講談社の新書「ブルーバックス」が、2017年1月18日(水)に発売された『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』で「通巻2000番」を迎えました。
「ブルーバックス」は、自然科学の分野にかかわる新書を集めた講談社のブランドのひとつです。1963(昭和38)年に創刊しました。
1963年当時のブルーバックスの書名を見ると、『胃袋 現代人の不安のシンボル』(飯島登著)、『科学の手帖 現代人の科学コンサルタント』(崎川範行著)、『新住居入門 人間を生かすための設計』(清水一著)、『世界一に挑む日本の工業技術 アメリカ・ソ連・EECから何を学ぶか』(牧野昇)などが並んでいます。
「現代」というものを多少なりとも意識していたのでしょう。世のなかでは、この年、関西電力の黒部川第四発電所が完成したり、名神高速道路の一部が日本発の高速道路として開通したりしました。東京五輪の前年、日本の国そのものが前進していました。
そうしたなかで、記念すべき第1番は菊地誠が著した『人工頭脳時代 頭脳労働の革命が始まっている』。人工知能には、これまで4度ほどの「ブーム」があるといわれています。1963年は、第1次ブームの終わりごろに位置します。2017年のいま発売しても違和感のない書名といえましょう。
2016年までの53年で、およそ2000点。1年につき、40冊弱の新書がブルーバックスとして出つづけてきたことになります。2016年や2017年では、1か月に4点が発売されているので、刊行頻度は高まっていることになります。
2000年ごろからさまざまな出版社が新書のブランドつぎつぎと立ちあげ、「乱立」あるいは「乱発」といってもよい状態がつづきました。いっぽうで、統計があるわけではありませんが、1冊分での情報量はすくなくなってきていると考えられます。つまり、かんたんに読めてしまう新書が多くなったわけです。
ブルーバックスも、おそらく読みやすさを意識したり、科学といえないくらいの際ものの分野に挑んだり、工夫を重ねていることにちがいありません。しかし、自然科学のかなり専門的といえる話題や情報を、1冊の新書でじっくりと伝えるという姿勢は保たれています。テレビの世界の「Eテレ」の存在とにていると感じる人も多いかもしれません。
ブルーバックスのホームページでは、2017年の新春のあいさつで「1963年の発刊から54年にわたってシリーズを続けてこられたのは、ひとえに読者のみなさまのご支援のおかげです」と、感謝の気持ちを伝えています。
昔とかわらない「じっくり読ませる新書」が、ブルーバックスからはこれからも出つづけていきそうです。
講談社BOOK倶楽部「ブルーバックス」のサイトはこちらです。
http://bluebacks.kodansha.co.jp
(2017年)2月2日(木)には、東京・南池袋のジュンク堂書店で、2000番目の著者となった山崎晴雄氏を迎えてトークイベントも開かれるとのこと。こちらに詳細が書かれてあります。
https://honto.jp/store/news/detail_041000020675.html?shgcd=HB300