2011.11.30 Wednesday
「不慮の事故」死亡原因1位は窒息、職業別リスク1位は鉱業
人は、いつ起こるかもわからない「不慮の事故」に遭う危険をつねにもちながら生きているものです。
生命保険などの世界では、「不慮の事故」には、偶然性と、急激性と、外来性というみっつの要素があると考えられています。
偶然性というのは、まさに「不慮」のことを示しており、予想もしなかったことが身に起きるという意味です。
急激性というのは、事故があまりに切迫して身に起きたため、事故が起きることがわかっていても避けようがないようなものをいいます。ぎゃくに、「これは過労死になりそうだな」というような働きづめの状況がつづいていたり、死につながるような病気をもっていたりする人が、それに関係する災厄に遭ったとしても、不慮の事故とはいいづらいようです。
外来性というのは、事故に遭う人そのものが事故の原因をもっていないということを意味します。
どんな「不慮の事故」で、人が死亡しやすいかを表す統計もあります。厚生労働省は「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況」という発表のなかで、「主な不慮の事故の種類別にみた死亡数の年次推移」を公表しています。
主な不慮の事故の種類別にみた死亡数の年次推移
厚生労働省「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況」より
それによると、1995年から2008年までの13年間でも、交通事故による死亡数は1万5,147人から、7,499人へと半分ほどに減っています。
いっぽうで、交通事故を超えて、不慮の事故ナンバーワンになったのが「窒息」です。これはおもに食べものをのどに詰まらせてしまい、息がふさがることを指しているようです。乳幼児や高齢者が窒息することが多く、すべて死亡事故ではありませんが、乳幼児の窒息の原因として、ナッツ類、プチトマト、もち、 ちくわ、生のにんじん、棒状のセロリ、リンゴ、 ソーセージ、こんにゃく、ポップコーンなどが報告されています。
第3位につけているのは転倒・転落。これからの日本では、高齢者がさらに多くなるため、転倒や転落といった不慮の事故が増えていくことでしょう。
職業別でも不慮の事故による死亡リスクが調査されています。厚生労働省の人口動態統計から導かれるところでは、不慮の事故による死亡のリスクがもっとも高い職業は、鉱業。つぎに高いのは林業。そのつぎに漁業、そのつぎに農業、そのつぎに電気・ガス・熱供給・水道業とつづいています。
こうした不慮の事故をめぐる統計調査は数多くあります。しかし、多くの人は不慮の事故がわが身に降りかかることばかりを考えたりしません。考えないで生きるほうが、幸せに生きられると無意識に判断しているからでしょう。
参考ホームページ
ズバリ!生命保険「『不慮の事故』とはどんな事故?」
厚生労働省「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況」
参考文献
食品安全委員会「食べ物による窒息事故を防ぐために」
柴田徳思「放射線量の読み方と的確な対処法」