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日本人間行動進化学会、人びとの「自然主義的誤謬」を指摘

写真作者:Trending Topics 2019

日本人間行動進化学会が、きのう(2020年)6月27日(土)「『ダーウィンの進化論』に関して流布する言説についての声明」という文書を出しました。

これは、自由民主党が党のウェブサイトに掲載した「進化論」という4コマ漫画をめぐって、英国の博物学者チャールズ・ダーウィン(1909-1882)が唱えた進化論が「誤ったかたちで引用され、議論になって」いることを受けての見解です。

同学会は、自民党のサイト「憲法改正ってなぁに?」にある4コマ漫画「進化論」の内容を「自然主義的誤謬」とよばれる、科学的知識の誤用の一例と位置づけています。

声明によると、自然主義的誤謬とは、自然の状態を「あるべき状態だ」もしくは「望ましい状態だ」とする考えかたのことだといいます。「誤謬」とついていることからわかるように、同学会は、この考えかたを「間違い」だとしています。

生物進化という自然界における現象から、「人間社会も同様の進み方をすべきである」とか「そのように進むのが望ましい」といった主張をすることは論理的に成立しないはずだということです。

同学会は、こうした論理的に成立しないはずの自然主義的誤謬から、「差別や暴力を正当化する言論」が起きていることと指摘します。さらに、ダーウィンが主張したことのない言説が、編みだされ流布しているような事態にも危惧していることが、声明からうかがえます。

人間社会の「すべき」ことや「望ましい」ことを主張するうえで、自然界の現象にたとえるということには、論理的な誤りがあるし、危険性もある。今回の声明は、このようなことを述べるものと解釈できます。

なお、このブログの6月24日(水)付の記事では、自民党の4コマ漫画で述べられている内容と、ダーウィンの言説としてレオン・C・メギンソンにより述べられた内容には、ちがいがあることを伝えました。

いっぽう、同学会も今回の声明で、メギンソンによるこの記述について言及していますが、「自身の解釈として述べた文章が、あたかもダーウィンが主張したかのように誤って流布したものだと指摘されています」とし、メギンソンの記述そのものがダーウィンの言説を表しているものではないとの見解を述べています。

参考資料
日本人間行動進化学会 2020年6月27日付「『ダーウィンの進化論』に関して流布する言説についての声明」
https://www.hbesj.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/HBES-J_announcement_20200627.pdf
@jimin_koho 2020年6月19日「教えて! もやウィン 第1話 進化論◆嵜焚熟澄廖並海)」
https://twitter.com/jimin_koho/status/1273893819579166720
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