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蛍原さんに児嶋さん、そして渕選手……
芸能の世界では「相方が従来の活動をできなくなり、もう一方の活躍ぶりが注目される」といったことが起きているようです。

お笑いコンビの雨上がり決死隊では、宮迫博之さんが2019年に報じられた事柄を機に、所属の事務所との契約関係が解消となりました。これを受けて、コンビ相手だった蛍原徹さんが、それまで2人で出演していた放送番組などに1人で登場するなどしています。

おなじくお笑いコンビのアンジャッシュでは、渡部建さんが2020年6月に報じられた事柄の何日か前から活動を自粛しはじめました。これを受けて、コンビ相手である児嶋一哉さんが、それまで渡部さんが出演していた番組に代わりに登場するなどしています。

蛍原さんも児嶋さんも、どちらかというと以前は相方を引きたてるような役まわりを期待されていた向きがあったようです。しかし、相方が活動できなくると、「おもしろい」「逆境で光っている」などと世間から評価され、脚光を浴びてもいるようです。

なんらかの理由により、それまでの体制で活動ができなくなったコンビや集団では、顔が立ったり主役を張ったりしていなかった人物が、ふたたび実力や真価を発揮し、人びとから再評価されるということが、往々にしてあるものかもしれません。

格闘技観戦を愛好する人は、プロレスラーの渕正信選手のその姿が浮かんでくるのではないでしょうか。

渕選手は1954年生まれ。全日本プロレスに入門し、専属選手として1980年代後半にはジュニアヘビー級の王座につくなど、孤高ともいえる名声を得ていました。

その後1990年代に入ると、前座で観客を笑わせ、楽しませるような活躍も多くなり、中堅レスラーとして安定した人気を保つことになりました。

ところが2000年、全日本プロレスでは経営陣の対立があり、選手26人をふくむほとんどの選手や職員が大量離脱することになりました。

そして残ったのは、川田利明選手それに渕選手の2人のみでした。川田選手は2000年の当時も、その日の最後の注目試合を張れるようなスター選手の一人でした。

渕選手はといえば、それまでの前座を温めるような戦いぶりが幻だったかのように、急にかつての輝きをとりもどしました。大量離脱の直前には渕選手は、試合後のマイクを使った余興で人気を博していたラッシャー木村選手たちと素朴な抗争を繰りひろげていました。ところが、大量離脱の直後から、他団体で当時もスター選手だった長州力選手や蝶野正洋選手とも互角にやりあうといった、第一線の活躍ぶりに変貌をとげたのです。

ウィキペディアの「渕正信」の項目にはつぎのように書かれています。

「大量離脱騒動で、中堅レスラーとして活躍していた渕はトップを張らざるを得なくなった」

たしかに「トップを張らざるを得なくなった」というのは事実かもしれません。なにせ、所属団体に残った選手が自身をふくめて2人だけになってしまったのですから……。

しかし渕選手には、プロレスラーとしていつでもトップを張れるような実力がありました。大量離脱から半年後の2001年1月には東京ドーム大会で、10歳年下の獣神サンダー・ライガー選手に、岩石落としや巨人式背骨折りなどの大技をつぎつぎと繰りだし、観客から万来の喝采を浴びていました。この試合に敗れはしたものの、「あの時代の渕はもっとも輝いていた」と評する人もいます。


2001年1月28日、渕正信選手対獣神サンダー・ライガー選手の一戦

それまでの状況や体制からの急変に決して臆することなく、新たに求められるようになった役目を立ちまわる。そして、人びとから拍手される。そんな人物こそ、真の実力者といえるのではないでしょうか。

参考資料
毎日新聞 2019年7月19日付「吉本興業 宮迫博之さんとの契約解消」
https://mainichi.jp/articles/20190719/k00/00m/040/153000c
人力舎 2020年6月10日「渡部建に関するご報告」
http://www.p-jinriki.com/news/2020/06/005074.php
ウィキペディア「渕正信」
https://ja.wikipedia.org/wiki/渕正信
youtube「全日本 渕vsライガー!新旧Jr.の重鎮対決が全日マットで実現! '01 1.28 東京ドーム」
https://www.youtube.com/watch?v=RSR87TqnSZA
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