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6ステップで「知識構成」を進める

写真作者:James Petts

2018年3月22日付のこのブログ記事「『本家 → 専門家たち → 本家』の手順で集団学習」は、米国の心理学者エリオット・アロンソ(1932-)が編みだした「ジグソー法」とよばれる集団での学習法についてとりあげたものでした。ごく大まかにいうと、「本家」の3人ないし4人が、それぞれ「専門家」として出ていって知識を得、それらの知識を「本家」にもちよって伝えあう、といったものです。みんなでジグソーパズルを解いて全体像を浮かびあがらせるような作業であることから「ジグソー法」と名づけられたといいます。

日本では、べつの「ジグソー法」が開発されています。その名も「知識構成鋳型ジグソー法」。東京大学の大学発教育支援コンソーシアム(CoREF:Consortium for Renovating Education of the Future)が開発したものです。

同コンソーシアムによると、アロンソのジグソー法と知識構成型ジグソー法では、ねらいが異なるとのこと。アロンソのジグソー法については「人種の融合など児童生徒の関わり合いの促進」にねらいがあったのに対し、知識構成型ジグソー法については「関わり合いを通して一人一人が学びを深めること」にねらいがあるといいます。

アロンソのジグソー法では、おおまかに「本家 → 専門家たち → 本家」の3段階の手順で進められると説明されます。いっぽう、知識構築型ジグソー法には、「0」から「5」まで5つの「ステップ」があると説明されています。それはつぎのようなもの。

「ステップ0 問いを設定」。先生が、その単元での「問い」を設定する。その「問い」は、3つか4つの知識をくみあわせれば解けるようなものにする。この「問い」を解くための資料を、知識ごとに準備しておく。

「ステップ1 自分のわかっていることを意識化」。子たちは、先生から「問い」を受けとる。はじめは1人で、その時点で思いつく答えを書いておく。

「ステップ2 専門家になる」。子たちは、おなじ資料を読みあうグループをつくり、その資料に書かれた意味や内容を話しあい、理解を深める。

「ステップ3 ジグソー活動で交換・統合する」。子たちは、自分とはちがう資料を読んだ子が1人ずついる新たなグループに入る。その新たなグループで、1人ずつが専門家として得た内容を説明していく。ほかの子からほかの知識についての説明を聞き、自分の知識とのかかわりなどを考える。そして、この新たなグループの子たちは知識をくみあわせ、「問い」に対する答えをつくる。

「ステップ4 クロストークで発表し、表現をみつける」。子たちは、出した答えを、根拠もふくめみんなに発表する。おたがいの答えと根拠を検討する。

「ステップ5 1人に戻る」。子たちは、1人で「問い」に対する答えをあらためて記す。

どうでしょうか。やはり、大きな節となるのが、「ステップ3 ジグソー活動で交換・統合する」ではないでしょうか。3つか4つある知識のうち、「その1つの知識」をもっているのは「その子」だけなので、その子はほかの子たちにその知識が伝わるよう説明しなければなりません。自分がどれくらいその知識を理解できているかなどを省みることになります。

知識構成型ジグソー法は、小学校や中学校でさまざまな授業でとり入れられているといいます。この方法の効果を感じている先生もいるのでは。また、知識構成型ジグソー法にかぎったことではありませんが、「型」のある授業法は、先生からすれば教えやすく、子どもからすれば身につけやすいものでもあるのでしょう。

参考資料
東京大学大学発教育支援コンソーシアム「知識構成型ジグソー法」
https://coref.u-tokyo.ac.jp/archives/5515
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