2006.12.31 Sunday
2006年のブレークスルー1位は数学から
一年の締めくくり、科学らしくまいります。
米国の科学雑誌『サイエンス』は12月22日、「今年のブレークスルー(Breakthrough of the Year)として、以下の10の科学的・数学的イベントを発表しました。栄えある1位は、数学の「『ポアンカレ予想』の解決」だそうです。
イギリスの数学者ワイルズにより1994年に証明(1995年に証明が論文発表)された「フェルマーの最終定理」では、「証明を書くには余白が小さすぎる」と書き残して世を去った17世紀フランスの数学者フェルマーのエピソードが有名ですが、ポアンカレ予想の解決にも、どうやら“曰く”が付くようです。
ロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンは2002年、ポアンカレ予想を証明したとして、インターネット上でそれを概説の形で発表しました。ところが、“世捨て人のごとき(Science誌)”ペレルマンは、2003年以降、この証明について沈黙を続けてしまいます。その後、3つの研究チームがペレルマンの証明をそれぞれ補いあい、今年2006年にペレルマンの証明が正しかったことが明らかになったのです。
ペレルマンには、数学のノーベル賞ともいうべきフィールズ賞が今年あたえられる予定でしたが、受賞を辞退。ペレルマンは一言「自分の証明が正しければ賞は必要ない」と言ったそうな…。
さて、その他の「今年のブレークスルー」は、Science誌の日本語版サイトにリンクを貼りましたので、こちらをご覧ください。
このなかで、当ブログで取り上げたトピックは、「縮小し続ける氷床」ぐらいでしょうか。9月26日に「地球温暖化を示すデータ発表」という記事を書きました。 初耳のブレークスルーも多く、最新情報を収集する力が足りないようです。orz。
Science誌はまた、番外編として、「2005年の残念な出来事」というタイトルのもと、韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)教授らによる不正行為の範囲が明らかになるとともに、複数の事件が発覚したことを上げています。黄教授が捏造した2つの論文が掲載されたのはScience誌でした。
さて、来年は、どんな1年になるでしょう。もう一つの番外編は、「今後注目すべき分野」。Sience誌が来2007年に話題になると予測する分野とテーマは「全ゲノム関連研究」「光格子」「宇宙の原子水素探索」「霊長類ゲノムの比較」などだそうです。
2006年は、今日でおしまいです。みなさん、お疲れさまでした。また、当ブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。知っている人、まだお目にかかっていない人、いろんな方からコメントをいただくたびに、いろいろと勉強させていただいています。
2007年に向けて、企画ものなども計画中です。また来年も、お暇なら遊びにきてくださいね。
どうか、よいお年をお迎えください。
Scienceの日本語サイト「Scienceが選ぶ2006年の科学的進歩ベストテン」はこちら。
http://www.sciencemag.jp/highlights/20061222.html#1
ロシア通信社ノボースチの日本語サイト「グレゴリー・ペレルマンは紛れもない数学界の天才」(2006年8月28日付)はこちら。
http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=347&more=1