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水分をどれほど補っても汗の量はあまり変わらず

写真作者:Kenta Hayashi

きのう(2020年)6月15日(月)付のこのブログの記事「『皮膚 → 視床下部 → 皮膚』の経路で汗が出る」は、暑さで汗が出るときのしくみを伝えるものでした。

汗についていえば、つぎのようなことを思っている人もいるのではないでしょうか。

「水分を摂ると汗が出る」

たとえば、熱い風呂に長くつかったあと、冷やしておいたコーヒー牛乳をがぶりがぶりと飲んだとします。すると、みるみるうちにからだじゅうから汗が出てきます。そして、風呂に入るまえよりも汗だくになるのでした。orz。

なかには、「がぶっと飲んだ3秒後には、もう飲んだ量ぐらいの汗が出ている気がする。自分のからだのつくりがいかに単純なものか」と嘆じている人もいるようです。

ほんとうに「水分を摂ると汗が出る」のでしょうか。

つぎのような実験があります。

摂氏33度、湿度60パーセントの室内で、被験者たちが60分間、自転車を模した体力測定器具を漕ぎつづけます。ただし、被験者たちは「実験24時間前から運動中にかけて水分を摂らない」「実験14時間前から運動中にかけて水分を摂らない」「運動中は水分を摂らない」「運動中に失った水分の3割を摂る」「おなじく6割を摂る」「おなじく10割を摂る」の6条件に分けました。そして、それぞれの条件の人の発汗量などをはかりました。

その結果、どの条件の人でも発汗量は、1時間あたり体重1キログラムあたり12.1〜15.2グラムというほぼ一定の範囲にあったということです。つまり、実験前から実験中にかけて、水分を摂った量にかかわらず、おなじぐらいの量の汗が出たというわけです。

いっぽうで、一般的に、体温が高まると、からだから水を蒸発させて体温を下げようとするため、汗の出る量は多くなることがわかっています。きのうの記事にあるように。

これらのことからすると、「体が熱くなったときに水分を摂ったとしても、水分を摂っただけ余計に汗が出るということはない。汗が噴きでるのはただただ体が熱いから」ということが導かれそうです。

ほかにも、水分を摂るほうが、体温は上がりにくくなるといったこともいくつもの研究からいわれています。

よって、風呂あがりや運動中などの汗をかきやすいときは、「水分を摂っても摂らなくてもおなじくらいの汗は出る」と割りきって水分を摂るほうが、脱水状態を防げるなど、からだへの負担はすくないといえそうです。風呂あがりにビールなどのアルコール飲料を飲むことで心臓などに負担をかける危険があることはまたべつとして。

参考資料
佐藤靖丈・丹羽健市「運動時の飲水が発汗反応及び体温冷却に及ぼす影響」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/46/1/46_1_113/_pdf/-char/ja
日本クレーン協会「夏の健康チェック“汗のはなし”」
http://www.cranenet.or.jp/susume/susume03_08.html
ココカラクラブ 2015年6月1日付「飲酒後のお風呂は危険?入浴とアルコールの関係とは?」
https://www.cocokarafine.co.jp/oyakudachi/health/201506086.html
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