写真作者:duvsbefilmoc
このブログの2009年3月8日付の「ピースという名のミーム」という記事では、日本人がカメラを前にするとかなりの確率で「ピース」をすることについてとりあげました。記事では、グーグル画像検索で「集合写真」と入れて出てきた上位5件の画像での「ピース率」を割りだしています。5つの画像には計125人がいて、ピースの数は41個。「ピース率」は約33パーセントだったと伝えています。
人がピースをしているから、自分もつられてピースする。そして何度となくピースをしているうちに、自分がとるポーズとして固定化する。こうして、日本人のあいだでピースは広まっていったのでしょう。模倣をつうじて人から人へ伝達される文化的な遺伝子を「ミーム」といいますが、33パーセントという「ピース率」から、ピースはかなり強力なミームといえます。
さて、この記事から10年以上が経った2019年7月のいま、日本人の「ピース率」はどうなったでしょうか……。
10年前とおなじように、グーグル画像検索で「集合写真」と入れて、上位5件の画像に写っている人びとの数とピースの数から「ピース率」を求めてみます。
1点めの画像は、ニコンの「集合写真の撮りかた」という記事での写真。高校生ぐらいの年代とみられる13人のいずれもピースをしていません。よって、13分の0。
2点めの画像は「ミツモア」という見積もり依頼アプリの企業の「集合写真の撮り方のコツ!」という記事での写真。青年8人が写っていますが、いずれもピースをしていません。よって、8分の0。
3点めの画像は「社内報ナビ」というサイトの「まずはこれを覚えよう! 集合写真撮影7つの基本(社内報の作り方)」という記事での写真。就職活動をしているような若い年代5人が写っています。2個のガッツポーズは見られますが、ピースは1個も見られません。よって、5分の0。
ここまでの3点での「ピース率」は0パーセント。ピースよ、絶滅してしまったのか……。
4点めの画像は「フォトファン」というサイトの「集合写真の撮り方」という記事での写真。結婚式の二次会で撮られたもののようで、新郎、新婦、そのほか友人(たぶん)が多くいます。写っている人にひとつひとつ番号を振って数えると87人いました。そして、ところどころでピースが見られます。その個数は15。よって、87分の15。
そして5点めの画像は、ヤフーのコーポレートブログの「スマホでもOK! 集合写真の撮り方7つのポイント」という記事での写真。カメラ愛好者たちと思われる人たちが、スタジオ内に集合して撮られています。こちらも人数が多いため、写っている人に番号を振っていくと56人いました。ピース、ピース、ピース、ピース、ピース。こっちでピース、あっちでもピース。いたるところでピースが見られるではありませんか。なかでも、それこそ絶滅したのではと考えられていた「ダブルピース」、つまり一人が両手でするピースも見られます。ピースの個数は43個。よって、56分の43。
この5点の画像では、合計で169人が写っており、ピースは58個でした。よって「ピース率」は……。
約34.3パーセントとなりました! いかがでしょうか!
上位3点の画像で「ピース率」は0だったものの、帳尻を合わすかのように4点めと5点めで挽回し、結局10年前とほぼおなじ「ピース率」となりました。世に無数にある集合写真のうちの5点だけなので、統計的信頼性はありませんが……。
とはいえ、写真に写る機会が増え、ポーズも多様化するなか、ピースのミームはあいかわらず健在といえるのではないでしょうか。