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藤井棋士のポスター“続編”、味わい深さやや減るも注目される

2018年2月7日付のこのブログの記事「藤井棋士のポスター、ごく一部で『たいへん味わい深い』と話題に」は、将棋の藤井聡太五段(当時)の写真が使われている「振り込め詐欺」対策の啓発ポスターの味わい深さを伝えるものでした。ポスターは下にあるもの。藤井棋士という、将棋のプロの写真が使われていながら「その電話。待った!」という惹句が見られ、じつに堂々としております。



じつは、この藤井棋士のポスターには続編というべきものがあり、ポスターづくりに携わった原宿警察署のまわりなど、東京の街なかで見ることができます。下のものです。



「振り込め詐欺 撲滅」「その手には 乗らない!!」

いかがでしょうか。前回の赤いポスターでは、上のほうに「振り込め詐欺撲滅へ対策の一手」という文言があり、これが「その電話。待った!」を絶妙に引きたたせていました。いっぽう、今回の青いポスターでは、上のほうの文言は「振り込め詐偽撲滅」と、単純なものとなっています。

となると、下のほうの「その手には乗らない!!」という惹句に、今回のポスターの味わい深さがかかってきそうです。

「その手に乗る」というのは、相手の策略にひっかかること。将棋で、棋士が「その手には乗らない!!」と思うような局面はあるのでしょうか。

戦法のひとつに「猫だまし」というものがあります。これは、先手が初手でいきなり飛車を「7八飛」と、角行の横まで移すというもの。意外な打ち手であり、相撲で立ちあいに手を叩いて相手をひるませる「猫だまし」のようだということで、名づけられたようです。

将棋で相手が「猫だまし」をしかけてきたとき、棋士が「その手には乗らない!!」と感じるとすれば、「相手の不意打ちには惑わされることなく、自分の攻めを貫こう」といったことになるでしょうか。

もうひとつ「その手には乗らない!!」と棋士が思う状況として「相手に頓死(とんし)をしかけられたとき」が考えられそうです。

「頓死」とは、最善の手を打っていれば自分の玉が詰まないような局面で手を誤り、詰まされてしまうことをさします。どちらかというと、自分が最善の手を見落とすなどの自分側の誤りによって頓死に陥ってしまうことのほうが多いもよう。しかし、ねらって相手を頓死させようとすることもまれにはあるかもしれません。

ともあれ、いずれの場合も藤井棋士ほどの実力ある棋士ならば、そうそう相手の策略に乗ってしまい局面を悪くするといったことはなさそうではあります。

前回の「その電話。待った!」の惹句にくらべると、「その手には乗らない!!」のほうが将棋の局面としてはまともさがありますが、味わい深さはやや低まったというところでしょうか。

使われている写真が前回と今回でまったくおなじである点や、藤井棋士の肩書きが「日本将棋連盟所属」から「将棋専門棋士」に変わった点などには、くらべ甲斐があります。

なお、今回の「その手には乗らない!!」のポスターは、2018年9月、道路交通法違反と自動車運転処罰法違反に問われた元アイドルグループの被告が原宿署から保釈されようとするとき、警察官が報道陣の眼前でこれ見よがしに貼っていたことで注目されてはいたようです。

参考資料
三間飛車のひとくちメモ 2017年8月11日付「猫だまし(初手▲7八飛)戦法講座 第1章・第1節 猫だまし戦法とは?」
https://thirdfilerook.jp/entry/2017/08/11/064704
将棋講座ドットコム「将棋用語 頓死」
https://将棋講座.com/将棋用語/頓死.html
togetter 2018年9月27日付「吉澤ひとみ保釈を待ち構えるマスコミの前で、『振り込め詐欺撲滅』のポスターを貼る原宿警察署が生中継される」
https://togetter.com/li/1271032

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