科学技術のアネクドート

人は「2月が短かったこと」を3月になると忘れてしまう



このブログでは、毎年のようにある特定の月日におなじ主題の記事を出すことがあります。2月末日から3月初日ごろにかけてのひとつの記事も、その例です。

その内容は、「2月が短く終わってしまうことの影響は、じつは3月に現れる」というもの。

月刊誌の編集者などの、1か月ごとに仕事のしめきりが訪れるような人にとって、この問題はとくに顕著にあらわれます。

たとえば、毎月15日に仕事上のしめきりがあるとします。1月15日から2月15日にかけての作業できる日数は31日となります。1月15日から1月31日までの16日と、2月1日から2月15日までの15日を足し算すると、31日になります。

ところが、2月15日から3月15日にかけての作業できる日数はとなると、28日しかありません。2月15日から2月28日までの13日と、3月15日から3月15日までの15日を足し算しても、28日にしかなりません。

たいていの人は、2月が終わって3月に入ると、「2月が28日までしかなかった」という事実を忘れてしまいます。なぜなら、社会は月があらたまって3月の話題ばかりするようになるからです。しかし、2月が28日までしかなかったことを忘れてしまうと、3月の仕事などの進行がきわめて厳しいものになります。

仮に、2月の短さを2月中に処理できたとすれば、つまり、べつの月では16日間(または15日間)かけられる作業を13日間で終わらせることができれば、3月1日からは通常のペースに戻すことができます。

しかし、現実はそうかんたんではありません。もし、16日分の作業を13日分で終わらせるには、1.23倍の速度で作業しなければなりません。あるいは、1日を24時間でなく19時間30分と計算して仕事をしなければならないともいえます。

2月の短い3日分を考慮して、仕事の量も減らした人はそれが得策だったでしょう。しかし、たいていの人は2月が短いからといって3日分の仕事量を減らすようなことはしません。2月と「ほかの月とおなじ1か月」として考えてしまうからです。3日も短いのに。

こうしたことから、2月が1月より3日も短いことの負担を2月中には処理することは、通常まずもってできません。すると、やはり3月にも、そのしわが寄ってくることに。

しわ寄せを食らう人は、3月に入ってからも「2月が短かったこと」を忘れず、仕事のペースを従来の月よりも高めつづけておくべし、ということになります。

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集中するため「いま」に焦点を当てる

写真作者:Lisa Risager

心のストレスに対処したり、集中力を高めたりするための方法として、「マインドフルネス」が話題になっています。

「マインドフルネス」は国語辞典にも載っていて、「心にとめること。注意深いこと」などとあります。“mind”という語は「精神」や「心」を意味し、これに「……でいっぱいの」あるいは「……の性質をもつ」などの意味をもつ接尾辞“-ful”と、さらに状態を表す名詞をつくる接尾辞“-ness”がついて、“mindfulness”となります。

本などでは、「マインドフルネス」のさまざまな説明がなされます。NHKスペシャル取材班著『キラーストレス 心と体をどう守るか』(NHK出版)では、「『今の瞬間』の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情にとらわれないでいる心の持ち方」としています。

また、スティーブン・マーフィ重松著、坂井純子訳の『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』(講談社)では、「マインドフルネスとは、今この瞬間のみが自分が手にできるもののすべてであることを理解し、『今』を人生の最大の焦点とすることである」としています。さらに、マインドフルネスは、自分の真の性質に目覚め、物事をあるがままに見ることを意味する「サティ」という仏教修行の基本要素に由来するともあります。

マインドフルネスを得ているときは、過去に対する思い出や、未来に対する心配から逃れることができます。これにより、ストレスをうまく避けたり、集中力を高めたりすることができるといいます。

となると、注目すべきはその方法となります。

『キラーストレス 心と体をどう守るか』には、具体的につぎの手順が書かれています。

 1.背筋を伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座る
 2.呼吸をあるがままに感じる
 3.わいてくる雑念や感情にとらわれない
 4.体全体で呼吸する
 5.体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
 6.瞑想を終了する

かつて、心の状態を制御するといったことは、もっぱら科学的根拠の乏しい“精神論”として扱われてきました。マインドフルネスの効果についても、すべてが西欧科学で解明されているわけではなさそうです。

しかし、NHKスペシャルの番組として放映されたり、スタンフォード大学の授業で取り入れている内容が本になったりされたため、精神論だけでなく、研究と結びつけられている印象は強くなっています。その点も、マインドフルネスが多くの人に関心をもたれている一因なのかもしれません。

参考資料
NHKスペシャル取材班著『キラーストレス 心と体をどう守るか』
https://www.amazon.co.jp/dp/4140885033/
スティーブン・マーフィ重松著、坂井純子訳『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』
https://www.amazon.co.jp/dp/4062201704/
| - | 17:54 | comments(0) | trackbacks(0)
マラソンの高低差はスタート・ゴール間の1000分の1以内


過去の東京マラソン
写真作者:Kevin Krejci

第11回の東京マラソンが(2017年)2月26日(日)都内で開かれました。ケニアのウィルソン・キプサング選手が、2時間3分58秒で優勝しました。日本国内のマラソンでは初の2時間3分台となりました。

東京マラソンは、高記録が出やすい大会とされています。そのひとつの要因のひとつとして、スタートとゴールの標高差がかなりあることがあげられそうです。

スタートの東京都庁前は標高およそ40メートル。今回のゴールとなった東京駅前の標高はおよそ3メートル。スタートよりゴールのほうが37メートルほど低い地点にあります。

地球には重力があるので、下り坂を走るときの速度は上り坂を走るときの速度よりもあきらかに高くなります。37メートルといえば商業ビル10階建てほど。これを登るよりも降るほうが速度がつきます。

極端に考えると、下りっぱなしの道でマラソン大会を新たに開けば、世界新記録がかんたんに出てしまうかもしれません。しかし、そこは規則として考えられているようです。

たとえば、日本陸上競技連盟は、「長距離競走路ならびに競歩路公認に関する細則」を定めており、そのなかの「コースの設置」という項目で、つぎのようにしています。

「第4条 2.スタートとフィニッシュ地点の2点間の標高差(エレベーション)は 1,000分の1以内とする。即ち1kmあたり1mを超えてはならない」

フルマラソンの距離は4万2195メートルなので、1000分の1となると42メートル19センチ5ミリとなります。東京マラソンのコースの高低差は、これを下まわっているので、細則に反していません。

東京マラソンのコースでは、スタートから6キロメートルぐらいまでに一気に坂を下っていきます。規則の範囲内で、さらに高記録をねらえるようなコース設定をするとすれば、この一気に坂を下る場所を、走者の足が運ばなくなる35キロメートル以降に置くとよさそうです。しかし、そうしたコースには、「意図的すぎるだろう」と物議が起きるかもしれません。

かつては、1992年のバルセロナ五輪のマラソンでは、ゴール手間の「モンジュイックの丘」という上り坂で、森下広一選手が韓国のファン・ヨンジョ選手と激しい競りあいがありました。また、2003年の東京国際女子マラソンでは、旧国立競技場までの上り坂で高橋尚子選手が失速し、優勝を逃すというできごともありました。

世界の頂点を争う走者にとっても、坂があることは勝負の要点となるようです。

参考資料
スポニチアネックス 2017年2月26日付「キプサング、国内初の2時間3分台で優勝! 井上が日本勢トップ8位」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170226-00000091-spnannex-spo
日本陸上競技連盟「長距離競走路ならびに競歩路公認に関する細則」
http://www.jaaf.or.jp/athlete/rule/pdf/10-6.pdf
| - | 22:11 | comments(0) | trackbacks(0)
見えている文化は「氷山の一角」にすぎない

写真作者:Natalie Lucier

「氷山の一角」というたとえがあります。氷山が海面から出ている部分は、全体のわずかにすぎないことから、「大きなものごとのほんの一部」といった意味を表します。

人にとっての「文化」の全体も、氷山にたとえられることがあります。これを「文化的氷山」(Culturaral Iceberg)といいます。

米国の文化人類学者だったエドワード・ホール(1914-2009)は、文化と氷山はにていると唱えました。文化はふたつに分けることができ、ひとつは表面上にあって見ることのできるもの、もうひとつは表面下に隠れているものとしたのです。

表面上にある文化の要素とは、たとえば「食べもの」「服」「言語」「宗教」「態度」「伝統」「祭」「音楽」「踊り」「文学」といったもの。しかし、表面上にあるこれらの要素は、文化の全体のほんの1割を占めるにすぎないと、ホールは考えました。

では、表面化に隠されている9割の要素はどんなものかというと、「価値」「信念」「願望」「自信」「優先事項」「憶測」「規範」「規則」「思考パターン」などといったものだとされています。一見、これらの要素は「文化と関係があるのだろうか」と思えるようなものばかりですが、「人は価値をもつから文化がある」「人は規則をもつから文化がある」などと考えるとよいかもしれません。

人が、自分の文化圏と異なる文化圏に入っていくと、「異文化」というものを経験します。しかし、文化的氷山のモデルからすると、そこで表面的に見たり聞いたりした「異文化」は、その文化の1割くらいでしかないということになります。そこに長く滞在したり、そこで生活をしたりすれば、多少は残りの9割を理解できるようになるかもしれませんが。

人はその地域や社会の文化的影響を受けますから、文化的氷山のモデルは人そのものにも当てはまるのかもしれません。

異文化で育ってきた人と意思疎通をするときには、「相手は何々語を話している」「相手は何々教を信じている」「食べものは何々を好む」といった知覚的にわかる情報だけでなく、「どういう価値観をもっているか」「どういった考え方をしているのか」といったことにも意識すると、理解しあえるようになるものかもしれません。かんたんなことではありませんが。

参考資料
The United Church of Canada “The Cultural Iceberg”
http://www.united-church.ca/sites/default/files/resources/cultural-iceberg.pdf
ウィキペディア「エドワード・ホール」
https://ja.wikipedia.org/wiki/エドワード・ホール
中村良廣「異文化コミュニケーションと実践型教育」
https://chikushi-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=206
| - | 11:41 | comments(1) | trackbacks(0)
『ANAの教え方』発売


新刊の案内です。

このたび、全日本空輸(ANA)グループのANAビジネスソリューションが、『人もチームもすぐ動く ANAの教え方』という本を出しました。出版社はKADOKAWA。編集者は同社の田中怜子さんです。

KADOKAWAが『ANAの……』という書名で出す本はこれが3冊目。帯の文言によると、1冊目の『ANAの口ぐせ』、2冊目の『ANAの気づかい』は、合わせて「12万部突破」を記録しているようです。

ANAの上司や先輩が、部下や後輩たちにどんなことをどう教えてきたのか。その要点が35個、載っています。

たとえば、「『代行する』と人は成長する」。

操縦士には、機長と副操縦士がいます。ANAは、副操縦士を機長に育てるとき、機長とまったく同じ仕事をさせる「機長見習い」という方法をとるそうです。

機長と副操縦士では役割がちがいます。「機長見習い」として飛行を迎えた副操縦士は、飛行前に運行計画をたてることから飛行後に乗務員に解散を伝えるまで、すべて「機長」としての役割をつとめるとのこと。

また、客室乗務員にも、チーフパーサーとよばれる長と、一般の乗務員とがいます。一般の乗務員がチーフパーサーをめざしているとき「ポジション・リクエスト」という申し出をすることがあるとのこと。これは、自分が成長するためにチーフ・パーサー役を代行すること。

こうした事例から、「後輩が自ら成長していくのを促す最も効果的な方法、それは『任せる』ことです」と断言しています。

さらに、「一部を任せるのでなく、最初から最後までを任せきる」ことや「責任がとれる範囲内で任せる」ことなど、ANAが実践している要点が書かれています。

こうした「教え方」の根底にあるのは、「先輩は、後輩が成長するためのサポーターである」という考えかた。社員がみずからボトムアップ的に伸びていくのを、先輩が支援するといった考えかたが基本となっているようです。かつての「スチュワーデス物語」のイメージとは隔世の感があります。といってもドラマであり、ANAを舞台にしてもいませんが……。

章立ては、第1章「ANAの先輩は、後輩の『サポーター』」、第2章「ANAの先輩は、思い切って『任せる』」、第3章「ANAの先輩は、一人を『チーム』で育てる」、第4章「ANAの先輩は、『褒める、叱る』に心を込める」、第5章「ANAの先輩は、自分自身も『教わる』」というもの。

そでの「『手取り足取り』教えなくても、結果は出る!」といった文言に惹かれて、中身を読んでみる人もいることでしょう。

『ANAの教え方』は、こちらでどうぞ。
https://www.amazon.co.jp/dp/404601749X/

この本の執筆協力をしました。
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「生命が存在」は劇的にはやってこない

画像作者:NASA / JPL-Caltech

米国航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)は(2017年)2月23日(木)、地球とにた7個の惑星を見つけ、生命の存在する可能性のあるものをふくまれていると発表しました。

7個の惑星は、いずれも地球からおよそ40光年先にある「TRAPPIST-1」という恒星のまわりにあるもの。恒星は、表面温度がおよそ1400度しかなく「超低温矮星」ともよばれています。

7個の惑星のすべてが液体の水をもちうるもので、そのうち3個が生命が誕生するのに適した領域に入っているといいます。

地球から光を放ったとしても、これらの惑星に届くまで40年かかります。いますぐこの惑星までたどりつくというのは、探査衛星も、ましてや人間もできません。

そのため、今回の惑星のような地球から遠く離れた惑星に、生命がいるかどうかは、地球に届くわずかな情報を頼りに推測していくしかありません。

その手がかりを、研究者たちは「バイオマーカー」とよんでいます。直訳すると「生命のしるし」。

バイオマーカーと考えられてきたのは酸素です。いまの地球でも酸素のある環境のもとで多くの生きものが生きています。

しかし、生命が存在するかは関係なく、惑星にたんに酸素があるだけという場合もあるとということが研究者たちに指摘されはじめました。もし、その惑星に水があると、恒星からの紫外線で水が壊れて酸素と水素になり、水素は軽いため宇宙に逃げていき、酸素だけが残されるというわけです。

酸素があることは必要条件にあらず。酸素があることとともに、もうひとつ、光合成をする生きものがないと存在しない有機分子があること。これが、いまの時点で「バイオマーカーがあるといえる状態」と考えられています。

地球ではない天体に「生命がいる」ということが確実になれば、人がもってきた「私たち生命はかけがえのない存在だ」という価値観は葬られ、「宇宙には生命の多様性がある」という新たな価値観が生まれることになります。

しかし、その転換は、宇宙船に乗って宇宙人が地球にやってきたなどという劇的なものではなさそうです。

太陽系の外に惑星がたくさんあることがわかり、今回のように生命のいる可能性のある惑星がすこしずつ見つかっていき、バイオマーカーを得られたかもしれないといった観測結果が出ていき……。

そのような感じで、すこしずつ状況証拠が揃っていき、人びとにもいつのまにか「宇宙に生命がいる」という感覚に支配されていくのでしょう。今回の発表は、その状況に一歩、進んだことを意味します。

参考資料
米国航空宇宙局 2017年2月23日発表 “NASA Telescope Reveals Largest Batch of Earth-Size, Habitable-Zone Planets Around Single Star”
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-telescope-reveals-largest-batch-of-earth-size-habitable-zone-planets-around
須藤靖「系外惑星とバイオマーカー 生命􏰀存在を伝える」
http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/myresearch/biomarker-2014July22.pdf
三菱電機 読む宇宙旅行 2016年5月26日掲載「系外惑星が大量に発見される時代の『系外生命』の探し方」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c1605_2.html
| - | 10:56 | comments(0) | trackbacks(0)
日常行動、ストレス行動、動機から個人を知り、仕事に活かす


仕事をしている人のもつ行動のとりかたがわかれば、それを仕事に活かせるかもしれない。そのような考えかたから、企業が社員に受けさせるテストがあります。

世界的におこなわれている個人行動様式テストのうち、代表的なもののひとつに「ホーガンアセスメント」があります。

これは、米国の心理学者ロバート・ホーガン(1937-)が開発したテストです。ホーガン1960年代から個人の行動様式についての研究をしてきました。1987年には、ホーガンアセスメントシステムズ社を創始しています。

個人の能力に影響をあたえる「個人の行動の源泉」を明らかにするため、大きく三つの診断ツールが使われます。ホーガン社と提携している富士ゼロックス総合教育研究所の発表資料によると、それはつぎのとおり。

一つ目は「ホーガン・パーソナリティ・インベントリー」。その人の通常の状況における行動様式などを明らかにするもの。職務への適正や効果的な対人関係、またキャリアの成功に必要な特性などを測定します。測定の尺度には、たとえば、「適応性」「社交性」「慎重性」「好奇心」「学習方法」などがあります。

二つ目は「ホーガン・ディベロップメント・サーベイ」。キャリアや能力に影響をあたえるリスクの傾向を明らかにするもの。ストレスを受けているときや疲れているとき、また精神的に不安定なときに起こりうる対人行動の特性を測定します。この測定では「興奮しやすい」「懐疑的」「用心深い」「想像を好む」「勤勉な」「忠実な」などのことばからなる尺度が使われます。

三つ目は「モーティブ・バリュー・プリファレンス・インベントリー」。行動をもたらす動機、価値観、嗜好性などを測定します。尺度には「認知欲求」「権力志向」「快楽志向」「利他主義」「審美性」「科学志向」などがあります。

これらの測定をすることで、その人が「なぜ、その行動をとっているか」あるいは「なぜ、その行動がとれないか」を確かめることができるといいます。それによって「能力開発のための基盤」を理解し、「効果的な行動変革」につなげることをめざすといいます。

21世紀以降、企業のグローバル化が進み、昔ではあまり考えられなかったような、さまざまな背景をもった人たちで組織がつくられることが多くなりました。仕事をする人の特性がさまざまになっているなかで、国や地域、業種、消臭を問わず、どんなはたらく人にも通用するようなテストの重要性が高まってきています。

参考資料
富士ゼロックス 2014年1月30日発表「富士ゼロックス総合教育研究所が米国ホーガンアセスメントシステムズ社と提携」
http://www.fxli.co.jp/wp-content/uploads/2014/10/2014-0130.pdf
富士ゼロックス総合教育研究所 2014年10月1日発表「HOGAN ASSESSMENT概要 ご説明資料」
http://www.fxli.co.jp/wp-content/uploads/2014/09/bc04d91e091edfea6d9403a5c8397214.pdf
富士ゼロックス「Dr. ロバート・ホーガン 来日記念イベント ホーガンアセスメントで 何ができるのか?」
http://www.fxli.co.jp/data/pdf/2015-12.pdf
wikipedia “Robert Hogan(psychologist)”
https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Hogan_(psychologist)
| - | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0)
意思疎通では「伝える」よりもまず「聴く」から――法則古今東西(27)
これまでの「法則古今東西」はこちら。



法則とは、「一定の条件のもとであればかならず成立するものだ」とする考えかたがあります。しかし、それほど厳密でなくても、一般的に当てはまる傾向にあるものごとを「法則」とよぶことがあります。

自然科学でなく、経営学の組織論には「LILIの法則」とよばれる法則があります。経験則ともいえるかもしれません。

「LILI」は、それぞれの動詞にあたることばの頭文字をとったもの。

・Listen …… 聴く。
・Inform …… 伝える。
・Lead …… 導く。
・Involve …… 巻きこむ。

これらが、なにを意味しているかというと、組織において意思疎通を効果的におこなうための要素でということです。そして、「LILI」とあるように、その順番も上記のとおりにするものとされています。

「LILIの法則」では、まず「この課題について、まず、みなさんのご意見を聞かせてくれませんか」と言って、相手の話を聴くことからはじめます。

そして、そのあとに自分の考えている課題解決策や、自分としての答えを伝えるようにします。「私はこの課題について、こう考えているんだ」と。

その後、自分の進めたい方向に相手を導いて、最終的に相手を巻きこみます。

この4つの要素では、最終的な目的は「巻きこむ」でしょう。すると、その前の段階はやはり「導く」となるでしょう。すると、残る「聴く」と「伝える」の順番が大切ということになります。

会議などでは、たいてい「今日の課題はこういうものです。まず、説明します」「ではこの課題をどうするか。対策を考えてみました」のように「伝える」ことから始まります。

しかし、「聴く」ことから始めることで、聴かれた側は自分の考えなどを口に出して言いますから、ここで主体性が生まれるようになるといいます。その効果が、「導く」や「巻き込む」の段階にまで効いてくるのでしょう。

「LILIの法則」を唱えるのは、経営者の柴田励司さん。組織・人事コンサルティング企業のマーサーで「コミュニケーション・プラクティス」という、意思疎通を円滑にする原理・原則を探すような作業をしているなかで発見したといいます。

参考資料
GLOBIS 知見録 柴田励司氏「次世代のリーダーに必要な力とは? 社長のプロが語る!“デキるリーダー”になるためのエッセンス」
http://globis.jp/article/2401
伊藤武彦「コモナリティ ダイバーシティの次のステージとリーダーに求められる能力」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009916434
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「進化」の使いかた適切か、静かな議論に

写真作者:Rick Wagner

「進化」という言葉は、社会であたりまえに使われています。たとえば、新聞の見出しには「展覧会の新世界へ 体感型に進化、撮影可の動きも」「プリウスPHV、進化 ガソリンなしで走れる距離、2倍に」「高速バスが豪華に進化 宿がわり、移動に楽しみ」といったように「進化」が使われています。

しかし、「進化」をめぐっては「適切な使われかたをしているのか」といった議論が静かに起きています。

「適切な使われ方」かどうかを判断するには、それを考えるための尺度が必要です。「進化」の場合、もともと生物学におけることばであるということから、生物学で使われる「進化」の意味するものが、その尺度ということになります。

国語辞典では、生物についての「進化」に、つぎのような意味をあたえています。

「生物は不変のものではなく,長大な年月の間に次第に変化して現生の複雑で多様な生物が生じた,という考えに基づく歴史的変化の過程。種類の多様化と,環境への適応による形態機能行動などの変化がみられる。この変化は,必ずしも進歩とは限らない」

最後の「この変化は、必ずしも進歩とは限らない」と書かれてあるところが要点となります。次第によくなっていくことを「進歩」とすれば、「進化」は次第によくなっていくことにかぎったことではない、としているのです。具体的には、体のなかの機能をもっていた器官が、単純なものに縮小していく「退化」も「進化」に含まれるわけです。

生物学とは異なる分野で「進化」が使われているときは、かならずといってよいほど、よくなっていくことについて「進化」が使われています。

ただし、「退化」の意味で「進化」が使われていないからといって、それでもって「『進化』のふさわしい使いかたがされていない」ということにはなりません。生物の進化では、次第によくなっていく「進歩」もたしかにたくさんあり、生物以外での「進化」は、生物の「進化」のなかの「進歩」の側面だけを表したものだともいえるからです。

なかには、生物学での「進化」と、厳密なまでにおなじことを意味する使いかたでなければ許すまじ、とするような論もあります。『入門! 進化生物学』という新書で、動物行動学の専門家である小原嘉明さんはこう述べています。

「進化とは、集団における任意の遺伝子(あるいはその遺伝子によって形成される形質、またはその形質を有する個体)の頻度(割合)が、世代の経過とともに変化(増加)することである。したがって進化という言葉は、そもそも世代交代によって生命を引き継いでいく生物界固有の事象についての用語であって、非生物界の事象にこの用語を適用する余地は全くない」

もっとも、そのあとに「もちろんこれらの用法は単純な比喩であるから、そのこと自体には特に目くじらを立てることはないかもしれないが……」とも加えてはいますが。

「進化」ということばを、生物学で使われる「進化」を意識しないで使うことをよしとしない人はいるということでしょう。社会のものごとについて指す「進化」については、かなりは「進歩」で置きかえられそうです。

けれども、いまさら「進化するイチロー」を「進歩するイチロー」と置きかえたら、違和感を覚える人はいそうではあります。

参考資料
小原嘉明『入門! 進化生物学』
https://www.amazon.co.jp/dp/4121024141
『スーパー大辞林』
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火は現象、火のもとは物質


「火の正体はなんなのか」という質問がインターネットなどによく上がっています。物質は、気体か液体か固体か、いずれかの状態をとることから、「火は
このうちのなにに分類されるのでしょうか」といった質問がされます。

これに対するたいていの答は「どれでもありません」というもの。そして「火は物質でなく現象であるから」という理由が加わります。

火からは熱と光が発せられます。それが火というわけ。たとえば、太陽から射しこむ光について「これって気体ですか、それとも液体ですか」とは聞かないのとおなじことということでしょう。

しかし、火をもたらしているものの状態については「気体か、液体か、固体か」という質問はなりたちます。火には生じる原因があるからです。

物質と酸素が結びつく、酸化という反応があります。この反応は燃やす材料となる物質と酸素、それに火が生じるのに必要なエネルギーが揃うとことで起きるもの。たとえば、紙を、空気つまり酸素のあるところで置いて、それに向けて虫眼鏡などで光を集めれば、やがて火が生じるはずです。

熱は上にあるとおり現象ですが、紙それに酸素は明らかに分子でできた物質です。この場合、火をもたらしているものの状態については「固体と気体」ということになります。

ただし、材料となる物質はかならずしも固体である必要はありません。たとえば燃料の灯油は液体ですし、ガスは気体です。また、酸素もマイナス183度以下になると液体になりますし、マイナス218.79度以下になると液体になり、それぞれの状態で燃やすために使われます。

そのため、火をもたしているものの状態は「気体でも、液体でも、固体でもありえて、状況によってそれが決まる」ということになります。

国語辞典には、「火」とは「物質が燃えるときに出す炎や熱。また,燃えたり熱せられて赤熱したもの」とあります。

それにしても、どんと焼きなどを見れば、あきらかに火を感じられる場所と、そのまわりの火が感じられない場所があるわけであって、「火はものである」と考えてしまうのもむりのないことではないでしょうか。

参考資料
東邦大学メディアネットセンター「火炎の科学と物理 物質と燃焼の基礎知識」
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/combustion/comb01/basic02.html
法科学鑑定研究所「燃える・燃焼の基本」
http://alfs-inc.com/firesciences/firesciences002.htm
ブリタニカ国際大百科事典「液体酸素」
https://kotobank.jp/word/液体酸素-36197
ウィキペディア「固体酸素」
https://ja.wikipedia.org/wiki/固体酸素
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「サヴォイ」のビーフカレー――カレーまみれのアネクドート(93)


神戸市中央区の、JR三宮駅と元町駅にかけての線路のまわりには、こじんまりとした店が寄せあつまっています。東海道線の高架下にある「神戸三宮高架商店街」の店々もそうですが、並行する県道21号線の南側にある「さんセンタープラザ」の店々もしかりです。

3棟が連なるこのプラザは、1970年から1980年にかけて建てられたもの。低い天井や、段差のある通路などには「昭和」が感じられます。

そして、地下1階を中心にところ狭し並ぶ飲食店。なかでも、カレーを出す店の多いこと多いこと。プラザのホームページを見ると、およそ150の飲食店があるなかでカレー店あるいはインド料理店はすくなくとも10軒以上。徒歩圏内にカレーを出す店が10軒もある街は、そうはありますまい。

ひときわ狭い店が、センタープラザ東館地下1階にある「サヴォイ」。カウンター席のみで、小さくて座位置の高い椅子が間隔なく置かれています。大きな荷物を持って入ると、置き場所は足元のみ。椅子を後にずらさねばならず、あとから入ってくる客に椅子脚を蹴られることに……。

食べる環境としては厳しいものの、客がひっきりなしに入ってきます。創業は1988年といいますから、もうすぐ開業30年。神戸市民に支持されているのでしょう。

カレーの献立は「ビーフカレー」のみ。あとは「玉子」と「ビール」があるだけ。カレーにはキャベツの千切りがついてきます。また食卓のうえには、福神漬、らっきょう、ピクルス、にんじんといった定番の添えものも。

ライスは鬱金の黄色で染まっています。そのうえに牛肉の筋が入ったルゥがたっぷり注がれています。ルゥの見た目は辛そうですが、汗が吹き出すほど辛いというわけでもありません。

ライスはややかため。しかし、ルゥとかき混ぜて食べるとすると、かためのほうがちょうどよいともいえます。

普通盛りでも大盛りでも650円。狭い店でカレーの献立はひとつだけといった究極的なやりかたで保っているのでしょう。

「サヴォイ」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280101/28000095/

ちなみに、この店のホームページもきわめて簡素なもの。1ページしかありません。けれども価格以外の必要な情報はすべて入っています。
http://www.jazz-voice.biz/savoy/savoy_1.html
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ネズミ以外の動物でもねらった遺伝子を破壊
研究者たちは、人を対象とした実験ができないとき、代わりに人以外の動物を使って実験することがあります。

よく知られている実験用の動物はマウスやラットなどの齧歯類、つまりネズミたちです。野生からは切りはなされ、研究の目的で育種されたり管理されたりしています。

マウスやラットは実験用の動物として定着しているので、慣れている研究者たちにとっては扱いやすいもの。しかし、より人に近い体の特徴をもった動物のほうが、多くの場合「人の代わり」を果たしてくれるものです。となると、人やサルの仲間の霊長類を使うことになります。

しかし、実験の内容によっては、霊長類を使いたくても、マウスやラットを使わざるをえない事情もありました。「標的遺伝子ノックアウト」という技術を当てはめられるのは、実験用の動物のなかでも、マウスやラットにかぎられていたのです。

標的遺伝子ノックアウトとは、動物がもともともっている遺伝子のなかで、ねらった遺伝子を機能させなくすること。「標的」の「遺伝子」を「ノックアウト」させるわけです。

ふつうなら機能する遺伝子を機能させなくするということは、遺伝子が機能しなくなることで生じる病気の状態ににせることを意味します。こうして病気のモデルとなる実験用動物を用意して、病気の研究をすすめるのです。

標的遺伝子ノックアウト動物をつくるには、あらかじめ目的の遺伝子が改変されている胚性幹細胞をつくり、動物の胚にそれを入れて、「キメラ動物」を誕生させる必要があります。キメラ動物とは、2種類以上の遺伝的に異なる細胞からなる動物のこと。

しかし、このキメラの状態をつくるために必要な胚性幹細胞は、いままでマウスやラットのものしかつくれていません。

ところが、新しく開発された「ゲノム編集」という遺伝子改変技術を使うことで、マウスやラットでしか標的遺伝子ノックアウト動物をつくれないという問題はなくなりました。

ゲノム編集の方法では、実験に使いたい動物の受精卵にある、ねらった遺伝子を壊します。その後、受精卵は細胞分裂をしていき、赤ちゃん、そして成体になっていきますが、おおもとの受精卵のねらった遺伝子が機能しないように改変されているので、赤ちゃんや成体になってもやはりその遺伝子は機能しません。

2016年にはこの方法が霊長類の一種であるコモンマーモセットに使われ、標的遺伝子ノックアウトコモンマーモセットが誕生しました。免疫のしくみをはたらかなくさせたもので、人の重症先天性免疫不全症という病気ににた症状を示したといいます。


コモンマーモセット
写真作者:PROtomosuke214

胚性幹細胞を用意して、そこからキメラ動物を誕生させてから、標的遺伝子ノックアウトマウスやラットをつくるという作業は、とても手間と時間のかかるものでもありました。

しかし、ゲノム編集の技術を使うことで、胚性幹細胞をつくる必要がなくなるため、標的遺伝子ノックアウトマウスをつくるにも、手間や時間がかからずに済みます。

ゲノム編集の技術を使えば、原理的には、あらゆる動物のねらった遺伝子を機能させなくすることができ、しかも、手間や時間も、マウスで行っていた旧来のやり方よりはかからないということになります。

ただし、「あらゆる動物のねらった遺伝子を機能させなくする」には人も含まれます。

実際、2015年には中国の研究者たちが、人の受精卵にゲノム編集をおこない、遺伝子の改変を試みたことが伝えられました。受精卵の遺伝子の改変は、その影響がその個体だけでなく、次世代にも、その後の世代に及んでいくため重大なものです。そのためこの研究は科学界で大きな議論と話題をもたらしました。

開発してしまったからには、その技術を「どう使うのか」の議論が必要となります。

参考資料
佐々木えりか「霊長類受精卵のゲノム編集」『科学』2016年12月号
実験医学 online 「標的遺伝子ノックアウト動物」
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/3963.html
実験動物中央研究所、慶應義塾大学、日本医療研究開発機構 2016年7月1日発表「ゲノム編集技術により免疫不全霊長類の作出に成功」
http://www.amed.go.jp/news/release_20160701.html
| - | 16:32 | comments(0) | trackbacks(0)
5文字以上漢字がつづく

漢字の語が連続すると読みづらいというのは、かなと漢字が混ざりあった日本語だからこその問題です。

よくある例は「今日本では」といった語のならび。「いま日本では」と書けばよいのでしょうが、用字用語のルールで「今」と書くと決まっているとしたら、しかたありません。あるいは「今、日本では」と書けばよいのでしょうが、「世界が揺れる中、今、日本では」のように、前にも読点があるとなると間のびしてしまいます。やけ気味に「世界が揺れる中今日本では」とする人もいるとかいないとかいいます。

「今日本では」の「今」と「日本」は、独立したことばです。いっぽう、日本語では独立しているともいいきれない、5字以上の漢字が並んだ熟語的なことばがあります。たとえばつぎのようなもの。



分ければ「一対一での対応」となるのでしょう。しかし、音に出したときの「いちたいいちたいおう」という調子のよさもあってか、「一対一対応」で、ひとつの熟語のように使われています。




この「即」は、接続詞という扱われかたのようです。かなや読点をあえて入れるとすれば、「実証したら即、実用化」となるでしょうか。しかし、「実証即実行」のほうが、“ほんとうにそうしている感”が強くなります。



この「兼」も、国語辞典には「接続詞的に用いる」とあります。「選手兼監督」は分けるのがむずかしい。あえて分けるとすれば「選手、兼、監督」でしょうか。しかし、明らかに間のびしています。

「一対一対応」も「実証即実用化」も「選手兼監督」も、かなや読点を入れずにそのまま使いたい。けれども、漢字がつづいてしまっていることが気になる。

こうしたことまで読まれかたを気にする表現者は、コンピュータの文字組みソフトで、わざわざ字間を調整するかもしれません。



けれども、ここまでやる字間があるのであれば、文章のほかの部分を推敲したほうが全体の仕上がりはよくなりそうです。

参考資料
『スーパー大辞林』

| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「保温機能なし」に二度寝防止の効用


炊飯器は、電気などを熱源にしてご飯を炊くための家電製品です。家電製品には便利のため、つぎつぎと機能が加えられているなかで、近ごろの炊飯器には「保温機能なし」のものが現れています。

たとえば、2016年に家電製品製造業のバルミューダ、それに鋳造業の愛知ドビーは、それぞれ高級炊飯器を発売しましたが、いずれにも保温機能がついていません。

バルミューダは、ホームページで「保温機能は、どうしてもおいしさを損ねてしまいます。炊きたても、冷めてもおいしいBALMUDA The Gohanは、保温機能を省きました」と理由を説明します。

愛知ドビーの炊飯器ブランドのホームページでも「保温機能がない理由。それは、究極のおいしいご飯を炊くためです。理想の炊飯には、一般的な炊飯器にある保温用のフタを無くす必要がありました」と説明しています。

どちらも、おいしいご飯を食べてもらいたいがゆえに設計したもののようです。

この「保温機能なし」に、おいしいご飯を食べられるとは、べつの“利点”を見いだした人がいるといいます。朝、なかなかすんなり起きられない人です。保温機能なしの炊飯器を買った人は、つぎのように話しています。

「朝からおいしいご飯を食べるため、夜、床に就くまえにお米をといで炊飯器に入れて、炊きあがりが翌朝7時ちょうどになるようにタイマーをセットして寝ます」

「朝、いつも寝坊して、たいてい8時や9時に起きていたのですが、朝7時にタイマーどおりご飯が炊きあがるでしょ。すると、保温機能がないので、あとはご飯は冷めていくいっぽう」

「ご飯の炊きあがったら、すぐに起きて、朝ごはんの用意をして、炊いたご飯を食べないとならないわけです。食べないとだんだん冷めていくんだと思うと気が気でなく、二度寝しようなどとは思いません」

もちろん、ご飯が冷えても、電子レンジなどでふたたび温めれば、美味しいご飯を食べることはできるでしょう。しかし、炊きたてのおいしさに代わるものはなし。

こうして、この人は、翌朝の自分に朝きちんと起きて、炊きたてのごはんを食べることに期待しつつ、タイマーをセットしているようです。

参考資料
バルミューダ「The Gohan」
https://www.balmuda.com/jp/gohan/technology
バーミキュラー「RICEPOT」
http://www.vermicular.jp/products/ricepot/
| - | 17:57 | comments(0) | trackbacks(0)
東北新幹線、盛岡駅以北を仮想乗車

写真作者:Kentaro Ohno

乗りなれていない鉄道に乗ると、自分の知らない駅に出合ったり、知らない風景を見たりするものです。それこそ鉄道に乗ることの楽しみのひとつという人も多いでしょう。これは、在来線だけでなく新幹線についてもおなじことがいえます。

東日本に住んでいる人でなければ、あるいは東日本に住んでいる人でも、東北新幹線の盛岡駅より北の各停車駅を言える人はそういないかもしれません。

盛岡駅を出ると、新幹線は盛岡の市街地を抜け、トンネルと開けたところをくりかえし通り「いわて沼宮内駅」へ。「沼宮内」で「ぬまくない」と読みます。歴史は古く、1891(明治24)年、日本鉄道の沼宮内駅として開業しました。

いわて沼宮内駅を出ると、新幹線は、IGRいわて銀河鉄道の線路や、国道4号線の道路と絡むようにしながら北上していきます。前の区間より増して、トンネル区間が長くなります。そして、すこしだけ開けた地にある「二戸駅」に到着。こちらも1891年に開業した駅で、当時は日本鉄道の福岡駅でした。

ここから先は、青森県特有の「戸(へ)」のつく地名の駅がつづきます。「戸」はいわば「地区」といった意味。平安時代、糠部郡が置かれたとき、郡を9つの地区にわけて、南から「一戸」「二戸」……とよんでいったそうです。

新幹線は、ひきつづき山深いなかのトンネルを通って北上します。そして一気に開けると「八戸駅」に。この駅も1891年、日本鉄道の尻内駅として開業しました。八戸平野の西の端のほうに位置します。

八戸駅から先は2010年に開通した区間。新幹線は大きく「 )」のような弧を描くようにして、北北東から北北西、さらに西北西へと進路を変えます。田んぼのなかを高架で走り、途中に山をくぐるためトンネルがあるといった具合です。

つぎの駅は「七戸十和田駅」。2010年の新幹線開通ととともに開業しました。ここまでの駅にくらべると、まわりの街の家の数は多くありません。コンピュータゲーム「シムシティ」の、駅開業直後の街のような佇まいです。ただし、駅のすぐ近くにイオンがあります。

七戸十和田駅を出ると、新幹線はほぼ西へ進むようになります。そして、八甲田山の北側に位置する山々の下をトンネルで通過していきます。八戸市や七戸市と青森市が、山で大きく分けへだてられることを感じさせます。

そして、新幹線は青森平野の南の縁をまわるように走っていき、進路を北に変えて「新青森駅」に到着するのでした。この駅は1986(昭和61)年に、奥羽本線の駅として開業していました。2010年の新幹線開通で、新幹線の停車駅にもなりました。

この先は、北海道新幹線の区間に入り、奥津軽いまべつ駅、木古内駅を通って、新函館北斗駅まで行きます。

参考資料
ウィキペディア「いわて沼宮内駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/いわて沼宮内駅
ウィキペディア「二戸駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/二戸駅
あおもりけんキッズページ「「戸(へ)」のつく地名が多いのはなぜ?」
http://www.pref.aomori.lg.jp/kids/cld-himitu-name2.html
ウィキペディア「八戸駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/八戸駅
ウィキペディア「七戸十和田駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/七戸十和田駅
ウィキペディア「新青森駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/新青森駅
| - | 13:50 | comments(0) | trackbacks(0)
脳の活発さはヘモグロビンでわかる
脳が活発にはたらいているかどうかを、脳を測って、部位による色分けをして示すことがあります。脳のなかのある部位が、ほかの部位より活発にはたらいているからこそ、色分けされるわけです。では、実際、脳のなかでなにがどうなっているから色分けできるのでしょう。

脳のなかには血液が流れています。血液が流れるのは、おもに酸素を脳の細胞に行きわたらせるため。これには、血液のなかのヘモグロビンという成分が役割を果たしています。ヘモグロビンは、鉄をふくむ色素と、たんぱく質とからなりたつ複合たんぱく質。酸素と結びついて酸素を運びます。


ヘモグロビンのつくり
画像作者:Shizhao

脳のある部位の細胞が活発にはたらけば、それだけ多くの酸素が必要になります。そのときには、酸素の運び屋であるヘモグロビンがたくさん活躍しているはずです。

つまり、ヘモグロビンが酸素を運ぶために活躍しているかどうかがわかれば、その部位の脳が活発にはたらいているかどうかがわかるわけです。

ヘモグロビンの酸素との結びつきの度合を測る方法のひとつに、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI:functional Magnetic Resonance Imaging)があります。

ヘモグロビンが酸素と結びついているときは磁場と反対方向に磁化される反磁性体となり、酸素と離れているときは逆に常磁性体となります。この原理を利用して、ヘモグロビンと酸素の結びつきの度合を測り、脳のどの部位が活発になっているかを視覚化するのです。

ヘモグロビンの状態から脳が活発にはたらいているかを測るための技術に、光トポグラフィというものもあります。

脳のはたらきが活発なところでは、ヘモグロビンの濃度そのものが高くなっています。そこに、可視光線より光の長い近赤外光を照らしてみると、光がヘモグロビンによって吸収されてしまい、反射してくる光が弱くなります。つまり、光を照らしても暗くなっている脳の部位は、ヘモグロビンがたくさんあって脳が活発に働いているあかし。光トポグラフィは、このしくみを応用したものです。

なお、光トポグラフィによって脳を測った結果、脳の右側の反応が高いとストレスが大きい状態で、逆に脳の左側の反応が高いとストレスが小さい状態になっていることが知られています。これのしくみを利用した「安静時左右差指標」(LIR:Laterality Index at Rest)という脳計測の尺度もあります。

こうした、脳をはかる技術は、医療だけでなく、市場調査やものづくりのための開発などにも活かされてきています。

参考資料
ウィキペディア「fMRI」
https://ja.wikipedia.org/wiki/FMRI
ウィキペディア「核磁気共鳴」
https://ja.wikipedia.org/wiki/核磁気共鳴
日立製作所 ヘルスケア「光トポグラフィ講座 原理編」
http://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/contents/nirsbeginner/principle/index.html
| - | 20:04 | comments(0) | trackbacks(0)
「惑星たちの井戸端会議」金星“余裕ぶり”示す

ラジオ番組の途中に入るメッセージに、「惑星たちの井戸端会議」というのがあります。ユーチューブで聞くことができます。日本民間放送連盟によるもので、太陽系の“惑星たち”がつぎのような会話をします。なお「火星」と「木星」は推測です。

金星「あ、あっとっと。どうしたの地球くん」
地球「ごめん、金星くん。ちょっとめまいが……」
火星「温暖化か。まだ熱が下がらないんだにぇぁ」
木星「地球人が本気にならないと、地球くんが心配!」
みんな「まったくだ!」

温暖化による熱で「地球くん」がめまいを起こし、それをほかの惑星たちが心配そうにしているといった内容です。

さて、このメッセージで注目すべきは「金星くん」の“余裕ぶり”です。


金星
SSV, MIPL, Magellan Team, NASA

金星の平均気温は、およそ460度。最高気温は500度とされます。地球の平均気温の10倍はゆうに超えています。

金星の気温がとても高い理由は、地球での温暖化の原因のひとつといわれている二酸化炭素の濃度が高いからです。二酸化炭素は、太陽光などの可視光線はとおすものの、赤外線は吸収するため、その内側では温度が高くなります。これは「温室効果」ともよばれます。

しかし、金星の温室効果の歴史は筋金入りのようです。金星の誕生は、太陽系のなりたちとおなじ、およそ40数億年前とされます。そして、近ごろの説では、金星には20億年前ぐらいまで「海」があって、平均気温は地球より低かったものの、太陽に近いことから水は蒸発し、二酸化炭素が増えていったといいます。

そして、金星では「暴走温室効果」が起きたとも。これは、太陽からの光などが限界量を超えて射しこんだとき、水蒸気が増えるなどして、大気が著しく厚くなり、惑星気温が著しく高まるというもの。

金星はこのような体調の変化を20億年前ごろにすでに経験し、それ以降25億年を超えて変化したあとの体調がつづき、もはやその体調にすっかり慣れきっているのでしょう。460度という地球からすれば異常なほどといえる「高熱」であっても、「どうしたの地球くん」と、心配するくらい平気でいます。

ちなみに、掲示板の「2ちゃんねる」には、「惑星たちの井戸端会議(1)」という題の発言があり、「地球くんまだ温暖化なんだね〜とか言ってるけど お前ら火星やら金星はそれどころじゃないだろ」というつっこみが見られます。

参考資料
宇宙航空研究開発機構 あかつき特設サイト「金星の概要」
http://www.jaxa.jp/countdown/f17/overview/venus_j.html
ウィキペディア「暴走温室効果」
https://ja.wikipedia.org/wiki/暴走温室効果
CNN.co.jp 2016年8月15日付「金星、生命の存在可能な惑星だった? 30億年前に『海』も」
http://www.cnn.co.jp/fringe/35087466.html
デスクトップ2ch「惑星たちの井戸端会議(1)」
http://desktop2ch.net/morningcoffee/1441080237/

| - | 13:10 | comments(0) | trackbacks(0)
『カルロス・ゴーンの経営論』発売


新刊の案内です。

日本経済新聞出版社が(2017年)2月9日(木)、『グローバル・リーダーシップ講座 カルロス・ゴーンの経営論』という本を出しました。監修は日産財団、編著者は太田正孝氏と池上重輔氏。

日産自動車の最高経営責任者カルロス・ゴーン氏は、日産財団が2014年から開いている「逆風下の変革リーダーシップ養成講座」で、これまで5回にわたり講演してきました。これから組織のリーダーになろうとしている企業の社員たち参加者からのさまざまな質問に対して、ゴーン氏がおもに自身の経験にもとづいて答えていきます。

たとえば「リーダーは完璧でなくてはならないのでしょうか」という質問に、ゴーン氏は「『完璧なリーダー』というものは、本当はいません。しかし、人々から『完璧なリーダー』と思われるようなリーダーはいます」と答えます。そして、そうしたリーダーは「失敗が起こる前にその芽を摘み取っている」と続けます。

こうしたゴーン氏の経験に基づいたリーダーシップ論に、編著者の早稲田大学大学院経営管理研究科教授の太田氏と、准教授の池上氏が経営学的な視点で解説を加えています。

たとえば、上のゴーン氏の「完璧なリーダー」をめぐる答えに対しては、「問題の兆候を読み取って早めに対応することでフォロワーから『完璧に見える』わけですが、そうした行為を継続することでフォロワーからリーダーへの期待が高まるのでしょう」と述べています。

さらに、ゴーン氏の側で、最高執行責任者(COO:Chief Operation Officer)をつとめてきた、日産財団理事長の志賀俊之氏も、「ゴーン的リーダーシップとCOOとしての役割」という節で、ゴーン氏のリーダーシップの要諦と、ゴーンの側近で指揮をつとめた自分自身の役割についてを述べています。

ゴーン氏は、参加者からのどんな質問に対しても、リーダーシップのありかたや経営のしかたを歯切れよく答えています。レバノンやフランスで教育を受け、ミシュランやルノーなどで要職に就き、また17年にわたり日産自動車の経営者でありつづけてきた経験や、それに人びとの前でいかに立ち振る舞うかの信条がそうさせているのでしょう。

ゴーン版「熱血教室」が収録された『カルロス・ゴーンの経営論』はこちらでどうぞ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4532321301

この本の制作協力をしました。
| - | 23:09 | comments(0) | trackbacks(0)
「体重の大小よりも“体の中身”が問題だ」


ウェブニュース「JBpress」できょう(2017年)2月10日(金)「体重の大小よりも“体の中身”が問題だ 『太れない』『痩せられない』の科学(前篇)」という記事が配信されました。

いまの世の中、「痩せようとすること」については大きな関心が向けられています。たとえば、2月に出た本だけでも、『下半身だけ即やせる』『痩せる、鍛える きれいなカラダ作りの新ルール』『常識外れダイエット 25日で10kg痩せる方法』『究極の脚やせプログラム』『今日からやせグセがつく本』と、すくなくとも5冊の新刊が出ています。

いっぽう、「太ろうとすること」についての関心は、社会的にはほぼ見捨てられている状況といえるのではないでしょうか。

しかし、太ろうとしている人や、太りたくても太れない人も、世の中には一定数いるはずです。たしかに痩せたい人びとよりは少ないかもしれませんが。

また、「太る」とは「よくないこと」、「痩せる」とは「めざすべきこと」といった結びつきが、あたりまえのようになっています。しかし、こうした概念もほんとうは相対的なもの。「貧相に見える痩せた体を、がっちりさせたい」と願っている人にとっては、「痩せる」とは「よくないこと」で、「太る」ことこそ「めざすべきこと」となります。

というわけで、記事では「痩せられない」だけでなく、「太れない」という体の問題についてもとりあげて、その傾向の原因などを探ろうとしています。

取材に答えている、東邦大学大森病院栄養治療センター部長の鷲澤尚宏さんは、消化器外科や栄養支援の専門家。かつて『きょうの健康』で「“太れない”と悩むあなたへ」といった記事を出すなどしています。

記事では、「太れない」「痩せられない」の要因を解説するともに、そもそも「痩せている」「太っている」をどのように考えればよいのかといった話がくりひろげられています。

JBpress「体重の大小よりも“体の中身”が問題だ 『太れない』『痩せられない』の科学(前篇)」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49134

後篇は、2月17日(金)に掲載予定。痩せていることの悩みを抱えている人たちに向けて話が進んでいく予定です。
| - | 16:29 | comments(0) | trackbacks(0)
「街なかにマツ」は海岸線の名残


街なかを歩いていると、場所によってマツの木が道ばたに植わっているのを見かけます。舗装された道のなかで、マツの生えているところだけは舗装を避けていることから、マツがまずあって、その後、道が舗装されたことがわかります。

マツが生えている場所といえば、たいてい海の近く。しかし、海とは遠い街のなかにマツがたくさん生えているような地域もあります。

たとえば、千葉県市川市の菅野から真間にかけて、鉄道では京成線の菅野駅から市川真駅にかけての小道には、クロマツが多く植わっています。のどかに走る京成線の各駅停車とまわりにあるクロマツの木々から、「神奈川県鎌倉市を走る江ノ島電鉄の風情を千葉県で味わえる」ともいわれています。

しかし、市川市のマツが多い場所は東京湾まで6キロメートル以上もある陸地。このあたりに住む人には見なれた風景でしょうが、海から遠い街なかのマツには違和感を覚える人もいるかもしれません。どうしてここマツがたくさん生えているのか、と。

市川市の地史などによると、マツが多く生えている菅野から真間にかけて、その昔、海岸線があったということです。

京成線から南に50メートルほど行ったところには、千葉街道という国道が走っています。このあたりには砂州もありました。砂州とは海岸に自然にできる堤防のことで、潮や風が運んでくる土砂がたまって築かれます。京成線と千葉街道のあいだは、それより南や北の土地より2、3メートルだけ標高が高くなっています。これは、砂州の名残といいます。

このあたりが海岸線だったのであれば、その近くにマツの木がたくさんあったとしてもなんら不思議ではありません。海岸の近くでは、塩が吹きあげられて、木々の葉につきます。すると、多くの木は枯れてしまいますが、クロマツなどの一部の種類の木だけは塩に強く生き残ります。そのため、自然に海岸の近くには、相対的にマツの木が多くなるわけです。

市川市の砂州のまわりから海が退いていって陸地になったのはおよそ1000年前ほどのこととされています。しかしその後も、砂州の北側と南側は湿地となり水田として使われていました。いっぽう、人びとの多くは水はけのよい砂州だったところに家を建てて住んでいました。

クロマツ、それに少しだけ盛りあがっている砂州の跡に、かつての海岸線の風景を感じることができるかもしれません。

参考資料
市川市「市川の景観特性と課題」
http://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000014883.pdf
市川周辺ぶらり散歩「市川市・本八幡の地形」
http://homepage1.canvas.ne.jp/belltree1/ichikawa/ichikawa.htm
| - | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0)
ヒートアイランド対策、原因解消と対症療法の両面から

写真作者:othree

2020年の東京五輪の開催式は7月24日、閉会式は8月9日と予定されています。

東京で、もっとも暑くなる時期が8月上旬ごろですので、まさに大会期間と重なります。戦いの熱さに暑さが水を差すといったことも心配されます。

地球温暖化とはべつに、とくに夏場、周辺の場所より高い温度の空気が都市部を覆う「ヒートアイランド現象」があることは、これまでの研究から明らかなことです。

東京などでは1980年前後から、ヒートアイランド現象が起きていることを、一部の研究者などが知っていました。その後、府省や地方自治体などがそれぞれ対策を打ってきましたが、体系だてて対策することの大切さも言われてきました。

そこで、政府は2004年、「ヒートアイランド対策大綱」という大きな方針を打ちだしました。「大綱」とは「おおもと」といった意味です。

2004年の大綱では、東京や名古屋などの6都市の平均気温の上昇が、地球全体よりも進んでいること。また、ヒートアイランドの原因として、人の活動による排熱の増加、それに、緑地や水面が減り、建物や舗装が増えるなど地表が人工化していることをあげています。

そして、具体的な対策として、人工排熱を減らすこと、蒸発散作用の減少を防ぐなど地表面被覆を改善すること、緑地や水面からの風の通り道を保つなど都市形態を改善すること、そして冷房温度を上げたり暖房温度を下げたりといったライフスタイルを改善することがあげられています。

また、現象の実態を把握するために観測をしたり、原因や影響を調べるために調査研究をしたりといった、調べることを進めていくことも書かれてあります。

さらに、2013年には、大綱が改められました。改められたおもな内容は、上にあるような対策だけでなく、「人の健康への影響等を軽減する適応策の推進」が加わったことです。たとえば、熱中症予防情報を5段階で出すことで、暑い日の外出を控えることをおすすめするといったものです。“対症療法”についてもケアするといったところでしょう。

実際のとりくみについては、各自治体などがおこなう部分が多くあります。しかし、大綱は、さまざまなとりくみの基本方針にあたるものであるため大切なものといえます。

参考資料
ヒートアイランド対策 関係府省連絡会議 2004年3月30日発表「ヒートアイランド対策大綱」
http://www.env.go.jp/air/life/heat_island/taikou/taikou_h160330.pdf
ヒートアイランド対策推進会議 2013年5月8日発表「ヒートアイランド対策大綱」
http://www.env.go.jp/air/life/heat_island/taikou/taikou_h250508.pdf
国土交通省 2013年7月1日発表「「ヒートアイランド対策大綱」の見直しについて(お知らせ)」
http://www.mlit.go.jp/common/001002823.pdf
| - | 13:38 | comments(0) | trackbacks(0)
「低」には赤を「高」には青を
いまの新聞やテレビでは、白黒だけで文字や絵を表すことはめずらしく、いくつもの色があたりまえのように使われています。さまざまな色を使えることから、情報を伝えるときにも色わけがされています。

たとえば、テレビの天気予報。天気図のなかにある「低気圧」と「高気圧」の目印は、たいてい、赤色の地に「低」の字、そして青色の地に「高」の字となっています。1980年代の天気予報でも、この色づかいをしています。



赤と青が、対であることを思わせる色として使われることはよくあること。しかし、どうして低気圧に赤、高気圧に青が使われているのでしょう。

これにはいくつかの説があります。

まず、国連の機関のひとつである世界気象機関が、低気圧と高気圧の色を、国際的に決めているというもの。なるほど、北米や欧州の媒体が掲げている天気図でも、「L」(Law Pressure)つまり低気圧の文字に赤、「H」(High Pressure)つまり高気圧の文字には青を使っています。ただし、強制力はないともいわれています。

また、天気予報の番組をつくる放送局が、高気圧を晴れたる青空と結びつけて、高気圧を青で表わし、反対に低気圧を赤で表したという話もあります。かつて放送されていた「こども電話相談室」では、気象予報士の大野治夫さんが、小学4年生からの問いに「空が見えるよね。空の色は何色かなあ……だから高気圧を青にしているんだと思います。低気圧はその反対の色として、赤を使っているんだと思いますよ」と答えています。

いっぽう、低気圧を赤で表すことをまず決めたという話もあります。低気圧のほうが気象災害を引きおこしやすいもの。そのため、人びとの注意をひくように、低気圧を赤で表している、という話です。

気温を表すときは、まずもって低い温度に青、高い温度に赤を使います。おそらく、青は冷たい水を、赤は温かい火を思いおこさせるため、こうした色づかいになっているのでしょう。

どことなく、圧力が高いほうが赤で、圧力が低いほうが青、という感じがしなくもありません。しかし、始まりのいきさつはべつとして、いまや低気圧には赤、高気圧には青がすっかり当たりまえになっているので、いまさら赤と青を逆にしなければならないことはなさそうです。

参考資料
Rob Allan ”The International Atmospheric Circulation Reconstructions over the Earth(ACRE)Initiative”
http://www.wmo.int/pages/prog/wcp/wcdmp/documents/RobAllan_ACRE.pdf
東京放送 全国こども電話相談室「天気図ではどうして高気圧が青で、低気圧が赤なのですか?」
http://www.tbs.co.jp/kodomotel/science/0025.html
日本分析化学専門学校編『カガクニュースの基礎知識』
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「PAT.P」あまり見かけなくなる


その昔、「王様のアイディア」という店があり、文房具や生活雑貨を売っていました。店の名前のとおり、アイディアを凝らした商品が多くありました。

そして多くの商品に見られたのが、「PAT.P」と商品の表面に刻まれた文字です。合成樹脂でできた商品では、表面のどこかに浮きでるように「PAT.P」の文字が。金属でできた商品には、溝を掘るようにおなじく「PAT.P」の文字が。

アイディア商品にしばしば見かけたため、「なにか独自の発想がある商品には付いているマーク」と捉える人もいたかもしれません。

「PAT.P」は、“PATent Pending”を略したものとされています。Patentとは「特許」のこと。また、Pendingとは「未決定の」といった意味です。

つまり、特許出願をしているけれど、まだ特許になっていない商品に「PAT.P」の文字が刻まれることがあるわけです。日本語では「特許出願中」ともいいます。

特許出願中の商品に、かならずついているわけではありません。「PAT.P」を刻むのは義務ではなく、その製造者の意志によるものです。

「PAT.P」が刻まれた商品は、「この商品は特許出願中です」という情報を、見た人に示すことになります。これには、商品を買う人びとに向けて「特許になるかもしれないほどのアイディアが使われているんだぜ」と宣伝をする効果や、おなじような商品をつくろうとしている他者に向けて「もう特許出願はしているんだぜ」と釘を刺しておく効果などがあるとされています。

それに、知的財産のことに詳しくない人は、商品に「PAT.P」の文字を見ただけで、「特許をとった商品なのか。すごいなぁ」などと勘ちがいしてくれるかもしれません。

4文字と1点を刻む費用を上まわる宣伝や抑止の効果を得られると判断した企業は、積極的に自社の商品に「PAT.P」と刻んだわけです。

実際に特許を取得できるかどうかはべつとして、出願さえすれば「PAT.P」ということになります。これを「東大に受験しました」と自慢しているようなものと形容する弁理士もいます。

昔にくらべて、「PAT.P」が刻まれている商品をさほど見かけなくなったのではないでしょうか。日本での特許出願数は「王様のアイディア」が流行した1980年代ごろにくらべて、すくなくとも減ってはいません。

「PAT.P」を刻んだ商品の数がすくなくなっているとすれば、メーカーは「やる意味が薄れた」あるいは「やることがダサくなった」と考えているのかもしれません。それに、特許を取得できた場合、「特許出願中」という情報は古い情報になってしまいます。

今日日「PAT.P」が刻まれた商品を見かけたら、その製造者は「特許出願中の効果をいまも重視している」企業と考えてもよいかもしれません。

参考資料
西川特許事務所 わかっちゃう! 知的財産用語「PAT.P」
http://www.jpat.net/Y145.htm
吉川国際特許商標事務所 産業財産権Q&A「ライバル企業のカタログを見ていたところ、『PAT』『PAT.P』と記載されています。これらはどういう意味なのでしょうか。」
http://www.y-po.net/qanda/2016/11/post_54.html
| - | 19:59 | comments(0) | trackbacks(0)
鏡があれば自分の泳ぎを見られる


写真作者:凌智 (Suzuki)

水泳をしている人は、自分がどのような姿勢で泳いでいるかを自分で見ることができません。

もちろん、走っている人や自転車を漕いでいる人にもおなじことがいえます。しかし、たとえばビデオカメラで自分の姿勢を撮影しようとするとき、陸上でする運動のほうがかんたんです。プールでビデオカメラで撮影用しようとすれば、撮影許可などが必要になります。

ビデオカメラ以外に、自分の姿勢を見るための手段となるのが鏡を使うことでしょう。これも陸上でおこなう運動ですが、舞踏の練習をする部屋などには、壁に大きな鏡がかけられていることが多くあります。

水泳でも、“鏡を置く”ことはできるはず。プールの床や壁を鏡ばりにすればよいのです。泳いでいる人は顔を床のほうに、また、息つぎのときは壁のほうに向けますから、それらの面に鏡が置かれてあれば、自分の泳ぐ姿を見ることができます。

鏡があれば、自己陶酔泳者にとっては「自分にうっとりする」ことができます。しかし、より大切な目的は「自分の型を自分の目で確かめること」にあります。

じつは、鏡張りを実際におこなっている公営プールが日本にはあります。大阪府豊中市服部にある市立豊島温水プールでは、2013年4月、7レーンのうちの1レーンの床に「鏡」を置きました。

アルミ板や発泡樹脂板でつくられていて割れにくく、また、裏面には吸盤がついていて取りはずしもできるそうです。

「実際に泳いでいる姿を見てフォームの改善に活用してほしい」とは、地域情報記事の取材を受けた豊中市スポーツ振興事業団の施設事業課長のことば。

ただし、このプール以外、鏡張りを始めたというプールの情報に乏しく、なかなか普及はしていないようです。プールの1レーンの標準的な幅は1メートル25センチ。長さは短水路で25メートル、長水路で50メートルです。1レーン分だけでも設置費用がかかるのでしょうか。それとも、利用者からの「鏡を置いてほしい」という声があまり聞かれないのでしょうか。

参考資料
産経WEST 2014年4月18日付「泳ぎながらフォームをチェック 大阪・豊中市立プールに『ミラーレーン』」
http://www.sankei.com/west/news/130418/wst1304180025-n1.html
マチゴト・豊中池田ニュース 2013年4月12日付「豊島温​水プールにミラー​レーン 泳ぎながらフォームチェック」
http://machigoto.jp/news/detail/?art_id=2829

| - | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0)
ゲノム編集をがん治療に、中国・米国で

写真作者:Andy Leppard

細胞には核があります。核は、デオキシリボ核酸(DNA)とたんぱく質ででできており、このうちDNAは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基がペアになって連なってできています。ヒトの塩基対はおよそ30億個。そして、その2パーセントが、親から子へと体の特徴を伝える役割をもつ遺伝子となっています。

塩基対がならぶなかのねらったところを人工的に改変する「ゲノム編集」という技術が、とくに2013年以降、研究者などのあいたで注目されてきました。

なかでも、いまの人類にとって身近な病気であるがんに対して、ゲノム編集を使って治療する試みが世界では始まっています。

中国では、2016年7月、四川大学の研究チームがゲノム編集の技術のひとつである「CRIPSR-Cas9」という方法を使って、世界で初めてがん治療の臨床研究を始めたと報じられています。

がん患者の血液から免疫細胞をとりだして、この細胞のなかにある「PD-1」というたんぱく質をつくる遺伝子をはたらかなくさせました。そして、ふたたび免疫細胞を患者のからだに戻しました。

PD-1は、免疫細胞のはたらきにブレーキをかけることが知られています。ゲノム編集によってPD-1がブレーキをかけられなくなれば、免疫細胞ががん細胞を攻撃してくれるはずです。計画では、この臨床研究の対象患者は10人といいます。

米国ではペンシルベニア大学がゲノム編集を使ったがん治療を進めようとしています。研究チームの計画では、おなじくCRISPR-Cas9を使います。そして、中国チームとおなじく「PD-1」をはたらかなくさせる方法のほか、免疫細胞に備わっている「内在性T細胞受容体」とよばれるたんぱく質の遺伝子をとりのぞく方法もあります。

米国のウェブニュース「STAT」によると、骨髄腫、悪性黒色腫、肉腫といった種類のがんをもつ患者への治療が想定されています。

2016年6月には、遺伝子療法の臨床試験で必要な、米国立衛生研究所の組み換えDNA諮問委員会からの諮問を受け、このゲノム編集の臨床試験をしてもよいと認められました。なお、臨床試験をするには食品医薬品局からも認められる必要があります。

これらの方法の効果が発揮されるのは、かぎられた種類のがんにとどまるようです。とはいえCRISPR-Cas9が開発されたのは2013年。開発から4年と経たない技術が、ヒトのがん治療の研究に使われるという早さに、研究者がこの技術を使いたいという気持ちがうかがえます。

参考資料
朝日新聞 2016年11月17日付「ゲノム編集で肺がん治療 中国のチーム」
http://digital.asahi.com/articles/ASJCK00RPJCJUBQU00Q.html
STAT 2016年6月21日付 “Federal panel approves first use of CRISPR in humans”
https://www.statnews.com/2016/06/21/crispr-human-trials/
ニュースイッチ 2016年6月17日付「続報 ゲノム編集使ったがん免疫療法で初の臨床研究へ、米ペン大が申請」
http://newswitch.jp/p/5042
ウェブ現代 2016年6月30日付「がん治療が激変!? 夢のゲノム編集技術「クリスパー」、いきなり医療の本丸へ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49044
| - | 15:51 | comments(0) | trackbacks(0)
「100時間カレー」のスペシャルAカレー――カレーまみれのアネクドート(92)


前回の「カレーまみれのアネクドート」にもあるように、「ちょっと贅沢なカレーを出すチェーン店」が現れています。ただたんに安くて早いだけでは、飽食の時代に生きる人びとを満たさないのでしょう。

東京やその周辺にある「100時間カレー」もまた、贅沢カレーチェーン店の類に入ります。2010年設立のアークスという会社が展開しています。東京・小山台の武蔵小山店を皮切りに、2017年1月末の時点で12店、出しています。

献立に数ある料理のうち「スペシャルAカレー」は、エッグ、こだわり野菜、チキンカツの具材3種が乗ったカレー。ランチの時間帯では「3つトッピングカレー」でこの三つを選ぶと「スペシャルカレー」とおなじになります。

見た目のとおり、この具はそれぞれライスの上で目立っています。3種類で、ルゥのなかに浸っているものはありません。トッピングとはまさにこのこと。

カレー抜きにして考えると、卵、チキンカツ、油であげた野菜それぞれが、ひとつの料理としてなりたちうるもの。言うならば、自己主張の強い具材ばかりが、ライスのうえで出合ってしまっているわけです。

これらの“立っている”具材を束ねている存在がルゥです。ゆで卵とルゥ……。ルゥの辛さを卵が中和して、相性よし。チキンカツとルゥ……。カレーがソースの役割を果たして、相性よし。野菜とルゥ……。甘さと辛さが渾然一体となって、相性よし。

どんな具にも相性のよいルゥ。どのようにつくられているのでしょう。会社のサイトには「100時間カレーができるまで」が堂々と書かれています。それは、かいつまむとつぎのようなもの。

香味野菜と果物を飴色になるまでひたすら炒める。

別の寸胴で大量の牛を香草やセロリといっしょにじっくり煮込む。

煮込んだ牛のだしを最初の寸胴に加えてさらに煮込む。

煮込み終わったカレーを数日かけて冷温熟成する。

この説明には、リンゴ、バナナ、マンゴーなどを煮込むといった具合に、具体的に書かれています。ここまで手の内を明かすということは、「まねしようともむずかしいでしょ」という自信のあらわれかもしれません。

利己的ともいえる個性的な具材に対して、ルゥの果たす役割は大きい。それを実感できるカレーです。

100時間カレーを展開する「アークス」のサイトはこちらです。
http://arcs-co.jp/shop/index.html
| - | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0)
“じゃまもの”なしの環境でたんぱく質の結晶づくり
国際宇宙ステーションで、宇宙飛行士は「宇宙実験」にとりくんでいます。日本は2009年、ステーションに実験棟「きぼう」をとりつけて完成させました。日本の大学や企業がかかわる実験の多くを、「きぼう」でおこなっています。


「きぼう」
写真作者:NASA

「きぼう」で宇宙飛行士がおこなう宇宙実験のひとつに、たんぱく質の結晶をつくる実験があります。

たんぱく質の構造を正確に観察することで、そのたんぱく質のはたらきやしくみを知ることができます。ただし、たんぱくしつはとても小さい物質のため、顕微鏡で観察することはむずかしいのです。そこで、たんぱく質をつくる分子が並んだ結晶の状態にし、X線という透過力の強い電磁波を当てて構造を観察する、ということをします。

地球で結晶を成長させるとき、しばしばじゃまとなるのが重力です。重力があると、熱いものは上のほうへ行ったり、重いものが下へ沈んだりして、結晶のまわりの環境が乱れ、結晶をきれいに並べることがむずかしくなります。

そこで、重力のほぼない宇宙で実験をして、高い品質の結晶を得るということになります。そのため、宇宙航空研究開発機構は、この手の実験を「高品質タンパク質結晶生成実験」とよんでいます。

たんぱく質の結晶を宇宙でつくるため「きぼう」に置かれている装置はいくつかあります。

よく使われるのが、「JCB-SGT(JAXA Crystallization Box-Sealbag Gel Tube)」という結晶化のための容器。合成樹脂でできた細い筒状の袋です。

また、結晶をつくりたいたんぱく質を、定めた条件で置いておくことのできる「セルユニット」も使われます。JCB-SGTを12個、入れることができ、72種類の実験条件を選べます。地上からも状態を確認できます。

さらに、セルユニットを6個まで搭載でき、それぞれの温度をべつべつに制御できるのが「PCRF(Protein Crystallization Research Facility)」という実験装置です。

たんぱく質の結晶をつくる宇宙実験では、筋ジストロフィーの治療に役立てるため「人造血器型プロスタグランディンD2合成酵素」というたんぱく質の立体構造を得たり、インフルエンザウイルスの薬につながるリボ核酸ポリメラーゼというたんぱく質の立体構造を解明したりしています。

宇宙だからこそできる実験が国際宇宙ステーションではおこなわれています。

参考資料
宇宙航空研究開発機構「『きぼう』日本実験棟/国際宇宙ステーション(ISS)」
http://www.jaxa.jp/projects/iss_human/kibo/index_j.html
宇宙航空研究開発機構「宇宙で解き明かされる生命のカギ」
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/first/protein/img/jaxa_20140318ol.pdf
宇宙航空研究開発機構「重力に隠された物質の謎に迫る」
http://www.jaxa.jp/article/special/experiment/ishikawa01_j.html
| - | 09:21 | comments(0) | trackbacks(0)
(2017年)3月5日(日)は「オーケストラで歌う! 市民による『大地讃頌』」


演奏・合唱会のお知らせです。

(2017年)3月5日(日)14:00から、神奈川県小田原市本町の小田原市民会館で、「オーケストラで歌う! 市民による『大地讃頌』」が開かれます。主催は、市民による小田原音楽フェスティバル実行委員会、そして小田原市。

「大地讃頌」は、日本で創られた曲。「混声合唱とオーケストラのためのカンタータ『土の歌』」の終曲にあたります。中学校の合唱コンクールなどで「大地讃頌」が課題曲になることも多くありました。

作曲者は佐藤眞さん。1938年生まれで、この曲を1962年につくりました。作詞者は詩人の大木惇夫です。

会では、佐藤さんみずからが指揮をつとめます。「土の歌」のほか、おなじく佐藤さんが作曲した「混声合唱のための組曲『旅』」、そして、ルートヴィヒ・ベートーヴェン作曲の「交響曲第3番 変ホ長調 作品55『英雄』」も演奏される予定です。

実行委員会は、合唱団のメンバーを「みんなで、『市民による芸術文化の創造』を発信していきましょう!」とよびかけて募集してきました。約180人ほどでなる合奏団が「大地讃頌」などを歌います。募集要項によると、2016年10月から、本番前日の2017年3月4日まで、計21回の練習を積みかさねます。

オーケストラは、小田原楽友協会管弦楽団がつとめます。

合唱コンクールなどでの思い出とともに、合唱と演奏に耽ってみてはいかがでしょうか。

「オーケストラで歌う! 市民による『大地讃頌』」は、2017年3月5日(日)14時から小田原市民会館大ホールにて。開場は13時で全席自由です。入場料は3,000円で、チケットはすでに小田原市内の楽器店などや、インターネットでのチケット購入サービス「イープラス」で販売されています。詳しいお知らせは、こちらでどうぞ。
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
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