科学技術のアネクドート

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ガラムマサラのチキンカレー――カレーまみれのアネクドート(5)


ものかき仕事の出張で、もっともよく行く街といえば京都。大阪よりも京都のほうが多いのは、ノーベル賞受賞者を5人も輩出している京都大学があるからかもしれません。

出張での移動はもっぱらバスですが、自転車を乗るにはもってこいの街ですね。四条、祇園、京都駅あたりの中心街がまとまっていて。

でも、住宅街をふくめた京都はかなり広いもの。出町柳をさらに北に行っても街なみは続いていきます。そんな、“京都でも遠出”になるところに、関西の名店といわれるカレー屋があります。その名は「ガラムマサラ」。

北大路からからすこし南へくだった白川通り。はすむかいには「天下一品」の本店が。さらにすこしくだると「餃子の王将」チェーン設立時からあった一乗寺店。このあたりは意外なほどにB級グルメが充実。

餃子やラーメンを食べる誘惑を抑えつつ、ガラムマサラに入ると出迎えてくれるのは“ぶっきらぼう”だけれど“かしましい”おばあさん。フォークよりも腰を曲げながら「窓側に座ったらどうだい。おにいさん前にも来たことあったっけね」と迎えてくれます。

空気が読めなかったか「ええと、はじめてですよ」と答えると…。

「おお、そうか。よく来なすった」。メニューを出してから「はじめてのお客さんはな、このチキンカレーかな、このキーマカレーをいつもすすめとる。よろしければ、まずはどっちかから食べるとええよ」

いわれるがままチキンカレーを注文。すると厨房から、おばあさんの娘さんが顔を出します。週末の背広姿だったので「お仕事だったんですか」聞かれます。

「ええ、出張だったんですよ」

「あら出張。遠くからですか。うちのお店、なにかで調べていらしたんですか」

ほんとうは「京都 カレー」で検索してたどりついたにもかかわらず、“おのぼりさん”に見られるのがしゃくなので「近くをとおりかかっただけなのですが」と返事。すると「うちは関西中から人が来る、20年もここで続けているお店なんですよ。ごゆっくりどうぞ」

しばらくすると、今度は主人がチキンカレーを手に来ました。「はい、お待ちどうさま」

カレーはこげ茶色。ルウのなかに野菜は見あたりません。よく煮込んであるためとけているようです。目で見える具材は鶏のみ。あとから入れたのでしょう。鶏の歯ごたえは、かなりしっかりとしています。

ルウのほうはというと、“歯ごたえ”ならぬ“歯ざわり”と“舌ざわり”。ガラムマサラの粒つぶが、ほんのかすかに歯や舌で感じられるのです。

店の名にもなっている“ガラムマサラ”。クローブ、シナモン、ナツメグなどの香辛料を混ぜあわせて、粉にしたものです。家庭の数だけみそ汁の味があるのとおなじように、インドには家庭の数だけカレーの味があるといわれています。ガラムマサラのガラムマサラは、辛さは抑え気味なものの、香辛料の種類は多いのでしょう、深みがでています。

サービスのアイスを食べると、おばあさんがレジをきりもり。「今度はキーマカレーを食べにきてな。はい、おおきに」

京都にお住まいのかた。暖かくなったら自転車で遠出する価値はありますよ。

京都といえば、市バスの「トビラガシマリマストビラガシマリマス」が耳にこびりつきますね。
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