科学技術のアネクドート

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「蒸らし」で、濃い成分がお湯に拾われやすくなる


写真作者:Vee Satayamas

家でコーヒーを飲もうとするとき、ろ紙に挽き粉を入れ、そこにお湯を落として淹れることがあります。よくある淹れかたのひとつといえます。

このときのコツとしてよくいわれるのが「いったん粉をお湯で蒸らしてから、残りのお湯を落として淹れる」というもの。一気にお湯を落としてしまうよりも、おいしいコーヒーになるといわれます。

研究では、お湯を4回に分けて注ぐ淹れかたと、1回で注ぐ淹れかたでの、コーヒー内のカフェイン濃度のちがいを測った実験があります。この実験結果では、豆の種類にもよりますが、4回に分けて淹れるほうが1.4倍から1.7倍、カフェイン濃度が高くなったということです。カフェイン濃度が高くなったということは当然、味も濃いものになったことでしょう。

どうして、いったん粉をお湯で蒸らして淹れるのと、そうせず淹れるのでは、味にちがいが出てきうるのでしょうか。

コーヒー豆を粉にするまでには、豆を乾かしたり、焙じいったりするみちすじがあります。これらのとき、豆の水分や成分が気体になって、豆に空洞ができるといいます。そして、残るコーヒーの成分は、空洞の壁につくなどします。

この豆を粉にしても、粉には成分の濃いところと、濃くないところがあることでしょう。

この状態の粉に対して、お湯を一気に落とすだけだと、成分の濃いところが落ちていくお湯に拾われず、濃さの足りないコーヒーができてしまうおそれがあります。

いっぽう、いったん粉をお湯で蒸らすと、お湯が落ちる前の粉のところで成分が濃いところが溶けることになります。そして、この濃い成分が溶けだした粉に対して、さらに追ってお湯を落としていくと、濃い成分もお湯に拾われて、濃いコーヒーができる、といったことが考えられます。

このほか「蒸らし」には、コーヒーの脂分をなじませて粉全体に行きわたらせる作用があるとか、貯まっていた炭酸ガスが放たれて湯の通りみちをつくる作用があるとかもいわれています。

粉にお湯を落としてコーヒーを淹れている人は、「蒸らしあり」と「蒸らしなし」での味のちがいを感じてみてはいかがでしょうか。蒸らす時間は20秒ほどとよくいわれますが、これも何度か試して自分の好みの時間を見つけだすことができます。

参考資料
若林素子「ドリップコーヒーの給湯法による抽出カフェイン濃度の違い」
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009575121
Hack Coffee Beans 2017年6月16日付「コーヒーの蒸らしはなぜ重要なのか? その意味とやり方について」
https://hackcoffeebeans.com/steam/
Get Navi Web 2016年8月6日付「コーヒーは蒸らすとなぜウマい? 累計販売20万台のコーヒーメーカーが『蒸らし』を追加した理由」
https://getnavi.jp/homeappliances/57490/
キナリノ 2017年1月11日更新「最初の一滴が一番美味しい。ドリップコーヒーの“蒸らし”がこんなに大切」
https://kinarino.jp/cat4-グルメ/6039

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