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書評『プロの撮り方 創造力を極める』
雑誌『ナショナルジオグラフィック』の「プロの撮り方」シリーズとしての一冊です。

『プロの撮り方 創造力を極める』ブライアン・ピーターソン著、関利枝子・武田正紀訳、日経ナショナルジオグラフィック社、2015年、146ページ


たとえおなじ場所、おなじ時間帯、そしておなじ機材で撮影をしても、撮った人によって写真のできばえはちがってくる。もって生まれた感覚の差もないわけではないだろう。だが、人の心を惹くような写真は、心がまえや技によっても実現することを、この『創造力を極める』は教えてくれる。

著者のブライアン・ピーターソンは、米国シカゴ在住の写真家。30年以上のプロ経験をもち、また20年にわたり写真を教えてもきた人物だ。世界を飛びまわって撮った写真のかずかずを本書でふんだんに披露する。

著者いわく「創造力」とは「独創性と想像性、着想力と知覚力の組み合わせ」。これらを束ねるようなことばとして「アイデア」も使い、「本書のテーマを一言でいうなら『アイデア』だ」と述べている。

実際の写真の例は、たしかにアイデアが光るものが多い。ほんの小さな水たまりにズームして写真下半分を水面にしてしまった写真や、街なかの壁の模様の乱れに近づいて切りとり前衛芸術風にした写真など。「こんなアイデアがあったか」と膝を打つ読者も多いだろう。

いっぽうで、どんな撮影者にも基本となる心がまえも記している。「あと60cm近づくだけで、傑作になりますよ。近寄ってみましょう!」とか「この被写体で、別の構図がまだ可能ではないか」とか。人物を撮るときには背景選びを先決することの大切さも述べている。そして最後には、本書で述べたことをおさらいするように「創造的に見る」ためのチェックリストも掲げている。

書名の「プロの撮り方」からは、専門的な印象をあたえるかもしれない。だが、専門的な話はレンズの特徴や被写界深度についてぐらいで、プロでなくても参考になる話は多い。プロも基本を大切にしていることを知らせてくれる。

『プロの撮り方 創造力を極める』はこちらです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B073VDDSR5
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