2010.07.31 Saturday
大台ケ原に樹雨降る
奈良県と三重県にまたがる大台ケ原は、雨の多いところとして有名です。年間4000ミリから5000ミリの雨が降り、これは大阪市や奈良市で降る雨の3倍以上になります。
大台ケ原に振る豪雨は、古くから「背振り」とよばれてきました。太平洋の湿った空気が北上し、大台ケ原ちかくでぶつかります。これが、豪雨のしくみ。山頂にまだ人がほとんど足を踏み入れていなかったころには、「大台ケ原の頂上に池があり、風が吹くと池の水が溢れ出て大雨が降るのでは」と考えられていました。
山頂に池があるわけではありませんが、この考えは大台ケ原に降る雨の特徴をついたものといえるかもしれません。
雨の種類に「樹雨」というものがあります。「きさめ」とよびます。山腹などには、たくさんの木々があります。ここに、雨を降らせるもとになる濃霧が立ちこめてきます。すると、すると葉っぱなどに水滴がつきます。この水滴がかたまって落下すると、大粒の雨が降ったようになります。
台風や前線などの影響で、大台ケ原に風が吹けば、樹雨も木々から舞い上がって、遠くのほうに飛ばされていきます。すると、その水滴が雨によるものなのか、樹雨によるものなのか、見分けがつかなくなるといいます。
大台ケ原にかぎらず、水を含んだ雲が斜面にぶつかることで雨が降るようなところでは、観測された雨量に、樹雨によるものが含まれていることがあるといいます。
山頂に池はないものの、たまった水に風が吹きつけることで、大雨が降るというしくみそのものは、まちがっていないことになります。
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