2014.06.30 Monday
目的をかなえようとすると表面積が増えていく
さまざまな生きものは、自分たちにとって都合のよくなるように、あるいは便利なように、“表面積”を増やそうとしています。
たとえば、人をふくむ脊椎動物の小腸には、絨毛や微絨毛という突起があります。断片をみると、まるでリアス式海岸のようにうねっています。これらの突起の表面積を合わせると、人の小腸の場合でテニスコート1面分にもなるといいます。
十二指腸の絨毛
小腸は、食べものの栄養分を吸収するための器官。そこで食べものとなるべく効率よく触れあって栄養分を吸収するために、絨毛や微絨毛をかたちづくって広い表面積を確保していると考えられています。
おなじようなことは、人の脳にもあてはまります。人の脳の表面はしわしわになっています。容積のかぎられた頭蓋骨のなかに、しわしわになってむりやり収まっているかのようです。この脳の表面の部位は、大脳皮質といいます。神経細胞がたくさん集まっていて、知性、感情、意思、言語、情動などの高次なはたらきをつかさどっています。
ほかの動物の脳では、これほどしわしわにたたまれている脳の表面はありません。人は進化のなかで大脳皮質の表面積を広げていき、その結果、さまざまなはたらきを受けもつ領野を獲得していったと考えられています。
脳の一部の断面、外側が大脳皮質
人工物でも、表面積を増やすことで、目指していることを効率的に実現させようとするとりくみがあります。
たとえば、装置のなかで生じる熱を空気中によりたくさん逃がすために、ヒートシンクという金属板が使われています。
ヒートシンクは、土台となる板の上に、いくつもの「フィン」とよばれるべつの板を垂直に立てたような形をしています。あるいは、垂直に立てるのは板でなく棒である場合もあります。
ヒートシンクの役割は熱を逃すこと。そこで、空気と触れあう表面積が広ければ広いほど、効率よく熱を逃がすことができるようになります。また、ヒートシンクには、熱がなるべくスルーされるよう、熱抵抗の低いものが使われます。
このように表面積が増えると都合がよいことの理由はいろいろです。ただし、「表面積をなるべく増やす」必要性のあるところでは、効率のよいかたちを求めた結果、そのかたちは必然的に決まっていくのかもしれません。
参考資料
愛-madoka.com「小腸」
http://www.i-madoka.com/small-intestine.html
理化学研究所「大脳皮質発生研究チーム」
http://www.riken.jp/research/labs/cdb/neocort_dev/
ウィキペディア「ヒートシンク」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒートシンク
たとえば、人をふくむ脊椎動物の小腸には、絨毛や微絨毛という突起があります。断片をみると、まるでリアス式海岸のようにうねっています。これらの突起の表面積を合わせると、人の小腸の場合でテニスコート1面分にもなるといいます。
十二指腸の絨毛
小腸は、食べものの栄養分を吸収するための器官。そこで食べものとなるべく効率よく触れあって栄養分を吸収するために、絨毛や微絨毛をかたちづくって広い表面積を確保していると考えられています。
おなじようなことは、人の脳にもあてはまります。人の脳の表面はしわしわになっています。容積のかぎられた頭蓋骨のなかに、しわしわになってむりやり収まっているかのようです。この脳の表面の部位は、大脳皮質といいます。神経細胞がたくさん集まっていて、知性、感情、意思、言語、情動などの高次なはたらきをつかさどっています。
ほかの動物の脳では、これほどしわしわにたたまれている脳の表面はありません。人は進化のなかで大脳皮質の表面積を広げていき、その結果、さまざまなはたらきを受けもつ領野を獲得していったと考えられています。
脳の一部の断面、外側が大脳皮質
人工物でも、表面積を増やすことで、目指していることを効率的に実現させようとするとりくみがあります。
たとえば、装置のなかで生じる熱を空気中によりたくさん逃がすために、ヒートシンクという金属板が使われています。
ヒートシンクは、土台となる板の上に、いくつもの「フィン」とよばれるべつの板を垂直に立てたような形をしています。あるいは、垂直に立てるのは板でなく棒である場合もあります。
ヒートシンクの役割は熱を逃すこと。そこで、空気と触れあう表面積が広ければ広いほど、効率よく熱を逃がすことができるようになります。また、ヒートシンクには、熱がなるべくスルーされるよう、熱抵抗の低いものが使われます。
このように表面積が増えると都合がよいことの理由はいろいろです。ただし、「表面積をなるべく増やす」必要性のあるところでは、効率のよいかたちを求めた結果、そのかたちは必然的に決まっていくのかもしれません。
参考資料
愛-madoka.com「小腸」
http://www.i-madoka.com/small-intestine.html
理化学研究所「大脳皮質発生研究チーム」
http://www.riken.jp/research/labs/cdb/neocort_dev/
ウィキペディア「ヒートシンク」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒートシンク