ウェブニュース「JBpress」で(2017年)3月31日(金)「高血圧に血糖値上昇、メタボ要素を抑える酢の力 調味料の名脇役「お酢」の歴史と科学(後篇)」という記事が配信されました。
日本での基本的な調味料は、砂糖、塩、酢、醤油、味噌の五つといわれています。JBpressの食べものの記事を集めた「食の研究所」では、これまで「醤油」を主題とする記事と、「味噌」を主題とする記事がありました。
そして今回は「お酢」。食酢製造の最大手であり、老舗でもあるミツカンがこれまで研究してきた、血圧、食後血糖値、脂肪とかかわるお酢の健康機能について伝えています。
高めの血圧を下げる。食後血糖値の上昇を緩やかにする。肥満気味の人の内蔵脂肪を減らす。これらは、いずれもメタボリック症候群の予防や改善につながるもの。そして、お酢にはこれらの機能が兼ねそなわっているということです。記事では、それぞれの機能を示すグラフや腹部断面の比較画像も出ています。
興味深いのは、いずれもメタボリック症候群を抑えるのにつながる機能であるとともに、その機能のしくみはそれぞれ異なるという点です。
取材に応えるミツカン開発技術部の担当者によると、高めの血圧を下げる機能については、摂取した食酢が体内で代謝されるときアデノシンが出てきて、これが血管を拡張させることで、血圧が下がるといいます。アデノシンはアデニンと糖が結合した物質です。
また、食後血糖値の上昇を緩やかにする機能については、ご飯が胃から吸収器官である小腸に移行するのをゆっくりにさせる作用がお酢にあるためという説明です。血糖値の上昇が緩やかであるため、上昇した血糖値を抑えるようにはたらくインスリンの分泌も緩やかに。つまり、全体的に急激な血糖値の上がり下がりは起きづらくなるようです。
さらに、肥満気味の人の脂肪を減らす機能については、糖が脂肪に変わるのを抑える効果と、脂肪の燃焼を促進する効果のふたつがお酢にあるからではないかと考えられているとのこと。
高血圧、食後血糖値の急上昇、脂肪の蓄積といった要素がいずれもメタボリック症候群につながるいっぽうで、お酢がそれぞれことなるしくみによって、これらを抑えるようにはたらくというのは、よい意味でなんとも妙なことです。
一般的に、長く使われつづける食材には、それなりの理由があるといわれます。これらの機能を兼ねそなえるような調味料であるからこそ、お酢は長らく使われつづけてきたともいえるのかもしれません。
JBpress「高血圧に血糖値上昇、メタボ要素を抑える酢の力 調味料の名脇役「お酢」の歴史と科学(後篇)」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49575
お酢の歴史を追った前篇「お酢はいつから「健康によい」調味料になったのか?」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49501
記事の取材と執筆をしました。