科学技術のアネクドート

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回収し、貯留し、利用までも……

写真作者:Automobile Italia

2000年代なかごろから、エネルギーをいかにひねり出して使うかをめぐって、「二酸化炭素回収貯留」(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)とよばれる考えかたや技術が話題にのぼるようになりました。

二酸化炭素回収貯留は、大気に放出されゆく二酸化炭素を分離し、回収して、なんらかの方法で閉じこめることをさします。二酸化炭素は地球温暖化をもたらう温室効果ガスのひとつとされるので、二酸化炭素が多く出てくる石炭火力発電などにこの技術を使えば、地球温暖化を抑えることにつながるというわけです。

二酸化炭素を分離するには、アミンという化合物をふくむ固体を使って二酸化炭素を吸収させる方法などがあります。ほかに、薄膜を使って二酸化炭素を分離する方法なども目されています。

こうした分離した二酸化炭素を貯留する方法も具体的になっています。地中には、砂岩などの粗いつぶつぶからなる層があり、隙間に気体である二酸化炭素が入りこみやすいため、貯留する場所として有力視されています。ただし、二酸化炭素が上へ上へと昇って地上に漏れでないように、こうした層の上に「蓋」の役割をする密度の高い層があることが条件となります。

さて、時は経て、2010年代あたりから、「二酸化炭素回収利用貯留」(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)という考えかたが現れるようになりました。二酸化炭素を回収して、閉じこめるだけでなく、なにか役に立つように資源化しようというものです。

たとえば、「燃料にする」というのは二酸化炭素の資源化のひとつ。高い濃度の二酸化炭素と、再生可能エネルギーでつくる水素をもとに、ガス燃料になるメタンをつくりだすというものです。

ほかに、高い濃度の二酸化炭素を海水に溶かし、養殖している海藻に光合成をさかんにさせ、成長を促すといった資源化の方法も考えられています。

二酸化炭素は目に見えないものなので、「ほんとうに二酸化炭素を貯留できているのか」とか「ほんとうに二酸化炭素の濃度を高くできているのか」といった監視のための技術は欠かせません。

すっかり地球環境問題をもたらす原因とされてしまっている火力発電に、技術でもって復権の道をあたえようとしている企業や研究機関はあります。

参考資料
新エネルギー・産業技術総合開発機構 2020年7月13日発表「CO2分離回収技術(固体吸収法)の石炭燃焼排ガスへの適用性研究に着手」
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101330.html
新エネルギー・産業技術総合開発機構 2019年12月6日発表「NEDOのCCUSに係る取組概要」
https://www.nep-sec.jp/nedo/nedo1206_01.pdf
日本CCS調査 2018年4月26日発表「『苫小牧におけるCCS大規模実証試験』事業受託のお知らせ」
http://www.japanccs.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/20180426release.pdf
新エネルギー・産業技術総合開発機構 2017年11月14日発表「石炭火力発電所から排出されるCO2の有効利用技術開発2テーマに着手」
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100871.html
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