科学技術のアネクドート

“あいまいさ”が便利なWebcat-Plus


図書館司書の勉強をしていると、情報検索に強くなると前に書きました。

その情報検索ツールの一つが、国立情報学研究所のWebcat-Plusです。スクーリングのとき先生に教えてもらいました。

国立情報学研究所は、全国の大学や研究所の図書館の情報を網羅して、各図書館の資料の所在情報などを提供するサービス機関(書誌ユーティリティといいます)です。つまり、日本全国の大学図書館や研究所の所蔵資料情報を統括しているわけです。

Webcat-Plusはこの研究所が提供するネット上の、本の情報検索サービスです。上の画像のような入力欄に、あなたが求めている情報を「……の……について知りたい」などの文章を入力すると、マシンがその文のキーワードから連想して、あなたの希望に見合いそうな資料(本に限りますが)のリストを出してくれます。これは「連想検索」とよばれています。

検索結果は、どちらかというと「数打てば当たる」といった感じですが、リストの上位10件ぐらいの中には「こんな本を探してたんだ!」といえる資料情報がかならずといっていいほど出てきます。

ためしに「アップルコンピュータ社のマッキントッシュの開発史を知りたい。」と入れてみました。すると、21万6千件がヒットし、上位10位には『マック the ディケード―10年目に贈るMacintosh』とか『マッキントッシュ誕生の真実』といった、おあつらえ向きの本が出てきました。

ハズれる場合も多いWebcat-Plusですが、その検索結果のあいまいさが奏効するときもあります。「連想検索」でハズれたもののなかにも、探していたものと「遠からず」の、まったく別ジャンルとはいえない情報もあります。「え、こんな本も出てるんだ!」というような発見ができるのも、Webcat-Plusならでは。

従来、情報検索においてコンピュータの使用はセレンディピティ(あることを探しておきながら別のことを探し当てること)を期待できないものとされていましたが、このWebcat-Plusに関してはその限りではありません。さらにいえば、使い方次第ではセレンディピティを積極的に生み出すマシンだともいえそうです。

Webcat-Plusはこちら。
http://webcatplus.nii.ac.jp/
国立情報学研究所はこちら。
http://www.nii.ac.jp/index-j.html
| - | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0)
神保町散歩


職場のとなり街、神保町によく寄り道をします。この街は、文庫とカレーと珈琲が似合います。古書店で文庫を漁ってからカレー屋に入り、左手には買いたての文庫、右手にはスプーンを持ってカレーを食す。食後は喫茶店へ行って、今度は右手にマグカップ。あとは文庫に浸るだけ…。

今日は、神保町のアートスポット「LADO」で開催中の「古町風歩」展を観てきました。以前、持ち込み原稿を見させてもらったフリーライターほりみちよさんから招待状をいただきました。

「古町風歩」は、毎号東京のある町をテーマにして、ほりさんの散文と、フリーランスカメラマン瓜生純子さんの写真などで綴ったフライヤーシリーズ。今回の展覧会は、これまで2年以上かけて訪れた、神楽坂、神保町、三ノ輪、秋葉原、麻布十番など東京の13の町をまとめたものです。二人は神保町の、ウルトラ怪獣のような名の喫茶店「ミロンガ」で出会いました。

どの作品も、その町の個性を、短い文と数枚の写真で浮き上がらせます(私はお墓と桜の調和に驚かされた谷中篇が好き)。とくにその街で長く暮らしているお店のご主人や、おじちゃん・おばちゃんたちの表情や言葉に味があります。ほんの何人かの地元住人の、ほんのわずかな一瞬の断片を切り取っているだけなのに、それがその町全体を象徴しているから不思議…。

「古町風歩」展はART SPOT LADOにて開催中。
2006年1月30日(月)から2月5日(日)まで
12:00〜21:00(最終日のみ19:00まで)
千代田区神田神保町1-3 03-3295-1777(会場直通)

ART SPOT LADOのHPはこちら(個展の期間が過ぎると別の案内になります)。
http://art-spot-lado.com/
| - | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0)
書評『不老不死は夢か』
活性酸素の話も含めてですが、最近、こうしたテーマの科学的解明がどこまで進んでいるのかをテーマにしてます。2000年の発行とやや古いですが、アンチエージングの科学をざっと把握したい方にはいいと思います。

『不老不死は夢か 老化の謎に迫る』 瀬川茂子著 講談社 2000年 222p



朝日新聞の科学記者が、新聞科学欄の連載「寿命の設計図」(1998年10月〜12月掲載)に加筆したもの。老化の研究に携わる米国と日本の科学者たちに取材を重ねた。その研究内容を読者に伝聞していくスタイル。かなりの取材量だ。

なぜ生き物は老いていくのか。この問題は細胞がテーマとなる。一つ一つの細胞が若さを失えば、それが生物全体の「老い」を意味することとなる。だが、「老い」を作り出しているある特定のDNAの場所や遺伝子を特定できれば、「老い」をコントロールできるかもしれない。この本で語られるいろいろな研究の基本的なスタンスはそんな感じだ。

前半は、「命の回数券」とも喩えられるテロメアを中心に展開する。

テロメアはDNAの端っこの部分。細胞分裂を繰り返すことによりこのテロメアが徐々にすり減っていき、限界の長さになると細胞分裂が止まってしまうといわれる。いま、テロメアは病老をめぐる研究での論争の的で、ほんとうにテロメアが命の回数券なのかには諸説ある。取材対象は、「ヘイフリック限界」とよばれる、細胞分裂は50回ほどで必ずストップする現象を発見したレナード・ヘイフリック博士など、その道の重要人物が多い。

後半は、生物の遺伝子の持ちつ持たれつの関係を説きながら、老化のメカニズムを探っていく。

細胞の大きさはだいたい0.02ミリ(20マイクロメートル)ぐらい。人間でもっとも大きな細胞である卵子でも、0.1ミリ。尖った鉛筆を紙にちょんと付けたときにできる黒ポチ程度だ。そんな小さな細胞ひとつひとつの中を覗いてみると、ある遺伝子が別の遺伝子と結びついて、また別の遺伝子に働きかけて老化を抑える、といった非常に複雑なプロセスが繰り広げられている。風が吹くと桶屋が儲かるような話を科学者のいろいろな説を紹介しながら伝えていく。

遺伝子の相互作用のところは、初心者には聞きなれない遺伝子などの種類が多く出てきて複雑に絡み合うから理解力が必要だ。例えばp16がCDK4やCDK6に結合し、両者がRBタンパク質の構造を変えるの阻害し、その結果RBタンパク質とE2Fの結合が安定する、といったプロセス。このあたりは図解があってもよかったかも。

ただ他の部分は、死というものを桶に入った水を使って喩えるなどして、わかりやすく伝えようとしている。

理科好きでアンチエイジングに関心のある方や、生命科学の動向について知りたい方はどうぞ。
| - | 09:33 | comments(0) | trackbacks(5)
ショッキングな元素
『理系のための英語便利帳』というブルーバックスの本を眺めていて、ショッキングな単語を見つけました。

元素記号110番
Ununnilium ウンウンニリウム(Uun)

ん? ウンウン…?

元素記号111番
Unununium ウンウンウニウム(Uuu)

(!!!!)

ウンウンウニウム…。

出会いは衝撃的でした。即座にこの単語から、さまざまなイメージが想像されてきます。

(その1)洋式というよりはどちらかといえば和式のほうでがんばっている光景。

(その2)ドラえもん(大山のぶ代バージョン)が4次元ポケットから「ウンウンウニウムー」と、その物質を取り出すシーン。

(その3)横長の文字のほうがお似合い(下図)。


原子番号112以降も次のように続いていきます。

112番 Ununbium ウンウンビウム(Uub)
114番 Ununquadium ウンウンクワジウム(Uuq)
116番 Ununhexium ウンウンヘキシウム(Uuh)

なぜみんな「ウンウン」なのか…? 調べてみるとその答えは簡単なものでした。

これらは、国際純性・応用化学連合(IUPAC)という国際機関が、IUPAC命名法という名付け方に基づいて与えた仮の名前だったのです。命名法では、まだ正式な名前が決まっていない元素には、番号に応じたラテン語をあてがうことになっています。0は“nil”、1は“un”、2は“tri”という具合に(下表)。

  0 nil  ニル
  1 un   ウン
  2 bi   ビ
  3 tri  トリ
  4 quad  クアド
  5 pent  ペント
  6 hex  ヘクス
  7 sept  セプト
  8 oct  オクト
  9 enn  エン

ウンウンウニウムの場合、111番目なので、1+1+1で“Ununun”(ウンウンウン)。これに同じくラテン語の接尾辞“-ium”をつけて“Unununium”となるのです。

このルールに従うと、例えば135番の元素は「ウントリペンティウム」、222番は「ビビビウム」、9220番は「エンビビニリウム」になりましょうか…。

ウンウンウニウムは1994年、ドイツ重イオン研究所のジクルト・ホフマンらが、ビスマス原子でできたターゲットにニッケル原子核を衝突させて作ったもの。発生したウンウンウニウムの半減期(原子が崩壊して、その半分が別の元素に変わってしまうまでの期間)はわずか、15ms(マイクロ秒)。1マイクロ秒は100万分の1秒です。ちなみにホフマンは、ウンウンウニウム以外にも、110番ウンウンニリウムなどの発見もしました。

ウンウンウニウムの国際的には正式名称は、1994年が物理学者レントゲンのX線発見から100年であることをを記念して「Roentgenium(レントゲニウム)」となっていますが、日本語としては、まだ正式名称が承認されず、仮称のウンウンウニウムのまま。国内の正式名称は原則、日本化学会によって決められ、日本物理学会がそれを承認することになっています。

さて、ウンウンウニウムの使われ方ですが、国立科学博物館によれば「研究上の興味だけで、用途はない」とのこと。

用途なし! orz。でもこれだけ話のネタになれば、もう十分「用途あり」でしょう。この特異な名前をきっかけに、元素記号の名前の決め方や、何番まで原子が発見されているかなど、化学の話をふくらませてはいかがでしょう。高校化学の教科書を編集している知りあいによれば、教科書や参考書には110番以降の元素記号は周期表などには載ってない場合が多いとのこと。学校の化学の授業でも生徒受けするかもしれません。(男子校向け?)

衝撃的な出会い以来、何度もこの言葉を口ずさみながらいろいろと用を足しています。どうせならまだ正式な呼び名が決まっていない日本国内だけでも、ウンウンウニウム、正式名称にならんかな。ならないよな。orz。

ウンウンウニウムも載っている単語帳『理系のための英語便利帳』はこちら。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062574209/qid=1138344893/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-6724800-9809961
| - | 06:22 | comments(0) | trackbacks(7)
「老化に活性酸素関与せず」の中身
気になっていたニュースがありました。東大の染谷慎一先生らが「老化の有力な原因の一つとされてきた『活性酸素』が、実は老化に関与していなかった」との研究結果を雑誌『サイエンス』に発表したというものです(共同通信2005年7月15日)。

共同通信の記事は短いもので、実験の詳細には触れられていません。そこで、東京大学のプレスリリースをもとに、実験の中身を詳しく見てみることにしました。

染谷先生らが実験に使ったのはマウス。「月齢による違い」2組と「野生型or変異型による違い」2組を掛けた4種のマウスを用意しました。

「月齢による違い」とは、マウスの歳のこと。生後3か月と、生後9か月のマウスの2種です。

「野生型or変異型による違い」とは、マウスに手を加えたかどうかということ。野生型はなにも手を加えていないマウス。一方の変異型というのは次のように手を加えたマウスです。

それは「ミトコンドリアDNAの修復機能を失わせる」ということ。

どのマウスの細胞にも、ミトコンドリアというエネルギーを生産する小器官があります(人間にもあります)。このミトコンドリアはDNAを保有しています。DNAというと細胞核にあるものが思い浮かびますが、ミトコンドリアのDNAはそれとは別物。

このミトコンドリアのDNAも細胞分裂のたびに複製されますが、そのときたまに変異が起きます。たいがいそれは修復されますが、この修復がままならないと変異が蓄積していくのです。

染谷先生らは、変異がどんどん蓄積されていくいっぽうのマウスを作りました。これが「ミトコンドリアのDNAが修復する機能を失わせる」マウスです。これを「変異型」のマウスとよびます。

ということで「3か月野生型」「9か月野生型」「3か月変異型」「9か月変異型」の4種のマウスが揃いました。

染谷先生らは、この4種のマウスの細胞内の活性酸素状態を、次の3つの方法で調べました。

1 心臓と肝臓の細胞内のミトコンドリアで、過酸化水素(H2O2)の量の差があるかを見る。過酸化水素は、活性酸素種の代表格です。

2 同じく心臓と肝臓の細胞内のミトコンドリアで、タンパク質の酸化の度合に差があるかを見る。

3 肝臓と骨格筋の細胞内のミトコンドリアで、F2-isoprostaneという物質の量の差を見る。このF2-isoprostaneの量を見ることで、活性酸素種の一つ、過酸化脂質の量の差があるかを調べることができます。

つまりどれも、活性酸素が細胞内のミトコンドリアに影響を与えているかを見るものです。

仮に、活性酸素の蓄積が老化につながるという説がほんとうなら、3か月のマウスより長く生きている9か月のマウスのほうが、上の3つの物質いずれも量は多くなるはずです。

また、ミトコンドリアのDNAが変異することが活性酸素の量を増やすことにつながるなら、野生型よりも変異型のほうが、上の3つの物質いずれも量は多くなるはずです。

ところが観察の結果、どの種類のマウスも、上に示した3つの活性酸素物質の量に有意な差が出ませんでした。

このことから染谷先生らは、「活性酸素種レベルの増加・酸化ストレスの増加が、老化機構へ関与しないことを示唆し、これまで有力な老化機構とされてきた“フリーラジカル障害による老化説”を否定することを示唆しています」と発表。ミトコンドリアDNAの変異が蓄積することこそが老化の原因だとしました。

さて。この結果をもって、記事の見出しのように「老化に活性酸素関与せず」と言い切ることができるでしょうか。私はこれまで構築されてきた活性酸素と老化の関係を全部否定するには、もう少し議論の積み重ねが必要という印象を受けます。この論文に対する反論なども含めて、さらにこの議論を追っていく必要があると思います。

東京大学記者発表 研究成果「ミトコンドリアDNA変異とアポトーシスの哺乳類老化機構への関与」はこちら。
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_170712_j.html

共同通信配信記事はこちら。
老化に活性酸素関与せず 日米チーム、従来の説否定
老化の有力な原因の一つとされてきた「活性酸素」が、実は老化に関与していなかったとの研究結果を、東大食品工学研究室の染谷慎一(そめや・しんいち)特任教員らと米ウィスコンシン大、フロリダ大のチームがまとめた。チームはさらに、細胞内小器官「ミトコンドリア」にあるDNAの損傷蓄積が老化の一因となるメカニズムを解明。15日付の米科学誌サイエンスに発表した。
活性酸素は、体を酸化させ、遺伝子や細胞膜を傷付ける有害物質とされる。従来、活性酸素がミトコンドリアを攻撃して老化を促すと考えられていた。その働きを抑える抗酸化効果をうたった健康補助食品などが市場をにぎわせている。
染谷特任教員は「マウスを使った実験で、活性酸素がミトコンドリアに障害を与えているとの見方が否定された。新たなメカニズム解明は、老化の抑制方法開発につながる」と話している。
(共同通信) - 7月15日3時4分更新
| - | 07:36 | comments(0) | trackbacks(62)
パブリシティの効果


編集した本が、山梨県で放送するNHK情報番組で紹介されることになりました。今日26日(木)の『ニュースフレッシュ山梨』(18時10分から19時)と、来週30日(月)の『もうすぐ山梨のおひる』(11時40分から12時)の中でです。

山梨県のみなさん、お元気ですかー!

シーン……。orz。

じつは私も山梨県と聞いて思い浮かぶのは“談合坂サービスエリア”ぐらいで、縁もゆかりありません。山梨県の方の当ブログへのアクセスなんてまだ皆無だと思います。紹介される本に山梨のことはいっさい出てきませんし、著者の先生も出身は北海道です。

では、なぜ山梨……?

NHKの担当者によると、番組に出演している山梨の図書館司書の方が目をつけてくださったそうです。司書さん、ありがとうございます。

本などの商品がテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのマスコミで広く紹介されることを「パブ」とか「パブリシティ」いいます。

本や商品をどのようにマスコミに紹介してもらうのかというと……

1 取り扱ってくれそうなマスコミに本を送ったり、直接渡したりして本をアピール。本とともになぜこの時期にこの本を出すのかを書いた紹介資料(プレスリリース)を同封します。興味を持ってもらえれば情報番組で取り上げられたり、書評に載ったりします。
2 PR代行会社に委託。出版の1、2か月前、ゲラ段階からプレスリリースの内容を打ち合わせるなどして、早めに動くのが効果的。
3 発行後、マスコミのほうが書店で見つけたりして興味を示す。

今回は3番目でした。

パブは売上効果があるのでしょうか。昔は、朝日新聞の日曜朝刊読書欄に書評が出れば増刷マチガイナシなどと言われました。あとは、放送エリアや発行部数などの規模的要素、そして情報のたっぷりさ次第でしょうか。本を買いたくなるようなニュースや記事を作ってもらえるかも重要ですね。そこから火が付く場合がありますし。

広告との比較からもパブの費用対効果を考えることができます。

広告を打つ場合、それ相応の代金を支払うわけです。例えば大手新聞のサンヤツ(1面の下)は、1回ウン十万。一方、パブはPR会社を使わないかぎり、交通費や通信費それに人件費をのぞけばお金はかかりません。

そもそも人は、CMを見るためにテレビを見たり、広告を読むために新聞を買ったりはあまりしません。広告主や広告代理店はいかに視聴者・読者に広告を“素通り”させずに目に留まらせるかが勝負となります。

その点、パブはニュース・記事扱い。ニュース・記事に対しては、視聴者・読者は積極的です。人はニュースを知るためにテレビを見、記事を読むために新聞に目を通しているのですから…。

出版社側は販促効果を見込め、マスコミ側はニュースを生み出すことができ、テレビ視聴者・新聞読者は情報を得られる。パブはよくできたしくみです。これからも、書く本・作る本を広める方法を探っていきたいと思います。


NHK甲府放送局の情報番組『ニュースフレッシュ山梨』HPはこちら。
http://www.nhk.or.jp/kofu/bangumi_01.html
『もうすぐ山梨のおひる』HPはこちら。
http://www.nhk.or.jp/kofu/bangumi_09.html
本の情報はこちら。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/441013826X/ref=pd_rhf_p_2/250-4388748-2298616
| - | 01:42 | comments(0) | trackbacks(2)
パンデミック・インフルエンザ


内幸町のプレスセンターで行われた、岡部信彦先生の講演会に参加。

岡部先生は、国立感染症研究所の感染症情報センター長です。題目は「迫りくるインフルエンザパンデミックのインパクト」。パンデミックとは「広地域流行の」という単語。「ぶわーっと広がる」といったイメージでしょうか。

まず、人のインフルエンザから。



ウイルスの量と症状の変化を示したのが図です。直角に折れ曲がっているのがインフルエンザウイルスの量。曲線がいわば症状のひどさ。このデータから「う、なんかゾクゾクしてきた」というときにはすでに、ウイルスがまき散らされていることがわかります。

予防には、うがい、手洗いがやはり基本のようですが、とくに罹っている人がマスクをするということが重要と先生は強調しました。せき・くしゃみのときの水が飛び散って感染することが多く、元を絶つことが重要だからです。

ワクチンについては、毎年、流行しそうなウイルスのタイプを岡部先生たちが“予想”して、その種類に効くワクチンの組み合わせを開発するのだそうです。予想のしかたは、前年流行したウイルスのタイプのちょっとした変化から、来シーズンこれが主流になるだろうというものを選ぶというもの。

ということは、ワクチンが「ハズレ」となる年もあるんじゃ…。

で、ワクチンが当たったか外れたかは、感染症情報センターのホームページで確かめることができます。こちら。
http://idsc.nih.go.jp/yosoku/2005Flu/Flu05-2.html

正直わかりづらい…。今年のワクチンは、少しハズれたものもあるが、かなりは当たったということのようです。また岡部先生によれば、精度は年々上がっている傾向のようです。

鳥インフルエンザについても話がありました。原因は「カモかも」とのこと。カモは鳥インフルエンザウイルスを体内にもっていても平気で暮らせるので、普通に渡りをして世界中にウイルスを広めます。鳥インフルエンザウイルスのヒトへのうつり方は、カモ→ニワトリ→ブタ→ヒト というのが主流だそうです。

鳥インフルエンザウイルスの、ヒトからヒトへの感染はあるのでしょうか。現在の鳥インフルエンザウイルスは、ヒトからヒトへ感染しないタイプですが、ウイルスが変異すれば、ヒトからヒトへの感染も起こりうるとのこと。残念ながらそれが、いつどのくらいの規模で起きそうかについては、まだ研究が追いついていないとのことです。

このブログにコメントをいただいたnnさんは、インフルエンザに罹ってしまったとのこと。nnさん、どうぞお大事になさってくださいね。

国立感染症研究所感染症情報センターのHPはこちら。
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(142)
書評『理系白書』
地下鉄東西線のアナウンスは「たけばしー、たけばしー」のあと「毎日新聞社前です」と付きます。毎日新聞社のレストラン街、オーガニックレストランとかあっていいですよね。



『理系白書 』毎日新聞科学環境部著 講談社 312p

毎日新聞科学環境面の大型企画「理系白書」の2002年1月から翌年4月までの連載を、単行本のために加筆したもの。自社出版と思い込んでいたら版元は講談社でした。

理系人に取材をして、データと絡めて、日本の科学技術の現状を伝える。とくに科学技術を仕事にしている人たちの実情(食べていけるか)をよく伝えている。その実情とは、「なかなか報われていない」といったもの。

全体の調子はまえがきに書かれている「応援」というよりはむしろ「愛憐」に近い雰囲気。新聞報道は批判精神があって当然だから、内容はすべて問題提起なんだと捉えた。明るい調子のニュースばかり載っていてもしかたあるまい。

そもそも理系にとっては浮かばれない現状が日本にはあるということなんだろう。たとえば、官僚の事務官(文系中心)と技官(理系中心)の待遇の差。大学院に博士号をとる人は理系が多いが、博士号を取ったあと職にあぶれる「ポスドク問題」。女性研究者が受けるセクハラやアカハラ(アカデミック・ハラスメント、学問的差別)問題…。日本が抱えている問題をつぎつぎと晒していく。

デスク以下、各記者の科学に対する熱情さが伝わってくる。書かれてあるクオリティにばらつきがなく、毎日新聞科学環境部のチームワークのよさと質の高さが伺える。

いまも新聞紙上では「理系白書」の連載は続いている。新聞は科学技術の現状を憂い続けてほしい。続編に期待。


MNS Mainichi INTERACTIVE 理系白書 はこちら。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/
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NHKの「環境アーカイブス」


未明、「NHKアーカイブス」を見ました。NHKが以前放送した番組を再放送する番組です。

NHKアーカイブスでは、今年から月一ペースで「環境アーカイブス」として、公害問題や環境問題の番組を再放送していくそうです。

で、今日は「水俣病」。1956年、熊本県水俣市で猫が奇怪な動きをして死んでいくことに端を発した公害病です。すぐに人間にもその症状は出始めました。当時はまだ水俣湾でとれた魚が病気と関係していることくらいしかわかっていませんでした。

番組は2本。発症から3年、病気の原因がチッソ水俣工場が出す有機水銀ではないかと疑われつつある1959年に放送された「奇病のかげに」と、政府がチッソの責任を発生17年後にやっと認めてから3年後の1972年に放送された「水俣の17年」。

おお、と思ったのは、放送の公正の原則が当時から守られていたということ。

とくに最初の番組では被害者たちや、原因は有機水銀と主張する熊本大学を取材するだけでなく、チッソ社長にも直接取材をして、社長自身から「日本にも世界にも我が社と同様に有機水銀を出しているところはあります(でも、奇病は発生していないから我が社に非はない)」という言葉を引き出しています。

放送は法律により「報道は、公正で客観的でなければならない」と定められています(放送法第5条)。新聞や雑誌よりもまして、放送は公共性が非常に高いために取られている措置と聞きます。

もちろん、番組ではどちらかというと被害者の惨状を訴えるような作りでしたが、チッソ側の主張も取り入れることで、見る側はいちおう双方の主張を汲み取ることができるわけです。

いまも報道番組はよく見ると、対立するトピックに対しては、(バランスに偏りはあっても)双方の主張を取りあげているはずです。

環境問題の放送ジャーナリズムの原点を見たNHKアーカイブスでした。

「NHKアーカイブス」はこちら。
http://www.nhk.or.jp/archives/
「環境アーカイブス」はこちら。
http://www.nhk.or.jp/nhk-archives/kankyo/
| - | 06:18 | comments(0) | trackbacks(1)
海外ものサイエンス・ノンフィクションのすすめ


海外のサイエンス・ノンフィクションをよく読みます。

日本のものと比べると、どれも1冊のボリュームは厚め。初めて挑戦する人は面食らうかもしれません。でも、ボリュームがあるのは、例えばある事実を伝えるために、その事実の発見者の生い立ちから話しはじめたり、ある自然現象を説明するのに最も基本的なことから話しはじめたりするから。つまり、そのボリュームゆえに、かえって頭に入ってきやすかったり、いつまでも内容を記憶することができたりします(たまにハズレもあるけれど)。

洋邦問わず、サイエンス・ノンフィクションはおもに次のふたつのタイプがあります。

ひとつは、ニュース性のある時事問題を批判的に捉えたもの。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』はその代表格でしょう。

もうひとつは、科学の不思議や魅力を伝えるもの。ジョージ・ガモフの『不思議の国のトムキンス』などです。

翻訳もののサイエンス・ノンフィクションの特徴としては、後者の不思議や魅力を伝えるほうが主流です。時事問題を扱ったものだと翻訳に時間がかかるため、出版社にとってはリスキーだからかもしれません。いっぽう不思議や魅力を伝えるほうは、それほど時事性を考える必要がないのです。

不思議に満ちあふれた科学の世界を体験するひとつの手が、サイエンス・ノンフィクションの翻訳ものを読んでみることです。

では翻訳ものに挑戦する場合、どんな選び方があるでしょう?

索引の存在は、最後までしっかりと編集された証拠。分厚い本の途中で用語の意味を忘れてしまったときも、索引はとても便利。

また、翻訳者が定評ある人ならば、日本語でつまずくことがないので安心です。例えば、青木薫さん、竹内薫さんなどは安心して読めます(ちなみに青木さんは女性、竹内さんは男性)。

あとは、少しでもあなたの生活に関係してそうだったり、惹かれるタイトルだったりといったことでしょうか。

次の一冊にいかがでしょう。私は海外のサイエンス・ノンフィクションにはまり、この分野を目指すようになりました。
| - | 22:11 | comments(0) | trackbacks(3)
本はなぜ古くなる?(科学篇)


昨日のプランゲ文庫の話ついでに、今日は本が劣化する問題です。

昨日のワークショップで見た戦争直後の資料は、紙の一部が黒ずんで読めないものもありました。ぼろぼろ状態の雑誌も多いようです。

なぜ書物は古くなるのでしょう?

その原因はいろいろ。人間の扱い方によって物理的な力が加わる。カビなど生物が本を汚くする、などなど…。

でももっとも重大視されているのが「酸による紙の劣化」です。

酸による紙の劣化を探るために、まず紙のできかたの話におつきあいいただきます。そもそも紙はどうやってできているのかというと、セルロースという高分子(H2Oのような単純なつくりとはちがって、たくさんの原子が手を組んだ分子)が原料になっています。このセルロースが集まって束になり、さらにそれがまた束になりを繰り返して、紙の繊維となるわけです。

そのセルロースの束には、分子が規則正しく並んでいるところと、乱れて並んでいるところがあります。乱れているところ(非結晶部分という)には、隙間に程よく水気が浸透します。これが紙のしなやかさを作っているのです。

ところが、たとえば書庫がじめじめしていたりすると要注意。紙に水が多く浸透しすぎて、それまで手を結んでいたセルロースが離ればなれになってしまいます。この離ればなれ状態に加担しているのが「酸」なのです。酸は紙の化学反応をスピードアップさせる仕掛け屋。こうした、化学反応の仕掛け屋は「触媒」といわれます。

では酸はどこからやってくるかというと、紙がインクなどに滲まないようにするために硫酸アルミニウムという酸性の物質を使っているのです。つまり硫酸アルミニウムが、セルロースの離ればなれ状態を加担する仕掛け屋だったのです! よく聞く「酸性紙」とは、こうした滲み防止のための酸性の物質が使われた紙のことです。

紙を酸で劣化させないためには、硫酸アルミニウムにかわり中性剤を使って滲み防止をすること。そうした紙は「中性紙」とよばれます。製紙業界はイメージアップのためか、各社とも製造する紙を酸性紙から中性紙へ切り替えており、2004年の段階では新刊の90%以上が中性紙となりました。

ただし、昔の本、とくに昨日お話ししたような戦争期前後の資料は、物資不足の影響を受け紙もぼろぼろ状態。国会図書館の調査によれば、19世紀の本よりも状態は悪いそうです。そうした資料は、画像読み取り機を使ってマイクロフィルムなどのフィルム状態にする作業が図書館などで進められているのです。

さて、「本が古くなる」という意味には、汚れてぼろぼろになる物理的なものとは別にもうひとつあります。それは情報的な劣化。新鮮な情報が「腐っていく」というものです。

この話はいつの日か情報篇につづく…。

参考文献:
鈴木英治著『紙の劣化と資料保存』
安江明夫ら編『図書館と資料保存』
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プランゲ文庫


敗戦後の1945年から49年。本、新聞、雑誌、その他手紙や、社内報などにいたるまで、日本で生まれたありとあらゆる文書は連合国軍総司令部(GHQ)により検閲を受けていました。

1949年に検閲制度が終了すると、残されたのはうずたかく積まれた検閲済み文書。さて、この膨大な本や雑誌、いったいどうしたものか…。そのとき、その資料に目を付けたのが米国のメリーランド大学のゴードン・プランゲ博士でした。プランゲ博士は当時、GHQの歴史部長として日本で在勤中。「これは貴重な資料になるのでは」そう思ったプランゲ博士は、資料を箱詰めし、船便でメリーランド大学に送りました。

1950年に資料の箱詰めがメリーランド大学に届きはじめてから30年弱、1979年に大学はこれらの資料群に正式に名前を与えました。それが「プランゲ文庫」です。とおいアメリカのプランゲ文庫で、1945年から49年にかけての日本のあらゆる文書が眠っているわけです。

今日は、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム特別ワークショップ「プランゲ文庫を利用した占領期科学技術報道検証の可能性」(長ぇ)に出てきました。

講師はプランゲ文庫の雑誌データベースを構築した山本武利先生と、同ワークショップのプロジェクトマネージャ谷川健司先生。この雑誌データベースは会員登録をすれば、どなたでも利用することができます。

ワークショップではプランゲ文庫雑誌データベースを紹介しつつ、早大が購入したプランゲ文庫の雑誌マイクロフィッシュと、新聞マイクロフィルムに保存されている実際の古資料を紹介。

谷川先生は雑誌記事の中から原爆の記事が以外と多くタブー視されていなかったことや、当時から「サリンの出現」(旬刊トピックス誌)などといったサリンの記事が存在していたことなどを披露。一方の山本先生は新聞記事の中から「台風の正体」(サン写真新聞)がB29を使って調査されたなど、終戦直後ならではの資料を紹介しました。

私はこうした古い新聞雑誌につい興奮してしまいます。これを機にプランゲ文庫、いろいろと調べてみようと思います。

2月16日(木)には、国会図書館でプランゲ文庫の公開セミナーがあります。50名の定員のところ、山本氏のプランゲ文庫雑誌検索データベース登録者へのメールマガジンが功を奏して応募が殺到。国会図書館では急遽定員を増やしてさらに参加者を受け入れるそうです。

20世紀メディア研究所「占領期雑誌記事情報データベース」はこちら(利用には、要・無料会員登録)。
http://www.prangedb.jp/
早稲田大学山本武利研究室はこちら。
http://www8.ocn.ne.jp/%7Em20th/yamamoto/profile/profile.html
日本総販売代理店文生書院「プランゲ文庫」はこちら。
http://www.bunsei.co.jp/prange/
2005年2月16日(木)国会図書館公開セミナー「プランゲ文庫をめぐる新展開」はこちら。
http://www.ndl.go.jp/jp/seminar/index.html
国会図書館テーマ別調べ方案内「プランゲ文庫」はこちら。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_302016.html
| - | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)
学校数学の性格
「数学離れ」。その原因は、曰く、受験があるせいとか、曰く、生活に役立たないと思われているからとか…。

このブログでは、ちょっと視点を変えて、数学(学校数学)の性格について考えてみることにします。つまり、数学という教科は、他の教科とどんなところがちがうのか、ということ。まめな人いいかげんな人、几帳面な人アバウトな人いるみたいに、数学にもその性格があるんじゃないかと…。

高校時代、センター試験があるから数学から「離れる」ことはできませんでしたが、私は数学が苦手でした。難しくて点がなかなか伸びなかったのです。それで一昨年あたりに、参考書っぽい数学本を編集するため、高校時代以来ウン年ぶりに高校数学(I・AとII・B)を勉強してみたのです。

ウン年ぶりに数学を勉強して、すぐに思ったこと…。

「高校時代とかわらない。やっぱり難しいじゃん!」( orz )

そこで、なんで難しく感じるのかと思い、難しいと感じたその瞬間にメモなど取りながら勉強を続けてみました。

他の教科とはちがう、数学という教科ならではの特性を考えてみると、こんなことが浮かびあがってきました。

学校数学は…
 1 ルールが厳密。
 2 答えがごく限られている。
 3 表現できる道具(文字)の種類が少ない。
 4 「理解」することと「解答」することが別。
 5 知識を積み重ねる必要がある。

まあ、物理とか他の教科とちょっとかぶる部分もあるかもしれませんが。
これらの特性を、メモを拾いながら今後ちょびちょびと考えていきたいと思っています。
| - | 21:31 | comments(1) | trackbacks(0)
お暇ならgoogleイメージ検索


本の企画やデザインのアイデアに詰まったとき、googleのイメージ検索をやることがあります。例えば「機能美」なんて抽象語を入れてみると、機能美が備わった機械とかの画像がたくさん出てくるので、ここから使えそうな題材を得たり、さらにイメージを発展させたりするわけです。googleのイメージ検索は、抽象的なものにも形を与えてしまうのです!

googleはどのように検索情報を貯めているのでしょう。じつは「スパイダー」とよばれるロボットが、ウェブのリンクをたどって世界中のサイトを“巡回”しているのです。スパイダーは、www(ワールド・ワイド・ウェブ)つまり世界中の網を巡回している蜘蛛(スパイダー)のようだからこうよばれているとか。巡回したウェブが更新されていたら、スパイダーはその情報を「インデクサ」とよばれるプログラムに渡します。情報を受け取ったインデクサが、googleのデータベースにどんどんそれを振り分けて貯めていくのです。

ではイメージ検索は、どうやってるかというと、googleによれば「画像に隣接するテキスト、画像のキャプション、およびその他数多くの要因を分析して、コンテンツを判定します」とのこと。あん…? 調べときます。

さあ、googleイメージ検索に、どんどんあいまいな言葉を入れていきましょう。
人の肩書きだとか役割を示す表現を入れてみると、具体的な顔写真がつぎつぎと出てきます。例えば「期待の新人」と入れてみると、期待の新人たちが出てくるし、「理事長」と入れれば、理事長たちが出てきます。「秘書」と入れるとエッチな写真が多いのはなぜだ?(わからなくもないが…)

暇で暇でしょうがないときには、google検索をどうぞ。

googleイメージ検索はこちら。
http://images.google.co.jp/

他のおすすめ。
「課長代理」のイメージはこちら。
http://images.google.co.jp/images?svnum=10&hl=ja&lr=&q=%E8%AA%B2%E9%95%B7%E4%BB%A3%E7%90%86
「重鎮」のイメージはこちら。
http://images.google.co.jp/images?svnum=10&hl=ja&lr=&q=%E9%87%8D%E9%8E%AE
「立役者」のイメージはこちら。
http://images.google.co.jp/images?q=%E7%AB%8B%E5%BD%B9%E8%80%85&svnum=10&hl=ja&lr=
「代打の切札」のイメージはこちら。
http://images.google.co.jp/images?svnum=10&hl=ja&lr=&q=%E4%BB%A3%E6%89%93%E3%81%AE%E5%88%87%E6%9C%AD

参考文献:水野貴明著『Web検索エンジン Googleの謎』
| - | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0)
科学ジャーナリスト塾


所属している日本科学技術ジャーナリスト会議運営の「科学ジャーナリスト塾」に手伝いで顔を出してきました。

科学ジャーナリスト塾は、NHK解説委員・小出さん、朝日新聞記者OB・柴田さん、時事通信記者OB・佐藤さんの3人が小田急線新百合ヶ丘駅前の喫茶店で志を束ねた結果、2002年から始まった科学ジャーナリスト養成塾。第4期となる今期はNHKOB・林さんが塾長。9月から3月までの半年間、月2回くらいのペースで計12回。内幸町のプレスセンタービル内、日本記者クラブに50人弱の塾生が集まっています。

科学ジャーナリストの話を聞く「聴講」の回と、テーマごとの班にわかれて新聞・映像・ホームページなどの成果物を作っていく「演習」の回が、交互に行われます。

塾生は、学生さん、広報職の方、科学館の展示解説員の方、出版社勤務の方など、バックグラウンドも年齢もさまざま。あの白川英樹先生も、前回、今回と聴講や演習に参加しています。

今日は、演習の中間発表で、パワーポイントなどを使って各班が進み具合を報告。その後は、塾生さんが開いてくれた新年会へ突入! 講師・スタッフ・塾生・サポーター入り乱れての交流でした。

こんなに盛大な2次会は毎年1回程度ですが、通常は塾が終わったあと、プレスセンター地下の「うどん屋(たぶん誰も店名を知らない)」で酒が入りつつの2次会(飲み会)が始まります。講師の方々のよりディープな本音や体験談が聞けることも多々。
そろそろ閉店というころから話が白熱しだし、飲み物も次々と追加されるため、毎回うどん屋さんは困り顔。だからか、たまに火曜日の夜いつもどおりに行くと、シャッターが早くも下ろされているときもあります。orz。

塾の皆さんそしてうどん屋さん、今後ともご厄介になります。

科学ジャーナリスト塾のHPはこちら。
http://www.jastj.jp/Zyuku/
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
ビバ バナナ。


昼間は科学冊子の原稿依頼を京都大学の大学院生さんにメールしたり、編集してる数学単行本のネーミングを考えたり。
夜は司書資格のレポートを郵便局に出した後、江戸川土手をラン。

晩飯を食べるとそのまま布団にもぐりそうだから、晩飯前に走ってます。ただ何も食べないとおととしのQちゃん状態になるので、コーヒーとバナナを食べます。コーヒーとバナナ、スターバックスでバナナ売ってたので試してみたら美味かった! 意外といけますよ。ちなみに他には、デカビタCとカロリーメイトフルーツ味とか、ニッカウヰスキーと明治チョコレートとかも…。

バナナは1本約80キロカロリー。1キロカロリーが1キロの水を1℃上げるエネルギーだから、80キロカロリーとなれば、1キロつまり1リットルのギンギンに冷えた水をアツアツのお湯にしてしまいます。

けっこうやるじゃん。
| - | 22:44 | comments(0) | trackbacks(1)
書評『スペースシャトルの落日』
年末関西に移動中に読んだ本。従来考えられていたこととは逆のことを伝えることは、人々の注目を引く要素の一つだと思います。
この一冊は、イメージで国民の関心を引いていた宇宙開発に一石を投じるもの。
それにしても、なんで参考文献がないんだろう…。

『スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実』松浦晋也著 エクスナレッジ 2005年5月発行 240p


 毛利さんも向井さんも野口さんも、みなスペースシャトルで地球を飛び出していった。人が宇宙に行くイメージとして、シャトルがしっくりくるか、ロケットがしっくりくるか。日本人やアメリカ人にとっては、前者のほうが主流なのでは。

 そんな有人宇宙開発の象徴スペースシャトルは、じつは世紀の失敗作だという。本全体を要約すると、
・スペースシャトルは巨大な失敗作である。
・シャトルの運行が続いた結果、宇宙開発は停滞した。
・シャトルに追従した世界各国は、結果として宇宙開発の停滞に巻き込まれた。
という3点。この3点を証明するための根拠が、つぎつぎと列挙されていく。

 たとえば、シャトルの両翼は、打ち上げ時や宇宙滞在時にはまったく役に立たず、帰還時の滑空にしか使われないシロモノだという。ただのアクセサリー的存在であればよいが、2003年にははがれ落ちた断熱材が翼に当たって傷をつくり、これが大気圏再突入時の空中分解をもたらした。翼に問題があるということは、根本的な設計からして非効率で誤りがあったということを意味する。
 ではなぜ、翼をもつ設計が必要だったかというと、ソ連(当時)の軍事衛星にシャトルを近づいて回収してしまう計画を国防総省が考えていて、そのロケット(シャトル)に素早さを求めた結果だという。そんなこんなの中途半端な設計だらけで、結局「二兎追うものは一兎をも得ず」となったという。

 主張はいたって明快。それぞれの根拠が具体的なので説得力がある。結論をまず述べ、つぎにシャトル全体の構造を説明し、そのあと本格的に問題点を洗いざらいにするという展開でぐいと引き込ませる。

 宇宙開発には税金を払う国民の関心理解がないと厳しいものだから、NASAにしてもJAXAにしてもイメージづくりは最重要課題。自分たちがやってきたプロジェクトを「あれは失敗ですから」とは言えないだろう。だからこそ、こうしたアンチテーゼは社会的に重要。なにが安全でなにが危険か。市民が科学技術の知識を得て自分たちで判断していく材料とはこうした本のこと。国民の批判の目が高まれば、宇宙開発者や行政もいまより気が引き締まるだろう。

 ひとつ言えば、参考文献の記述が本のどこにも見当たらなかった。説得力があっただけに、その根拠がどこから来ているのかはきちんと示してほしい。載せない理由があるならぜひそれを聞きたかった。
| - | 17:39 | comments(0) | trackbacks(0)
司書資格を取得中@玉川大学

 
2005年春から玉川大学の通信学部在籍中です。

各科目の課題にそってレポートを提出したあと試験を受け、合格なら単位取得。「図書館サービス論」とか「情報サービス概説」とかいった科目が全部で15あります。

15のうち4つは通学授業。いわゆるスクーリングですな。これは6日中最低5日出席しないとアウトだから大変。私は夏場、会社を午前休んで玉川大学へ。授業が終わるやいなや駅へダッシュ。ロマンスカーに乗りどうにか13時前に職場に駆け込んでいたのでした。

で今日は、スクーリングじゃない科目の試験日でひさびさ玉川大学へ。3科目の試験を受けてきました。

他大学のレベルは知らないけれど、玉川大学の司書資格は試験のレベルはあまり高くはありません。たとえば、今日の出題はこんな感じ。
「人物情報の検索について説明せよ」(情報サービス概説)
「電子資料について、任意の分類に基づいて細分し、その特徴と内容について説明せよ」(専門資料論)
「図書館サービスの機能について説明せよ」(図書館サービス論)
(各50分。文字数は自由。持ち込み不可)

え? 難しそう?

私はいつも、1教科書を通読→2レポートを書く→3試験前日もういちど教科書を通読→4試験を受ける、をワンセットにしてますが、いまのところこれでどうにかなってます。

ところで、メディア開発教育センター三輪眞木子先生たちの調査によれば、2003年の一年で司書資格を取得した学生は推定1万人以上。一方の司書の募集は基本的に欠員が出たときだけなので、せいぜい一年に50人がいいところでしょう。図書館司書就職支援サイト「われわれの館」では2005年の正規司書募集件数は全国でざっと25件。単純計算で倍率は200から400倍! でも、毎年1万人単位で合格者が生まれてるのだから、実質的倍率はもっと高いかもしれません!!!

ひょえー…。

実際、2004年の秋、私は横浜市立大学大学の司書採用試験を半分ひやかしで受けにいったのですが、ざっと800人はくだらない人数でした。たった1人の採用のために…。

たしかに仕事に直結しない資格…。でも、司書と言う職業が存在し、その人たちは司書資格をゲットしてきたというのもまた事実。それに、勉強したらしたで情報の調べる技術が身についたり、図書館を幅広く利用できるようになったりと、副次的に得られることはかなりあります(と言って自分をなぐさめる)。そのあたりのメリットはおいおい書いていこうと思います。

さて、来月が今年度最後の試験。これを落とすと、もう一年分の通学料を支払わねばなりません。私はあと3科目以上残ってます。orz。司書資格取得中のみなさーん、ともに励まし、慰めあいましょう。
| - | 17:13 | comments(0) | trackbacks(0)
エドガワ・リバーサイダ−2
走ってきました。

いつも江戸川の土手を、京葉道路のあたりから北上してJRの市川鉄橋まで。来た土手をまた折り返します。

ところで千葉県って…。地図をよく見ると、おとなり東京都や埼玉県とは江戸川を渡らないと行けません。また茨城県へは利根川を渡らないと行けません。つまり千葉県は北海道や沖縄県と同様、他県と陸続きではなかったのだ!! ま、だから何だってことじゃないけれど…。
| - | 20:55 | comments(0) | trackbacks(0)
エドガワ・リバーサイダー
去年の後半はさぼりがちだったけれど、
今年に入ってまた走ったり泳いだりを始めました。
いまから、江戸川をひとっ走りしてきます。
うう、さぶそうだ…。
| - | 19:32 | comments(0) | trackbacks(0)
書評『アメリカNIHの生命科学戦略』
朝6時に起きてしまいました。昔だったら、こんな時間まだすやすや寝ているのに…。
読んだ本のレヴューをちょくちょく載せていこうと思います。
amazonにレヴューを投稿してますが、載るまでに数日かかるので、先にこっちに書きます。

『アメリカNIHの生命科学戦略』掛札堅著 講談社ブルーバックス 2004年4月発行 272p

 NIH(=National Institutes of Health)は日本では「(米国)国立衛生研究所」と訳される。20の独立的な研究所や世界最大の国立図書館などからなる、米国の生命科学・医学の一大研究拠点であり、全米中いや世界中の研究機関や研究者の研究費用の源でもある。

 NIHは日本人研究者も留学または常勤として数多く在籍している。著者もその代表格で、1967年にNIHの国立がん研究所(NCI=National Cancer Institution)の主任研究員となり、以降30年以上にわたりNIHの活動を見届けてきた、NIHの守り神・日本代表ようなお方。日本の研究者をNIHに紹介したり、米国の研究者を日本の総理大臣(中曽根さん)と引き合わせたり、日米の橋渡し役をされてきた。

 本のエッセンスとしては次のようなものがある。

 まず、NIHで活躍した研究者たちの業績がわかる。動物の体内でしか作り得なかったアミノ酸の連鎖を人工的に作り上げてしまったアンフィンゼン。感染力が低く、潜伏期の長いことがかえって厄介な「スローウイルス」の研究をしたガジュセック。最低2つの遺伝子異変が起こらないと悪性腫瘍にはならないという「がんの二重変異説」をとなえたクヌッソンなどなど。つぎつぎとノーベル賞受賞者またはそれに匹敵する研究者たちの業績が説明されていく。しかも、著者は彼らと直接的にコミュニケーションをとっていた場合が多いので、それぞれの研究者の人柄やエピソードを知らせてくれる。物理学には20世紀初頭の量子力学に端を発する全体的な学問の流れがよく指摘されるが、生命科学の世界でもワトソンとクリックのDNA二重らせん構造の解析を中心に、大きな流れは存在すると感じた。

 また、NIHの制度を詳しく知ることもできる。日本には似た立場の機関がなく想像しづらいところを、正確な説明を駆使してNIHのシステムはこんなものと提示してくれる。このNIHのシステムから、米国の科学技術政策の特徴が垣間みれる。それは、団体の研究と同じように個人の研究を重視して投資する。また予定調和的な研究よりもユニークで独創的な研究を重視して投資する、といったことだ。

 生命科学の専門用語がビシバシ出てくるので、そのへんは覚悟は必要。研究者というお立場でありながら、ジャーナリスティックに日本の研究体制や米国政府を批判する精神も見られ、気合いを入れて読めば全体として、生命科学に関するいろんなことを吸収できる本。
| - | 06:21 | comments(0) | trackbacks(0)
よろしくお願いします。
今日からブログを書くことにしました。
科学技術のアネクドート(小話)を書いていきたいと思います。
どうぞよろしくお願います。
| - | 20:45 | comments(0) | trackbacks(0)
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