科学技術のアネクドート

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『栄養と料理』で「食料危機」をとらえる



女子栄養大学の出版部が発行する『栄養と料理』という雑誌があります。その2019年2月号が、きょう1月9日(水)発売されました。

『栄養と料理』は1935(昭和10)年に創刊された月刊誌。女子栄養大学などを運営する香川栄養学園の学園長だった香川綾(1899-1997)が中心となり発行しました。同出版部の読みもののコンセプトは「食と健康」。同誌の表紙には「現代を健康に生きる」とあります。

2月号の記事のひとつが「『食料危機』をどうとらえるか」というもの。健康を意識した記事が多くあるなかではやや異色です。食料危機は日本でも起こりうるものだから、備え、心がまえをもつことが大切と書いています。

記事ではまず、「病気」のようにじわじわと影響が大きくなるような型の食料危機についてとりあげています。東京農工大学教授で農業経済学を専攻している山亮一さんが解説しています。山さんは『食料危機ってなんだろう』(文研出版)などの本の監修もしています。

記事では、日本ではさほど知られていない2007年から2008年にかけての世界的食料危機を山さんが紹介し、「一過性の危機と考えることはできません」と警鐘を鳴らします。そのうえで、食料自給率が4割に満たない日本で、政府が、そして市民がとるべき行動などを提案します。

いっぽう、「けが」のように突然に生じる食料危機もあります。大地震や洪水などの自然災害により、地域によって食料の供給が滞るようなもの。この型の食料危機に対する備えの大切さを、日本ふるさと源基計画理事長の青山貴洋さんが説いています。青山さんは「地域の食料安全保障」「災害の脅威に立ち向かうための合理的備蓄体制構築への道筋」といった研究論文を発表している人物です。

記事では、災害対策でよくいわれる「最低3日分の食料の備えが必要」の根拠を示すとともに、自治体の食料備蓄の量がいかにすくないか、よってそれぞれの家で食料を備えておくことがいかに大切かを説いています。

起きていないことに対して備えるのは、人によってはなかなか気の進まないこと。なにも起きていないときから「日本でも食料危機は起こりうる」「なにかやっておくか」と心する人を一人でも増やすのには、地味であってもこうした記事の存在が大切になります。

特集は「あなたの『減塩』、応援します!」。女子栄養大学出版部の『栄養と料理』2019年2月号の案内はこちらです。
http://www.eiyo21.com/eiyo/eiyo.shtml

この号の一部の記事の取材・執筆をしました。

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