2009.08.31 Monday
ブロッコリーもカリフラワーもみなキャベツ
魚介類を食べるのが好きな日本人にとって、寿司屋で出される赤いまぐろと白いいかがはどうちがうのかを説明するのは簡単かもしれません。「まぐろは魚で、いかは軟体動物」といった具合に。
いっぽう八百屋などでは、緑色のブロッコリーと白いカリフラワーが置いてあります。この二つはどうちがうのでしょう。
寿司のまぐろといかのちがいを説明するほど、野菜のブロッコリーとカリフラワーのちがいを説明するのは簡単ではなさそうです。むしろ「同じものである」というところから入るほうがよさそうです。
ブロッコリーもカリフラワーも、キャベツの変種。学名は三つとも「ブラシカ・オレラシア」。キャベツの花のつぼみが化けたようなものを私たちはブロッコリーやカリフラワーとして認識しているのです。まぐろでたとえれば、ブロッコリーとカリフラワーのちがいは、メバチマグロとキハダマグロのちがいのようなものといえます。
進化的には、ブロッコリーのほうがもともと存在したもので、カリフラワーはそこから枝分かれしたものとされます。
白いうさぎがいますね。白くなかったうさぎの子どもが突然変異を起こして誕生したものです。親から子どもに遺伝子が受け継がれるとき、たいてい毛や皮膚の色の情報も伝わりますが、この情報が伝わらないと白いうさぎが生まれます。
おなじようにブロッコリーもふつう、前の代から次の代へ、葉緑素という緑の色素をつくるための遺伝子を伝えています。
ところが、あるブロッコリーから生まれた次世代は、葉緑素の情報を伝える遺伝子が突然変異で伝わりませんでした。こうして、世界のどこかで、いまではカリフラワーとよばれるようになった、白いブロッコリーが誕生したわけです。
その後、人が人工的に突然変異を促す“品種改良”もなされました。ブロッコリーにあるつぶつぶしたつぼみを、カリフラワーではすべてつなげて、見せなくさせました。
ここ十数年、ブロッコリーの消費量は人気のある野菜として消費量が徐々に上がってきています。野菜全体の消費量が右肩下がりのなか人気上昇中なのです。いっぽう、ブロッコリー人気に押されるようにカリフラワーの消費量は減りぎみといいます。
参考文献
板垣栄洋『身近な野菜のなるほど観察記』
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