2007.03.31 Saturday
人生を聞く。
原稿を書くための取材で、その人の歩んできた人生をねほりはほりと聞くことがあります。どのような研究人生を歩んで科学的な発見をするにいたったかとか。どのように勉強をして東大に合格したかとか。その人の情報を各媒体から得られるようであれば、年表つくっておくと頭の中が整理されます。
記事に書く内容がどちらかというと明るい内容だからかもしれませんが、取材に応じてもらった人々は、みな一様に楽しそうに語ってくれます。「ああ、あんな時代もあったねぇ」と。
「海外の学会で言われたあの一言が、私の人生の転換点でした」と語る科学者もいれば、「東大の合格発表の掲示板まで、母ちゃんの手をつなぎ、番号を見た瞬間は、抱き合って喜びました」と語る東大生もいます。
楽しそうに話している人に耳をかたむけると、もちろんこちらも楽しくなります。こっちまで楽しくなるのは、その人の世界の中に入り込むことができるからなのでしょう。小説や漫画で、主人公やそのまわりの人物になってしまいたいと感じることがたまにありませんか。そんな気分を一時的に体験できるのだと思います。
というわけで、話を聞いたあとは、こちらも「いい人生だったぜ」と、思っているわけです。取材をしたときの楽しさと、原稿を書くときのしんどさは別物です。
余談ですが、「生い立ち」という言葉は、「人生の歩み」と同じ意味なのかとずっと思っていたのですが、そうではないようです。子供が成長するまでの過程や経歴のことをいうそうです。たしかに「生いて、立つ」のだから、子どものころの話なのかもしれません。
| - | 23:59 | comments(0) | -