2014.02.28 Friday
大びん633ミリリットル、謎は謎のまま
飲食店で「瓶ビール」と頼むと、たいていの店では、500ミリリットルの「中びん」が出されます。
中瓶が出てくる店ほど多くありませんが、「瓶ビール」と頼むと、633ミリリットル入った「大びんが出てくるところもあります。
中びんにくらべて大びんの容量は133ミリリットル多いのみ。グラス軽く1杯分の差しかありません。
しかし、大びんには手に持ったときの重みがあります。グラス1杯分を入れてもまだ序の口。大びんは、店側と客側と双方の“気合い”を感じさせる容器といえます。
大びんに入っているビールの容量は633ミリリットル。中びんの容量の500ミリリットルにくらべると、大びんの容量は明らかに数値として切りの悪いものといえます。なぜ大びんの容量は、633ミリリットルという切りの悪い数値なのでしょうか。
633ミリリットルが大びんの容量として均一に定められたのは、1944(昭和19)年のこと。それまで各ビールメーカーの大びんの容量は、もっとも大きいもので3.57合(643.9922ミリリットル)、もっとも小さなもので3.51合(633.168ミリリットル)と、すこしだけばらつきがありました。
「大は小を兼ねる」という諺がありますが、これはビールの容量にもあてはまります。3.57合が入るもっとも大きな大びんは、3.51合を入れることができます。対して、3.51合が入る大びんは、3.57合を入れることはできません。
統一される4年前の1940(昭和15)年、酒税法が改められました。ビールの生産量に応じて課税される税金と、物品の出荷される数量に応じて課税される税金が合わさった量に応じて徴収されたいた税は、ビールの出荷される数量に応じて課税される税に改められたのです。これを機に、ばらばらだったビールの大瓶の容量を統一する動きがありました。
こうして、大びんは633ミリリットルに定められたといいます。
しかし、謎は残ります。もっとも大きな大びんの容積が、なぜ633ミリリットル、つまり3.51合だったのかという根本的な理由にはたどりついていません。
また、酒税法が改正されてから、大びんが633ミリリットルに統一されるまで、4年かかっています。なぜ、これほどの歳月がかかったのでしょうか。
こうした真実は知られないまま、きょうも飲食店や居酒屋で大びんは飲まれています。
参考資料
ビール酒造組合「ビールの大びんの容量はなぜ633ml?」
http://www.brewers.or.jp/faq/answer.html
サントリー「ビールの大瓶の容量は、なぜ633mlなのですか?」
http://www.suntory.co.jp/customer/faq/001703.html