2012.09.30 Sunday
時勢に乗るリチウムイオン電池、正極材は脱コバルト――リチウムイオン電池正極材のメーカー動向(14)
企業という組織は、「いまは、この事業に力を入れるべきときだ」と判断すると、矢継ぎ早に増強計画を立て、それを実行していきます。電気自動車が普及していくと考えられているいま、充電池の主役となったリチウムイオン電池は、今後、ますます世の中で使われていくと、多くの企業が考えています。
リチウムイオン電池の正極材をつくる企業は、いまがまさに力の入れどきとなっているわけです。
正極材をめぐる大きな潮流としては、「脱コバルト」というものがあります。これまで、正極材には、コバルト酸リチウムという化合物が多く使われてきました。
しかし、コバルトは、可採埋蔵量が限られており、「希少金属(レアメタル)」の代表格です。市場価格が乱高下しやすく、コバルトを材料に正極材をつくるのには危険もともないます。価格が高騰してしまったら、コストが掛かりすぎて利益が出なくなるからです。
コバルトは2008年の上半期に、1キログラムあたり1万2000円に届くかというほどまで高騰しました。そのご、2009年に入ると1キログラムあたり4000円前後まで下がり、2011年下半期には、2500円前後になりました。ピーク時にくらべれば価格は下がっているものの、希少金属の価格がいかに乱高下しやすいかがわかります。
リチウムイオン電池の正極材では、コバルトなどの主要金属の価格が大半を占めます。多くの正極材メーカーは、「脱コバルト」の路線をとる中で、リチウムイオン電池に変わる強力な蓄電池が登場しないかぎり、今後も生産体制を増強していくことでしょう。了。
参考記事
NeoMag 2011年12月8日「液晶TVなど販売不振受け、スマホ使用量少なく」
ダイヤモンドザイオンライン 2009年8月
「リチウムイオン電池の価格を下げる『脱コバルト』レースの勝者は?」