科学技術のアネクドート

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自分のごく近くで起きていると感じにくい。


科学の話では、「それが、自分のごく近くで起きている」と実感しづらいものがあります。たとえばDNAの話などは、つい自分のからだとは切りはなして考えてしまいがちです。

もっと人々が接する機会が多い話だけれど、自分のすぐ近くで起きているとは感じられないものがあります。

天気図の「気圧」です。

新聞や放送などでは毎日、天気図が載っていますね。「太平洋高気圧が張り出しているな」とか「西高東低だから寒いな」とか判断するのに便利です。

ただ、図に記される高気圧の「高」マークや、「1024」などの気圧、また等圧線などを見ても、どうも「空の高いところで繰り広げられていること」と思ってしまいがち。

でも実際はちがいます。気象における「気圧」とは「大気の圧力」のこと。いわば、人の頭上に乗っかる“空気の柱”を考えて、どれだけその人に圧力を与えているかを値にしたものです。気圧は、私たちのからだが受けている圧力なのです。

新聞などで目にするもののほかに、空の高いところで繰り広げられていることを示す天気図もたしかにあります。「高層天気図」です。


高層天気図

「850ヘクトパスカル」や「750ヘクトパスカル」などの決められた気圧が、場所ごとに標高何メートル付近にあるかを示したもの。この高層天気図に記される「3000」などの数字は、高さ(メートル)を示すもの。よって「空の高いところで繰り広げられていること」を示した図といえます。

でも、高層天気図は、ふだんの暮らしではあまりお目にかかりません。

一般的な天気図の気圧が、自分が直面しているものだといまいち思えないのにも、理由がありそうです。

一つは、気圧をなかなか肌で感じることができないという点。台風などの低気圧が近づくと「低気圧頭痛」になる人もいますが、こうした症状はよほど極端な気圧配置でなければ起きません。

また「気圧の谷」や「気圧の尾根」などの用語も、空高くで起きているできごとの印象をあたえます。他の場所よりも大気圧が低いところが「気圧の谷」なので、あながち誤った表現ではありませんが。

なによりの理由は、天気そのものが高いところで起きている現象であるということでしょう。「空模様」ともいいますし。地上が高気圧であれば空は晴れるし、地上が低気圧であれば雨が降ります。重要なのは地上の気圧ではなく、その結果として空から雨が降ってくるかどうかなのでしょう。

天気図の、風向や風力、それに低気圧や高気圧や台風などの進路も、私たちのごく近くで起きていることを示したもの。「そんなこと承知しているわい」という方には筋違いな話だったかもしれませんが、そうでない方は、あすの天気図をそうした目で見てみると、ちょっとふしぎな感じを覚えることでしょう。
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