お菓子には、賞味期限がとても長いものがあります。
たとえば、ねりようかんの賞味期限は常温保存で「製造後1年」などと、とても長く設定されています。さらに「賞味期限後さらに1年はお召しあがりいただける」といったことを示しているメーカーもあります。
なぜ、ようかんの賞味期限がそうも長いのか。これには、砂糖が多く含まれていることが関係していそうです。
ようかんの原材料表示には、「小豆、砂糖、小麦粉、水飴、葛粉、寒天、食塩」などとあります。小豆のつぎに多いのが砂糖。砂糖がたくさん含まれているわけです。
この砂糖には賞味期限がありません。食品衛生法などの法律で、賞味期限を記すことを免除されています。
食べものが腐るのは「自由水」という水があるため。自由水は、読んで字のごとく、自由に動きまわることのできる水のことです。食べものの成分に束縛されて動かない「結合水」に対して「自由水」とよばれています。
砂糖には、まわりの水分を吸収して離さない性質があります。砂糖は、腐るもとになる自由水を少なくさせて、腐ることとは関係ない結合水を多くする性質があるのです。
そんな砂糖がたくさん入っているようかんは、腐りにくいために賞味期限がとても長いわけです。
いっぽう、氷菓子であるアイスクリームには、賞味期限がありません。食品衛生法で、賞味期限の表示が免除されています。アイスクリームにも砂糖が多く使われていますが、賞味期限がないのはべつの理由によるものです。
アイスクリームは、氷点下18度以下で保存するということが前提になっています。アイスクリームを高い温度に置いておくとかたちが変わってしまい、商品価値が落ちるため。
氷点下18度という、これほどの低温で保存しておけば、アイスクリームを腐らせるような菌が繁殖することはありません。つまり賞味期限を気にする必要がないわけです。
ただし、アイスクリームを常温で保存しておけば、やがて溶けてしまい、そのまま放っておけば菌が繁殖していくことでしょう。
参考ホームページ
上野製薬「塩分や糖分が食品保存に果たす役割」
http://www.ueno-fc.co.jp/foodsafety/pdf/enbun_tobun_yakuwari.pdf
ニッスイ「砂糖が生み出す日本料理の多彩な味の世界」
http://www.nissui.co.jp/academy/taste/01/03.htm
催しもののおしらせです。
(2012年)3月17日(土)、東京・西新宿の朝日カルチャーセンター新宿教室で、「対談 ロボットと人間の違いってなんだろう?」という対談会が行なわれます。対談をする講師は、朝日新聞編集委員の尾関章さんと、作家の瀬名秀明さん。
『あしたのロボット』などのロボットに関する小説なども上梓してきた瀬名さんに対して、人間みのある科学記事を書きつづけてきた尾関さん。ロボットと人の境界をめぐる対談が繰り広げられそうです。
朝日カルチャーセンターのおしらせには、「ロボットは思想を持てるのか。iPS細胞は、わたしたちにどんな希望と恐怖をもたらすのか。科学の可能性や、科学を文学として表現すること、さまざまな本を読む喜びや楽しみなど、科学と文学の境界を越えて語り合います」とあります。
尾関さんも瀬名さんも、朝日新聞の読書欄の書評委員としての経歴があります。尾関さんによると、二人は書評委員会では「天敵」だったとのこと。書評でとりあげる科学書の「とりあい」をする仲だったからからとのこと。
瀬名さんは、科学書の書評集として『科学の栞』を上梓しています。尾関さんは、朝日アスパラクラブの記事のなかで、17日の対談では「『科学の栞』から、瀬名さんの読書観を紡ぎ出してみたい」と抱負を語っています。「科学と文学」あるいは「科学書」といった切り口でも、対談に花が咲きそうです。
「対談 ロボットと人間の違いってなんだろう?」は3月17日(土)13時30分から。受講料は一般参加の方が3,990円。朝日カルチャーセンター会員が3,360円。朝日カルチャーセンターによるお知らせはこちらです。
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=145261&userflg=0