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17駒「と金」並んだ末に持将棋

将棋の第62期王位戦の予選で(2020年)8月22日(土)、阿部光瑠六段と長谷部浩平四段が東京の将棋会館で対戦し、第281手をもって「持将棋」となりました。

持将棋(じしょうぎ)とは、王将と玉将がおたがいに敵陣に入り、勝負がつかなくなってしまった状態のことをいいます。このとき、王将と玉将は0点、飛車と角行をそれぞれ5点、そのほかの駒を1点としてみずからの駒を計算し、おたがい24点以上になれば引きわけとなります。この対局では、先手の阿部六段が25点、後手の長谷部四段が29点だったので、引きわけとなりました。

入玉は、敵陣の3段目以内に入りこむことをさします。この対戦では、阿部六段が193手目、そして長谷部四段が202手目に入玉をしています。

しかし、その後も対戦は続きました。持将棋となるには、おたがいが「これは持将棋だ」と合意するか、または500手に達して王手がかかっていないかのどちらかで成立します。

この対局では、おたがいが入玉したあとも、持将棋に対する合意がしばらく得られなかったようです。そのため、おたがいが入玉したあとも対戦はつづき、281手目に達したところでついに持将棋の合意が得られたもようです。


第62期王位戦予選、阿部光瑠六段(先手)対長谷部浩平四段(後手)で持将棋が成立したときの盤面。赤字は成った駒

注目すべきは、成駒の多さです。王将・玉将と金将以外の駒は、敵陣の3段目以内に入りこむと、金将のはたらきを得ることが可能となります。たとえば、歩兵は前にひとつ進むしかありませんが、成って「と金」になると金将とおなじく、前のほかに右前、左前、右、左、後に進むことができるようになります。

245手目あたりから、おたがいに手駒の歩兵を、もはや敵の駒がいなくなった敵陣に置き、つぎの番でその歩兵をひとつ前に進めて「と金」にしていきます。終盤はおたがいにほとんど「と金」に成るくりかえし。最終的には、阿部六段の「と金」は6駒、また長谷部四段の「と金」は11駒で、あわせて17駒の「と金」が盤面に置かれました。公式の対戦で、これほど「と金」が多くなった対局はこれまでなかったのではないでしょうか。

多くの場合、予選で持将棋になると、すぐにはじめから指しなおしになります。この対戦についても、持将棋になった当日に指しなおしとなりました。そこで、おたがいがつぎの指しなおし局に向けて、棋士にとっては半自動的ともいえる「と金」に成る作業をくりかえし、心を整理していたのではないかという見かたもあります。

指しなおしでは、先手となった長谷部四段が127手目で、後手の阿部六段に勝っています。

参考資料
棋譜DB2「2020-08-22 王位戦阿部光瑠 六段 vs. 長谷部浩平 四段 第62期王位戦予選」
https://shogidb2.com/games/79ce1f1c0b19848c59de47a8dd0e393593d56a84
デジタル大辞泉「持将棋」
https://kotobank.jp/word/持将棋-73345
ウィキペディア「入玉」
https://ja.wikipedia.org/wiki/入玉
暇つぶしニュース 2020年8月26日付「悲報 プロの将棋で事件発生wwwwwwwwwwwwwwwwww」
http://blog.livedoor.jp/rbkyn844/archives/9663351.html

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