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地図にない橋、通信線を渡し、水を運ぶ
東京都の台東区と墨田区を隔てる隅田川には、さまざまな橋がかかっています。地図では南から順に、JRの隅田川橋梁、都道の蔵前橋、厩(うまや)橋、駒形橋、吾妻橋、2020年6月開通の歩道すみだリバーウォークをふくむ東武線の隅田川橋梁、国道の言問橋、歩道の桜橋、都道の白鬚(しらひげ)橋とつづきます。

ところが、JRの隅田川橋梁橋と都道の蔵前橋のあいだには、もうひとつ橋がかかっています。地理院地図やグーグルマップなどの一般的な地図には載っていません。

台東区側からこの橋の南側に立って橋を眺めると、見た目は向こう岸の墨田区にある首都高速道路の下をくぐって、その向こうの同愛記念病院の建てものを突きぬいているようでもあります。


隅田川にかかる地図にない橋。右側に首都高速6号線と同愛記念病院

橋の真下から橋を見上げると、中央に円筒型の黒い橋、その両脇に四角柱型の白い橋が架かっているのがわかります。


橋を真下から見たところ。奥が墨田区側

この橋はなんなのか。地図では名前がわかりません。なにせ載っていないのですから。でも、橋の名前などの情報は、たいてい橋の詰めに記されているもの。

ところが、台東区側の橋詰めは商業施設のなかにあるため、たどり着くことができません。

そこで、すぐ北に架かっている蔵前橋を渡って、墨田区側の橋詰めへと向かいます。

墨田区側に入って、橋にふたたび近づいていきます。するとわかるのは、この橋は同愛病院を突きぬいているのでなく、手前の首都高速6号線の真下で終わっているということ。

その橋の終わりのところに、やはり橋についての情報が記されています。


墨田区側の橋詰にある橋の情報

橋の名前は「蔵前専用橋」。1967(昭和42)年に建造され、建造したのは「東京電気通信局」と「東京都水道局」。下部施工、つまり下請けで橋を建てたのは「白石基礎工事」といったことがわかります。

東京電気通信局とは、いまの日本電信電話(NTT:Nippon Telegraph and Telephone Corporation)の前身にあたる日本電信電話公社の地方支分部局のひとつ。つまり、電電公社と東京都水道局がかけた専用の橋ということです。ちなみに下部施工者の白石基礎工事は、いまのオリエンタル白石という企業の前進です。

橋の名前がわかれば、インターネットなどの情報にたどることもできます。ウィキペディアによると、蔵前専用橋は「洞道(とうどう)」つまり通信線のために設けたトンネルの専用橋で、水道橋(すいどうきょう)つまり水を運ぶための橋も兼ねているとのこと。

台東区側の橋詰めは商業施設のなかにあるわけですが、その商業施設はNTT東日本蔵前ビル。つまり橋は、台東区内の電話局の敷地を始点として、隅田川を渡り、対岸の墨田区内ですぐ終点となるわけです。

当然、一般の人びとはこの橋を渡るべからず。一般の人たちが橋を使う機会がないので、一般的な地図にも載らないわけです。

NTTグループは、こうした洞道を川にかけた通信専門橋を日本全国にいくつかもっているようです。

参考資料
ウィキペディア「蔵前専用橋」
https://ja.wikipedia.org/wiki/蔵前専用橋
ぷらぷら電話局めぐり「NTT_専用橋」
http://telecom.pura-pura.net/?cat=57
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