科学技術のアネクドート

<< その職場を変えていく「風通しのいい職場作り」 | main | ecochemさん「生活環境化学の部屋」開設12周年 >>
山村武彦さん「喜びごとはよばれたら、悲しみごとはよばれなくても行け」


きょう(2008年7月29日)、東京・内幸町のプレスセンタービルで、防災システム研究所所長の山村武彦さんの講演会が開かれました。主催は日本科学技術ジャーナリスト会議。四川大地震の震災報告会です。

山村さんは被災地の中でも被害が大きかった中心部へ入ろうとしました。しかし、汶川県は立ち入り禁止。西都を本拠地に、周辺各地に言っては戻る日々だったといいます。

現地で山村さんが驚いたのは「被災地の10人のうち7人が、間違いないとしていた要因が、紫坪埔ダムがつくられたから」と考えていたこと。“大地震ダム説”は現地新聞でも報道されたあとインターネットから削除されたといいます。「ダムは断層の真上にあるが、地震との因果関係は決定的なものはない」。今後も調べていかなければならない問題としています。

あとかたなき銀行や学校などの建物、尋ね人の貼り紙などを写真で紹介します。

山村さんが訪れたところの学校も全壊、瓦礫の山となりました。しかし、死者は一人も出ず、生徒がわずかに足にけがをしただけで済んだそうです。「その学校は毎月、災害訓練をしていたのです。人が死なかったので、授業はすぐに再開できました」。

綿陽のテント群も訪れました。8畳のテントに8人暮らし。テントの中が気温40度以上になることも。ふだん人の少ない土地に住んでいる人がテント群で過ごすため、いろいろな人と接しなければならず疲れた様子だったといいます。「被災地にみんなが助けに行くが、助けられる被災者がいちばん疲れてしまう。被災対策の課題だと思います」

奉仕的な食堂を開設され、お昼にザーサイと豚肉と野菜の炒め物を出されます。「配膳時はあっちが多い、と分捕り合戦になる。少なきを憂えず、等しからずを憂うというのは本当かもしれません」。

中国で災害があるたびに何度も足を運んでいる山村さん。ボランティア受け入れ態勢の進歩に驚いたといいます。災害直後は無許可で現地にボランティアに行った人々も多かったとのこと。

義援金箱にお金を入れている人に話を聞くと「今日のお昼を抜いたんです」。被災者をいたわる気持ちは、富裕層も庶民層も、また日本でも中国でも同じということかもしれません。

国際支援も7月1日現在、15億9800万元、248億円に達したそうです。街のあちこちで「感謝している」という政府や企業の横断幕が見られます。「中国は横断幕文化だと思いました」。

よいことを流し、悪いことを流さないという中国の災害報道は変わったのでしょうか。今回の地震では中央電子台が24時間生放送を続けました。北京五輪という大きな行事が控えていたことも背景にあったのではと山村さんは言います。「現地の人は、死者数を毎日報道されるのはたいへん画期的なことだと言っていました」。

ふだん日本のよいことを書かない中国の報道も、今回は異例的に日本の国際緊急援助隊のことを新聞は非常に大きく取り上げたとのこと。母子の遺体を前に涙を流したという記事が大きな話題になりました。

「災害が起きたときにこそ、隣人として助ける体制をつくるべきだ。ODAなどの間接的な援助よりも感動は大きいのではないか。喜びごとはよばれたら、悲しみごとはよばれなくても行けと私は思います」

大災害のときこそ、国の政治のありのままの姿が露呈するといわれます。山村さんの話は、日本での報道では伝わらない話や、長年災害を見つづけたうえでの考え方がたくさんありました。
| - | 23:59 | comments(0) | -
コメント
コメントする









CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE