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折りかえさず、ぐるりと回る
鉄道には「ループ線」とよばれる線があります。らせん状に敷かれた線をさします。

直線で済めば費用もかからないところをそうせずらせん状にするのだから、ループ線には敷く理由があります。よく知られる理由は、山岳部などの急勾配に直接たち向かうのを避けるため、というもの。日本でも、JR上越線の湯檜曾駅と土合駅のあいだ、また土樽駅と越後中里駅のあいだにループ線があります。といっても隧道のなかなので目だちませんが。

もうひとつ、ループ線を敷くおもな理由があります。それは、鉄道の起終点駅などで、車両を方向転換するため、というもの。


スウェーデンにあるヨーテボリ・リニエプラッツエン駅のループ線
Google Earth Pro

たいていの鉄道では、車両が終点駅につくと、そのまま折りかえすことにより方向転換します。先頭車両が最後尾車両となり、運転室と車掌室も入れかわります。

しかし、事情によりこうした折りかえしをすると不都合が生じる場合は、つねに先頭車両は先頭車両のままで、どうにか方向転換しなければなりません。そこで、終端をループ線にし、ぐるっとひと回りして方向転換をはかるわけです。

では、どんな事情があり、折りかえしができないのか。その事情をたどると「付随車の登場」という経緯があるといいます。

かつての電車は、単車つまり1両編成のものがほとんどでした。しかし、1両だけだと日や時間帯によって客が乗りきれません。そこで、電気で動くこの1両の電気車に、電気を使わない付随車をつけて、走らせることになりました。

付随車はあくまで付随車なので、電気車に引っぱられるのみ。付随車が先頭でほかの車両を引くことはありません。この「電気車と付随車」の編成で折りかえしをするとなると、つねに電気車が1両目でなければなりません。そこで、鉄道の終端をループ線にしたというわけです。

なお、この理由でのループ線は、軌道上に馬車を走らせる馬車鉄道の時代までさかのぼれるとされます。終点駅に着いたとき、馬を車両から外して、客車の反対側に位置がえさせるのが手間だったため、馬車鉄道の起終点駅あたりにはループ線が設けられていたそうです。

急勾配にたち向うためのループ線とちがって、終端のループ線はいわば「無限ループ」となります。理論的には、山手線や大阪環状線などの環状線と変わりありません。

鉄道の終端あたりにあるループ線は、いまも世界の路面電車の駅ちかくなどで見ることができます。

参考資料
生方良雄『箱根登山鉄道125年のあゆみ』
https://www.amazon.co.jp/dp/4533093744
ウィキペディア「ループ線」
https://ja.wikipedia.org/wiki/ループ線
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