2007.09.30 Sunday
続・泉岳寺トンネル(1)
昨2006年の5月から6月にかけて、「泉岳寺トンネル」というお題の記事を書きました。東京都港区のJR線高架下を貫く、長細く天井が低い“ガード下”についての話です。
このたび「泉岳寺トンネル」についてふたたび取材をしたところ、新たな情報などを得ることができました。昨年の連載で書いた「天井の低さ」の理由などについては、書いたことをすこし改める必要が出てきました。
そこで、このたびの取材でわかった新事実などを整理してみたいと思います。
まずは、昨年の話のおさらいを。
港区高輪2丁目と港南1丁目の間にはJRの線路が何本も通っています。その線路の下には、通称「泉岳寺トンネル」といわれる歩道と一方通行道路を合わせたガード下の道路が貫かれています。
このトンネルは「天井までが低い」という点が大きな特徴で、トンネルの入口には「制限高1.5メートル」といった注意書きまでされてあります。身長170センチ以上の人は、首を傾げたり猫背になったりして通らなければなりません。また、タクシーの広告塔も天井にすれるほどです。
天井までが低い理由を、古地図などから探りました。JRの線路が走る一帯は、大正時代まで海であり、東海道線は海の上に築かれた盛り土の上を走っていることがわかりました。
さらに昭和の戦前の地図を見てみると、トンネルのある位置には運河のような掘り割りとなっていることもわかりました。
1934(昭和9)年『東京市芝区地籍図』色線部がいまのトンネルの位置
こうした古地図から、「かつて運河だったところを暗渠にして、さらにそれをトンネルにしたのがいまの泉岳寺トンネルということのようです」という結論を出しました。
そして、天井までが低い理由については、天井側は鉄道の線路が走っているので天井を高くすることはままならず、地面側はこの付近の海抜が低いため「地面をこれ以上深くすると、すぐに水が入ってきてしまうからだと思います」という推測を立てました。
さて、これらの推測は正しかったのかどうか。港区役所の職員の方に話を聞く機会がありました。つづく。
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