2013.02.28 Thursday
OSがあらたまると“改悪”も
コンピュータのオペレーションシステム(OS)を売る会社は、つぎつぎと新しい機能が加わったOSを開発して、世に出していかないと儲けることができません。OSの版を改めるとき、それまで使われていた機能をある程度、改めなければなりません。まったく機能が改まっていないのに、「OSが新しくなりました」とは言いづらいためです。
あらたまったOSでの機能が、すべて“改善”の方向に進んでいるかというと、かならずしもそういうわけではなさそうです。
あるマッキントッシュの使用者は、コンピュータを買いかえる必要がありました。それに伴い、使っていたOSも「タイガー」とよばれる10.4から、「マウンテンライオン」とよばれる10.8になりました。本人が意図していなくても。
「ところが、新しいOSのほうを使ってみると、いろいろと不便なことがあってね」
たとえば、マッキントッシュには「メール」というアプリケーションがあります。メールを受信したり送信したりするものです。
「タイガー」時代の「メール」は、画面の上に受信メールまたは送信メールの件名や名前などの一覧が20件分ほど、画面の下にそのメッセージ本文が示されているものでした。ところが、「マウンテンライオン」での「メール」は、画面の左に名前と件名などが、画面の右にメッセージ本文が示されているものに。
「新しいOSだと、だれからメールがきたのか見られるのは10件分くらい。これだと、それより過去のメールをつい見逃してしまう……」
新しいOSで「メール」を以前の使い勝手のよい一覧状態に戻すには、「クラシックレイアウトを使用」という設定にしなければなりません。この人はこうつぶやきました。「クラシックのほうがよっぽど見やすいし、使いやすい」。
ほかにも、「iPhoto」という写真画像管理アプリケーションに保存された画像をメールで送るとき、アプリケーションの「メール」で送ることができず、わざわざ「iPhoto」内に設定された使い勝手の悪いメールで送らなければならないことなどに、OS10.8の利用者からは不満の声が出ています。
コンピュータの使い勝手をよくしたいのか、それとも、OSの版を更新したいのか。企業の意図によって、“改善”と“改悪”のちがいが出てくるのかもしれません。