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知っているかよりも、考えて導きだせるか


「クイズ」は、問題を出して相手に答えさせる遊びないし競技です。

これまで、日本では1960年代から2000年代にかけて、第1次から第5次の「クイズの流行」があったとされます。それぞれの流行のおもな火つけ役は放送番組でした。それぞれ「アップダウンクイズ」パネルクイズアタック25」「なるほど! ザ・ワールド」「アメリカ横断ウルトラクイズ」「クイズ!ヘキサゴン」といった代表的な番組があげられます。2010年代後半も、クイズ番組やクイズをとりいれた番組が多く見られ、流行の兆しがあります。

ひとえに「クイズ」といっても、出題のしかたはじつにさまざま。過去には「回答者がどれだけ知識をもっているか」に光をあてるような「知識型」の問題がよく出されました。たとえば「都市開発のために用いれる地下空間をなんというでしょう」といった問題です。正解は「ジオフロント」。

いまもこうした、知識型の問題はクイズをとりいれた番組などでよく見られます。しかし、知識型のような「知っているかどうか」が鍵となる類の問題の価値は、だんだんと落ちてきているのかもしれません。解答者が答えるよりも早く、視聴者たちがグーグルなどで正解を導きだせてしまうからです。もはや知識型の問題では、瞬発力を求める「早押し」の要素を加えるなどしないと、見ている人たちを退屈させてしまいかねません。

そこで、ただ知識があることを求めるだけではないかたちの問題が、クイズでは重要度を増してきているようです。この手の問題は、知っていることはある程度は必要ながら、より考えさせるような問題、つまり「思考型」の問題といえばよいでしょう。

「思考型」の一例としては、解答者や視聴者がよく知っていることがらについて、「理由」を考えて答えさせるような類の問題があります。たとえば、「工事現場の作業者がだぶだぶのズボンを履いている理由はなんでしょう」といった問題です。正解は「そこで風が吹いていることが遠くからでもわかるため」。

もちろん、その問われた「理由」を知っていれば、解答者は正解できます。しかし、「理由」を知っていなくても、考えをめぐらせれば正解を導きだせるわけです。こうした思考型の問題は、番組の視聴者も正解が示されるまでの時間「どうしてだろう」「こういうことじゃないか」と楽しめます。

とはいえ、理由を答えさせるような問題を出すときは、それなりの技術も必要でしょう。

たとえば、「この理由も当てはまるが、べつのこの理由も当てはまる」といったように、正解がふたつ以上あがってしまうことを避けなければなりません。出題の文で「これこれという理由以外の、もうひとつのおもな理由はなんでしょう」といったように、正解がひとつしか出ないように絞りこんでおくことも大切になります。

クイズにおけるこうした出題の傾向は、入学試験での出題の傾向と通じるものがあるかもしれません。どちらも、ただ「知識があるか」でなく、知識があることを踏まえて「思考力があるか」を問うところに、出題の価値が高まっているという点で。「もの知りであること」に対する社会的評価が低くなってきているあらわれともとれます。

参考資料
WIK! クイズ辞典「クイズブーム」
https://w.atwiki.jp/qqqnoq/pages/118.html
coconala Magazine 2020年3月13日付「例題あり 盛り上がるクイズ問題の作り方 基本の3ステップとおさえるべきコツ」
https://magazine.coconala.com/2775
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