2013.11.30 Saturday
「サボテンや肉牛とちがってイルカでは違和感」
和歌山県太地町が、イルカとふれあうことのできる海洋哺乳類公園を5年以内に開園させるそうです。AFP通信が報道しています。
さらにこの公園では、イルカを食べながらイルカとのふれあいを楽しむという計画があるといいます。ニュースサイト「VICE」が、太地町の職員担当者の話として伝えています。
鯨やイルカを食べるという食文化のない海外の人びとにとっては、VICEによるニュースを知って「イルカを食べるとは」ということで驚くことでしょう。
いっぽう、日本人にとっては、イルカを食べること自体はそれほど驚くべきところではないでしょう。かつて日本人はイルカと同類の鯨を多く食べてきたからです。イルカは鯨より小さいだけであって生物学的なちがいはありません。現に太地町では、鯨のほかにイルカを食べるという食文化があります。
それでもなお、日本人がこのニュースを知って違和感をもつとすれば、「イルカを味わいながらイルカショウを観る」という将来おこりうる状況について、ということでしょう。
観て味わう対象と食べて味わう対象がおなじになるという状況そのものは、考えられうることです。
たとえば、「サボテン公園でサボテンを鑑賞しながら、サボテンステーキを食べる」といったことを、実際に各地のサボテン公園で行うことができます。
また、「肉牛を近くで観ながら、牛肉ステーキを食べる」といったことを、各地の観光目的の牧場で行うことができます。
これらの事例からすると、「イルカとふれあいながら、イルカの肉を食べる」ということも、これらの事例ににた状況といえなくもないと考える人はいるでしょう。
それでもなお、「サボテンや肉牛の場合と、イルカの場合はやはりちがう」と違和感をぬぐいきれない人がいるとすれば、そのちがいはどこからくるのでしょう。
イルカの表情に、サボテンや肉牛よりも強い愛嬌を感じるために違和感をぬぐいきれない人もいるでしょう。あるいは、イルカに触ることができることを売りにするといった、この公園での対象物との距離の近さを感じるために違和感をぬぐいきれないという人もいるでしょう。
この話題は、日本語にも訳されて、匿名掲示板サイトなどでも話題になっています。「斬新な発想」という反応があるいっぽうで、「さすがにドン引きです」といった反応もけっこう見られます。
なお、VICEのニュースを見ると、太地町の職員の発表について「“さまざまな海産物を食べながら、それは鯨やイルカの肉をふくむものだが”、イルカと泳いだり遊んだりすることができる公園の建設を計画している」と報じています。
参考記事
AFP 2013年10月7日付「イルカ漁の太地町、海洋公園をオープンへ」
http://www.afpbb.com/articles/-/3001001
VICE News 2013年10月10日付 “A NEW WATER PARK IN JAPAN WILL LET YOU PLAY WITH DOLPHINS WHILE YOU EAT DOLPHINS”
http://www.vice.com/en_ca/read/a-water-park-in-japan-lets-you-play-with-dolphins-while-you-eat-dolphins