科学技術のアネクドート

“伝統”と“新興”のメディアが選ぶ「巨大プロジェクト」は対照的


雑誌やウェブでは、「何々の10傑」や「何々の10選」のように、「数あるもののなかからこれを選びました」という特集記事があります。当ブログでも毎年末、雑誌『サイエンス』が選ぶ「画期的科学成果」の結果を紹介しています。

この「何傑」や「何選」の選び方には、選ぶ側の文化が反映されるもの。

今年2009年、米国の科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」と、同じく米国の情報雑誌「ワイアード」が、再生可能エネルギーについての趣旨の似た記事を出しました。ウェブで見ることができます。

サイエンティフィック・アメリカンの記事は6月に配信した「世界の10大再生可能エネルギープロジェクト」というもの。いっぽう、ワイアードは3月にウェブ媒体「ワイアードビジョン」で「世界最大級の再生可能発電プロジェクト5選」を配信しています。

どちらも、次世代のエネルギー供給のための巨大建設プロジェクトを選んでいるわけです。

サイエンティフィック・アメリカンは、1845年創刊。世界最古の科学雑誌。とても伝統があります。また世界で733,000部の発行部数を誇るとはいえ、やはり読者の対象は米国民が主です。

サイエンティフィック・アメリカンは、世界の10大再生可能エネルギープロジェクトとして、次の10個を紹介しました。

・米国テキサス州のホース・ホロウ風力発電所
・英国北海のリンおよびインナー・ダウジング洋上風力発電所
・フランスのランス潮汐発電所
・アイルランドのストラングフォード湾にあるシーゲン潮力発電所
・米国南カリフォルニアにある太陽光発電システム
・スペイン中央クエンカのオルメディラ発電所
・米国カリフォルニアにあるガイザース地熱発電所
・フィンランドにあるバイオマス燃料熱電併給施設アルホルメンス・クラフト
・ポルトガルのウェーブ・パーク
・中国の山峡ダム

米国、英国を中心とした、巨大なプロジェクトが並びます。また、10番目に山峡ダムが入っている点も特徴的。水力発電所も再生可能エネルギーの供給施設であることにはちがいありません。

一方、ワイアードは、1993年に創刊した比較的新しい雑誌。新しい生活様式を提案しています。「再生可能発電プロジェクト5選」はというと。

・フィリピンのレイテ島にある地熱発電所
・インドのドゥーレ近郊にあるスズロン社の風力発電所
・中国に建設予定のオランダ・エネルコン社の風力発電地帯
・インドのハリヤーナーにあるACMEグループの太陽光発電所
・中国青海省に中国科学技術発展集団有限公司と青海新エネルギー有限公司が建設予定の太陽光発電所

こちらは、再生可能エネルギーの新興が目覚ましいアジアに注目しています。記事中には、サイエンティフィック・アメリカンが紹介したホース・ホロウ風力発電所について「発電能力735メガワットのホースホロー風力エネルギーセンターに迫る規模に達している」などとしています。ただし、配信時期はワイアードのほうが以前なので、対抗意識からの表現ではなさそう。

伝統的な雑誌は大国の巨大施設を選び、新しさを売りにする雑誌は新興国の巨大施設を選びました。伝えての文化が色濃く反映されています。

『サイエンティフィック・アメリカン』「世界の10大再生可能エネルギープロジェクト」はこちらで読めます(英文)。
『ワイアード・ビジョン』「再生可能発電プロジェクト5選」はこちら(日本語)。
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石油価格の乱高下の要因は“ファンダメンタルズ”より“プレミアム”
石油業界には「石油メジャー」とよばれる、資本力と政治力をもった大企業が6社あります。米国のエクソンモービル社、シェブロン社、コノコフィリップス社、英国のBP社、オランダのロイヤル・ダッチ・シェル社、フランスのトタル社です。これらメジャーズが、原油採掘から販売までを一貫して行い、市場を寡占している状況です。

報道によると、エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェル、BPの3社の、2009年7月から9月期の決算が明らかになりました。3社とも2008年の同期に比べて大幅な減益・減収でした。

テキサス州などで産出される原油「ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)」の先物価格(赤線)。青線は前日差。出所:米国エネルギー情報局 画像:資源エネルギー庁『エネルギー白書2009』

減益・減収の原因は、原油価格の下落にあります。2008年7月まで高騰が止まらず、1バレル147ドルまで付けた価格が、2008年7月以降下落の一途をたどっていきました。

ここ何年間で乱高下したのは、原油の“先物取引”の価格です。先物取引は、現物の受け渡しを何か月後か左記に実行する約束のもと売買をする方法。

原油価格の乱高下は、この先物取引ならではの要因が多分に含まれていたと考えられます。

原油の先物取引の参加者は「需給ファンダメンタルズ要因」と「プレミアム要因」という二つの要因を気にするといいます。前者は、原油や石油製品の需要と供給のバランスがとれているかどうか。後者は、“将来の”需給バランスはどうか、金融市場の“先行き”はどうか、地政学的な”リスク”はどうか、など将来を見据えたもの。

たんに、いまの需給バランスだけを考えるのであれば、原油価格のグラフはジェットコースターのような曲線を描かなかったと考えられています。つまり、プレミアム要因の影響が大きかったということです。

2004年から2008年7月までの原油をめぐる状況としては、中国での石油需給の増加や、大型ハリケーン被害によるメキシコでの原油生産の減少などがありました。これらは、原油の価格を上げる要因のうち需給ファンダメンタルズ要因に含まれます。

いっぽう、プレミアム要因は数多くあげられます。

メキシコの減産などを受けて石油輸出国機構加盟国は原油を増産したものの、それにより余剰生産能力が下がったため地政学的なリスクが高まったこと。まだ安定的だった世界経済状況のなかで、長期金利が低水準になり投資家や金融機関が資金調達をしやすくなり、ハイリターンの投資に走ったこと。好景気で物価が上昇する中、投資対象としてインフレに強い原油商品に人気が集まったこと。そして、2007年中盤以降にサブプライムローン問題が表面化し、投資マネーが低迷する株式市場から原油先物などの商品市場に流出したこと、などなど。

ところが、2008年7月以降、原油先物価格は下落しはじめます。9月には1バレル100ドルを割り、12月には30ドル台まで落ちてしまいました。現在は、1バレル70ドル台で推移しています。

100バレルを切った2008年9月には、リーマン・ブラザーズの破産申請がありました。これで、米国と世界の経済状況は一気に不透明に。原油先物取引に手を出していた投資家は、蜘蛛の子を散らすように投資マネーを引き揚げました。投資がなければ、原油価格は下落します。これも、プレミアム要因です。

原油先物価格の高騰や下落は、原油の枯渇などの需給面による影響よりも、投資や投機の対象として扱われることによる影響のほうが大きそうです。

参考文献
共同通信2009年10月29日「石油メジャーは減収減益 原油価格下落が直撃」
資源エネルギー庁『エネルギー白書2009』

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2009年11月1日(日)は「裁判変革の時代」

 催しもののお知らせです。

(2009年)11月1日(日)、東京・青海の産業技術総合研究所で「サイエンスアゴラ2009」の催しものとして「裁判変革の時代 3次元CGの導入を考える」というシンポジウムが行われます。主催は早稲田大学大学院ジャーナリズムコースと科学技術ジャーナリスト養成プログラム。

2009年の8月から法廷で始まった裁判員裁判では、一般市民から選出された裁判員に、検察側と弁護側がわかりやすく説明することの重要性が高まりました。市民にとって理解できないような説明をすれば判決に不利に働いてしまいますし、そもそも“参加者が理解できない裁判”はなくてしかるべきものでしょう。

そこで、裁判員裁判の法廷に導入されているのが、コンピュータ・グラフィックの技術を駆使した3次元画像。たとえば、刃物が被害者のからだにどのような角度でどこまで深く刺さったかを説明するといったときに、3次元画像が使われます。

催しものは、実際に3次元画像が使われた裁判事例の紹介とともに、3次元画像の導入が裁判にもたらす変化や問題点を議論します。

登壇者は、裁判員裁判第1号で使用された3次元画像を制作した東京大学医学部の瀬尾拡史さん、弁護士で国学院大学法科大学院教授の四宮啓さん、NHK報道局社会部記者の上田真理子さん。

「裁判変革の時代 3次元CGの導入を考える」は11月1日(日)は産業技術総合研究所臨海副都心センター別館11階で10時30分から12時まで。早稲田大学大学院ジャーナリズムコースのウェブサイト「SPORK!」に、登壇者のインタビューや案内が載っています。
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車の二酸化炭素排出寄与、国内は15%ほど


2009年は「低公害車普及元年」といわれます。ホンダの「インサイト」や、トヨタの「新型プリウス」などのハイブリッド車が発売され、よく売れたからです。

ハイブリッド車は、ガソリンを動力に動くエンジンと、電気を動力に動くモーターという二つの動力が組み合わさったもの。低公害車にはこの他、電気自動車や、バイオエタノール車、燃料電池車などがあります。

じつは電気自動車は19世紀後半、ガソリン車の普及の前に発明されていました。自動車史の中ではガソリン車より古いのです。フォード・モーター社やジェネラル・モーター車など、米国自動車企業の社名に「モーター」がつくのはその名残といいます。

電気自動車にかぎれば、100年ぶりの復権が始まったともいえるわけです。この電気自動車を含め、そもそもなぜ低公害車に普及の兆しが現れだしたかといえば、温室効果ガスとされる二酸化炭素をあまり出さない、つまり環境への負荷が少ない車が求められるようになったからといえます。

自動車が二酸化炭素の排出にどのくらいの影響を与えているのでしょう。世界全体ではあまりにも規模が大きいためか、データは見あたりません。日本国内では「産業」「運輸」「家庭」「エネルギー転換」「業務その他」といった部門に分かれる中で、「運輸」つまり、人やものを運ぶ部門での二酸化炭素排出の比率は約2割とされています。

さらに「運輸」をこまかく見れば、自家用車、自家用貨物車、営業用貨物車、バス、タクシーなどの自動車と、船舶、鉄道、航空などの非自動車とに分けることができます。

自動車は運輸部門の二酸化炭素排出量の約8割を占めています。つまり、排出の2割の占める運輸部門の中の8割を自動車が占めていることになるので、自動車が二酸化炭素の排出に寄与する割合は日本では15〜16%といったことになります。

二酸化炭素の排出を減らすということを考えた場合、この15〜16%という数字は無視できないものといえるでしょう。自動車を一切使わず、すべての人が歩いたり走ったりすれば15〜16%は一気に0%近くまで下がります。でも、それは非現実的。車を捨てない社会で、車はガソリン車からエコカーに徐々に入れ替わりつつある、というのが現状です。

参考ホームページ
国土交通省「運輸部門の地球温暖化対策について」
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月の力で電気を生みだす


再生可能エネルギーというと、太陽光や太陽熱など、太陽の力を思いうかべる方も多いでしょう。

太陽は、地球が属する太陽系の、中心をなす天体。中心部の原子核反応から得られたエネルギーを地球の生物が利用しているわけです。

しかし、地球の生物がエネルギーの恩恵を受けている天体は太陽だけではありません。地球の衛星である月も、再生可能エネルギーをもたらす存在です。

地球とおなじく、月にも引力があります。この影響で地球の海面は高くなったり低くなったりをくりかえします。潮の満ち引きとか、潮汐とかよばれる現象です。

潮の満ち引きを利用して発電を行う「潮汐発電」という方法が、外国では行われています。

まず、湾の口に堰を設けて湾内と湾外にしきりをつくります。完全にしきってしまうと、湾内がただの巨大な水溜りになってしまうので意味がありません。そこで、堰に湾内と湾外の海水が行き来できように、出入口をつくります。

堰と出入口をつくることで、満ち潮のときは海水が湾外から湾内へ、引き潮のときは海水が湾内から湾外へと、出入口を通って流れていきます。

この出入口のところに、水の流れを回転運動に換える水タービンという装置をつけます。これにより、海水の運動エネルギーを電気エネルギーに換える、つまり発電するわけです。

潮力発電は、1966年に完成したフランスのランス潮汐発電所が世界的には知られています。また、韓国の珍島でも今年2009年、巨大な潮汐発電所が建設され話題になりました。

日本では潮汐発電の存在そのものがあまり知られていません。じつは、日本沿岸では潮の満ち引きがあまり大きくないため、この方法で電気エネルギーを取り出すことはむずかしいのです。

参考文献
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救いの気持ちをこめて「残念な人」


世のなかには「残念な人」がいるといいます。

「残念な」というからには、残念に思っている主体者がいます。みずからが「ああ、残念だ」と思っている人も、ある意味「残念な人」といえます。期待されていたのに賞を受賞できない「残念な人」や、努力が報われなくて「残念な人」など。

しかし「残念な人」という言葉を使う場合、残念に思う主体者はその人自身でなく、その人を見ているまわりの人が多いようです。つまり「残念な人」はこの場合、「残念な人と思われている人」となります。

人のことをよくない印象で伝えるための言葉はいろいろ。「駄目な人」「愚か者」「ろくでなし」などなど……。ちかごろでは見るに耐えないような言動をとる人を「痛い人」とよんだりも。

しかし、「残念な人」は、人をただ否定的に評価するのと少し異なる意味合いも含まれていそうです。ちょっと世間を覗いてみますと……。

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知恵袋の参加者で残念な人がいました。
気に入らない回答をした人の質問に「勘違い」なんて言ってるんです。
―――――

この発言者は、当人から「勘違い」などという発言が来るとは、考えてもいなかったのでしょう。

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「自分のことしか考えない人」は、残念な人だと思う 。 自分の事しか頭にないから、人がどう感じるかを考えない。
―――――

この発言者は、人はもっと他人のことを考えてしかるべきなのに、当人に対してはそう感じされなかったのでしょう。

―――――
でも残念な人だなぁと思いました
同じ言葉でも “少しつめてもらえませんか?” (*^-^)ニコ と言ったら
おじさんは快く席をつめてくれただろうになぁ
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この発言者は、席をつめてもらうとき笑顔で雰囲気よくすればすんなりいくのに、当人に対してはそう感じなかったのでしょう。

これらの言葉からは、「残念な人」には、「残念だ」と感じている発言者からすれば「期待にそぐわなかった」や「言動や姿が期待とずれていた」という意味合いが含まれていそうです。

「残念」とは、「心残りなこと」「未練のあること」。つまり「惜しい」わけです。「あの人は残念な人だ」と発言する人は、「ここをこうすればいいのに」という救いの気持ちを若干含めているのかもしれません。

もっとも「あなたは残念な人ですね」と残念な人自身が言われることはそう多くはありません。そのため「残念な人」に思われている人は、自分がそう思われていることにはなかなか気づきづらいものでしょう。

そもそも、残念な人は「自分が『残念な人』と思われている」とはあまり考えないのかもしれません。自分が「残念な人」なのかどうかを知ることは、けっこう難しそうです。
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“とっておき”の雪を夏使う


昔ながらの“生活の智慧”がふたたび注目されることがあります。

北海道や東北などの寒くて雪の多い地域では、冬の雪や氷を穴蔵などに保存しておいて、夏に野菜などを冷蔵保存するために使っていました。寒い季節と暑い季節があることをうまく利用した生活の智慧といえます。

この、季節や気象を利用した冷蔵方法が「雪氷熱利用」とよばれるものです。

日本では「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」という法律で、“新エネルギー”の種類が定められていますが、雪氷熱利用も含まれます。本来、ものを冷やすために電気が必要で、電気をつくるには石油などが必要。石油を使わず、雪や氷でものを冷やすため、温室効果があるといわれる二酸化炭素を多く出さずに済むのです。

野菜など農作物の保存では、多くの場合、温度は0度から10度、湿度は80%から100%あたりが適しているようです。氷雪熱利用では、まさにこの条件におあつらえむき。

雪氷熱利用では、氷や雪をそのまま利用するかたちに加えて、アイスシェルター方式などの方法も開発されています。

アイスシェルターとは、まさに氷の倉庫。冬場の外気をシェルターの中に取り入れ、シェルター内の水を凍らせます。これでシェルターに冷気がこもることに。この冷気を配管を使って別の建物に送り込み、冷蔵や冷房に使うのです。

自然を利用した冷蔵・冷房方法はいいことづくめのようですが、課題もあります。雪や氷を保存しておく倉庫やフィルターにお金がかかるというもの。まだ、電気で冷やすほうが安くつくため、雪氷熱エネルギーを事業化する企業などには政府系機関がお金を補助する制度などがあります。
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風車に三つの閾値あり


かざぐるまは、息の吹き方が弱いと回りません。でも、すこしずつ吹き方を強めていくと、ある瞬間から回るようになります。つまり、回りはじめるのに必要な息吹きの量があるわけです。

同じことが、大規模な風車にもいえます。風車は、風を羽根車で受けて動力を得る装置。得た動力は、むかしはオランダなどで製粉などに使われていましたが、ちかごろは電力を捻出するために使われています。

とくに風力発電用の風車は、あまりに弱い風のときは羽根が回らないようにいなっています。発電するために羽根が回りはじめるときの風速はだいたい秒速2〜5メートル。秒速2メートルというとそよ風ぐらいです。

この動き始めの風速は「カットイン風速」といいます。カットイン風速は、風車の軸とつながる本体にとりつけてある風速計ではかる場合が多いです。

また、風がある程度強く吹くようになると、それ以上強く吹いても発電出力は一定のままになります。だいたい秒速8〜16メートルでその一定ラインが訪れます。このときの風速は「定格風速」と呼ばれています。

さらに、風が強くなると、今度は風車が壊れてしまうことを心配しなければなりません。そのため、秒速20〜25メートルといった台風なみの風が吹くと風車は回転をやめるようにできています。回転がとまるときの風速は「カットアウト風速」といいます。

こうして風車で風の観察を行うことにより、風車自体の働きを制御しているわけです。

風というものは2倍、3倍、4倍の速さで吹くと、それぞれおなじ面積で受けるエネルギーは8倍、27倍、64倍となります。つまり、風速の3乗に比例するわけです。強い風にはとてつもない力があるのですね。

参考文献
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川を利用してマイクロに発電


八ッ場や川辺川などの大規模ダム建設を中止する方針が鳩山政権から出ています。いっぽうで、これらのダムに比べるとものすごく小規模な水力発電は設置が推し進められています。

大出力の水力発電は10万キロワット以上の発電量となります。いっぽう「マイクロ水力発電」とよばれるものは、100キロワット以下。大出力水力の100分の1以下の規模です。

水力発電のしくみは、水が上から下へと向かう流れを利用して水車を回し電力を得るもの。マクロ水力も水の流れで発電するという点ではおなじです。

マイクロ水力発電は再生可能エネルギーを生みだす手段の一つ。発電中に温室効果ガスとされる二酸化炭素を発生させることもありません。小規模かつ地形利用型のため導入しても環境や生態系への影響が少ない点が特徴としてあげられます。

いっぽうで、用水路に落ち葉が溜まったり、雨の降りかたにより電力量が左右されたりといった短所もあります。

種類は使われる場所によりおもに三つにわかれます。

渓流の堰から管などで水を小屋まで導いて発電させ、再び元の川の流れに水を戻すという渓流水利用型。農業用水の水路で段差があるところに発電装置を置く農業水利用型。そして、上下水道や工業用水のどこか落差のあるところに装置を置く上下水道・工業用水利用型です。

日本の川は急斜面を下っていくため、マイクロ発電を設置しやすい土地柄であるといえます。法整備が進めば、より多くのマイクロ水力発電装置を見ることになるでしょう。

参考資料
新エネルギー・産業技術総合開発機構『マイクロ水力発電導入ガイドブック』
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“日本版”サイエンス・メディア・センターの人材募集

募集のお知らせです。

早稲田大学は来年2010年に、「サイエンス・メディア・センター」の日本版を解説する予定です。そのセンターの研究助手の募集が始まりました。

サイエンス・メディア・センターは、科学技術の研究者と科学ジャーナリストや科学の物書きなどとのあいだを媒介する役割をもつ組織。すでに英国や豪州、カナダなどでは、双方の情報や人材の“橋渡し”する機能を発揮しています。

この“日本版”の構築を早稲田大学が目指すというもの。科学技術振興機構社会技術開発研究センターの研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」に採用されました。

日本では、研究者側と書き手側の情報や意見の交換の機会が充実しているわけではありません。早稲田大学は、「研究者とメディア関与者の出会いの場」の創出により、社会の合意に基づいた科学技術の発展をもたらすこと」をサイエンス・メディア・センターの狙いのひとつにしています。

任期は2010年1月1日または2月1日から(相談による)、最長で2012年9月30日まで。内容は、サイエンス・メディア・センターの構築にあたり、日本における科学技術コミュニティとメディアをつなぎ、社会に貢献する組織の構築と運営を行うことを主としています。

その他、詳しい応募資格などが早稲田大学政治学研究科のホームページにあります。こちらです。

日本版サイエンス・メディア・センターのねらいが載っている、科学技術振興機構社会技術開発センターの研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」の2009年度新規採択課題の概要はこちらです。
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規格争いはスピード勝負
 世界で、また世界各国で、工業製品についての「規格化」が行われています。

規格化とは、ものをつくるとき、基本的な形や質や寸法などを統一すること。規格化することにより、各社製品どうしの互換性が生まれるので、消費者は製品を買いやすくなります。また、安全面での規格化がされれば、消費者は製品を安心して使えるようになります。

規格化も、適応される地域の広さがさまざま。世界的な工業規格には、いわば“御三家”があります。

国際標準化機構(ISO、International Organization for Standardization)は1947年に設立された、工業製品や部品、使用技術の規格統一を目指す非政府組織です。環境マネジメントや品質管理などで、よく聞く“ISO”です。

また、国際標準化機構は電気・電子技術をのぞくすべての産業分野を広く扱う機構。では、電気・電子技術の規格化はというと国際電気標準会議(IEC、International Electrotechnical Commission)が行っています。1906年に設立され、1947年からはISOの電気・電子部門も担当することになりました。

もうひとつ、国際電気通信連合(ITU、International Telecommunication Union)は、1947年に、電気通信分野での国際規格を定めるために設立されました。国連の機関です。

地域でも、例えば欧州連合(EU)が、欧州規格という規格を定めています。最近では、家電製品などのエネルギーを多く使う製品(EuP、Energy-using Products)に対して、設計段階から環境面に配慮した設計を企業などにさせるため「エコデザイン」を義務づけました。

その製品が、製造されてから、販売、使用、廃棄、再利用に至るまでにどれだけ環境に付加をあたえたかを調べるライフサイクルアセスメントを企業に行わせて「エコロジカル・プロファイル」という報告書を作らせるなどします。

国内の工業規格は、日本工業規格(JIS、Japanese Industrial Standard)が知られています。


経済産業省に設置されている日本工業標準化調査会という機関が工業製品の規格について調べたりして、その結果を政府の各大臣に報告。大臣が答申するかたちで規格化が進められます。

規格化は、消費者にとって便利というだけでなく、国どうしの産業競争でもとても重要です。自分の国の中で定められている規格が国際規格になれば、国内で進めてきた技術がそのまま世界に通用することになります。でも、他国の規格が世界的なものになれば、他国の規格に合わせなければならなくなり、苦しい状況になります。

野球の国際試合でどの国のボールを使うかと似ていますね。「規格を統一しよう」という話があがると、すかさず「でしたら、わが国の規格は優れていますから、世界でも便利に使われるはずですよ」と有力な国のアピールが始まることに。規格化の争いは、スピード勝負ともいえるでしょう。
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「拡大する大学の『使命』」の裏に大学の意図


きのう(2009年10月19日)発売の『週刊東洋経済』で、「本当に強い大学2009」という特集が組まれています。この特集の「拡大する大学の『使命』」という記事に原稿を寄せました。

企業など産業側の「産」と、大学・研究機関など学術側の「学」が協同して、研究開発にとりくむのが「産学連携」。産業側にとっては、製品開発のうえで足りない点を大学に頼むことで“自前研究”をする必要がなくなります。大学側も「教育」「研究」に加えて、「社会貢献」といった第三の意義が世の中から問われている中で、研究成果を社会に還元する手段となります。

2008年後半からの景気後退で、ここにきて産学連携にも微妙な影が差し込めてきつつあるのかもしれない。そうした仮説に対し、東京大学、東京農工大学、立命館大学、同志社大学の産学連携本部や企業側の窓口リエゾンオフィスなどの担当者が実際の状況に答えています。

企業や一般の人々にとって、どの大学が産学連携に対して熱心かを見るために、政府が発表する“ランキング”が指標とされることがあります。

たとえば文部科学省は「大学等における産学連携等実施状況について」と言う報告書を毎年発表しています。このなかで、企業と大学が手を組んで行われる「共同研究」、あるいは企業や公的機関が大学に研究を頼んで行われる「受託研究費」などの件数や研究費、さらには大学からの「特許出願」の件数などが1位から30位まで順位づけされています。

この順位を見た産業側の人は、「おお、何々大学は、共同研究をさかんにやっているな」とか「へえ、何々大学は、特許出願に対して積極的だ」などと関心をよせるかもしれません。客観データのように順位が見えますから。

しかし、こうした産学連携の順位づけには、“落とし穴”があると指摘する専門家もいます。

記事にはなっていませんが、ある産学連携の研究者は「報告書に載っているこうした順位づけの数字は、国が大学に予算配分するときの指標としても使われている。とうぜん、大学としては、これらの数値を高めようと必至になる」と話します。

特許出願は出願するだけで件数になるので、この数を増やそうとすれば、どんなに役立ちそうもない発明でも出願することは可能です。つまりこれらの数値が国からもらえる予算と関連しているかぎり、純粋な指標としての価値は少ないというわけです。

また、べつの研究者は「こうした国が発表する順位づけの数値で、唯一見るべき価値があるのは発明届け出件数」と話します。発明は研究成果の源泉であり、意図はあまり入らないので、“純粋な指標”に近いというわけです。

大学側のさまざまな意図がある他方で、もちろん企業側にも産学連携に対する思惑があります。とくに不況により、産学連携にも“選択と集中”が掛かる時代。これからは産学連携が“本当に必要なもの”に刈り込まれていく状況かもしれません。

「本当に強い大学2009」が載った『週刊東洋経済』特大号のお知らせはこちら。
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「もっと、頭のよい送電網を!」

日本の産業界では“ガラパゴス化”におちいったといわれる分野がいくつかあります。「ガラパゴス化」とは、技術が日本国内だけで独自に進化し世界標準からかけはなれてしまう現象のこと。ガラパゴス島の生物が大陸の生物とは別の進化を遂げたことになぞらえた言葉です。

世界シェアあらそいに遠く及ばない携帯電話は、ガラパゴス化が起きた分野の典型とされています。日本の携帯電話にあるさまざまな機能は、世界から見れば要らないお飾りになっているものも多いのでしょう。

次にガラパゴス化が起きるとしたらどの分野になるか。注目されているもののひとつが「スマートグリッド」です。

「スマート」には「頭のよい」や「理知的な」といった意味があります。また「グリッド」には「送電網」の意味があります。スマートグリッドを直訳すれば「頭のよい送電網」。この新語の定義は定まっていませんが、「通信や情報技術を駆使して、信頼性、品質、効率性などを向上させた送電網」といった意味になります。

次世代の送電網であるスマートグリッドの重要性がいわれはじめたのは米国でした。2003年に米国とカナダで起きた大停電では、5000万人が被害を受け、60億ドルの経済的な損があったようです。この停電は、電力の自由化が進み3000を超える小規模な電力会社が乱立し、設備投資の額も落ちたことが要因とされています。米国の送電網は、いわば“つぎはぎ”のようなもの。

また、再生可能エネルギーの普及により、「電力会社→家庭」という送電の流れに、「家庭→電力会社」という逆向きも加わり、複雑になりました。さらに、風力や太陽光はそのときの天候により発電量が変わるから大変です。

これらの背景があり、米国では「もっと、頭のよい送電網を!」となったわけです。2009年、オバマ政権は「景気対策法」でスマートグリッドの研究費に45億ドルの予算を計上しました。

スマートグリッドの具体的な中身は「送電網と配電網の自動化」「自然エネルギーの大量導入への対策」などさまざまですが、目玉は「スマートメーターの利用」でしょう。

スマートメーターは、各家庭に取りつけられる、通信機器や電気機器などの管理能力をもつ賢い電力メーター。15分ごとに、電気の使用状況や料金を表示するなどして、電気使用者に安い電気の使い方を選んでもらうように仕向けます。

あまり電気が使われていない夜間などは、電気代は下がります。安い夜間の電気を使ってもらうことにより、電力会社側は電力不足を避けて安定した供給をすることができるようになります。

米国では電力企業のPE&G社がスマートメーターの設置を進めています。ほかに、あのグーグルが「グーグルパワーメーター」という、“グーグル版スマートメーター”のようなものを普及させていることも話題になっています。

さて、日本の送電網をめぐる状況は、米国とはかなり異なります。東京電力や中部電力など、地域ごとの大きな電力会社10社のみが送電網をもっているからです。設備投資も積極的で、技術も高いものがあります。「スマートグリッドが叫ばれる前から、日本の送電網はスマートだった」という電力会社の人の声もあるとか。

では、日本ではスマートグリッドに取りくまなくてもいいのでしょうか。そうとはいえません。

使われる電力のうち再生可能エネルギーの比率が高くなっていけば、やはり送電系統は複雑になります。

それに「日本の送電は高度です」と言い張って、世界的な潮流を無視して進んでいけば、送電の分野もガラパゴス化をすることでしょう。もちろん「日本の送電技術がガラパゴス化したっていいじゃないか」という考え方もありますが。

電力各社でつくる電気事業連合会は「日本版スマートグリッド」計画の検討に入ったと伝えられています。再生可能エネルギーのなかでも日本が得意とする太陽光発電を中心に据えた、送電システムになる模様です。5年後、10年後、日本の電力事情はいまと大きく変わっているかもしれません。

参考文献
『無限大』2009年夏号、前島仁「再生可能エネルギー普及の鍵を握る電力ネットワーク」

参考ホームページ
日経エコロジー「徹底理解!スマートグリッド」(前編)
日経エレクトロニクス雑誌ブログ「『日本にスマートグリッドは不要』と言われる理由」
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書いてありました「環境対応車の購入補助」


(2009年)10月13日の記事「『エコカー普及』より『暫定税率撤廃』の道を走る」で、民主党政権の自動車についての政権政策をとりあげました。

このなかで「いっぽう、民主党はエコカー普及のための政策については、とくに公約を掲げていません」と書きましたが、これは誤りでした。訂正します。

公約の43番目「全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入する」の具体策として、「住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する」というものがありました。再生可能エネルギーの固定価格買取制度の具体策として環境対応車の購入助成がある点は不可解ですが。

「購入を助成」とあるからには、環境対応車つまりエコカーを市民が買うとき、ふつうに買うよりも金銭面で得するような施策を行うということでしょう。

しかし、この公約があるいっぽうで、経済産業省は来年2010年度の国の予算の方針を決める概算要求では、エコポイント事業とエコカー補助金の計上を見送っています。環境省もエコカー補助金については触れていません。

公約にも優先順位があります。すべての内容をいますぐに実行しなければならないというものではありません。しかし、エコカー補助金がなくなれば、「環境対応車の購入を助成する」という公約から“逆走”するのはたしか。

エコカー補助金とエコカー減税の打ち切りの可能性に、トヨタ自動車などからは懸念の声が上がっています。

あらためて、民主党の政権公約はこちら。
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光る電車、光る駅
 2008年後半からの不況により、企業が広告・宣伝費にあまりお金を出さなくなっています。首都圏の電車のなかも、吊り革広告などが以前よりまばらになっています。

そうしたなかでも、広告業界が「車内広告で比較的好調を保っている」という広告媒体もあります。「デジタルサイネージ広告」です。

デジタルサイネージとは、「電子的」な「信号・サイン」のこと。電車のなかでは扉の上に液晶画面をつけて、そこに駅の案内や天気予報などとともに、広告を流しています。山手線に乗ったことのある方は見たことがあるでしょう。発光する、動きがあるといった要素が備わっているため、乗客に魅せる力が強いことが好調の理由として考えられます。

デジタルサイネージを使った交通の広告は、電車のなかだけではありません。近ごろは、駅のなかでも実験的に導入されています。

たとえば、改札のICカードをかざすあたりに、デジタルサイネージの広告を付けるといった試みも交通広告の媒体を提供する企業が始めています。

試験的に都内の駅で、電子ペーパーと有機ELディスプレイという二つの方法によるデジタルサイネージの広告が試されています。

電子ペーパーでは、黒と白のつぶつぶが入ったカプセルを敷きつめ、それぞれのカプセルに電気的な刺激を与えます。それぞれのカプセルを瞬時に「白」「黒」「白」「白」などと並べることができ、全体として絵を表現します。オセロを何万個も置いて、それを遠くから眺めると何かの絵になっているようなもの。それぞれの粒に、赤・青・緑のフィルタをかけることによりカラー表示も可能に。

電子ペーパーは、いちど絵を表現すると、電気を切ったあともその絵が残されるので、省電力の点では利点があります。しかし、試してみた広告媒体企業の手応えはいまひとつのようでした。カプセルそのものが光を発するわけではないため、遠くから明るく見えないのです。

有機ELディスプレイは、「有機」つまり元素として炭素が含まれている物質に、「エレクトロン」つまり電子を作用させることで「ルミネッセンス」つまり発光をさせる媒体。

有機ELディスプレイを使った試験的広告(2009年5月JR恵比寿駅)

画像表面の内側にはいくつもの層が重なっています。その表端の面の電極から電子と正孔を注入し、内側の層でぶつけ合わせます。刺激を受けた有機物質のエネルギーがいちど高い状態になってから、再び元の状態に戻ろうとするとき、あまったエネルギーを光として出します。この光る有機物質をたくさん並べて、映像や画像を表現するわけです。

こちらのほうは試してみた広告媒体企業の手応えは上々のもよう。電子ペーパーとの最大のちがいは“明るい”ということ。いまのところ軍配は有機ELディスプレイにあがっているようです。

しかし、デジタルサイネージの技術は日進月歩。有機ELディスプレイをしのぐ画期的な媒体も登場してくるかもしれません。広告媒体企業にとっては、ひとつの媒体を気に入りすぎず、つねに媒体を切り換えられるような構えをもつことが大切のようです。
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似て非なる“ウ”と“細”


ウイルスと細菌は生物学的にはおなじものではありません。かなりちがいます。それでも、混同されがちなのは、ちがっている点よりにている点のほうが印象づよいからでしょう。

まず、どちらもほとんど目に見えないという点がおなじです。細菌のなかには、ドイツのマックスプランク研究所が1999年に発見した直径0.75ミリメートルの大きさのものもあります。しかし、ほぼ目に見えないものばかり。

また、病気の原因にもなるという点もにています。“エイズウイルス”のことを“エイズ菌”とよぶ人がいるのも、ウイルスも細菌も病気の原因であることを象徴していそうです。

とくに感染症のイメージから「忍びよってきて体のなかに入り、悪さをするやつ」という印象が、ウイルスにも細菌にも強いのでしょう。

ウイルスと細菌のちがいには次のようなものがあります。

まず大きさ。人の目には見えないものであっても、大きさはかなり違います。ウイルスは小さなものはリンゴ病の原因にもなるパルボウイルスの直径20ナノメートル(ナノは10億分の1)。大きいものでもエボラ出血熱ウイルスの長さ800ナノメートルほど。いっぽう細菌はウイルスの数十倍から数百倍の大きさがあります。人とガンダムよりもはるかにウイルスと細菌のほうが大きさの差があるわけです。

もうひとつの特徴的なちがいは、ウイルスが自分だけでは増殖できないのに対して、細菌は自分で増殖できるという点。ウイルスは人や動物の細胞に侵入して、はじめて増殖することができます。いっぽう、細菌は人などの体の外にいても細胞分裂により増えることができます。

インフルエンザをもたらすものはウイルスのほう。新型インフルエンザの流行などで、このことは最近よりいっそう知られるようになったことでしょう。

では、いわゆる風邪の場合はどうでしょう。

風邪の原因の8割から9割がウイルスの侵入によるものとされています。しかし、風邪のような症状でも原因が最近であるという場合もたまにあります。激しい咳が長く続くような風邪の症状が続く場合は、マイコプラズマという細菌が原因である場合があります。五輪のある4年に1度流行することから、「オリンピック熱」といわれることも。

かつて、風邪を引いたとき「早く治るように」と抗生物質が処方されていた時代がありました。しかし、抗生物質は細菌によってつくられ、ほかの細菌を抑制するだけなので、ウイルス性の風邪には効きません。そのため、いまでは風邪を引いたとき、マイコプラズマによる風邪などと特定された場合を除いて抗生物質は出されません。

目に見えない故の、ウイルスと細菌の紛らわしさがあるのはたしか。でも、目に見えたとしてもそれはそれであまりいい気がしないものかもしれません。

参考サイト
広島市感染症情報センター「ウイルスを知ろう」
http://www.city.hiroshima.jp/shakai/eiken/kan_center/k_topics/v_syiro/v_syiro-01/v_syiro-01.htm
大幸薬品「ウイルスと細菌と真菌の違い」
http://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/virus/dengerous_pathogen.html
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グリーン・ニューディールはオバマ政権発にあらず


「グリーン・ニューディール」は、米国のバラク・オバマ大統領が発しはじめたもののように受けとめられがち。でも、そうではありません。

2008年7月に英国の民間研究所「新経済財団」が出版した報告書『グリーン・ニューディール』(上図)の中に盛り込まれた政策案がもとになっています。

この報告書に書かれているおもな政策の内容は「再生可能エネルギーや環境変革のための大規模投資」「多数の新規グリーン雇用の創出」「財政部門に対する統制」「環境専門家、産業、農業及び労働組合による新たな連携の構築」の四つ。

ざっくりいえば、グリーン・ニューディールは、環境関連の産業を成長させることで、雇用と環境の二つの問題を一挙に解決させようとするものです。

グリーン・ニューディールを国連や各国が支持し、「ならばうちの国でも」と、各国の事情に合ったかたちで政策としてうちだしているわけです。

地球規模の観点でグリーン・ニューディールを推進しようとしているのが国連。国連環境計画(UNEP)は2009年3月に『グローバル・グリーン・ニューディール』という報告書を発表しました。各国が投資すべき対象として「建築物のエネルギー効率化」「風力、太陽光、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー」「ハイブリッド車、高速鉄道、迅速なバス乗り換えシステムなどの持続可能な交通」「淡水資源、森林、土壌、サンゴ礁などの地球生態系インフラ」「有機農業などの持続可能な農業」を挙げています。

国連環境計画は、これらの分野への投資が、経済や環境や社会の複合的な利点を生みだすとしました。

米国では、2009年2月、オバマ政権のもとで成立した米国・再生投資法で、総額7872億ドルが健康、教育、基盤技術整備などに当てられることが決まりました。うち、グリーンエネルギー・環境関連に803億ドル、省エネ・環境関連基盤技術整備に225億ドルが当てられています。

“グリーン・ニューディール発祥地”ともいえる英国は、2008年11月に、クリーンエネルギー関連の投資や雇用創出を提唱。「石炭火力発電所のための炭素回収・貯留装置の開発」「家庭や企業におけるエネルギー効率化のインセンティブ」「熱電併給の推進」「バイオマス・プロジェクトの開発」「フィード・イン・タリフ」「風力、太陽光、潮力発電の全国的計画」「気候変動に対応しうる河川・河岸保護事業の発展」などがその内容です。

また、環境大国と伝えられているドイツは、2009年1月に総額1000億ユーロ規模の大型景気刺激策を発表。排ガス基準を満たす車を新しく買う人に、環境推奨金と減税をするなど策を掲げました。日本はドイツの政策を参考にして、エコカー補助・減税を行ったといいます。

その日本はというと、各国から3か月ほど遅れること2009年4月に、環境省が「緑の経済と社会の変革」を発表しています。“日本版グリーン・ニューディール”と呼ばれるもの。環境ビジネスの市場規模を2020年に120兆円に(2006年は70兆円)、雇用規模を2020年に280万人に(2006年は140万人)に拡大することを見込んでいます。

参考文献
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予測できるのは“いま”しかない

世の中には様々な“予測”があります。予測とは、未来の状況をあらかじめ推測すること。人がどのような方針で行動するかを極めるときの参考になります。

予測の特徴は、時の移り変わりとともにつねに変化するということがあります。

たとえば、1970年代には「地球は寒冷化する」と懸念されていた時期がありました。石油などの化石燃料を燃やすと空気のなかにちり・ほこりが増えるため、太陽の光が地球の表面に届きにくくなり地面が暖まらなくなる、といったようなことが寒冷化の理由として挙げられました。

こうした予測のなかには、「二酸化炭素が増えると温室効果により温暖化につながる」といった、いまでは主流となっている科学的理論は含まれていませんでした。温室効果がよりあきらかになるにつれて、その要素が予測に加えられて、いまでは「地球は温暖化する」といわれるようになっています。

その温暖化予測も、数値は変化します。地球の温暖化を評価し予測する代表的な機関として、気候変動に関する政府間パネル(IPCC、Intergovernmental Panel on Climate Change)があります。この機関は1990年に発表した「第1次評価報告書」では、21世紀までに地球の海面は平均65センチ高くなるという予測を紹介しました。

いっぽう、2007年に発表された第4次評価報告書では、地球の海面は21世紀までに18センチから59センチ上昇するというものに変わっています。

18センチというのは、環境保全と経済発展を地球規模で両立するような社会シナリオでの最低予測値。59センチのほうは、世界中がさらに経済成長して教育や技術などで大きな革新が生まれるシナリオのうち化石エネルギー資源を重視した場合の最高予測値です。

つまり直近の予測では、温暖化を最も助長するような社会シナリオをもっても、21世紀末までの海面上昇は59センチとされており、1990年の65センチという予測より下がっているわけです。

予測はつねに変わるもの。なぜ、変わっていくのでしょうか。

ひとつの原因は、科学の進歩によって予測の精度が上がるからです。さまざまな要素を計算に入れて予測は行われるわけですが、その要素が多いほど、より現実の状況を考えた上での計算に近づくわけです。二酸化炭素の温室効果を加えたら、地球は寒冷化でなく温暖化に向かうという予測が出てきた、というのはその例です。海面上昇の予測が下がっているのも、予測の精度が高まったためといえるでしょう。

もうひとつの原因は、社会が状況が変わるからです。人はいつの時も発明をして社会を変えていくもの。19世紀はじめ自動車は世界で1万台ほどしかありませんでした。しかし、大量生産の技術が生まれたり、便利さが人々に伝わるなどして、20世紀はじめ普及台数は7億5000万台になりました。

これからも技術革新が起きて世のなかの状況も大きく変わっていくことでしょう。そのこと自体は過去の例から見ても確実なようです。しかし、どのような技術革新が起き、世のなかの状況がどう変わるかまでは想像もつきません。

予測の難しさはこの点にあります。研究者のなかには、30年以上先の環境を予測することなんて意味のないことだ、と言う人もいます。

予測は“いま”どうすべきかを考えるためのもの。そして常に“いま”の状況を加味しなければならないものといえます。

参考資料
IPCC第4次評価報告書 第1作業部会報告書 概要
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「エコカー普及」より「暫定税率撤廃」の道を走る


(2009年)10月に入り、民主党、社会党、国民新党の鳩山連立政権による財政改正にむけた議論が本格的になっています。ざっくりいえば、自民党と公明党の旧連立政権のときに定められた、税金の使い方を見なおすことが改正の中心です。

この議論のなかでなりゆきが注目されているのが、エコカー普及に対する制度がどうなるかです。整理してみます。

自公政権時の4月、環境性能に優れた車、つまりエコカーの購入を促すための自動車重量税・自動車取得税の特別措置が実施されました。いわゆる“エコカー減税”の実施です。

また、自公政権はこのエコカー減税とはべつに、4月、景気対策などのための15兆円規模の補正予算を成立させるなかで、「エコカーに買いかえる場合は、国が補助金を出します」という策を打ち出したのでした。市民にエコカーへの買いかえを促すとともに、購買意欲を高めて景気を回復させるねらいがあります。

ここまでが自公政権がしてきたことです。

いっぽう、民主党は政権政策(マニフェスト)のなかで、自動車に関係する税金のあり方について、次のようなことを掲げています。

―――――
自動車関連諸税の暫定税率は廃止する
【政策目的】
○課税の根拠を失った暫定税率を廃止して、税制に対する国民の信頼を回復する。
○ 2.5 兆円の減税を実施し、国民生活を守る。特に、移動を車に依存することの多い地方の国民負担を軽減する。
【具体策】
○ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率は廃止して、2.5 兆円の減税を実施する。
○将来的には、ガソリン税、軽油引取税は「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化、自動車重量税は自動車税と一本化、自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止する。
【所要額】
2.5 兆円程度
―――――

暫定税率とは、読んで字のごとく、自動車関連の本来の税率に加えて、“暫定的”に上乗せされている税率のこと。1973年に起きた第一次石油危機のとき、ガソリン税などの本来の税率に暫定税率が上乗せされました。その後、自動車所得税、自動車重量税、軽油取引税という税金にも暫定税率が上乗せされ、2009年に至っています。

つまり、“暫定”といいながら、長いものは36年ものあいだ、税金が本来より上乗せされた状態がつづいてきたわけです。

民主党は、それぞれの税に上乗せされた暫定税率は「課税の根拠を失った」として、廃止することを約束しています。

鳩山政権で体制を新しくした政府税制調査会でも、暫定税率の廃止が定められました。藤井裕久財務大臣は「新年度からやる」と報道に対して明言しています。長くつづいてきた暫定税率の上乗せが2010年度からはなくなる可能性がきわめて高くなったわけです。

しかし、暫定税率を撤廃すれば、政府にとっての税収は減ってしまいます。その減った分の予算をどのように確保するのかまだ、見えてこないという不安と批判が上がっています。

いっぽう、民主党はエコカー普及のための政策については、とくに公約を掲げていません。こちらはマニフェストによって縛られていません。

予算の財源確保の見通しをより不透明にする暫定税率の撤廃と、エコカー普及のための補助や減税。このふたつを2010年度も同時に進めることはないだろうというのが大方の見方です。大盤振る舞いをすれば、さらに財源確保が厳しくなってしまいますから。

そこで、報道などでささやかれているのは「鳩山政権は2010年度からは、マニフェストに掲げていないエコカー普及のための補助や減税をうちきるのでは」との声です。

しかし、暫定税率撤廃は進めて、エコカー普及策は進めないとなると、鳩山政権にとってはちょっと困った状況を招いてしまいます。

2009年10月の国連総会で、鳩山首相は「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%減らす」と世界に向けて宣言しました。これは、世界のおもな排出国が温暖化対策に参画することを条件にした話とはいえ、達成にはかなり厳しい目標だとされます。

二酸化炭素などの温室効果ガスを出すものの代表格が、従来型のガソリンとエンジンで走る車です。エコカーを普及させるための補助や減税は進めずに、ガソリンとエンジンで走る車も対象となる暫定税率撤廃を進めれば、エコカーの普及の速度はこれまでより鈍くなるでしょう。

このたび民主党は、自公政権が組んだ2009年度の補正予算から、使っても意味のないとする無駄な3兆円分の事業を選びました。そのなかには、2009年度内のエコカー補助を含む低公害車普及促進対策予算は含まれていません。しかし、以上のような状況から、2010年度はエコカー補助やエコカー減税は行われないのではといわれています。

国土交通省「自動車重量税等の減免について」はこちら。
国土交通省「環境対応車への買い換え・購入に対する補助制度について」はこちら。
民主党の政権政策はこちら。
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日本近海に眠る膨大な資源


資源に乏しいといわれる日本。しかし日本の学術界や産業界で注目されている資源があります。メタンハイドレートです。

「メタンハイドレート」は「メタン」と「ハイドレート」からなる言葉。メタンは無色無臭の気体で、天然ガスや腐敗した動植物から生まれます。メタンに火をつけると青い炎が上がります。いっぽうハイドレートは水がほかの物質と結合した化合物を意味します。つまりメタンはイドレートは、メタンと水が結合した化合物。

メタンハイドレートは「燃える氷」と説明されることがあります。たしかに色は白っぽく、状態は固体。マイナス80度以下の低温と、23気圧以上の高圧という条件でつくられるため、冷たい固体の状態をとるわけです。

日本でメタンハイドレートが注目されているのは、近海にこの資源が存在することがわかっているから。とくに太平洋の海底の南海トラフという海溝の深さ500メートルより下の地底に、膨大な量のメタンハイドレートが眠っていることが海洋調査でわかってきました。日本近海には国内で消費される天然ガスの100年分のメタンハイドレートがあると考えられています。

それほどの量があるなら、日本はエネルギー資源を輸入しないでもやっていけそう。しかし、メタンハイドレートが燃料として使われるまでには至っていません。実用化にはまだ多くの課題があるからです。

まず、海底の地下にあるメタンハイドレートをいかに安い費用で取りだすかという課題があります。石油とちがい固体のためパイプで汲み上げることはできません。いくつかの採掘法がありますが、いずれも決定打に欠けるもの。どの方法も採掘コストがとても高く、ほかの資源との市場競争ではまず負けてしまいます。

また、環境面への影響を少なくする方法をあみだすことも課題です。メタンを海中や海上に漏らしたり、メタンを包んでいた水を海に拡散させたりすれば生態系に影響するでしょう。それを防ぐ方法が必要です。

さらに、メタンハイドレートは再生可能エネルギー資源ではないため、地球温暖化に寄与する物質に分類されています。石油や石炭ほど二酸化炭素は出さないものの、実用化に近づけば温暖化防止とのかねあいでの議論も出てくるでしょう。

実用化にはまだ遠いため、いまは産業界よりも公的機関による技術開発が主流です。日本を資源大国にのしあげるエネルギー源となるでしょうか。
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「絵画を動かしたらどうなるか」を示したウィリアム・ケントリッジ

京都・岡崎円正寺町の国立近代美術館で、「ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える」が開かれています。(2009年)10月18日(日)まで。

ウィリアム・ケントリッジ(1955-)は、南アフリカの芸術家。俳優、演出家、著述家など多彩な肩書きをもっています。

企画展では、数々のケントリッジ作の絵画が飾られています。しかし、これらはケントリッジの作品を鑑賞するうえでの“断片”でしかありません。なぜならこれらの絵画は、動画を構成する一枚の絵にすぎないからです。

館内のいくつかの広間の壁に、複数の動画が映されます。絵画として飾られている作品が、動いています。ケントリッジは、一枚一枚の絵画をつなぎ合わせて、10分弱の動画作品をつくりました。貸出の音声レシーバーを耳に当てると、動画にあわせた音楽も聞こえてきます。

作品形態としてもっとも近いものは「アニメーション」でしょう。実際、展覧会の案内では「『動くドローイング』とも呼べるアニメーションを制作しています」とケントリッジの作風を紹介しています。

たとえば、初期の作品「ヨハネスブルグ、パリの次に素晴らしい都市」では、炭鉱内をトロッコが通り抜けると、壁際にいた炭坑夫たちが壁と同化してしまったり、たばこの煙からタイプライターが突如あらわれたりと、超現実的な場面がつぎつぎと展開されます。

また、2003年の最新作「潮見表」では、主人公の男の脳内と現実を行き来するような映像が連続的に流れます。あっという間に建っていく何本もの鉄塔。そしてこれらの鉄塔はあっという間に瓦解。男の脳内で起きている、希望と失望を象徴したものと解釈できます。

どの作品も、もとは絵画であり、また現実離れした展開であるのは確か。それでもなお鑑賞者は、非現実だけを見ているのでなく、そこに現実的なものが表現されている感覚に陥ることでしょう。

これは、人間と静止画・動画の関係性を示したものなのかもしれません。静止している絵をにくらべて、動いている動画には「いつか見たことのある実際の映像」を思い出せる効果が強いという関係性です。

一枚一枚の絵が連続して映されるからアニメーションではある。しかし、テレビや映画館で観るようなセル画の“アニメ”とは明らかに異なります。それは、ケントリッジの作品の軸が“動画”でなく“絵画”を軸にしたものだからでしょう。「絵画を動かしたらどうなるか」という実験の結果を鑑賞者は味わうことができるわけです。

展覧会では、14点の動画作品のほかにも実験的な作品が並びます。


たとえば、部屋の両側の壁には、似た模様の生け花の絵が掲げられています。部屋の真ん中には「V」の字に置かれた鏡が。鑑賞者は鏡の前にたち、鏡に映された両側の絵を眺めていると、いつしか二つの絵が“融合”して、葉が飛び出して見えるようになります。新聞や雑誌などで見かける“飛びだす絵”は、鏡を使っても実現するのですね。

「京都国立近代美術館とウィリアム・ケントリッジが3年間にわたる緊密な協同作業を経て実現されるもの」(案内より)。表現の手法と絵の内容の両方に「いままで見たことのない芸術」を感じる鑑賞者も多いのでは。

「ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える」は京都国立美術館で10月18日(日)まで。入館料や休館日の情報は、国立博物館のホームページをご覧ください。
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再生可能エネルギーの国際機関、日本は出遅れ感も
 エネルギー関連の国際機関として「国際エネルギー機関」(IEA、International Energy Agency)がよく知られています。

これは経済協力開発機構(OECD、Organisation for Economic Co-operation and Development)の加盟国のなかで、エネルギーの安全保障やエネルギー需給の安定を目指すための機関。OECDには日本を含む30か国が加盟していますが、うちアイスランドとメキシコをのぞく28か国がIEAに加盟しています。
IEA加盟国

いっぽう、「国際再生可能エネルギー機関」という機関があるのをご存じでしょうか。今年2009年1月に設置された新しい機関です。本部はアラブ首長国連邦の一国アブダビにあります。

開設時の1月には、124か国と欧州連合が参加し、75か国が設立条約に署名しました。

日本はというと、1月の時点では設立条約に署名しませんでした。背景としていわれているのは、事務局長を日本から出しているIEAと、新しく設立されたIRENAの目的や機能が重複しているため、IRENAの設立には消極的だとされています。ただし、6月に行われた設立準備委員会第2回会合では日本は設立憲章に署名しています。

IRENAの役割は、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの普及や促進を促すため、再生エネルギーの現状分析、途上国の能力強化支援、研究ネットワーク構築の推進、技術的規格の開発についての情報提供など。

1990年代前半、国連などの場で「国際太陽エネルギー機関」の設立が提案されていた。その後、ドイツの国会議員などを中心に立ち上げが呼びかけられ、2005年にドイツ大連立政権における政権合意がなされました。ドイツの各国への働きかけで、2008年4月ベルリンで開かれた第1回準備会合が開かれた。

米国や欧州を中心に提唱されているグリーン・ニューディールにとって追い風となる機関といえます。

IRENAは、今後、設立条約に署名した国のうち25か国がそれぞれの国の中で批准をすることにより2010年までに正式発足する見込みです。
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秋の夜、梵燈のあかりに親しむ
京都・花園妙心寺の東林寺で「梵燈のあかりに親しむ会」が開かれています。(2009年)10月18日(日)まで。

京都には、大きなお寺の敷地のなかに子院とよばれる小さなお寺があるところがいくつもあります。東林寺も妙心寺という大きな寺の子院。妙心寺は臨済宗の一派の大本山。1337年に花園上皇が創建、無相大師が開山し、豊臣秀吉により再興されました。

子院のほうは、戦国時代の武将・細川氏綱が亡き父のため建てた三友院を、1556年に山名豊国が妙心寺内に移し、「東林寺」に改名したものとされます。ふだんは新春の「小豆粥の会」などでしか公開されない東林寺ですが、「梵燈のあかりに親しむ会」開催中は日が暮れたあと18時から21時まで開いています。

大きな妙心寺にくらべ、東林寺は地図に埋もれるほどの小ささ。でも釈迦が理想の境地に達したときに近くに生えていたとされる「沙羅双樹」が植えられている寺として知られています。『平家物語』の冒頭にも「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」と出てきますね。


庭の地面にはともしび。聞こえてくるのは鈴虫の音。その奥に沙羅双樹がましまします。


畳の間をとおり奥へ進むと、ともしびを並べて表現される「650」の文字。妙心寺では、開山者である無相大師の650年の法要を行っています。説明書きには「開山様の道徳を偲び『無相』の二次と六百五十の年号をあかりで表現して、報思謝徳の念を新たにしています」。

 

この明かりが見える茶室では、抹茶やコーヒーを喫すこともできます。すぐそこには鈴虫の音。遠くから聞こえてくるのは和太鼓の音。梵燈のあかりは秋の闇夜にこうこうと灯ります。

夜間特別拝観「梵燈のあかりに親しむ会」は京都市右京区花園妙心寺59の東林寺にて10月18日(日)まで。時間は18時から21時。拝観料は500円(喫茶をする場合は別途料金)です。
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天災による経済損失、原因の85%は“風”


台風18号が、きょう(2009年10月8日)愛知県に上陸して北上、宮城県を抜けて行きました。あす、進路によっては北海道の太平洋側が暴風域に入るかもしれません。今回の台風では、2人が死亡、首都圏だけで225万人に交通の影響をあたえています。また、茨城県と千葉県では竜巻と考えられる突風も観測されました。

台風や竜巻の特徴といえば風。風は、地球上の空気が移動する現象です。音こそ聞こえますが、目にはなかなか見えるものではありません。水などにくらべるとつかみどころは少ないもの。

しかし、この風というものを研究の対象にする学問があります。「風工学」といいます。

「なんでも『学』を付ければいいってものじゃない」という声も風に乗って聞こえてきそうですが、風工学は確立されてからかなりの歴史をもちます。

1960年ごろから、英国、豪州、カナダなどの英連邦国で、乱流の原理などが研究されていました。そうした中、後に“風工学の父”といわれるようになる米国の工学者ジャック・サーマックが1975年、風工学を「人と地球上の大気の相互作用を扱う学問」と定義しました。

日本でも、東京工芸大学の「風工学・教育研究のニューフロンティア」という研究が文部科学省の研究補助金「グローバルCOEプログラム」に採択されています。そこで扱われる分野は、強風災害の軽減や、“風の道”つくることなどによる小資源化、それに、街なかでの風環境や空気汚染の軽減などさまざま。学問の特徴は「風プラス何々」といった融合的なものが多いということでしょう。東京工芸大学の研究とは別に、日本風工学会という学会もあります。

災害としてよくくらべられる地震と台風。地震のほうが衝撃が強く、一瞬にして街を破壊します。くらべて台風のほうは長い時間をかけ、広い範囲にわたり被害をあたえるもの。台風による洪水なども含めれば、天災による経済的損失の85%は、じつは強風によるものだとされます。

日本では天災というと地震を先に思い浮かべる人も多いことでしょう。日本で風工学がそれほど知られていないのは、日本が地震国だからという要因もあるかもしれません。英国や豪州、カナダなどは比較的地震の少ない地域です。

地震国であるとともに台風国。風工学の発展が被害を減らすことににつながることでしょう。

東京工芸大学のグローバルCOEプログラム「風工学・教育研究のニューフロンティア」のホームページはこちら。
日本風工学会のホームページはこちら。
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むかしから使っていました。


新聞や報道番組などで「バイオマスエネルギー」ということばに触れる機会は多くあります。新しい種類のエネルギーという印象をあたえますが、そうとはいえません。人間にとって、バイオマスエネルギーは古くから身近なエネルギー資源でした。

たとえば、薪や木炭。暖をとったり食べものを料理したりするため、人は木を切って乾かし、薪や木炭などにして火を燃やしました。これもバイオマスエネルギーの使用例のひとつです。

「バイオマス」は、もともと「生物」の意味の「バイオ」と、「量」や「塊」の意味の「マス」がくっついてできた言葉。「生物体の量」といった意味がありますが、ここから発展して「エネルギー資源や工業原料として使うための生物体」という意味で使われています。

たとえば、薪や木炭は、木という生物体からできていて、燃料として使われるときはエネルギー資源になるし、木材として使われるときは工業原料になります。よって、立派なバイオマスといえるわけです。

環境問題が関心を集めるにつれて、バイオマスやバイオマスエネルギーが注目されるようになりました。というのも、バイオマスエネルギーは、広い目で見ると地球上の二酸化炭素を増やさないエネルギー資源だからです。

たとえば、ある人が1本の木を切って薪にし、それを燃やして暖をとったとします。1本の木がバイオマスエネルギーとして使われたわけです。ここで、火を燃やせば二酸化炭素が生まれいますが、この二酸化炭素は、もともと木が光合成をするときに使われたもので、木のなかに含まれていました。また、1本の木を切ったあとに、1本の木がまた生えると考えれば、薪から出た二酸化炭素はふたたび1本分の木に取り込まれると考えることができます。

つまり、木を切って薪にし、燃やして二酸化炭素を出しても、地球上の二酸化炭素の増減はなにもないわけです。この「大気中に出入りする二酸化炭素が増えも減りもしない」状態は「カーボンニュートラル」とよばれています。

石油のもととなる原油などの化石燃料も、おおもとをたどれば生物の死骸にたどりつきます。そういう意味では、「化石燃料もバイオマスエネルギー資源」といえるわけです。しかし、一般的には化石燃料とバイオマスエネルギー資源は区別されています。

化石燃料がつくられたのは恐竜が生きていた時代。いまとはあまりに時のへだたりがあるため、化石燃料を使えば二酸化炭素は増えるいっぽうとなります。このため、バイオマスエネルギーと化石燃料は区別されるのです。
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“無人着ぐるみ”の時代、到来


“ゆるキャラ”ブームを反映してのことでしょうか、グーグルのニュース検索で「着ぐるみ」と入力すると100件以上もの記事が当たります。

「石巻市が製作を進めていた観光PRキャラクターのペア『いしぴょんず』の着ぐるみが完成し、2日に亀山紘市長や報道関係者に披露された」(毎日新聞)

「徳山動物園(周南市)は、人気者のマレーグマ『ツヨシ』の着ぐるみを作った」(中国新聞)

「『文京博覧会(ぶんぱく)2009』が四日、開幕。同区経済課のキャラクター『BUNレンジャー』の着ぐるみがデビューした」(東京新聞)

着ぐるみ相場はいかほどか。店舗什器や業務用品などの販売をする店研創意が発行するカタログ誌『ストア・エキスプレス』では、「イベントの集客効果抜群!」として、着ぐるみが扱われています。

種類はさまざま。さる、とら、ミケネコ、うさぎピンク、ワンちゃん、カエル、ライオン、パンダ、ぞう、くま。定番がそろいます。

税込価格はいずれも23,415円。量販用品店でスーツを一着買う程度でしょうか。

着ぐるみの世界でも使いやすさの進歩があるもよう。「頭部にウレタンを使用することにより軽量化しました」との記載も。

そのほかの注目点としては「視界は口部分で確認できます」。これも使いやすさに直結していますね。いっぽう「洗濯不可」。こちらは着ぐるみに残された大きな課題のようです。

いっぽう、着ぐるみを身にまとうアルバイトのほうは、時給で1,000円以上、日給で5,000円から12,000円あたりが相場のようです。しかし、冬場はともかく、夏場は着ぐるみの中はとても暑く、重労働とよくいわれます。それからすると、この給料はいかがなものでしょう。

人間の重労働軽減のためか、人間の代わりに着ぐるみをかぶるためのロボットも開発されています。

ロボット開発・販売をする「アールティ」は、「着ぐるみ着用を前提としたロボットRIC」を(2009年)9月に発売しました。「RIC」は“Robot Inside Character”の略。漫画家たかはしさなえさんの描いた「ネコ店長」の着ぐるみをRICが身につけます。

仕様は本格的。アールティによると、関節の駆動には双葉電子製サーボモータを採用。サーボモータは、位置や速度を制御するための自動制御系によって動くモータのこと。また、無線操縦型と、コンピュータを使って発話などをする型を選ぶこともできるとのこと。

こちらの価格はベースロボットが税込210万円なり。

まさかイベント会場で握手したりして子どもとたわむれている「ネコ店長」のなかに人が入っていないだなんて。子どもだけでなく、大人もそう驚くことでしょう。あるいは、人が入っているふりをしたままのほうが、着ぐるみとしての使命は果たされるかもしれません。主催者が判断にせまられるところですね。

アールティの報道発表「着ぐるみ用人型ロボットRIC 販売開始について」はこちら。
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(2009年)11月2日(月)は「科学本が生まれるまで 著者、編集者、そして……」
 催しもののお知らせです。

(2009年)11月2日(月)、東京・青海の日本科学未来館で開催される「サイエンスアゴラ2009」のなかで、「科学本が生まれるまで 著者、編集者、そして……」という催しものが開かれます。主催は、東京大学博士課程で科学史専攻の住田朋久さんら個人有志からなる「科学出版研究会」。

研究会は、科学書が誕生するまでにはどのような経緯があるのか、著者や編集者に聞き取り調査を行っています。対象としたのは、講談社が1985年から行っている「講談社出版文化賞科学出版賞」と、後継の「講談社科学出版賞」の受賞作。

過去には、本川達雄さんの『ゾウの時間ネズミの時間』、藤田紘一郎さんの『笑うカイチュウ』、福岡伸一さんの『プリオン説はほんとうか?』などが受賞作となっています。

編集者が「本を書いてくださいませんか」と頼み込んだり、著者が編集者に「こんな企画があるんだけれど」と提案したり、科学書の誕生のしかたはさまざま。催しものでは、聞きとり結果から「すぐれた科学本が生まれるきっかけや条件」を考えていきます。

また、実際に講談社科学出版賞の受賞作を生みだした著者や編集者も登壇予定。

第25回の2009年度の受賞作は『チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る』でした。この本を著した海洋研究開発機構プログラムディレクターの大河内直彦さんが、出版までの経緯を語ります。

また、編集者の立場から、中央公論新社書籍編集局アドバイザーの佐々木久夫さんも参加。第12回科学出版賞受賞作となった田口善弘さん著『砂時計の七不思議』の編集を手がけました。

さらに、渋滞学の権威である東京大学先端科学技術研究センター教授の西成活裕さんも、登壇します。西成さんの著した『渋滞学』は、2007年の第23回科学出版賞受賞作です。

サイエンスアゴラは、科学について知りたいこと、考えていること、言いたいこと、訴えたいことがある一般市民から科学者・研究者に開かれた広場という位置づけ。

科学をめぐるコミュニケーションのしかたはいろいろと議論されていますが、「本」という媒体についての議論はさほど多くありません。

人と人の出会いについて、改めて考えることのできるアゴラになるでしょうか。

「科学本が生まれるまで 著者、編集者、そして……」は、2009年11月2日(月)東京・青海の日本科学未来館会議室2で10時30分から12時まで。当日のサイエンスアゴラのプログラムはこちら。

講談社科学出版賞の過去の受賞者一覧はこちら。
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「太陽電池で電力を売る」という投資


来月(2009年11月)から、日本の暮らしのなかで投資の選択肢がひとつだけ増えることになります。その分野はエネルギーです。

政府が「太陽光発電の新たな買い取り制度」ものを始めようとしています。これは世界各国で行われている「フィード・イン・タリフ」という制度を日本でも遅ればせながら行おうとしているもの。

「フィード・イン・タリフ」とは、なんだか異国情緒のある制度名に聞こえますが、英語にすると「Feed-in Tariff」。

タリフは、「関税率」や「価格表」という意味もありますが、ここでは「決められた価格」を意味します。たとえば日本では11月から、市民が自分の自宅などに設置する太陽光発電装置でつくりだした電力を、ふつうの電力価格の2倍ほどの“決められた価格”で今後10年間、電力会社に売ることができるようになります。

「え、電力を2倍の値段で売れるの! だったらわが家にも太陽電池を取り入れなくちゃ!」

こう思い、太陽電池を購入する人が増えてくれることが国としてのねらいです。さらに、購入動機を高めるため、フィード・イン・タリフでは、制度開始1年目よりも2年目に買う人のほうが、おなじ量の電力を売るにしても、得られる価格が下がるように設定します。「もう少し後で買えばいいや」という人を減らすため。

電力会社にとってみれば、高い値段で電気を市民から買わされるのですから、得な話ではありません。そこで、電力会社はふつうに売る電気料金をすこし高めにして、市民から買わされた太陽電池の電力のお金を、この値上げ分で補おうとします。

ドイツやスペインでは、フィード・イン・タリフをいち早く導入したことにより、市民が太陽電池などの再生可能エネルギー開発装置をどんどん買うようになりました。これにより、いまドイツは太陽電池が世界で最も使われている国に。またスペインも2008年に日本を抜いて、世界第2位の国に。

ただし、スペインでは、あまりにその“バブル熱”がすごかったため、スペイン政府が買い取り価格の設定を大幅に下げるなどしたため、やや“バブル崩壊”の様相となっているようです。市民の反応に敏感になりつつ、制度を進めることの大切さを、これから制度が始まる日本に示したものといえるかもしれません。

資源エネルギー庁「太陽光発電の新たな買取制度とは」はこちら。
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“しゃかしゃか音”に“足踏み”で対抗

朝や深夜などの電車が混む時間帯は、人と人とのあいだの問題が生まれやすいもの。

人はだれも“個人的空間”を保っているといいます。個人的空間とは「見知らぬ人にこれ以上、近づかれると嫌だ」というぎりぎりの空間です。

しかし、混雑する電車のなかでは、個人的空間がどうのこうの言っていられません。見知らぬ人と密着しながら、20分や30分すごさなければなりませんから。そこで人は、車内で近くにいる人を“人”でなく“もの”と見なすことにするといいます。

人をものと見なす状況であれば、当然、まわりの乗客の迷惑をかえりみない行為が、そこここで現れます。

日本民営鉄道協会が、電車利用者に対して行う「駅と電車内の迷惑行為」の調査では、「座席の座り方」や「携帯電話の使用」のほか「ヘッドホンステレオの音漏れ」も上位にあります。

家電製造業がヘッドホンステレオにしゃかしゃか音を抑える機能をつけたりしているにも関わらず、音漏れはなかなか減りません。車内で携帯電話を使う人のなかには「いま電車なんで」と、申しわけなさそうに通話する人もいます。いっぽう、ヘッドホンステレオを使う人が申しわけなさそうに音楽を聞く姿はあまり見かけません。

音漏れが気になっても「あの、すいません。音漏れしていて気になるので、もう少し静かに聞いていただけませんか」と言えず、がまんする人も多いでしょう。「車内での注意から暴行事件発生」といったニュースもよく聞きますし。

しかし、電車という公共空間で、ヘッドホンステレオを使っている人はなんとも思わず、その近くにいる自分は迷惑に思う、という状況にストレスを覚える人もいるでしょう。

はっきりと口頭で「うるさい」と言わず、それでも「うるさい」というメッセージを相手に伝えるにはどうすればよいでしょう。

電車内をよく観察している人は次のように言います。

「ああその問題ですね。“足踏み”するのは手かもしれませんよ」

とくに、音漏れさせている人が自分の正面の椅子に座っている場合、しゃかしゃか音のリズムに合わせて、自分も足踏みすればいいというのです。

これは、相手に「音が漏れきこえていますよ」ということを沈黙のうちに示せる手段。ヘッドホンステレオを聞いている人に対する“はずかしめ”をあたえるわけです。口頭で注意したら「なんだとこの野郎!」とつかみかかられるという危険性もこれなら少ないでしょう。

問題は“足踏み”をしたところで相手が気付くかどうか。「“足踏み”で効果が見られない場合は、体でリズムをとったり、指ぱっちんをしたりするのもいいかもしれません」。

“足踏み”や“体でリズム”や“指ぱっちん”を目の前でされたら、ヘッドホンステレオで聞いている人は逆に硬直化して、音量を下げなくなってしまうかもしれません。この方法は、むしろ相手に「音漏れしてるぞ」わからせて自分の溜飲を下げる効果のほうが大きいのかもしれません。
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エネルギーの“勝ち組”“負け組”にさまざまな主人公

(2009年)9月22日の国連気候変動首脳会議で鳩山首相は温室効果ガス25%削減の国内目標を宣言しました。今後、日本でもさらに拍車をかけてエネルギー問題が議論されることでしょう。

エネルギーも産業分野のひとつ。エネルギーを人が使えるかたちにして、人々に売ればもうかるわけです。利を得る“勝ち組”と、損をする“負け組”が、エネルギーをめぐっても存在するわけです。

一言に“エネルギーの勝ち組”、“エネルギーの負け組”といっても、その主人公はさまざまあります。

まず「産業」そのものがあげられます。エネルギーは、さまざまな形に姿を変えられるだけあります。

運輸業界で、航空、鉄道、バスなどの各分野が輸送客争いをするように、エネルギー業界でも、火力、原子力、水力、太陽光、風力、バイオマスなどなど、さまざまな産業が「エネルギーといえばこれ」という覇権を争っているといえましょう。

もう少し、小さく見れば、「企業」の間での勝負があります。太陽光発電であれば、シャープ、京セラ、三洋電機、海外のQセルズ(ドイツ)、サンテック(中国)、モーテック(台湾)などがつくる太陽電池による電力供給量のシェアが毎年話題になっています。今後、次世代エネルギーの設備や機器でもうかる企業と、撤退を余儀なくされる企業が出てくることでしょう。

別の視点でいえば、「国家」としてもあります。エネルギーの開発技術などで、いかに世界に伍していくか、各国は戦略を考えています。


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