2013.12.31 Tuesday
「超・名詞」を「超・形容詞」が超える
新語や流行語を超えて、もはやふつうに使われていることばに「超」があります。
「超かっこいい」「超すごい」「超すてき」などと、それぞれ「かっこいい」「すごい」「すてき」を強める語として、「超」が頭に使われます。最も使われている組みあわせは「超やばい」でしょうか。
もともと「超」は名詞のまえにのみ付くことばでした。「超高層ビル」といったように。「超高層ビル」は「高層ビル」を超えているわけですから、「高層ビルなんてものではなく高層なビル」となります。
これを、形容詞などのまえにも付けるようになったのは1980年代といわれています。「超高層ビル」が「超高い」などと変わっていったわけです。
しかし、これだけ「超」が定着してしまうと、本来の名詞のまえの付く“もうひとつ”の使いかたにぎゃくに違和感を覚える人は出てきそうです。それは、「あるものから極端に逸脱したこと」を意味するときに使う「超」です。
たとえば、「超自然現象」「超法規的措置」「超現実主義」。こうしたことばでの「超」は、「自然ではない」「法規を逸脱している」「現実での理性をしりぞけた主義」などの意味になります。
これを、「超やばい」のような「超」の使いかたしか知らないままだと、「超ナチュラルじゃん」「超リーガルじゃん」「超リアリスティックじゃん」といった意味にとりかねません、あるいはとられかねません。
一説には、形容詞などのまえにつく「超」は、かつて新幹線のべつのよびかたとして使われていた「超特急」ということばに触発された小学生たちが使いはじめたともいいます。ウィキペディアにはそう書いてあります。
しかし、「超高速」なら「超スピーディーじゃん」ということで使われるのはわかりますが、「超特急」だと「超・特急的じゃん」といったことになるので、すこしこの説には無理がありそうです。
「超」を使おうとすれば、かんたんに使うことができます。抱いている感情のまえに「超」をつけさえすれば通じてしまうからです。さまざまな派生系や発展系はでてくることはあっても、「超」が廃れることはないでしょう。
ことしも「科学技術のアネクドート」をお読みいただきありがとうございました。どうか2014年も、超よい年をお迎えください。