市民が研究者や専門家などを招いて喫茶しながら科学を語りあう「サイエンスカフェ」のお知らせです。
(2009年)10月18日(日)「脳死カフェ 脳死って移植の問題なの?」が、東京・大井の品川区大井第二区民集会所で開かれます。主催は「科学ひろば」。
科学ひろばは、非研究者の一般社会人たちによって構成されるサイエンスカフェの企画団体。
2009年6月、衆議院選挙前の通常国会で、臓器移植法の改正案が可決されました。
国会で4案出されたうち、可決された「A案」は、これまで禁じられていた15歳未満の提供者からの臓器移植について、家族の同意があれば可能とするもの。これで、国内での幼児や小児の臓器移植への道が開かれるようになりました。
国会議員による議決では、“人の死”という重い問題を対象としているため党議拘束をかけない政党も多くありました。選挙で決められた代議士ひとりひとりが、脳死に対してどのような価値観をもっていたかまでは、市民はなかなか把握できないのが現状です。
また、子どもにおける脳死については、“生還”の可能性が高いという小児科医などからの指摘もあります。法案は可決されたものの、今後も議論を続けていくことが重要なのでしょう。
科学ひろばによると、カフェでは、まず臓器移植法の内容について脳死の部分を中心に確認したうえで、参加者から脳死について意見を出しあいます。
そして、客人の翻訳家・高橋さきのさんとともに、議論を深めます。高橋さんは、ダナ・ハラウェイ著『猿と女とサイボーグ』やフェデリコ・ロージとテューダー・ジョンストンの共著『科学者として生き残る方法』などの訳書を手がけてきましたが、脳死の現場に、家族として立ち会うという経験の持ち主でもあります。
「脳死カフェ」という催しものの名前に、新鮮味あるいは違和感がある人もいるかもしれません。しかし、あえて「サイエンスカフェ」と銘打たなかったことに、科学の問題だけではない議論の幅の広さがありそうです。
「脳死カフェ 脳死って移植の問題なの?」は、10月18日(日)13時30分から16時まで、品川区大井第二区民集会所にて。参加費は800円。申し込みなどについては、以下の科学ひろばのホームページをご覧ください。 http://scienceagora.seesaa.net/
原子爆弾が投下された1945年から、少なくとも5年ほど、日本では原爆を意味する「アトム」が流行語になり、原子爆弾を好意的に受けとめるような風潮が、新聞報道を見るかぎり、ありました。
米国軍が、これから支配する日本人に対して、原子爆弾投下への反発心を抑えたいという意図が働いたとすれば、爆心地に「アトム公園」というよび名がついたことも、その目的の一環なのかもしれません。「アトム公園」は必然的な結果であって、もはやこのよび名を驚きをもって受けとめる必要はなくなります。
戦争直後の原子爆弾を肯定する日本の風潮は、その後の原子力の平和利用への気運の高まりにも大きく寄与したことでしょう。
しかし、原爆肯定が続いたわけではありません。1949年に長崎市が爆心地に「國際平和公園」を称しました。平和への願いは徐々に強くなっていきます。遅れて1954年には、第1回原水爆禁止世界大会が開かれるなど、日本でも反核の思想が芽生えてきます。