2007.02.28 Wednesday
この言葉、科学の世界では…
私たちの生活でよく使われるのと同じ言葉が、科学の世界では特定の意味をもつ場合があります。
たとえば「修飾」というと、「飾りたてる」とか「言葉に別の言葉を付けてさらに説明する」とかの意味が思い浮かびますね。でも、化学でいう「修飾」とは、「ある分子のつながりに、別の分子のつながりを噛ませて、物質としての新しい機能をあたえる」といった意味になります。「抗体で薬物を修飾する」なんて言い方をします。
もう一つ。「他人の物事に強いて立ち入り、自己の意思に従わせようとすること」をもともとは意味する(『広辞苑』より)言葉が、物理学の世界で別の言葉として使われています。
それは「干渉」。
1世紀から3世紀にかけて中国を治めた後漢の出来事を記録した史書『後漢書』の「東夷伝」(中国の東方の民族について書かれた伝)にも登場するという「干渉」の言葉。物理の世界では、「同じ光の源から出た光を、ふたつ以上に分けて、それぞれ別の道を通らせたあとで、再びその光どうしを重ね合わせたときに起きる相互作用」のことをいいます。「光」は「電波」にも置き換え可能です。
動いている光や電波は、「波」として考えることができます。いったん分けたふたつの波が、ふたつとも同じ形で運動をしている場合には、「団結しようぜ」ということで、お互いの波は強くなります。逆に、ふたつの波が逆の形で運動をしている場合には、「俺たち意気が合わないね」ということで、お互いの波が弱まります。振動させた音叉を耳に近いところでいろいろと角度を変えると、音が大きく聞こえたり小さく聞こえたりするそうです。これも、音叉の二股から出ている波が、互いを強め合っているか、弱め合っているかによるもの。
英語では、物理学の「干渉」のことも、対人関係などの「干渉」のことも、“interference”。日本に、科学が輸入されるときに、“interference”がそのまま「干渉」となったのでしょう。光にしろ、電波にしろ、音にしろ、ふたつの波がおたがいに影響をあたえるので、元の意味と、遠くはないといったところでしょうか。
参考サイト
「FUJINON レーザー干渉計の基礎知識」
http://www.fujinon.co.jp/jp/products/laser/kisotisiki2.htm
| - | 23:59 | comments(0) | -