科学技術のアネクドート

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『植物の生存戦略』


新刊の紹介を。朝日新聞社から『植物の生存戦略 じっとしているという知恵に学ぶ』という本が発売されました。

葉や花や根などの植物のからだの部分に注目し、「なぜそれぞれの植物にはそれぞれの葉のかたちがあるのか」とか「なぜ植物は毎年おなじ季節に花を咲かせるのか」とかの、根本的な謎にせまった内容です。10人の植物研究者がそれぞれの章を受けもちました。

この本づくりに、私は“取材・構成”という役で携わることができました。10章のうちの1章ぶん、最後の第10章の担当です。

たまに“構成”という本づくりの役割のことばを目にすることがありますね。どのような役かというと、研究者などに話を聞いて内容をととのえ、その人になりかわって書くような役のこと。おそらく、取材で得た材料を組みたてて、ひとつのものに仕立てていくので、構成とよぶのだと思います。

取材・構成をした第10章は、名古屋大学生物機能開発利用研究センター芦苅基行准教授の章。「『第2の緑の革命』にむけて」という章の名前です。

「緑の革命」とは、1960年代にアジアなどで広がった食料危機を救ったとされる技術革新のこと。品種改良で背丈の低いイネを作り倒れにくくすることで収穫を増やしました。

この「緑の革命」での品種改良は、「そのイネはなぜ倒れにくいのか」ではなく「そのイネは倒れにくいかどうか」という結果を優先していました。

そこで、「そのイネはなぜ倒れにくいのか」についても遺伝的に解き明かそうとしたのが芦苅准教授。農家の「台風に強いイネを作りたい」とか「害虫に強いイネを作りたい」とかいった、地域ごとの声をかなえるイネを作れるようにするため、イネの特徴に関わるいろいろな遺伝子を、まさに“デカ”が“ホシ”を絞り込んでいくように見つけ出していったのです。

なじみのあるコシヒカリに、背たけの低さに関わる遺伝子だけを入れた、「ほとんどコシヒカリ」が作られるまで、といった話も出てきます。

ほかの章も「受精のメカニズムをとらえた!」や「4億年の歴史をもつ維管束」などの各章で、植物の生存戦略をじっくりと説いていきます。全体として、植物の一生と植物科学の意味がわかるといった本のつくりです。

物書きとして本づくりに関わったのはこれが初。どうやったらうまく伝わるかと、試行錯誤のくり返し。年末年始、知り合いの助手さんから“はっぱ”をかけられたりしながら構成をしました。

芦苅准教授にはとてもていねいにわかりやすく説明をしてもらいました。編集者の赤岩なほみさんにも、取材に同行してもらったり適切な図版を付けてもらったりと、お世話になりました。

『植物の生存戦略』はこちらで。
http://www.amazon.co.jp/植物の生存戦略?「じっとしているという知恵」に学ぶ-「植物の軸と情報」特定領域研究班/dp/4022599219/ref=sr_1_3/503-7257412-2611120?ie=UTF8&s=books&qid=1178810939&sr=1-3
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