2013.01.31 Thursday
韓国での供給を強化、米国セルガード――リチウムイオン電池セパレータのメーカー動向(6)
リチウムイオン電池用セパレータをつくるメーカーとして、米国のセルガードが知られています。
セルガードは、米国ノースカロライナ州シャーロットに本社を置く企業。おもにリチウムイオン電池用セパレータを製造しています。親会社は、米国ポリポア・インターナショナル・インクで、分離・ろ過に使う特殊ポリマーベースのフィルタ膜を、北米、欧州、アジアのメーカーに販売しています。日本では、東京に日本法人のポリポアがあり、かつての企業名はセルガードでした。
米国セルガードは1980年代はじめ、リチウムイオン電池市場に参入しました。はじめは、携帯用電源にむけてセパレータを供給していました。その後、ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラなどの家庭用電化製品向けのリチウムイオン電池用セパレータを供給するようになりました。そして、いまでは、電気自動車、電機工具、予備電源、電機グリッド管理システムといった、大型の用途にむけてもセパレータを供給しています。
米国セルガードのセパレータの製品名は「セルガード」。単層のポリプロピレン、おなじく単層のポリエチレン、そして三層のポリプロピレン・ポリエチレン・ポリプロピレンといった材料と層の種類があります。
2008年12月、米国セルガードは、米国先進電池コンソーシアムから、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車むけのリチウムイオン電池用セパレータ技術の開発を目的とする総額230万ドルの契約を受注したと発表しました。高温溶着(HTMI:High-Temperature Melt Integrity)性という性能をもつセパレータの性能特性の実証を18か月にわたり行なうといった内容でした。
セルガードが契約を受けた米国先進電池コンソーシアムは、クライスラー、フォード、ゼネラルモーターズによる共同研究組織である米国自動車研究評議会の一組織で、以前からセルガードに研究事業を発注してきました。
2009年11月、米国セルガードは韓国忠清北道の梧倉科学産業団地にある同社のセパレータ生産施設を拡張する計画をもっていると報じられました。韓国の知識経済部が明らかにしたもの。韓国の知識経済部が明らかにした。投資額は1億ドルとされています。
また、2010年3月にも、米国セルガードは、梧倉の生産施設をさらに拡張することを発表しました。2011年に稼働するもので、3000万ドルが投じられる計画としています。
ほかに、韓国との関係では、2011年11月、近畿道に対して「近畿道-セルガード投資誘致了解覚書」を結んでいます。同年12月から平沢梧城産業団地内にセパレータ生産拠点を建設するもので、敷地面積は7万平方メートル。
米国セルガード社には、この拠点づくりにより、近くにある主要な顧客の韓国SBリモーティブや、韓国LG化学にむけてのセパレータ供給をしやしくするねらいがあります。いっぽうの近畿道には、米国セルガードを誘致することで、セパレータ技術を得たり、雇用を促したりする効果への期待があります。
米国では、2011年1月、シャーロットの自社工場の生産能力を拡大しました。また、
おなじノースカロライナ州のコンコードに生産施設を新たに設ける発表もしました。電気自動車やハイブリッド車市場の拡大に対応するかまえです。つづく。
参考ホームページ
セルガード「会社概要」
参考記事
共同通信PRワイヤー 2008年12月4日付「セルガードがUSABCからバッテリー開発契約を受注」
国際自動車ニュース 2009年11月6日付「米セルガード、リチウム電池材料工場を拡張」