調整前
調整後
たとえば、写真2点について、上は非圧縮・未加工データとしてデジタルカメラで撮ったものをウェブサイト用に載せたもの。街灯が暖色だったため、写真も暖色が強くなっています。いっぽう、下はその非圧縮・未加工データを調整したもの。明るさや色合いを大きく変えることができます。
こうなると、だいぶ暗い写真として撮っても後から明るくすればよいし、色味をさほど考えず撮っても後から変えればよいということになります。
すると、撮影するとき「非圧縮・未加工データで撮ったとしても調整しづらい要素」を突きつめておくことが大切になります。
では、「調整しづらい要素」とはなにか。
ひとつは、「焦点」です。つまり「ピンぼけになっていないかどうか」。近ごろの画像加工のソフトウェアやウェブサービスでは、「ピンぼけ補正」さえあるものの、さすがにぼけぼけの画像を焦点がぴたり合った画像に修正することはできません。撮影するとき、焦点を合わせているに超したことはありません。
また、「手ぶれ」も「調整しづらい要素」といえます。撮影のときカメラが動くと、被写体がぶれて写ってしまいます。この補正も、あとからではなかなかむずかしい。
ほかに、「画質の粗さ」も「調整しづらい要素」にあげられそうです。暗いところなどで撮影するとき、明るく補うため「国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)感度」とよばれるカメラの感度を高められるものの、その分、画質が粗くなってしまいます。粗く写った写真に、「テクスチャ」や「ノイズ補正」などといった補正をかけられるものの、全体的に薄ぼんやりしたできになってしまいます。
これらは、「調整しづらい要素」ですが、さらにいえば「調整できない要素」もあります。それは「被写体」です。
被写体がカメラの覗き窓に入っていなければ、撮影者が表したいと思う写真は成りたちません。たとえば、その日だけしか走らない鉄道の写真を撮ろうとして、その列車が通りすぎてしまったあとにシャッターを押しても、いかんともしようがない。ほかの人がインターネットにあげた鉄道写真でコラージュすることはできますが、そんなことをしてもなんの達成感もないでしょう。
つまるところ、「なにを伝えるか」は撮影者が定めるものであり、それをあとで機械の技術で変えることはできないということです。これは、「これからは人だからこそできることの価値が高まっていく」という近ごろの論に含まれるところのものではないでしょうか。
参考資料
ASCII.jpデジタル用語辞典「RAWデータ」
https://kotobank.jp/word/RAWデータ-13805
カメラマン写真用語辞典「DNG」
https://kotobank.jp/word/DNG-759063
「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典「JPEG」
https://wa3.i-3-i.info/word1638.html
studio9 2022年10月26日「ホントにRAWは高画質なの?RAWとJPEGの違いとメリットデメリットをまとめてみた!」
https://photo-studio9.com/raw-jpeg-difference/
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