科学技術のアネクドート

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海外で活躍、日本の名の科学者。


このまえ、米国人と英国人の科学ジャーナリストと食事をする機会がありました。席上でふたりは「米国や英国などでは、ミチオ・カクという日本の名前の科学者が、市民に科学を知ってもらうための活動をほんとうにいろいろとこなしている」と話していました。

私をふくめ、同席していた日本人は、「ミチオ・カク…、賀来道夫さん? 角三千男さん?」と、みなきょとん。食事のあと「国内ではあまり知られていないけれど、海外で活躍している日本人もいるものですね」という結論になりました。

後日、調べてみたところ、いやしくも科学技術の伝え手をかかげる者であれば、名前ぐらいは知っておくべき科学者であることがわかりました。恥ずかしいかぎり…。

ミチオ・カク博士は、日系の米国人の理論物理学者。理論物理学は、実験で研究するのではなく、数学や計算で法則をときあかす物理学のこと。カク博士は、「超ひも理論」という、物理学ではいま熱い分野の一つを舞台に研究をしています。

20世紀前半の物理学では、相対性理論と量子力学というふたつのとても重要な理論が生まれ、とても盛り上がりました。このふたつの理論どうしは、水と油のように、あまりなじまないのです。でも、「超ひも理論」を使えば、相対性理論と量子力学を統一することができるのではないかといわれています。「万物はものすごく引っ張る力の強い“ひも”でできている」とか「この世は11次元でできている」とかいった、摩訶不思議な話も多く飛び出します。

カク博士がすごいのは、この「超ひも理論」に貢献してきたとともに、いま日本でなにかと流行の「科学コミュニケーター」としても優れているという点。物理学とサイエンス・フィクションをつないでしまうような本を書いたり、時間旅行についての随筆を寄稿したり…。

でも、カク博士の伝え手としての分野は専門の理論物理学にとどまりません。それがまたすごいところ。たとえば、ラジオ番組の司会者として、ゲノムなどの生物学の話も流暢にこなしてしまいます。

日本での「科学者」に対する印象というと、とかく専門としている分野にとことん詳しいけれど、ちょっと別の領域になると……というところ。自分の専門分野のみになるべく時間を費やしてこそ、優秀な科学者という向きもあるなか、好奇心に導かれて広い分野を開拓しようとするミチオ・カク博士の姿勢はつよい反証に思えてきます。

ミチオ・カク博士が、“賀来道夫”として、日本で生まれ育っていたら、果たしておなじような専門研究も科学コミュニケーションもできる人物になっていたかどうか…。

dr.MICHIO KAKUのホームページはこちら(英文)。
http://www.mkaku.org/
| - | 20:42 | comments(1) | -
コメント
賀来さんは物理学者じゃなくて作家のようですね。厳密性に欠くというか、宇宙現象を決まったような言い方をすることに、、ちょっと気になっていました。パラレルワールドと光の回折現象には、何の関係もありません。ご自分の結論に持っていく上で、真実の現象と「例え話」をゴッチャ混ぜにしてる間があるよう出会う。
| 高橋 健 | 2017/07/18 2:04 PM |
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