2015.10.31 Saturday
三つの「風神雷神図屏風」を部屋の真んなかに立って見くらべ
京都・茶屋町の京都国立博物館で、「琳派 京を彩る」という展覧会が開かれています。(2015年)11月23日(月祝)まで。
琳派とは、江戸時代中期の画家だった尾形光琳(1658-1716)の様式を伝える流派のこと。その原点は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した本阿弥光悦(1558-1637)にあり、画家の俵屋宗達(生没年不詳)を経て、尾形光琳で完成されたとされています。
展覧会は、本阿弥光悦が京都洛北の鷹峯の地を徳川家康(1542-1616)から拝領して400年になるのを記念して開かれています。
展覧会の目玉は、「風神雷神図屏風」。右に風神、左に雷神を描いた屏風絵です。もとは、13う世紀に絵巻として完成した「北野天神縁起絵巻」のうち「清涼殿落雷の場」という場面に描かれているものを俵屋宗達が転じて描いたものとされていますが、その後もさまざまな画家に模写されました。尾形光琳も「風神雷神図」を描き、また、江戸時代後期の画家だった酒井抱一(1761-1828)も「風神雷神図」を描きました。
展覧会の期間中、10月27日(火)から11月8日(日)までは、宗達、光琳、抱一の「風神雷神図屏風」3作品が同時に展示されています。3作品同時展示期間初の週末だった、きょう31日(土)は、入場まで140分待ちと発表があるなど、多くの来場者で混雑しました。
その「風神雷神図屏風」3作品は、館内のひとつの部屋に「 冂 」のような配置の壁を背にして1作品ずつ置かれています。国立博物館の「みどころ」サイトでも3作品を見ることができます。
3作品のうちはじめに作られたと思われる宗達作の「風神雷神図」は、とくに風神の緑色の体が色濃く、また、雷神の身にまとう天衣が白黒で質実剛健さがあります。
いっぽう、光琳作の「風神雷神図」は、風神も雷神もより漆黒の雲に乗っており、風神のもつ風袋や体躯の輪郭線がくっきりと表現されています。
また、抱一作の「風神雷神図」は、風神の体の緑色や、雷神の体の白色が、均一に塗りつぶされていて、平板化をたどったことがうかがえます。
前の人との間隔を詰めつつ、展示ガラスに顔をつけるようにして絵を見ることはできます。しかし、それほど人の多くない部屋の真んなかに立って、体を前、右、左と向けることでも、宗達の作、光琳の作、抱一の作を遠くからほぼ一度に見くらべることができます。真んなかに立つと、三つの作品に鑑賞者自身が囲まれていることを実感することもできます。
宗達、光琳、抱一それぞれが、どんな思いで風神と雷神を描いたのか思いを馳せるとより一層、趣が深まりそうです。
琳派誕生400年記念特別展覧会「琳派 京を彩る」は11月23日(月祝)まで。11月9日(月)からは、宗達作と抱一作の「風神雷神図屏風」が展示されます。京都国立博物館による案内はこちら。
http://rinpa.exhn.jp