2006.05.31 Wednesday
「くわしくわかる編」を「楽しく見る」には。
一文を引用します。
こうした科学技術による研究・開発が効率的に進められるように、国は企業と大学・研究機関、役所の、いわゆる「産学官の連携」を推進したり、研究・開発資金を出すなど、しくみづくりを進めています。「効率的」だとか「産学官の連携」だとか「研究・開発資金」だとか、小難しい漢字が並んでますね。科学技術白書にも載っていそうなこの文章、どこからの引用かというと、
首相官邸のサイトです。
サイトのなかのどのページからの引用かというと、
「キッズページ」(子供向けかよ! orz)
「みみずく博士のウェッブ・マガジン」というページがあって、「モノ作り」とか「食育」とか、毎回テーマのちがうウェブマガジンをアップしています。
「やさしくわかる編」と「くわしくわかる編」に分かれていて、「楽しく見るために」という説明書きによると、「やさしくわかる編(どんぐりマークひとつ)」は、「主に小学校高学年までに習う漢字や言葉を使って説明しているよ」とのこと。
一方、冒頭で引用した「くわしくわかる編(どんぐりマーク二つ)」は、「気になる言葉やことがらをくわしく知ることができるようになっているよ。主に、中学生までに習う言葉や漢字を使って説明しているよ」とのこと。
「楽しく見る」ことができるかどうか、他の「くわしくわかる編」も覗いてみましょう! たとえば「くわしくわかる編 環境保護と経済発展」の「温暖化を防ぐために 1」。
日本が出す温室効果ガスの9割以上が石油や石炭などのエネルギーから発生する二酸化炭素です。活発な経済活動を行いながら二酸化炭素をへらすためには、「省エネ対策」が不可欠です。たしかに、子供は大人が考えている以上に理解力があるから、子供向けの文章を書くときにはこびへつらうことはない、とはよく聞きます。
(中略)
●産業界の自主行動計画
工場など「産業部門」の排出量は全体のおよそ4割、もっとも大きい割合となっています。自主的な行動計画を策定し、温暖化ガス削減に努める企業も増えています。
●省エネ技術の開発
ガスを用いて発電し、その廃熱を冷暖房や給湯に利用するコージェネレーションシステムや、省電力で長寿命の発光ダイオード(LED)照明など、エネルギー効率を高める技術の開発と普及を進めていきます。
●環境税
温室効果ガスの排出量に応じて税金を負担する制度も検討されています。省エネな製品ほど割安になるので効果的とされています。一方で、企業の国際競争力が弱まるとの意見もあります。
環境保護にはコストがかかり経済発展を阻害するという考え方もありますが、多少高くても環境にやさしい製品を買うなど消費者の意識も変わってきました。私たちが「省エネラベル」のついた商品を選んだり、ハイブリッドカーのタクシーに乗ったりすることで、二酸化炭素を減らすだけでなく企業の環境技術の革新を促すという風に、環境と経済の好循環が生まれるのです。
それにしても、開き直り過ぎ!
いまの中学生は、そうとう難しい言葉や漢字を習っているものだなあと感心しました。
文章の内容が楽しければ、難しい文章にも子供はついてくるといいますが、「くわしくわかる編」を読んでいるかぎりでは、どうも「楽しく見る」文章とは言いづらいです。
そういえば、やけに「やさしくわかる編」と「くわしくわかる編」のちがいの説明が多いなと思っていました。これはつまり「『くわしくわかる編』は、やさしくわかってもらうことをあきらめました」ということを伝えるための、制作者の優しい心遣いなのかもしれません。
首相官邸サイト「キッズルーム」はこちら。
http://www.kantei.go.jp/jp/kids/index.html