遠くのものがはっきり見えない状態を「近視」といいます。外から眼に達する平行な光が、眼の網膜よりも前で結ばれてしまうために起きます。
では、どうして近視は起きるのか。これについては、さまざまなことがいわれています。
まず、程度の差はあるものの、どんな人でも、子どもから大人へと時を経るにつれて、近視の状態に近づいていくものであるという話があります。
人の眼は、誕生してから、20歳代まで、人によっては30歳代後半まで、大きくなりつづけます。そのため、平行な光の焦点が眼球のなかで結ばれる位置は、時とともに相対的に前のほうへ前のほうへと移動していきます。そのため、だんだんと近視の状態になっていくということです。
とはいえ、子どものころから早く近視になってしまう人や、近視の度が強い人、またそうならない人もいます。近視が進みやすい人とそうでない人がいるのには、やはり原因がなければなりません。
一般的に、病気の原因は「遺伝によるもの」と「環境によるもの」に分けられます。近視についてもこの両方がいわれています。
遺伝については、何歳のときに近視が始まり、何歳のときにどこまで進行するかが遺伝によって決められているという説明がされます。
最近では、2015年3月、京都大学大学院医学研究科眼科講座の研究者たちが、近視の発症に関わる遺伝子変異を発見したとして話題になりました。9800人の日本人のデータを解析したところ、「WNT7B」という遺伝子の変異が、近視の発症に影響をあたえていることがわかったということです。
いっぽうで、環境によるものとしては、近くにあるものばかりを長いこと見ながら作業しつづけることにより近視が進むとよくいわれます。
しかし、じつのところ、近視が進む原因がどのようなものであるかは、はっきりしておらず、遺伝によるものと環境によるものの両方が複雑に関係しているといった説明のしかたがされています。
参考資料
参天製薬「近視」
http://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/myopia/
ウィキペディア「近視」
https://ja.wikipedia.org/wiki/近視
京都大学 2015年3月27日発表「近視(近眼)の発症に関わる遺伝子変異を発見」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/documents/150330_1/01.pdf
はるやま眼科「近視の原因と予防」
http://www.haruyama-eye.jp/kussetsu.html