画像作者:sottotracce cool hunting
スニーカーなどの靴は、人の体の複雑なかたちに密着して、しかも何万回も足裏と地面に挟まれる道具です。この、複雑かつ頑強な靴という品をつくりあげる作業は、いまもほぼ手づくりでおこなわれています。
スポーツ用品製造大手のアディダスが2017年に、ドイツのアンスバッハで、ロボットによる大量生産を行うことを発表していますが、このことが話題になるほどなので、やはり基本は「手でつくる」ということになります。
スニーカーは、ごく大まかに、「アッパー」と「ソール」とよばれるふたつの部分に分けることができます。アッパーは、靴の上側、つまり足の側面から甲にかけてを覆う部分のこと。いっぽう、ソールは、靴の底側、つまり地面と接するほうの部分のことをさします。
一般的なスニーカーづくりをアッパーのほうから見ていくと、まず、材料を裁断します。職人が、裁断機の台に広い面積の1枚ものの材料を置き、端から裁断してはすこしずらし、裁断してはすこしずらし、をくり返していきます。
アッパーは、そのように裁断したいくつもの部分でできていますから、それらをミシンで縫いあわせて立体化させていきます。
そして靴型に密着させて、外部からは機械で圧すなどして、しっかり固定していきます。この作業は「つりこみ」とよばれています。アッパーの側面やかかとのソールに隠れることになる面も、つりこんでいきます。
いっぽう、ソールづくりでは、原料のゴムに色の要素となる顔料などを練り機で混ぜあわせます。さらに、弾力や強度を高めるため硫黄を混ぜあわせます。
こうして必要なものを含めたゴムを、ソールの型に入れるなどして、ソールのかたちにしていきます。
この先が、いよいよアッパーとソールを一体化していく作業。アッパーにもソールにも糊づけをします。そして、圧着機で両方を強く圧してくっつけます。あとは型を抜けば、できあがり!
スニーカーなどの靴の製造工程は、さまざまな靴製造企業がウェブサイトやユーチューブ動画などで紹介しています。しかし、どんなに過酷な使われかたをしても長く保つための技術や知識も詰まっているのでしょう。どの情報も、隠しているところは隠しています。
参考資料
adidas 2016年9月21日発表 “adidas Unveils First Futurecraft Shoe Created at Industry-Changing SPEEDFACTORY Facility”
http://news.adidas.com/Global/Latest-News/ALL/adidas-unveils-first-futurecraft-shoe-created-at-industry-changing-speedfactory-facility/s/660af584-9bca-4f68-829d-9053a4da00e7
スニーカーフリークス「スニーカーの各部名称と役割」
https://fashion.pintoru.com/sneaker/sneaker_structure/
皮革用語辞典「釣り込み(吊り込み)」
http://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=1176
PATRICKLABOGINZA「PATRICK/FACTORY TOUR」
https://www.youtube.com/watch?v=o42yl2hXixc
ムーンスター「スニーカーができるまで」
https://www.moonstar.co.jp/sneaker/