2009.02.28 Saturday
2月を28日にするのも30日にするのも、人
「ひと月」を活動の単位にしている方にとって、「2月」は特別な月かもしれません。あまりに1か月が短いからです。
1月の平均日数は2月をのぞけば30日が4回、31日が7回あります。2月を含めた平均の1か月の日数は30.4日。2月は2日半、他の月より短いのです。
計算からすれば、ほかのひと月での15分という長さの価値を、2月では14分で受けもつことになります。2月のほうが他の月よりも14分の15だけ、時が貴重であるともいえるかもしれません。
1か月としての時間が短いことは、人の立場によって“吉”に“凶”にもなります。
2月が短いことの恩恵に預かれる代表的立場は、月給をもらっているサラリーマンなどです。月額30万円だとすれば、他の月では30日や31日過ごさなければならないところ、2月は28日過ごせば同じ額の給料がもらえます。逆に月給を払う側にとっては「28日分なのに、同じ額を払わなければならないとは」と嘆くことでしょう。
2月が短いことが悪く出るのは、月ごとに決まった量のものを納品するような立場の人です。たとえば、月刊誌の編集者は、ふだん30日か31日かけて用意すればよい雑誌を、28日でつくらなければなりません。「2月は短いのでページ数を減らしました」といった話は聞きませんから、2月の仕事の負担は多くなります。
こうした月による生産性や労働力の格差を均すためか、ソビエト連邦では、1929年の改暦により「どの月も1か月30日とし、あまった5日はどの月にも属さないことにする」という独自の暦を定めました。これにより、翌1930年と1931年には「2月30日」が存在したといいます。しかしこの制度は長続きせず、1932年には2月の日数は元に戻りました。
2月を30日にしたのも人であれば、2月を28日にしたのも人です。ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが紀元前8年に、8月を31日にする代わりに2月を短くしたのがはじまりとされています。
ソ連の例やローマ帝国の例からわかるのは、暦は自然や季節のものでなく、人のものであるということです。28日しかないことによる生産性の歪みなどが大きいのであれば、世界が足並みを揃えて、他の31日のふた月分を30日にして2月を30日にすればよいのかもしれません。
しかし、2月を28日した紀元のころとはちがい、“世界”は地球規模になりました。国の事情もさまざまですから、世界が足並みを揃えて2月の日数格差をなくすのはそう簡単なことではありません。
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