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読んでいない人、辞職大臣のほかに……


写真作者:Sebastien Wiertz

桜田義孝衆議院議員が(2019年)4月11日(木)五輪担当とサイバーセキュリティ担当の大臣職を辞任しました。辞任を迫られるようなかずかずの要因をみずからつくりつづけ、最後の決め手もみずからつくり、辞任に至りました。

「かずかずの要因」のひとつに「(五輪憲章を)読んでいない」という国会答弁を挙げるひともいるでしょう。これは、2月13日の衆議院予算委員会で、国民民主党議員の質問に対しての答弁です。質問した議員は「五輪の根本的な理念もわかっていなくて大臣が続けられるのか」と批判。ほかの議員からも批判が噴出しました。

これに対しては、インターネットで人びとから「え、え、え? 五輪担当相なのに読んでない???」「本当にポンコツだな!」「ありえん」などといった声も出ていました。

たしかに五輪担当大臣が、五輪の基本原則にあたる五輪憲章を読んでいないというのは担当大臣としてふさわしいことではありません。

けれども、「担当の仕事に携わる基本原則を読んでいない」という人は、桜田元大臣だけでなく、世にはごまんといるのではないでしょうか。その一人であり、ほかの資質もふくめて厳しく追究される国会という場で明るみに出たのが桜田元大臣だったという話です。

たとえば「定款は会社の憲法」ともよくいわれますが、会社の社長に引きぬかれて就いた人みんなが、その会社の定款を読んだうえで社長に就いているのでしょうか。わかりません。

あるいは、団体の会長に就いた人みんなが、その団体の会則を読んでいるのでしょうか。なんともいえません。

あるいは、編集者とよばれる人みんなが、その出版社がつくったり、市販されたりしている「編集必携」を読んでいるでしょうか。これは、明らかです。読んでいない人もたくさんいます。

「読んだか、読んでいないか」とはべつに、そこに書かれている内容や精神を「わかっているか、わかっていないか」という尺度があります。

この二つの尺度をかけあわせると、「読んでいて、わかっている」「読んでいないが、わかっている」「読んでいるが、わかっていない」「読んでいないし、わかっていない」の四つになるわけです。

桜田元大臣の場合は「読んでいないし、わかっていない」が当てはまります。対極にある「読んでいて、わかっている」が理想なのでしょう。

 

残る「読んでいないが、わかっている」と「読んでいるが、わかっていない」についていえば、「読んでいないが、わかっている」という状況にしておくのが、なにかを担っている人により求められる資質なのではないでしょうか。「読んでいる」より「わかっている」のほうが担当者として大切だからです。

参考資料
朝日新聞 2019年2月13日付「桜田五輪相、五輪憲章「読んでない」 目的も答えられず」
https://www.asahi.com/articles/ASM2F5FL5M2FULFA02B.html
まとめダネ 2019年2月13日更新「五輪憲章 桜田大臣、五輪憲章を読んだことがなかった『セキュリティ相なのにパソコン使えない』『五輪相なのに五輪憲章読まない』『がっかり大臣』」
https://matomedane.jp/page/23176

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