2007.12.31 Monday
2007年、元旦の宿題を。
今年2007年、このブログは「日の出の太陽は大きく見える。」という話で始まりました。地平線すれすれの太陽や月は大きく見える。それは錯覚だ、という話でした。
その記事で「答えは、今年の宿題とさせてください」といい残した問題がありました。ふりかえると…。
太陽や月の大きさの錯覚について、さらに議論をよびそうな新聞記事を見つけました。忘れちゃ行けない。宿題の答の猶予はあと数時間。わかったかぎりのことをお伝えします。
1985年5月、日本で日食が見られたときのこと。その記事には「午前六時半までには、元の姿に太陽が戻る。地平線すれすれの日食は、目の錯覚で大きく見えるため観測しやすいが、肉眼でじっと見ると目を焼く恐れがある」と書かれてあります(日本経済新聞1985年5月17日)。
錯覚による形状の変化が、観測のしやすさ・しにくさにも影響を与えているということになりますね。もちろん、機械による観測では関係ないのでしょうが、人間の目には関係するということでしょうか。私はやや疑問の目でこの記事を見てしまいましたが、その答えは、今年の宿題とさせてください。
くわしい人に聞くのがいちばん、ということで、2007年1月1日の記事で、日の出の太陽が大きく見える理由を引用した国立天文台に聞いてみました。
――地平線ちかくで見られる天体(月や太陽)が大きく見えるのは錯覚だそうですが、その錯覚は天体観測をしやすくさせるものでしょうか。
「錯覚で大きく見えるのは、地上の構造物と比較するために大きく見えるのではないかと言われています。したがって、実際に大きくなるということはほとんどありません」
「むしろ、高度が低いと通る地球大気の層が厚くなることで減光されるため、観測しづらくなってしまいます。通常、高度30度以下まで低くなった天体を観測することはありません」
錯覚は天体観測をしやすくさせるかどうかは触れられていませんが、「錯覚が天体観測をしやすくさせることはない」という答えのようです。
やっと宿題は提出。
でも、この論はいろいろと尾を引くもの。天文を研究している人から国立天文台の回答と逆の答えを聞いてしまったのです。
その研究者は自信たっぷりに「地平線の天体のほうが観測しやすくなるに決まってるじゃないですか」といいます。
「だって、地平線ちかくの天文を見るほうが、首が疲れないもん」
たしかに。一般の人が観測する分には、地平線近くの天体のほうが観測しやすそうだ。
でも、待てよ。首の疲れを心配するくらいなら、いっそ仰向けになって、天高くのぼる天体を観測すればいいのでは…。
こうしてまた煩悩がまた一つ増えました。と思ったら、遠くから除夜の鐘が…。
今年も「科学技術のアネクドート」をご愛読くださりありがとうございました。来年もみなさん、よいお年になりますよう…。
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