われるもの。しかし、この激辛カレーはそんなものではありません。はじめから辛い、「剥きだしの辛さ」です。

辛いカレーでは、いっときのオアシスとなるのが具。じゃがいもや鶏肉などを食べることで、いっときだけ辛さから遠ざかることができます。

このカレーの具は、じゃがいも、かぼちゃ、えのきだけ、かいわれ、おくら、まめ、などなど。あまりに激辛のため、これらの具がオアシスにはなりません。むしろ、具に残る熱さが、辛さを助長させて、よけいに辛いほどです。

頼れるものは、たまねぎの酢漬けと水ぐらい。食べるたびに汗と鼻水がでてきます。

それでも、まったく歯が立たないわけではありません。

登れないと思えるような高い山も、一歩ずつを積みかさねていけば、頂にたどりつけるもの。辛くて食べきれないと思えるカレーも、ワンスプーンずつを積みかさねていけば、完食にたどりつきます。半分、苦行ですが……。

食べている最中は「激辛にするのではなかった」と思っても、食べてから幾日もたつと「食べに行こう」と思わせるのがカレー。この店には再訪客が多いもようです。

八木カレーの食べログ情報はこちらです。
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「ナッシュカリーアメリカン本店」のナッシュカリー――カレーまみれのアネクドート(30)


蔵の街、倉敷発の“アメリカンカリー”が、中国地方そして東京を席巻しています。

倉敷市の中央にある美観地区から歩くこと30分。蔵のたたずまいはどこにもなくなり、広い道と田んぼとコンビニエンスストアが見えるふつうの住宅街に、カレーの香りが漂います。

西中新田にあるのが「ナッシュカリーアメリカン」本店。倉敷のカレーといえば、このナッシュカリーが代表格といわれています。倉敷市内3店だけでなく、おとなりの岡山市に2店、さらに広島県福山市に2店、さらにさらに東京の大田区にも東京本店があります。

ナッシュのカリーは“アメリカン”。献立のいちばん上に書かれた「ナッシュカリー」には、ナス、シメジ、ホウレンソウ、チンゲンサイ、それに豚バラ肉が豪快に入っています。キャンプの飯盒炊爨で豪快に具材をぶち込んでつくったよう具だくさんの内容。ご飯はターメリックで薄黄色に染まっています。

店のなかは、家族づれも多く、親子のあいだで「うまいじゃろ」「そうじゃろ」と岡山弁が飛び交っています。そして日本人の店員もみなアメリカンっぽく活気あり。

カレーのほうはというと、ルゥは辛くありません。辛さの調節は20倍までできますが、基本は甘口です。これは、野菜などの具の味を立たせるための作戦かもしれません。この店は、契約農場から仕入れた、農薬や化学肥料を使わない米や野菜を使っています。

ルゥは脇役で、むしろ野菜とターメリックライスが主役。野菜と肉と米の強い個性を、カレーのルゥが結びつけているようです。

日本のカレーといえば、本場インディアンか、輸入元ヨーロピアンか、ご当地ジャパニーズが主流。アメリカンをコンセプトに打ち出したカレーはめずらしいものといえます。

ルゥが“激辛”だったり、野菜が見えないほど溶けこんでいるようなカレーにあらず。辛さでは勝負せず、見た目でも具を多くしているあたりに、アメリカンな雰囲気が漂います。

「ナッシュカリーアメリカン」のホームページはこちら。
倉敷本店の食べログ情報はこちら。
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「クレプスキュール・カフェ」のビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(29)


図書館や博物館などの公共施設の食堂にあるカレーというと、「メニューにないとなんなので、用意してある」といったものも多くありました。

しかし、図書館や博物館がこじゃれた屋内テーマパークのように変化していくにつれ、合わせるように「食堂」は「カフェ」へ、「ライスカレー」も「カリーライス」へと変わっていくのかもしれません。

展覧会で美術作品を味わったあとはカフェへ。せんだいメディアテーク1階多目的空間の一角にあるのが「クレプスキュール・カフェ」です。

このカフェは、ベルギービールやベルギー料理が味わえる店として東京に展開する「ブラッセルズ」が運営するもの。奥のバーカウンターで店員が食べものや飲みものをきりもりし、客はテーブル席で食べたり飲んだりします。

公共施設に定番のカレーももちろん、あり。楕円形の白い皿にライスが半分、カレーが半分盛られたビーフカレーです。

特徴はルーの辛さにあり。

カレー専門店の辛いカレーにくらべれば辛くはありませんが、それでも辛いカレーの部類に入るもの。口に入れたときからストレートな刺激が伝わってきます。食べていると、だんだんと額に汗がにじんでくる辛さです。

カフェの“場所”もべつの味をそえます。せんだいメディアテーク1階の天井高は7メートル。その一角にあるカフェで、開放感にひたることができます。遠くの大きな界が作品を眺めながらのひととき。

公共施設のカレーが、かつてあまり辛くなかったのは、子どもが食べても辛すぎると感じないようにするための配慮もあったのでしょう。

しかし、自治体が企業などに公共施設の運営を委託する指定管理者制度も始まってから年数がたち、大人むけなどのコンセプトをもった館も定着化しました。この変化がカレーの味にもたらす影響もすくなくなさそうです。

クレプスキュール・カフェのホームページはこちら。
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2011年も、科学からカレーまで


ことし2011年も「科学技術のアネクドート」では、世の中の海に漂うさまざまな知識や情報を小咄にしてお伝えしていきます。

昨年2010年は、新聞社などの大規模マスメディアが、個人などの小さな規模の発信者の情報を追いかけるという現象があいつぎました。海上保安官によるユーチューブへの尖閣諸島ビデオの投稿事件や、ウィキリークスでの国家機密情報の漏出などのできごとです。

組織などの大規模な主体で伝えられることと、個人などの小規模な主体で伝えられることの棲みわけが先鋭化しています。このブログは個人という主体が伝えるもの。大規模組織からは伝えられないような、「こんな側面もある」といった記事を伝えていきます。

また、2011年度は、国の科学技術基本計画の第4期がはじまる年度でもあります。これとべつに独立行政法人の研究機関の国立化への流れも起きており、科学政策にいっそうの注目が集まりそうです。日本を中心とした科学政策の動向も追いかけていきます。

「医学・医療」や「エネルギー・環境」の分野は、これからもさらに関心が高まっていく分野になることでしょう。科学、技術、そして医学・医療におけるさまざまな研究成果や、そのサイドストーリーも紹介していきます。

カレーへの探究もつづきます。「カレーまみれのアネクドート」では、ことしも全国のさまざまカレー店に潜入(入店)し、香辛料とライスが引きだす“味の調和の妙”を伝えていきます。

また「sci-tech世界地図」というシリーズものでは、ひきつづき世界各地の“科学技術ゆかりの地”をバーチャルに訪れ、その場所で起きたできごとを紹介します。おなじくシリーズものの「法則古今東西」では、世にいわれている法則の数々をとりあげ、「公式」でも「定理」でもない世の中のおきてに目を向けていきます。

書評の頻度も増やしていく予定。新旧国内外とわず、読みごたえのある本を数多く紹介していきます。

あなたからの、「こんな催しものがあるので伝えてほしい」といった情報もぜひお待ちしています。

ことしも、当ブログへのお付きあいを、どうぞよろしくお願いします。
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秋葉原駅「タンドールガル」のチキンカレーライス――カレーまみれのアネクドート(28)


乗りかえ駅の商業施設、“駅ナカ”は、あたりまえのものになりました。「駅のカレー」といえば、定番は立ち食いそば屋のライスカレー。しかし、いまや駅ナカで本格派カレーが食べられる時代です。

東京のJR秋葉原駅は、東西方向と南北方向の電車の交差点。駅構内の1階に「トーキョー・フード・バー」というフードコートがあり、その一角に「タンドールガル」というインド料理店があります。

タンドールガルがこのたび始めたメニューは、チキンカレーライス。これまでこのお店は、ナンとカレーの組みあわせを売りにしてきました。ここに来て、王道のチキンカレーで原点回帰といったところでしょうか。

店の前で注文してまもなく、つややかな白いライスと薄茶色いルゥの面積がちょうど半々になったチキンカレーライスが出されます。

ここはフードコート。近くの食卓に座れば、左どなりのネクタイ姿のサラリーマンが食べるのはきつねうどん。右どなりの若い女性が食べるのはパンとコーヒー。食文化のるつぼのなかで食べるのはチキンカレーライス。

ルゥの中には、たまねぎと数々の香辛料が、完全には溶けずに残っています。ライスがカレールゥに染みこむまではいかないものの、汁気の多いカレーです。辛さはそれほどないものの、それでも食べているうちに静かに舌が辛さを覚えてきます。店側が付けてくれるレッドペッパーパウダーの小瓶をお好みで振るもよし。

鶏肉は、一口大のものが四つほど。香辛料が染みこんでいるわけではありませんが、歯ごたえはあり。“しっかりチキンカレーを食べている”感を覚えることができます。

「電車を乗りかえるついでにカレーを食べる」という駅ナカ食は、「カレーを食べるために電車を降りる」といったものにちょっとずつ近づいてきているようです。

「タンドールガル」は、秋葉原駅構内。ホームページはこちら。
食べログはこちら。
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「松竹堂cafe」の豆腐と野菜のカレー――カレーまみれのアネクドート(27)


東京・本郷の東京大学には、いくつもの門があります。有名なのは赤門。その北の正門も、多くの学生が行き来します。

赤門や正門に比べて、南向きに面した龍岡門は“裏門風情”が漂います。その龍岡門からかすが通りを渡ったところにあるのが「松竹堂cafe」というカフェです。

店内はテーブル席が20席ほどのこじんまりしたお店。昼間の店内では、空きコマの女子学生たちがコーヒーを飲みながら読書にひたっている姿。また、研究者が雑誌社の記者やカメラマンから取材を受けている姿も見られます。

喫茶にうってつけなカフェですが、“カフェめし”も充実。メニューに、「ステーキ丼」や「牛たんのハヤシライス」などがあるなかで、「豆腐と野菜のカレー」もあります。

出てきた大皿には、左半分に玄米のライス、真ん中に、かぼちゃ、なす、ピーマン、パプリカ、プチトマトなどの色とりどりの野菜。そして右半分にはルー。

忘れてならないのは、豆腐。揚げた一口大の豆腐が2個、自己主張をしない程度に入っています。

カレールゥはそれほど辛くありません。個性的な野菜や豆腐などの味をじゃましないほどのまろやかさです。

スプーンは木製。舌ざわりをまたやわらかいものにしてくれます。

トレーには、さらにサラダ、スープ、酢漬け野菜もついて、“健康的にしっかり食べる”ことができます。

これぞ、“カフェめしのカレー”。女子学生たちも、しっかり食べて午後の授業へと戻っていきます。

11時から22時まで営業。日曜はお休み。「松竹堂cafe」の食べログ情報はこちらです。
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「カレー屋パク森」のパク森カレー――カレーまみれのアネクドート(26)
中盛り

典型的なインドカレーや欧風カレーなどとは一線を画し、独自性をうちだすカレーがあります。東京・九段南に本店を置く「カレー屋パク森」の「パク森カレー」もそのひとつ。

ご飯が円形に盛られます。その上に、ひき肉入りのルゥを煮詰めたドライカレーが乗っかります。いっぽう、ご飯の横には、とろとろに煮込まれたルゥがかけられています。白いひとつの皿で、ドライカレーとルゥカレーのふたつを味わいます。

ドライカレーの香りが鼻に届くより前に、わずかに味噌のような風味が来ます。口に入れてからは、ひき肉の触感にくらべ、カレーのルゥのしっかりした味が強し。ご飯とドライカレーの盛りの厚さは4対1ほど。この比が、口のなかでの全体のバランスを保ちます。

ルゥカレーのほうも忘れてはなりません。野菜などの具材はよく煮込まれて、ほぼ完全にルゥに溶けこんでいます。ご飯がすべてドライカレーに隠れているため、ルゥカレーとご飯をいっしょに食べるときは、ドライカレーも加わることになります。

しかし、ルゥカレーとドライカレーはけんかをおこしません。口のなかですぐ、ふたつのカレーのボーダーレス化がおきます。しっかりした風味のスパイスが、ふたつのカレーの束ね役となっているのでしょう。

パク森は、「いろんな国のいろんなカレーのいろんな美味しさを追求したら、こんなカレーになりました」と、結果としてパク森カレーが完成したことを謳っています。「野菜、フルーツ、スパイスをふんだんに使って納得のいくまで炒めて煮込んだ日本人の口にあったオリジナリティ豊かなカレーです」。

ドライカレーとルゥカレーの二本立てという形式で独自性を出すパク森カレー。しかし、客の舌が肥える時代、ただ形式がめずらしいだけでは長つづきはしません。味で勝負するための形式なのですね。

「カレー屋パク森」のホームページはこちら。
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「門司港JAZZ INN六曜館」の焼きカレー――カレーまみれのアネクドート(25)


ライスの上にカレーをのせ、さらにその上にチーズをまぶして、ドリアのように焼く。こうしてできあがるのが“焼きカレー”です。きわものが好きなカレーファンを中心に、知名度はあがってきています。

焼きカレー発祥の地とされるのは、北九州市の門司港。港の近くの栄町銀天街にあった喫茶店で昭和30年代、余ったカレーをグラタン風に焼いたところ美味しかったため、店のメニューにしたという話があります。

焼きカレーは門司港の観光名物に。街には、焼きカレーを出す飲食店が30件ほどあります。駅から歩いて5分、港町の交差点の一角にあるのは「門司港JAZZ INN六曜館」。観光地化された広場の店とは異なる、港街の喫茶店のたたずまいです。

店の中には、カウンターやテーブルとともに、ピアノや大型のスピーカー。ここは店の中で演奏も行われるジャズ喫茶で、店内にもリズムある音が流れています。

メニュー表には、一番上にシーフードカレーがあり、焼きカレーはその次。焼きカレーを前面に押し出さないあたりが、この喫茶店の小さな誇りと余裕を感じさせます。

注文から10分ほどで出てくるのは白い皿によそられた焼きカレー。皿には、ところどころ皿に焦げあとがあり、多くのカレーを焼いてきたことがうかがわれます。

焼きカレーは三層をなしています。上は焦げ目のついたチーズ。その下には水分のおさえられたカレールゥ。その下にドリア風になったライスがあります。

1スプーン目。まず、舌がチーズの香ばしさを、歯がカリカリ具合を感じます。チーズの量はたしかに多めですが、決してカレーの主役の座を奪いません。大いなる引き立て役です。

いっぽうのカレーの風味は、すこし遅れてやってきます。チーズに味を打ち消されるわけでなく、しっかりとした味でライスを覆います。具にはあさりなどの魚介類が入っています。

2スプーン、3スプーンと進み、舌がじょじょに慣れていくと、口の中でチーズとカレーの風味が渾然一体となっていきます。そして、次の山場はスプーンが半熟の卵を割ったとき。色は目立ちませんが、とろとろとした卵の中身が焼きカレー全体にしみていきます。

昭和30年代、すでにカレーはインド料理や西洋料理からは独立した日本食となっていました。一方、グラタンやドリアなどの洋食は、いまほど食べられていなかったに違いありません。日本と西洋の二つの料理が、皿の中で焼かれて一つの料理になったのです。ハイカラな料理は港町から生まれます。

「門司港JAZZ INN六曜館」の情報はこちらでどうぞ。
| - | 23:53 | comments(0) | -
「タージマハール新橋店」のターリー――カレーまみれのアネクドート(24)


「タージマハール」といえば、インド北部のアグラにある“みたまや”。ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハンが愛する妃のために建てたとされています。そんな「タージマハール」が、東京のサラリーマンのメッカ、新橋にもあります。

新橋駅から南西に歩いて10分。繁華街のはずれにあるインド料理屋です。日本のインド料理屋「タージマハール」という名は、さながら海外の寿司屋に“Fuji”などと名がついているようなものなのでしょう。

赤い看板のある入口から階段で地下の店へ。

店の中には、日本のすだれが掛かっていたり、西欧のクラシック音楽が流れていたり、インドカレーの香りがただよったり。国際的な雰囲気がただようのは、意図的というよりも結果的です。

この店のメニューは、「大皿」を意味するターリーのセット、または、カレーの単品が中心。タリは、カレー2種類と、鶏と豚の肉を焼いたもの、サモサ、サラダ、チャパティ、そして薄く色のついたサフランライスが大皿に盛られています。

カレーは、チキン、ポーク、ビーフ、チャナ豆などから選べ、さらに辛さも甘口、中辛、辛口の3段階があります。チャナ豆は、小指の先の大きさほどの丸い豆。小皿に20粒ほど入っています。

ルゥは、サフランライスの中にしみ込んでしまうほど、さらさら。タージマハールは北インドにあるものの、ルゥのさらさら度は南インドのカレーです。辛口のルゥは、スパイスが皿の底のほうにたまるのか、食べていくうちにだんだんと辛くなり、最後のほうは激辛に。

辛いカレーを求めて店に来る客も多いもようです。「タージマハール新橋店」の食べログ情報はこちら。
| - | 20:48 | comments(0) | -
「デニーズ」のインド風デリチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(23)


ファミリーレストランでも、カレーは献立からは外せなくなった一品です。たいがいは、欧風カレーが用意されている模様。

いっぽう、ファミリーレストランのデニーズは2010年夏、世界各地にちなんだ本格的なカレーのメニューを出しています。

「デニーズ世界のカレーツアー」と銘打ったもので、インド、欧州、日本、そしてサッカーワールドカップの開催されている南アフリカにちなんだカレーを用意しています。

「インド風デリチキンカレー」は、香辛料と鶏肉を多く使ったもの。こう診療に加えて、トマト、ヨーグルト、たまねぎなどを混ぜ合わせた、王道的なインド風カレーです。ご飯と、ルウは、べつべつの器に入れられてやってきます。底の深いスプーンで、鶏肉やルウをすくって、ご飯に掛けていきます。

鶏肉は、ごろごろとした胸肉が使われていて、一口で食べるにはちょうどよい大きさ。また、ルウには辛さもあります。ファミリーレストランというと、レギュラーメニューでは辛さ抑えめながら、口がひりひり感を覚えるほどの辛さです。

「ファミリーレストランのカレー」から脱却するひとつのかたちが「世界のカレーツアー」には見られます。

デニーズの「世界のカレーツアー」ホームページはこちら。
| - | 23:59 | comments(0) | -
「キッチン南海」のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(22)


背広を脱いだサラリーマンが汗を拭いながらスポーツ新聞をよんだり、学生が古本屋で買ったばかりの文庫をよんでいたり。気どらない洋食屋が、東京・神田神保町にある「キッチン南海」です。

店を入ると狭い通路とカウンター。その奥に4人がけのテーブルがありますが、一人客が相席で座っていることもしばしば。店のなかは、カウンターごしの厨房でコックがフライパンで肉を炒めている音が響きわたるばかりです。

洋食屋のカレーライスというと、ハンバーグや揚げものなどがならぶ献立の“脇をかためる”存在になりがちです。キッチン南海のカレーライスはそうではありません。客は、しょうが焼きとフライの定食を注文するか、カレーライスやカツカレーなどのカレー類を注文するか、大きくふたつにわかれています。

キッチン南海のカレーライスは、これまた気どらないカレーライス。大皿に盛られたライスにルウがたっぷりと掛けられる、ただこれだけです。

はじめてカレーライスを頼む客は、ルウの色に驚くことでしょう。典条の白色灯に照らされたルウが黒光りしています。カウンターにおいてある揚げもの用のソースとくらべても遜色ないほどの色の濃さです。

ところが味のほうはソースっぽくありません。色ほどにこてこてもしていません。辛さでいえば中辛。辛さよりもコクで味わわせるカレーです。気持ちやわらかめのライスとの相性もよし。

キッチン南海に足しげくかよう客は、きょうもまた店の前で考えているかもしれません。「きょうは、しょうが焼きで行くか、それともカレーにするか」と。

キッチン南海神保町店の情報は、こちらで。
| - | 23:59 | comments(0) | -
「ボンディ」のチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(21)


東京・神保町には、靖国通りという大きな通りがあります。この通りの南側には古本屋が軒を連ねています。古本屋が南側だけに並ぶのは、北側に本を置くと日差しを受けて本が痛むからとか。

この靖国通りの南側の一角「神田古書センタービル」のなかに「欧風カレーボンディ」があります。靖国通りから一本南へ、細い裏路地から建物に入り、細い階段を上って2階へ。奥から香辛料の香りが漂ってきます。

店の中は、木製のテーブルと壁の絵画。白抜きの明朝体で「非常口」と書かれた誘導灯が昭和を感じさせます。

「欧風カレー」の冠がつくように、ボンディのカレーはフランス仕込みのソースを基本としたもの。「ブラウンソースをベースにカレーの素材を加え、出来上がったものがボンディのカレーソースです」(店のホームページ)。

メニューは、ビーフ、ポーク、チキン、エビなどの各カレーとご飯、じゃがいもが付きます。サラダやマリネなどの副菜もあり、背広姿の集団が皿を分け合って食べます。

カレーとご飯は別の皿で出されます。チーズが散りばめられたご飯の上にルーをかけると、ごろごろした鶏肉もご飯の上に。

ルウは、はじめ口に入れたときは“甘み”から入ります。その直後、口のすべての方向に辛みが広がっていきます。追いうちをかけるように、カレーの熱でとけはじめたチーズが、自己主張のない程度にまろやかさを加えていきます。

具は鶏肉のほかの野菜はすべてルーにとけこんでいます。鶏肉は、男性でも一口では食べられないほどの大きなものが3つほど。程よいやわらかさです。

欧風カレーの王道を行くボンディ。今日も若い客の語らいの声がたえません。

都内・都下にはチェーン店もあります。ボンディのホームページはこちら。
| - | 23:59 | comments(0) | -
「カレーの店 夕月」の夕月カレー――カレーまみれのアネクドート(20)


長崎市内で展開する「カレーの夕月」のカレーは、見た目が特徴的です。

盛られるルーは、ショッキングピンクあるいはサーモンピンクがかった色。真白なご飯の色と対照的。この生えたルーの色がちょうど三日月のようなかたちをしています。

味のほうは、食べていくうちにじんわりと辛くなる程度で基本は甘みの強いカレーです。ほのかに、ポタージュあるいはクリームシチューのような風味が鼻に届きます。

お店のホームページにも「実はどちらかと言うと、想像以上にまろやかな風味のカレーなのです。カレーなのにまろやかな味の秘密、それは夕月カレーの誕生から一度も変わっていないスパイスの調合と、ルゥの中に溶け込んだ野菜とのバランスにあります」とあります。

市内のショッピングモール「みらい長崎ココウォーク」にある支店の店員いわく、「色が関わっているって……。そうですね、うふふ。何が入っているかですって……。それは秘密です」とのこと。やはり企業秘密のようです。

具は少なめながら、ルーとご飯がちょうどよい按配の比率。ペース配分に苦労することなく食べることもできるでしょう。

夕月は創業1958年という地元では伝統的なカレー店。お店のホームページから、カレーパックを購入することもできます。

「カレーの店 夕月」のホームページはこちらです。
| - | 23:59 | comments(0) | -
更科藤井のカレー南ばん――カレーまみれのアネクドート(19)


北陸・金沢の街にかかる犀川大橋の北詰、片町の繁華街に蕎麦屋「更科藤井」はひっそりとたたずんでいます。

「蕎麦屋とは思えぬ居酒屋風情」とよく評されるこのお店。かつては蕎麦屋こそが酒を呑む店だったことを考えれば、「居酒屋風情がいまも残る蕎麦屋」といったほうがふさわしいのかもしれません。

もちろん蕎麦屋なので蕎麦の献立は揃っています。かけそば、たぬきそば、しいたけそば、たまごそば……。

カレー南ばんもあります。店の名物ではなく、品書きの一番下にそっと書かれている存在。

店は広くありません。カレー南ばんを頼めば、やさしいカレーの香りが店内を漂ってきます。

注文して5分。小振りながら底の深い器に入ったカレー南ばんのできあがり。机にある七味はお好みで振りかけます。

濃厚なカレーの汁の中に、鶏肉が浸かり、青々とした柔らかいねぎが散りばめられています。その下で待ち構えるのが細い蕎麦。大将の話によると、打っているのは「外二(そとに)」。つなぎの小麦粉とメインのそば粉の割合が二対八の「二八」でなく、二対十の比率のためこのように呼ばれています。

蕎麦をずずっとそそると、麺にカレーの汁が追いついてきます。食べ終わるころには、自然と汁はほとんど残っていません。

「今日は雪が降って外は寒いでしょう。こんな日は、ちょっと濃いめのカレー汁をつくるんです」とは、大将のことば。

深夜遅くまで店の明かりは灯っています。カレー南ばんが、金沢の夜を温めます。
| - | 23:48 | comments(0) | -
2010年も科学、技術、カレー……


科学技術のアネクドートは、2010年も科学技術の話題を中心に、単発記事や企画・連載記事を伝えます。企画・連載企画は、ひきつづき次のものを用意しています。

sci-tech世界地図

世界の科学にまつわる場所に焦点をあてて、その場所でどのような“科学技術の事件”が起きたのかを伝えます。時間を軸にした科学史とは異なり、場所を軸にした科学技術の世界地図です。

書評

科学技術を伝える手段のひとつが本。本は、媒体の中でも「自分から読むことを求め、自分から文章をたどる」というきわめて能動性のたかいものです。みなさんの本えらびの参考となるべく、新旧古今東西の科学書を中心に本を評していきます。

カレーまみれのアネクドート

科学技術とはほぼ関係ありません。名高い店や知られざる店のカレーや、日本のカレー文化に関する話題などを紹介しています。2007年9月に第1回として、「メーヤウ早稲田店の『インド風チキンカレー』を紹介してから、2009年12月の「もうやんカレー池の『ビーフカレー』」をとりあげるまで18回を重ねました。まだまだ全国には名だたるカレー店がたくさんあります。全国のカレーの深い味わいを2010年も紹介します。

科学技術の話題も、科学的発見に焦点をあてたもの、人に焦点をあてたもの、組織や制度や法律などに焦点をあてたもの、さまざまあります。新聞や放送ではとりあげないような話題、切り口、視点の数々を提供していきます。

2010年もどうぞよろしくお願いします。
| - | 23:27 | comments(0) | -
「もうやんカレー池」のビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(18)



「カレーは煮込むとうまくなる」。この店のの常連さんたちは日々、実感していることでしょう。

東京の、西新宿、池袋、渋谷に店を構える「もうやんカレー」は、「じっくり煮込んだカレーを貴方に」を信条としています。

写真は、「池」とよばれている池袋店のビーフカレー。ルウのなかにはほほ肉だけが見えます。ほかの玉ねぎ、人参、セロリ、果物などの具材は、すでに溶け込んであり見ることができません。でも、味わうことはできます。

最初の一口は「若干甘い」で始まります。でも少し経つと、舌は徐々に炭火の熱さような辛さを感じめることに。二口目も、甘さで始まって辛さが後かやってきます。この繰り返しに、煮込まれて柔らかいほほ肉、あつあつのご飯、さらに食べ放題のじゃがいもなどが加わり、最後の一口まで飽きさせません。

店の雰囲気も独特です。地下へ行く細い階段を下がると、大型のカレー店ほどの空間に客がぎゅうぎゅうづめ。いつも混んでいるので、となりの客と肩を寄せ合いながら食べることになります。その狭い空間を店員が注文に歩き回るため、客の背後はたびたび店員の体に触れることに。

人口密度のきわめて高いこの雑多感に、驚き戸惑う人もいることでしょう。しかし、複数で来ている客はわいわい楽しそうに、一人で来ている客はまったりとおいしそうにカレーをほおばっています。人間もまた、もうやんカレーという店に煮込まれているのかもしれません。

昼の時間帯は食べ放題も実施中。「もうやんカレー」のホームページはこちら。
http://moyan.jp/

| - | 23:59 | comments(0) | -
不朽のカレー新書、カレー選書、カレー小説――カレーまみれのアネクドート(17)
 本には、出版から何年経っても色あせない定番があります。これはカレー本の世界にもいえること。不朽の名作を、新書・選書・小説から。


『カレーライスと日本人』は、写真家でありジャーナリストである森枝卓士さんが著した新書。

カレーについてあれこれ思い浮かんだ疑問を解くため、森枝さんはまず本場インドへ向かいます。そして、日本式カレー輸入元の英国へに足をのばします。旅先で入手した情報を携え、いよいよ日本人とカレーの関係をひもといていきます。

日本人の食文化にいまや深く浸透したカレーの歴史を、その源流インドから大河を下るように、見渡していくことができるつくり。

日本人にはカレーの原風景なるものが共通項的に存在するのでは、という思いを読者に抱かせる一冊。


『カレーライスの誕生』は、食文化研究家で2005年に亡くなった小菅圭子さんが遺した一冊。文明開化期、日本にカレー文化が輸入されたころからいまにいたるまで、ジャパニーズカレーの歴史が詰まっています。

近代化の歩みとともに日本は、カレーパン、カレーうどん、ドライカレー、レトルトカレーといった、カレーの新商品を生みだしていきました。これら“発明”の裏側にあった人々の試行錯誤のドラマを生き生きと紹介しています。

カレーうどんやカレーパンといった定番の仲間入りを果たすような、カレー加工品が近ごろはなかなか出てきません。ド定番となっているカレー商品には、その裏打ちとなる開発努力があったことを読者は思い知らされることでしょう。


『カレーライフ』は、小説家・竹内真さんによる青春小説。

主人公のケンスケは就職を間近に控えた19歳。父が死ぬ間際に病床で一言「お前はカレー屋を開くつもりなんだろう」と告げます。それは、洋食屋を営んでいた祖父が死んだとき、ケンスケたちがいとこ同士で「大人になったらカレー屋になろう」と誓った約束だったのでした……。

ケンスケは、アメリカへ、インドへ、沖縄へ。世界各地で暮らすいとことの再会を求める旅へ出ます。各地のカレーの美味しそうな描写が相まみえます。

いとこどうしが、カレーの具よろしく、様々な性格を発揮しながらカレー屋のオープンに向けて一致団結していく姿がすがすがしい。

『カレーライスと日本人』はこちらで。
『カレーライスの誕生』はこちらで。
『カレーライフ』はこちらで。
| - | 23:59 | comments(0) | -
「エチオピア」のチキンカリー――カレーまみれのアネクドート(16)


JR御茶ノ水駅の御茶ノ水橋口から、明大通りの坂を下り、明治大学を超えた駿河台下の手前に、カリー専門店「エチピア本店」があります。

住所は東京都千代田区神田小川町。カレー店の“メッカ”神保町のとなり街ですが、カレーマニアにとってはエチオピアも「神保町のカレー屋」の重要な一角をなす店。

場所的にも位置づけ的にも中心ではないものの、神保町のカレーを語るうえでは欠かせない存在。1980年代の巨人軍でいえば、さながらシュアに脇を固めた淡口のような存在です。

「エチオピア」の名にちなんでアフリカンなカレーを売りにしているのかといえば、そういうわけではありません。店名は、開店当時の1988年ごろ扱っていた「エチオピアコーヒー」が評判だったため、これを店名に下とのこと。12種類のスパイスを配合した、インドカレーと日本カレーの中間的なカレーです。

献立の一番目にあるのが「チキンカリー」。辛さは中辛の「0」から、1倍、2倍、3倍……と続き、75倍まで選べます。

このエチオピアのカレーは、ご飯とルーのペース配分が比較的むずかしいカレーといえます。ライスの量が普通でもかなり多く、具もチキンカリーの場合、鶏肉やピーマン、豆などがごろごろでルウは若干すくなめだからです。

そのため、「ライスとルウ」の組み合わせだけを考えて食べるとライスが余ってしまうことに。何度か「ライスとルウ」の組は横に置いておいて、「ライスと具」のみの組で食べることにより、ライスが余らずに食べ終わるような算段です。あるいは、あらかじめ「ライス少なめ」や「ライス半分」と注文する通も。

ルウの味のほうは、本来のスパイスによる辛さが来る前に、長時間煮込んだ野菜の味が先行し、このふたつの組みあわせが直接的に舌に訴えかけます。ルウに使われている野菜は公開されていませんが、トマトをかなりの量、使っていそうです。

スパイシーなルウ、ごろごろした具、そして量の多いライスが三位一体で均衡のとれたカリーライスです。

カリーライス専門店「エチオピア」のホームページはこちら。
| - | 19:06 | comments(0) | -
グリコ「リー」の2009年スペシャルバージョン――カレーまみれのアネクドート(15)


市販カレーのマニアにとって、グリコのカレー「リー」のスペシャルバージョンの販売は、毎年の夏の楽しみになっているようです。

レギュラー品の「リー」は「辛さ×10倍」を売りにしています。いっぽう「スペシャルバージョン」は「辛さ×20倍」や「×30倍」が売り。そして、毎年、香辛料の中味が変わります。

ここ1、2年は「辛さ×30倍」を基本に、さらに「辛さ増強ソース」を加えることにより「×45倍」まで、辛さを上げることができるような仕様にしています。

昨2008年は、菓子製造業トー鳩のスナック菓子でもおなじみになった香辛料「ジョロキア」が増強ソースに入っていました。

そして今年2009年のスペシャルバージョンは、“ピメンタ・デ・シェイロ”という激辛唐辛子が入っています。

謎めいた名前のピメンタ・デ・シェイロですが、同社は「アマゾン特有の唐辛子。ブラジル北部が産地。小指くらいの小粒の形で、一般的な唐辛子(天鷹唐辛子)の約3.3倍の辛さ」と説明。

カレールウの「辛さ×30倍」に、この増強ソースの「辛さ×15倍」が追加されて「辛さ×45倍」になるわけです。

「辛さ×30倍」のカレールウは、色がくすんだ茶色。味は後からじわじわと辛くなってくる典型的なものです。その辛さは、ほかの味の成分よりもはるかに直接的に舌に訴えかけ、そして、カレー店の激辛カレーよりも早く去っていきます。

さらに、増強ソースをふりかけると、質の異なる辛さが加えられることに。ピメンタ・デ・シェイロは「黄色く丸みのある実は芳香を放つのが特長」(グリコのホームページより)。“濃い辛さ”が伝わってきます。

さながら、辛いカレーを売りにするカレー店のカレーの辛さ。かつて、レトルトカレーは激辛を謳っても、老若男女が家で食べることをメーカーが考えてか、その実が伴わないことがありました。しかし、時代はかわってきました。本当に辛いカレーが市販のレトルトカレーで食べられる、本格的な時代になってきたといえましょう。

商品の変遷も見ることができる、グリコ「リー」のホームページはこちら。
| - | 23:59 | comments(0) | -
インド・ネパール料理店カナ早稲田店のカレーセット――カレーまみれのアネクドート(14)


東京・新宿区の早稲田は、いわずとしれた学生の街。界隈に立ち並ぶ食堂や料理店も学生対応型です。量は多め、値段は安め。

早稲田のカレー屋といえば、第1回で紹介した「メーヤウ」が有名です。量多め、値段安めの原則に、“味は辛め”も加えられます。

そして、もう一点、早稲田の食堂の特徴をあげるとすれば、かなり“新規出店の入れ替わり”が激しいという点もあります。

古くから営んでいる店には安定して客が入りますが、新規出店に対して、学生が意外なほど厳しい。たこ焼き屋の「築地銀だこ」も、ほかの支店では待ち客が並びますが、早稲田店に行列はなかなか見られません。

そんな早稲田で2008年、ちかごろメーヤウの目と鼻の先、馬場下町交差点の一角にカレー屋が開店しました。「インド・ネパール料理カナ」です。「カナ」(khana)はヒンディー語で「食べる」の意味。店名は漢字で「花菜」も使われています。

店内は奥行きがあって広く、4人がけテーブル席が10ほど。インド人の店員が給仕します。

メニューは、インド料理屋としてはごく標準的。カレーは、チキン、マトンや、豆のカレーなどなど。単品でも注文できますが、これらを2、3種類選んで、ナンやライスやラッシーやチャイとともにセットで注文することもできます。ナンは厨房で焼いており、インド料理屋では標準的な大きさのものが出されます。他に、インドやネパールのビールなども種類豊富。

一言でいえば、“外していない”インド料理屋といえるでしょう。

しかし、ここは早稲田。カレーの激戦区かつ新規出店に厳しい土地柄で、客の定着度は、まだそれほど高くない模様。早稲田大学の、とある講師によると「あの店は、昼どきもけっこう空いていて、落ちついて話したりすることができるんだ」。

カナの入る前、この店舗には“外していないうどん屋”が入っていました。しかし、客足は伸びずに撤退したようです。カナは生き残ることができるでしょうか。

「インド・ネパール料理店カナ早稲田店」の場所情報などはこちらで。
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東京カレー屋名店会の「デリーのカシミールカレー」――カレーまみれのアネクドート(13)


東京・有楽町の商業施設「イトシア」の地下1階に、「東京カレー屋名店会」というカレー店があります。

神田小川町のエチオピア、銀座や湯島にあるデリー、神田須田町のトプカ、京橋の京橋ドンピエール、本郷の本郷プディフというカレー店が集結し、店を営業しています。

カレー通であれば、どの店の名前も聞いたことがあるというような有名店。この名店会では、それぞれの店の代表的カレーや、この店だけの限定カレーを食べることができます。

カレー店にかぎったことではありませんが、本店や支店とは別に構える店で出されるメニューで注目が集まるのは、「従来の味が保たれているか」といったところ。

写真は、デリーの「カシミール」です。東京のカレー店が数あるなかで、このカシミールの辛さは有名です。湯島の本店では、茶褐色のルウに、ごろっとしたじゃがいもと鶏肉が入っています。

名店会の「カシミール」は、本店のメニューとまったく同じというわけではありませんが、かなり近いものはあります。本店のものとの大きなちがいは、じゃがいもでしょう。本店では、茹でたて剥きたて、ほくほくのじゃがいもを使っていますが、名店会のは水気がそれほどなく、しわしわでした。

しかし全体としては、本店の味に近いものはあります。ルウもどうやらパック詰めのルウを使っているようですが、デリーで市販されているレトルトカレーは、本店の味に引けを取らないことで評判。辛さは、本店に近いものがありました。

「本店や支店に行く時間はないけれど、ちょっと立ち寄って食べたい」といった要望を満たしてくれるカレー店です。

東京カレー屋名店会のホームページはこちら。
http://www.t-curry-m.com/
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ミスタードーナッツのカリーパン――カレーまみれのアネクドート(12)


カレーパンのおいしさといえば、中のカレーの味と、外の衣のさくさく感の差にあります。

かぶりつくと、まずは香ばしさの中に衣の歯切れのよさ。その後、ルウのパンの甘さを感じた直後、ルウのぴり辛さが訪れます。

この調和の王道をいくのが、ミスタードーナッツの「カリーパン」。ドーナツ屋さんのカレーパンはあなどれません。

このカリーパンは、2009年1月21日に新発売されたもの。といっても、これまでもミヅタードーナッツは1997年に「ジューシーカレー」を、2006年に「辛口カリーパン」を発売するなど、カレーパンを売ってきました。

一新されたカリーパン。開発担当者は、中のカレーと外の衣へのこだわりを次のように語っています。

「カレーフィリングの具には、たまねぎ、にんじん、ばれいしょ、牛肉を使い、牛肉や鶏肉、野菜などを長時間煮込んだブイヨンで素材のうまみを引き出しています。生地を揚げてからフィリングを注入することで、トロっとしたなめらかな食感に」

衣とさくさく感と中味のとろとろ感の差には、つくり方への工夫があったのですね。

量より質で勝負した、ドーナッツ屋のカリーパン。あなどれません。

ミスタードーナッツのカリーパンの案内はこちら。
http://www.misterdonut.jp/m_menu/donut/dvr03.html
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京都アジャンタのカレー3種――カレーまみれのアネクドート(11)


カレーの店で「アジャンタ」といえば、東京に住む方々は麹町・日本テレビ前にあるインド料理店を思いうかべるかもしれません。でもアジャンタは東京のみにあらず。

関西や西日本のカレー好きにとって、アジャンタといえば「京都のアジャンタ」となりましょうか。

四条河原町の藤井大丸を横に見て寺町通に入り、南へ数分。闇夜の中に白い象の看板が光っていたら、そこは京都のアジャンタです。

奥に長細い店に入ると、スーツをぱりっと着こなした若いインド人の兄さんが迎えてくれます。店に置いてあるテレビには、色恋沙汰を歌ったインドの歌謡曲のビデオクリップが流れています。



京都のアジャンタも本格的なインド料理を出すお店。インドのホテルで15年以上の経験を積んだシェフが作ります。こうしたいわゆるインド料理屋には「チキンカレー」「野菜カレー」それに「マトンカレー」という、はずせないカレーの種類がありります。

チキンカレーは、日本で食べるインドカレーの定番中の定番。金属皿のなかに大ぶりの鶏肉が二つ入っています。ルウはよく煮込んであり、インド直輸入のスパイスの数々が渾然一体となっています。

野菜カレーは、にんじんやじゃがいもを主役としたカレー。野菜の”甘さ”がルウの中に溶け込んでいます。チキンカレーよりも味の深みが増しています。

そして、マトンカレーは羊肉の入ったカレー。辛さをベースにしながらも、ほんのりと羊肉のしょっぱさを感じることができます。

こうしたカレーの数々に合うのが鬱金で染めたご飯です。ふつうの白米のご飯よりも油気があり、ぱらぱらとしています。この黄色いご飯とカレーの組み合わせが、食欲を誘います。

店の客に多いのは学生。「うまいやろ、なー」と京ことばが飛び交います。おばんざいの店に入る観光客よりも、むしろインドのカレーを欲している地元の人々に利用されています。

京都のインド料理屋「アジャンタ」のホームページはこちら。
http://ajanta.cc/
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気象庁のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(10)


東京・皇居のお堀の向かい、竹橋の毎日新聞社の横に気象庁があります。

たてものを入ると、すぐに警備員のおじさんが「はい、こんにちは」。一般の人も中にある気象科学館などに用があれば入ることができます。

東京消防庁に面した部屋に食堂が。ショーケースの中を見ると、官庁食堂の定番「カレーライス」がここにももちろんあります。役所の食堂でカレーライスがないところはたぶんないのでは。

ここのカレーは、コラムニスト泉麻人さんが食べたことでも(一部の人には)知られているメニューです。泉さんは、気象予報士の資格をもつほどの天気予報マニア。気象庁1階にある、お天気や地震、それに火山などの本が並んだ小さな書店には、著書『お天気おじさんへの道』も置いてあります。

泉さんは、気象予報士試験の申請で気象業務支援センターを訪れたついで、「かねてより一度覗いておきたい」と思っていた、気象庁に入ったのでした。そして、食堂へ。「神保町のカレー、が頭にあったので、迷わずカレーライスに決める」。
職員の多くがシャツの胸などに部署名入りの名札を付けていることに気づいた。省庁全般のしきたりなのか……もしや、僕のような“部外侵入者”を排除する目的があるかもしれない。ただし、食卓の所々には作業衣の人や、技術系と思しきラフなスタイルの人も見られるから、スウィングトップ姿の僕もさほど浮き上がってはいないだろう。とはいえ、やや伏し目がちにカレーを口に運び、ふと目の前を見ると、さっきまで空いていた席に白髪の理知的な男が座っている。胸の名札に「気象庁予報部……」の表示が確認された。
 もしや、この男があの難解な試験問題などを考えた……のかもしれない。
食堂の職員たちを観察するなかで食べたカレーの味は「わるくはないが、よくあるレトルトのレベル」とのこと。

泉さんが気象庁でたべた2004年には、400円でひじきもついていたようですが、最近のメニューではみそ汁がつくのみ。でも、その分、味はグレードアップしたのかもしれません。

省庁のカレーにありがちな、黄色っぽいどろどろしたルウよりも茶褐色。粉っぽさや安っぽさを感じさせません。中辛、若干コクあり。400円なりの誇りを感じさせる、堂々とした味です。

ルウの中のたまねぎはほとんど溶けています。そのぶん牛肉の自己主張は強く、小粒ながらごろごろ5、6個、入っています。スプーンがステンレスの皿にぶつかるたび、カツッカッと音がします。

食堂は閉店まぎわの2時まえ。掃除のおばちゃん床を拭きながら二人でなにやら「24かい」「いや、26」と話しています。気象庁だけに、気温や湿度の話でしょうか。いいえ、どうやら嫁に行く娘の年齢の話のようでした。

「タンメン+半チャーハン」の注文が多いようですが、立ち寄りのときは「カレーライス」もぜひどうぞ。

参考文献
泉麻人『お天気おじさんへの道』
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無印良品タイカレーグリーン――カレーまみれのアネクドート(9)


カレーを自炊する楽しさに、無印良品の「手づくりキットタイカレー」で目覚めたという人は多いようです。無印良品にはレトルトのタイカレーもさまざまあるものの、手づくりキットは好みの具材をスーパーマーケットなどで買ってつくる本格的なもの。

無印良品の手づくりキットタイカレーは、赤、黄、緑の3種類。それぞれの辛さと味が若干ちがいます。中でもグリーンは“五つ星”ならぬ“五つ唐辛子”の印。無印良品のlカレーのラインアップでは最高の部類です。

キットを空けると中には、グリーンカレーペースト、ココナッツミルク、カフェライムリーフ、それにナンプラーの4袋。いっぽう、買ってくる具材は、キットの袋表示には、鶏モモ肉、筍水煮、しめじと書かれていますが、これは作り手の好み。ぶつ切りの茄子や人参を入れて楽しむ人もいます。

肉や野菜を炒め、そこにお湯で解いておいたココナッツミルクとグリーンカレーペースト、それに香りづけのカフェライムリーフをつぎつぎ鍋の中へ。柔らかくなるのに時間のかかる具材に合わせて、ふつふつ煮込みます。

最後にナンプラーとも言われるタイ料理の定番フィッシュソースを垂らしてフィニッシュです。

ルウは水加減にもよりますが、小麦粉を使ったカレーとはちがい、ご飯にかけると下に染み込むほどのさらさら感があります。“五つ唐辛子”の辛さが野菜や肉に染み込み、しんなりした野菜の歯ごたえも加わり、カレーの旨さをつくります。

2年ほど前までは、無印良品のカレーキットは、カレーペーストでなくカレー粉でつくるものでした。そのときに比べて辛さもやや抑え気味になっている模様。「カレー粉時代のタイカレーキットを再び」の声も上がっているようです。昔の辛さに浸りたい方は、鷹の爪や一味唐辛子を入れるといいかもしれません。

1キット4人分。一人暮らしや二人暮らしの方は、“翌朝のカレー”もしっかり楽しめます。

無印良品手づくりキットタイカレーグリーンはこちらで。
http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4945247389791
| - | 23:59 | comments(0) | -
カトレアのカレーパン――カレーまみれのアネクドート(8)


海外から輸入されたものを、独自に加工して別の商品にする技術は、工業製品だけの話ではありません。カレーにも当てはまります。

カレーのルーツはインド。そのインドを植民地にした英国にカレー文化は伝わりました。日本のカレーは、その英国から文明開化のときに伝えられたもの。日本はこの英国経由のカレーを独自のカレー文化に発展させます。その典型的な例が「カレーパン」の誕生でしょう。

東京都江東区の森下という下町に「カトレア」というパン屋があります。ここは、日本のカレーの歴史を語るうえでかならずといってよいほど登場するパン屋です。この店の前身「名花堂」こそが、日本初のカレーパンを世に出したからです。

店の中には、「元祖カレーパン」の木看板が掲げられています。店を訪れたとき、カレーパンは下段の棚に自己主張せずにたたずんでいました。油が手につかぬよう、ひとつひとつがビニール袋に入っている親切さ。カレーパンと辛口カレーパンの2種類が売られていました。

「カレーパン」のほうは、外の衣はきつね色にこんがりと揚げられています。内側のパン生地の柔らかい食感が残るなか、カレーが口の中に飛びこんできます。普通のカレーパンよりもルウはとろりと柔らめか。具はニンジンなど、どれもほどほどの大きさです。外の衣のさくさく感と、パン生地ふわふわ感、そしてカレーのぎっしり感。三拍子が揃っています。

「辛口カレーパン」はどうでしょう。基本の味は「カレーパン」と変わりません。「辛口」は、カレーパンの辛さの延長線状にある辛さです。口の中でしばらく辛さが残ります。

ルウの柔らかさといい、辛さといい、ごはんに掛けても十分美味しいのではないでしょうか。日本におけるカレーの原点は「ライスカレー」にあり、ということを少しばかり思い出させてくれます。

創業は1878(明治10)年。カレーパンの発売開始は1927(昭和2)年。発売当時、カレーパンは「洋食パン」という名前で新案特許を取得しました。カレーをパンで包み込んで、しかもそれをこんがりと揚げる…。この発想こそが、外来品を加工して日本独自の品にしてしまうという日本文化を感じさせます。
| - | 23:59 | comments(0) | -
市川食堂のカツカレー大盛り――カレーまみれのアネクドート(7)


“大盛り”や“どかもり”は、B級グルメの中心的話題。カレーライスの世界でも話題に事欠きません。

千葉県・JR市川駅のすぐ近くにある市川食堂の「カツカレー」も雑誌に載るほど。普通盛りも大盛りも同じ料金です。品書きを見ると「カツカレー850円」の下に「大盛りは危険です」の文字が。

こう書かれていたら注文しないわけには行きますまい。15分ほど待つと、直径30センチほどのさらに、厚いトンカツの乗ったカレーが出てきました。

カレーを食べるときは“ペース配分”が大切。食べ終わったとき、ご飯とルウがちょうど無くなっているか、若干のルウが残っているぐらいが最善でしょうか。ご飯だけが残ったときのカレーライスには寂しいものがあります。

不思議なことに食べ初めの段階で、ルウを食べるペースが上回ると、なかなか配分を均等に取り戻すことができません。途中で「このままだとご飯だけになる」とおもい、意識的にルウを抑えて、ご飯だけを食べても、なぜかルウの分量がご飯を上回るまでにたどり着けません。出されたカツカレーは、カツの下がご飯。ペース配分が難しくなります。

それでも、トンカツとご飯の組み合わせも駆使し、どうにかルウとご飯をちょうどの配分で食べ終えることができました。大盛りは、いろいろな意味で自分との闘いです。

カツカレー大盛りも850円。市川食堂のホームページはこちら。
http://www.geocities.jp/ichishoku/
| - | 23:59 | comments(0) | -
神宮球場のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(6)


野球にはドーム化の波。そんななか東京の神宮球場は、いまも空の下で野球観戦ができる球場です。

会社員の中には、ビアガーデン代わりに神宮球場を使っている人々もけっこう多いとか。ビールに肴を買って、観客席で同僚たちとわいわいやれば、球場がビアガーデンに。野球観戦というおつりまでついてきます。

3時間強の野球観戦はかなりの長丁場。ビールを飲むだけではさすがに手持ち無沙汰。そこで登場するのが食べ物たち。もちろん野球場の定番「カレーライス」があります。

ただし、さすがに売り子さんもカレーライスの用意はなし。客席裏側の売店まで足を運ばなければなりません。

攻撃と守備の合間にさっと買ってぱっと戻ってこれれば最善ですが、他のお客も考えることは同じ。この時間だと行列ができています。次善の策は、応援球団が守備についているとき。これならばファン選手のホームランを見のがすこともありません。

さてカレーは、小麦粉をたくさん使ったもの。“さらさら”とは逆、“とろり”としたルウです。これも、右手にビール、左手にカレーを持った客がルウをこぼさないような配慮なのでしょうか。

ルウの味は、とりわけ辛くもなく、かといって甘ったるくもなく。サラリーマンから家族づれまで、すべての客のことを考えての辛さなのでしょう。ごはんは少しもちもちとしています。

野球場のカレーは、腹を満たせばそれだけでよいか。そうではありません。人は同時にふたつ以上の感情をもつことはできないといいます。応援チームが負けていても、カレーがおいしければそのときは幸せな気持ちになれるというもの。

神宮球場のカレーライスは600円。大盛りは680円です。
| - | 23:50 | comments(1) | -
ガラムマサラのチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(5)


ものかき仕事の出張で、もっともよく行く街といえば京都。大阪よりも京都のほうが多いのは、ノーベル賞受賞者を5人も輩出している京都大学があるからかもしれません。

出張での移動はもっぱらバスですが、自転車を乗るにはもってこいの街ですね。四条、祇園、京都駅あたりの中心街がまとまっていて。

でも、住宅街をふくめた京都はかなり広いもの。出町柳をさらに北に行っても街なみは続いていきます。そんな、“京都でも遠出”になるところに、関西の名店といわれるカレー屋があります。その名は「ガラムマサラ」。

北大路からからすこし南へくだった白川通り。はすむかいには「天下一品」の本店が。さらにすこしくだると「餃子の王将」チェーン設立時からあった一乗寺店。このあたりは意外なほどにB級グルメが充実。

餃子やラーメンを食べる誘惑を抑えつつ、ガラムマサラに入ると出迎えてくれるのは“ぶっきらぼう”だけれど“かしましい”おばあさん。フォークよりも腰を曲げながら「窓側に座ったらどうだい。おにいさん前にも来たことあったっけね」と迎えてくれます。

空気が読めなかったか「ええと、はじめてですよ」と答えると…。

「おお、そうか。よく来なすった」。メニューを出してから「はじめてのお客さんはな、このチキンカレーかな、このキーマカレーをいつもすすめとる。よろしければ、まずはどっちかから食べるとええよ」

いわれるがままチキンカレーを注文。すると厨房から、おばあさんの娘さんが顔を出します。週末の背広姿だったので「お仕事だったんですか」聞かれます。

「ええ、出張だったんですよ」

「あら出張。遠くからですか。うちのお店、なにかで調べていらしたんですか」

ほんとうは「京都 カレー」で検索してたどりついたにもかかわらず、“おのぼりさん”に見られるのがしゃくなので「近くをとおりかかっただけなのですが」と返事。すると「うちは関西中から人が来る、20年もここで続けているお店なんですよ。ごゆっくりどうぞ」

しばらくすると、今度は主人がチキンカレーを手に来ました。「はい、お待ちどうさま」

カレーはこげ茶色。ルウのなかに野菜は見あたりません。よく煮込んであるためとけているようです。目で見える具材は鶏のみ。あとから入れたのでしょう。鶏の歯ごたえは、かなりしっかりとしています。

ルウのほうはというと、“歯ごたえ”ならぬ“歯ざわり”と“舌ざわり”。ガラムマサラの粒つぶが、ほんのかすかに歯や舌で感じられるのです。

店の名にもなっている“ガラムマサラ”。クローブ、シナモン、ナツメグなどの香辛料を混ぜあわせて、粉にしたものです。家庭の数だけみそ汁の味があるのとおなじように、インドには家庭の数だけカレーの味があるといわれています。ガラムマサラのガラムマサラは、辛さは抑え気味なものの、香辛料の種類は多いのでしょう、深みがでています。

サービスのアイスを食べると、おばあさんがレジをきりもり。「今度はキーマカレーを食べにきてな。はい、おおきに」

京都にお住まいのかた。暖かくなったら自転車で遠出する価値はありますよ。

京都といえば、市バスの「トビラガシマリマストビラガシマリマス」が耳にこびりつきますね。
| - | 23:59 | comments(0) | -
2008年の企画のおしらせ


おかげさまでこのブログはもうすぐ3年目をむかえます。今年も続いていくであろうこのブログ。きょうは2008年の予定を企画ものを中心におしらせします。

法廷の科学は真実を語るか

昨年末よりはじめて新しい企画ものです。2009年の春から日本ではじまる裁判員制度をまえに「裁判での科学」とはどのようなものかを探っていきます。

まずは、市民が評決をくだす陪審員制度が古くから行なわれている米国で起きたある事件を追いかけます。その後、部隊は日本へ。いま日本の裁判で科学はどのように扱われているのでしょうか。裁判員制度がはじまったとき、私たち市民が法廷で触れる科学とはどのようなものでしょうか。ちかい将来、私たちのくらしに直結してくる可能性のある話です。

法廷の科学は真実を語るか(1)

sci-tech世界地図

昨年からの企画です。科学史の舞台が時間軸とするならば、sci-tech世界地図の舞台は世界地図。科学や技術にまつわるあの事件やあのできごとが起きたところはどんなところか、地図を見ながら“その土地で起きた科学”を紹介します。

科学革命はここから「パドヴァ大学」―sci-tech世界地図(1)
開通4か月で崩壊「タコマ・ナローズ橋」―sci-tech世界地図(2)
医学の発展に貢献する町「フラミンガム」―sci-tech世界地図(3)
世界人口、60億を超える「サラエボ大学病院」―sci-tech世界地図(4)

カレーまみれのアネクドート

これも昨年からの企画。カレーの表情はお店によってさまざま。そんな多種多様なカレーを紹介する、食べ歩き記です。ほぼ科学技術とは関係のない企画ものではこれがいちばん好評いただいている気も…。今後は、カレーの紹介のみにとどまらず、カレーの本やカレーの歴史なども紹介していきたいと思います。

メーヤウ早稲田店「インド風チキンカレー」―カレーまみれのアネクドート(1)
デリー「カシミールカレー」(レトルト)―カレーまみれのアネクドート(2)
国会図書館のカレーライス―カレーまみれのアネクドート(3)
ナイルレストランのムルギーランチ―カレーまみれのアネクドート(4)

発見“21世紀の新大陸”

新企画です。国際ヒトゲノム計画によるヒトゲノムの完全解読が2003年になされてから、生命科学の分野は激動の時代に入りました。なかでも、DNA(デオキシリボ核酸)の複製先とされていたRNA(リボ核酸)には、知られざる未解明領域が存在することがわかってきたのです。

21世紀に入り日本人科学者がなしとげた“RNA大陸の発見”を紹介しながら、ポストゲノムの生命科学のいまを報告していきます。

大学院の研究成果も

かよっている早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムでは、科学技術やその周辺のさまざまなことを研究対象としています。このプログラムで得たことは、ブログの記事でも小出しにしてきましたが、大きな研究の内容もぜひみなさんにお読みいただきたいものがあります。

もちろん、単発記事もひきつづきご愛読いただければと思います。科学の記事といえば、大きな話題は新聞や放送で目にします。いっぽう、このブログは個人が発するものですから、新聞も放送も誰もとりあげないような話題、切り口、視点を多く提供できるようこころがけていきます。
| - | 23:59 | comments(0) | -
ナイルレストランのムルギーランチ――カレーまみれのアネクドート(4)


銀座の目抜き通りから東に4ブロック。背の高い建てもののあいだに、赤い日除け幕に黒字の店名が映えるカレー屋があります。

「ナイルレストラン」。

「ナイル」は、レストランの創業者アヤパン・ピライ・ムハマダバン・ナイルのナイルです。

インド独立運動に参加したナイル。英国の監視から逃れるため日本にやってきました。「中村屋のボース」ことラス・ビハリ・ボースとも交流が。インド独立後も、インドと日本の平和のために東奔西走。そんななか、1949年に開いたカレー料理店が「ナイルレストラン」でした。

創業者ナイルの息子がいまの店主G・M・ナイルさん。毎昼、毎昼、開店前に列をつくって並ぶ客を、鋭い眼光で迎え入れます。

店には、店主ナイルさんのほか、割腹のよいインド人店員も。昼どきは、店に入るやいなや「ムルギーランチですか」と注文を聞いてきます。お腹と声のいきおいにおされ「はい」と返事すると、10分後ムルギーランチが出てきました。



銀のお皿に盛られた、ターメリックライスと鶏肉と野菜とルー。骨つきの鶏肉はよく茹でられているのでしょう。ナイルのナイフの手さばきで、あっという間に骨と肉が分かれます。

「よく混ぜて食べてねー」。店員のことばどおり、スプーンとフォークでライスもルーも具もごちゃまぜに。

ほどよく混ざったカレー食べると、辛くもなく甘くもなく、しっかりとした味が口のなかに広がります。「ああ、美味しい」とぱくぱく食べているうちにあっという間にお皿は空に。

小さいけれど確かに幸せなランチは幕を閉じました。

お店を出たあと、歩道の生け垣からお店の写真を撮ろうとしていると、ナイルさんがやって来て、「写真を撮るのなら、ドアを閉めましょうか」と一言。客にやさしいナイルさん。目は鋭いけれど。

ナイルレストランのホームページはこちらです。
http://www.ginza-nair.co.jp/index.html
| - | 07:13 | comments(0) | -
国会図書館のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(3)


国会図書館で資料収集をしていると、“微妙な待ち時間”が生まれます。請求した本を待つ時間、雑誌を待つ時間、依頼した複写を待つ時間…。

昼どきは、待ち時間つぶしに本館6階の食堂へ。もちろん全国の食堂の定番、カレーライスも食べることができます。

固形のルーを溶かし、玉葱、豚肉を入れた正統的ライスカレーといった感じのカレーライスです(写真は大盛り)。福神漬けは厨房の人が盛ってくれます。サラダ付き。

カレーの味もきわめて普通。刺激は強くなく、かといってカレーの辛さがないわけでもなく、「食堂のライスカレー」を地で行くようなカレー。

6階からの眺めがなかなかのもの。図書館のすぐ間近には社民党の建てものがあり、看板が見えます。また遠くには丸の内のビル群の風景も。

食堂内の「指定席」も見逃せません。奥に置かれたテーブル1台は、国会議員が利用するための「議員席」。



テーブルも椅子も、置かれている調味料も、他の椅子とまったく変わりありません。「議員席」と指定されているのみ。

この議員席は、国会図書館の存在理由を示す象徴的存在と考えることができます。国立国会図書館が存在する第一義は、国会議員の調査研究のため。国会の委員会での質問などのための情報収集の場というわけです。

国会議員だってお腹はすくでしょう。けれども「国会議員の調査研究」は建て前になっているようです。政策秘書ならともかく、国会議員みずからが図書館におもむいて、資料の到着待ちをするといった姿はあまり想像できません。

カレーライスを食べに食堂に行くたび目にする空席の議員席。この席を使ったことのある先生はいるのでしょうか。まあ、麻生さんや鳩山さんがカレー食べながら雑談でもしていたら驚くけれど。
| - | 01:57 | comments(0) | -
デリーの「カシミールカレー」(レトルト)――カレーまみれのアネクドート(2)


街のカレー店が企画したり監修したりしたレトルトカレーが一時期、流行りましたね。

けれども、店で食べた味がレトルトでも再現されているかというと、かならずしもさにあらず。「こんな味ではなかったのに」と、辛い点数をつけることがしばしば。

でも、「デリー」のレトルトは期待をうらぎりません。

創業は1956(昭和31)年。東京・湯島の春日通りに面したお店に、「カレーハウス・デリー」の看板が掲げられました。創業者の田中敏夫がインドで長年の研鑽を積んだ後のことです。

その後、上野店のほかにもレストランを増やしていく中で、1980(昭和55)年、デリーは埼玉県児玉郡にカレー工場を立てて、レトルトカレーに力を入れはじめます。

トマトベースのベンガルカレーとサラサラのデリーカレーは辛さの星1つ。タマネギのコクがきくコルマカレーは星2つ。デリーカレーに辛さを加えたインドカレーは星3つ。そして極辛のカシミールカレーは飛んで5つ星の辛さになります。

なかでもデリーが「人気ナンバーワン」と謳っているのが、カシミールカレー。茶色い箱の色と同様のルウの色の濃さ。

上野店で出されるカレーは、ルウに加えてじゃがいもと鶏肉が入っています。いっぽうのレトルトはといえばルウのみ。けれどもルウの味は、店もレトルトも変わりません。じゃがいもや鶏肉を買って鍋に加えれば、店で味わうカレーを食卓でほぼ再現できるのです。

ルウをご飯にかけると、すうっとルウがご飯の中に吸い込まれていきます。ご飯、じゃがいも、鶏肉、これらすべてにバランスよく、サラサラしたルウになじみます。そして、やはり辛い。

お店のカレーのレトルト版。その草分け的存在は、忠実に店の味を再現。マニアにも評価の高いルウです。

「インド・パキスタン料理デリー カシミールカレー」はこちらで。
http://shop.delhi.co.jp/goods_detail.php?goodsIdx=11

2007年に「ランク王国」という番組で放送された「お取り寄せカレー売り上げ」で、カシミールカレーは第1位に輝いています。
| - | 23:59 | comments(0) | -
メーヤウ早稲田店の「インド風チキンカレー」――カレーまみれのアネクドート(1)


「もう二度と食べるものか」

ものすごく辛いものを食べるときにはいつも、こう思うもの。けれども、また月日が経つと、むしょうにまた食べたくなります。これだからカレーはやめられません。

地下鉄早稲田駅から通りを高田馬場方面に歩くと、馬場下町の交差点。右に曲がれば早稲田大学の西早稲田キャンパス。左に曲がれば戸山キャンパス。左に曲がったすぐのところにメーヤウ早稲田店があります。

お得な時間は14時から。タイ風とインド風あわせて5つあるカレーのうち、日替わりの1つが割引で食べられます。昼まで寝坊、授業は3限のみ、といった早大生にはもってこい。3限のおわりは14時40分です。

さて、ご飯大盛りといっしょに出されたインド風チキンカレー。見た目からは辛さは想像できないかもしれません。

ルウはご飯にかけると吸い込まれていきますが、さらさらしすぎているわけではありません。香辛料の粒が、ご飯の上に残っているのが見えます。この粒が辛さのもと…。

スプーンで3杯も口にすれば、もう口の中はひりひり。もう、たたかいです。

ご飯も水もたたかいにおいては敵役。どちらも口にすると、カレーの辛さを助長するからです。

味方だっていますよ。ルウに沈みかけたゆで卵、じゃがいも、それにとり肉です。スプーンで具を半分に割ってから口にします。舌を覆い尽くしていた刺激は、すこしだけ軽くなります。

食卓の上には、親切にも鼻紙。ルーをご飯に掛けては食べ、食べては鼻をかみのくりかえし。食べおえた皿には、鼻紙くずが何個も残されるのでした。

ふう。きょうも辛勝だった…。
| - | 23:59 | comments(0) | -
「カレーまみれのアネクドート」の予告


外国から入ってきたものをうまく加工する技術は、日本人の得意技とされてきました。この話、なにも工業技術にかぎったものではないようです。

日本の食文化を見てみても、“輸入もの”の“加工技術”は優れたものがあります。たとえば、中国から伝わった「拉麺」は、いまや「ラーメン」という日本独自の食べ物になっています。

ラーメンと肩を並べるように日本人が加工してきた食といえば、カレーが思いあたります。発祥の地インドから、インドを植民地にしていた英国へ。そして英国から文明開化の産物としてカレーは日本に入ってきました。いまや押しも押されもせぬ日本食となりました。

ところがスーパーマーケットやコンビニエンスストアに行くたびに、カレーのことで驚くことがあります。意外なほどに、「カレー味」や「カレー風味」をほどこしたお菓子やおつまみの類が少ないのです。真っ先に思いつくお菓子といえば、カールかベビスターぐらい…。

市場調査をしたわけではありませんが、「ふだん食べている食品をわざわざカレー味で食べなくてもよいのではないか」という日本人の消費者心理が働いているようでなりません。

そう考えると、もともとあった食材とカレーを出会わせたカレーパンやカレーうどんの考案者は、よほどの才能の持ち主に思えてきます。「定番」になるまでには、人気も歳月も必要ということでしょうか。

年はじめに、このブログで「カレーまみれのアネクドート」を始める計画を立てていました。科学技術とはまったく関係ありませんが、とある理由から、カレーの食べ続けにチャレンジすることになった経験などをもとに、これまで味わってきたカレー(食べ物屋のカレーや、カレー製品、カレー本などなど)の数々をお伝えしていければと思っています。
| - | 23:59 | comments(0) | -
2007年の計画は…

今年も今日で2日目。もう1年の計は、もう立てましたか?

当ブログでは、今年も“企画もの”をちょいちょいと考えています。というわけで、今日はちょっとだけその予告編を。タイトルも時期も、何もかもがまだ、“仮”の状況ですが…。

sci-tech世界地図

科学を語る上では、「科学史」という、時間を軸にした確固たる方法が存在します。一方で、地理的な広がりを軸にした「科学地理」とか「科学地図」といった方法は、あまり見られません。

地図を片手に「“ニュートンのリンゴ”が落ちたのはここか」とか「世界で初めて写真が撮られたのはこの場所」とかを知るという行為は、新たな発見も伴い、意外と楽しいもの。最近ではGoogle Earthといった、使って楽しいインターネットツールもありますし。

そこで、「地図的に眺める科学技術」がコンセプトの企画を企画中。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカと、世界を駆け回る予定ですのでどうぞお楽しみに!

法廷の科学は真実を語るか

日本で、2009年5月までに、裁判員制度が始まります。国民の中から無作為で選ばれた“裁判員”が法廷で裁判官とともに裁判をするこの制度。あなたも一生に一度は裁判員を経験することになるかもしれません(その確率、10分の1とか)。

裁判員制度と似た陪審員制度がある米国では、O・J・シンプソン事件のように、DNA鑑定の方法をめぐって激しい法廷論争が繰り広げられたケースもありました。そこで、日本で裁判制度が大きく変わろうとしている中、裁判員制度と科学リテラシーとの関係を探ってみる、(たぶん)硬派な企画です。

マニアック東京案内

科学技術とはあまり関係ありません。重箱の隅をつつくような東京の謎を、フィールドワークなどで解き明かし、知られざる東京を案内してまいります。品川区の泉岳寺トンネルと、足立区の舎人公園の不思議な境界線に次ぐ地域を、目下探索中です。

カレーまみれのアネクドート

科学技術とはまったく関係ありません。とある理由から、カレーの食べ続けにチャレンジすることになった私めが、これまで味わってきたカレー(食べ物屋のカレーや、カレー製品、カレー本などなど)の数々を評して参ります。

“翻訳もの”とかにも…

ちょっと(だいぶ)マニアックな論文やエッセイものの翻訳にも挑戦してみたいかなと…。

どれもこれも、興味はありますが、とりわけその分野には精通しているわけではありませんので、ちょっとチャレンジング。どうぞお付き合いくださいませ。
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