科学技術のアネクドート

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「無線通信技術でウイルス拡散」若い世代がより信じやすいとの調査結果も

写真作者:Diogo Duarte

新型コロナウイルス感染症「COVID-19」(Corona VIrus Disease 2019)の病原体であるウイルスが、「5G」(5th Genaretion)ともよばれる第5世代無線移動通信技術によって拡散されているという流言蜚語が世界で出まわっているといいます。

(2020年)6月12日(金)には、ペルーの農村でこの通信規格のための空中線をとりつけようとしていた技術者8人が、村民に一時拘束されたと地元の警察に発表されました。警察署長は「村民はこのアンテナは5G用であり、新型ウイルス感染症を引き起こすという理由で8人を拘束している」と説明したといいます。ほかに、拘束された理由は、夜間外出禁止令に反したからという話もあります。

新しい通信技術が新型コロナウイルスを拡散するという虚偽の話は、人びとに「どのように」信じられているのでしょうか。

虚偽の話が飛び火した国の一つである豪州では、エッセンシャル・リサーチという調査会社が、この虚偽の話についての人びとの反応をふくむ調査結果を報告しています。調査は、5月14日(木)から17日(日)にかけてオンラインでおこなわれ、1073人の回答があったといいます。

「新型コロナウイルス感染症について言われていることがあります。それらはすべて、本当だと言う人もいう人もいれば、本当ではないと言う人もいるものです。あなたは、どの程度まで、本当または嘘だと信じていますか」という問いがあり、その項目のひとつに「5G無線通信は新型コロナウイルス感染症のウイルスを拡散するために使われている」というものがあります。

「まったく本当だ」と答えた人は4パーセント、「おそらく本当だ」と答えた人は8パーセント、「おそらく嘘だ」は14パーセント、「まったく嘘だ」は61パーセント、そして「判断するのに十分な知識をもっていない」が13パーセントだったそうです。

「まったく本当だ」「おそらく本当だ」と答えた12パーセントの人たちの属性についても報告されています。男女別では、男性が15パーセントに対し女性が9パーセントという内訳で、この12パーセントになっています。

また、年齢別では、18歳から34歳が20パーセント、35歳から54歳が13パーセント、55歳以上が4パーセントという内訳で、この12パーセントになっています。

「本当だ」と信じる人の割合が、女性よりも男性のほうが高く、また高齢者よりも若年者のほうが高いという結果は、この虚偽の話が広まるしくみを分析するのに役立つ情報となるのではないでしょうか。

次世代無線通信技術が新型コロナウイルスを拡散したという流言蜚語が「なぜ」生じたのかをめぐっては、世界中の媒体の記事でさまざまなことがいわれています。しかし、「こういう理由からだ。その根拠はこうだ」という明確で決定的な説明は、なかなかなされません。流言蜚語のしくみを分析する人はみな、その流言蜚語を信じていないので、信じる人たちの思考そのものを感覚的に理解することはできないでしょう。

「本当だ」と信じる人たちと「嘘だ」と信じる人たち、それぞれの属性や背景のちがいなどを分析することが、理解を進めることになるのではないでしょうか。

参考資料
時事ドットコム 2020年6月15日付「『5Gアンテナでウイルス拡散』村人が技師8人を拘束する騒ぎ ペルー」
https://www.jiji.com/jc/article?k=20200615040195a&g=afp
Essential Research 2020年5月18日発表 “The Essential Report”
https://essentialvision.com.au/wp-content/uploads/2020/05/Essential-Report-180520-1.pdf
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